鹿岳・四ツ又山   2007年4月29夜〜30日

コース:
鹿岳登山口6:25〜鞍部(分岐)〜7:50一ノ岳(南峰)8:00〜8:30二ノ岳(本峰)8:40〜9:05分岐〜9:50マメガタ峠10:05〜10:50四ツ又山11:00〜11:40大天狗の鞍部〜12:30宮室


 西上州には妙義山に代表されるような独特の形をした面白い山が沢山ある。一度は訪れたかった鹿岳(かなだけ)と四ツ又山への山行が会報に載ったので申し込む。
GWの混雑を避けるため、日帰りでも可能な距離だが夜行日帰りとなる。集まったのは28名。「岩場・鎖場などに不安の無い人」という条件を承知の人々である。

道の駅での時間調整の後、登山口へ向かう。途中の橋が架け替え作業中で通行止めとなっていて一旦戻って迂回路を行く。(ほたる山付近、標識あり。セブンイレブンの手前を左折して迂回する。)

登山口に着いててみると霜が降りていて乗用車のフロントガラスが真っ白。薄手のフリースを来て歩き出すが、針葉樹林の中の急登は、夜行明けには結構キツイ。
しかし、早速マルバスミレ、エイザンスミレの美しい株が迎えてくれる。数は少ないが、今が盛りで花も大ぶり。何度かレンズを向けるものの、暗さで手ブレばかり。中では紫色の濃いエイザンスミレが珍しい。
それから気になった花はワチガイソウ?ワダソウ??・・・後で調べると「ヒゲネワチガイソウ」。ワチガイソウは花弁が5枚だが、これはもう少し多い(5〜7枚)という。新しい花を見つけるのは嬉しい。

 ヒゲネワチガイソウ(髭根輪違草)

急登に飽きてきたころ、ようやく鞍部へ。ここも大変な痩せ尾根。
まずは右手の一ノ岳へ。木の梯子を登る。
あたりを見回すとなるほどピンク色が柔らかいアカヤシオが咲いている。

 アカヤシオ

さて、南峰。急登で左右は断崖、足場や手がかりは沢山あるが、ザレていて、何でもないステップも、滑れば崖下へ「さようなら〜!」
夜行明けだし、吉野での”滑落”もあって、ここは過信を避けて慎重に・・・。
「慌てなくていいよ。」Aサブリーダーの言葉に甘えて息を切らせながらも何とか登頂。
狭いながらも全員が立って小休止。勿論大展望を楽しむ。

 一ノ岳(南峰)からの展望

今度は目の前の本峰へ。28名が安全に降りるには時間がかかる。難所通過待ちでずっと立っていると、急に怖くなってきて、次の一歩がすっと出せない。これもちょっとした『吉野ショック』だろうか。
ストックがあったら随分違うだろうなと思う。

兎に角も、やっと降りたら今度はまたどうやって登るの?という絶壁が待っている。
鞍部を通過するがこれが何だか一番の痩せ尾根。「刃渡り」ってこういう感じ?

順番待ちの間にみつけた可愛いスミレはフモトスミレ。

フイリ・フモトスミレ(斑入麓菫)

さて、登り始めは手作り感一杯の木の梯子。その先も梯子とロープ・鎖の連続。しかし、一ノ峰よりはかなりマシ。「梯子・ロープは1人ずつ」の標識に従って、後方は常に渋滞。それを利用して、こちらはもっぱら撮影タイム。
ようやく本峰に上るとこれまた絶景!振り返った一ノ岳は、結構ピンクに染まっている。

 一ノ岳(南峰)とアカヤシオ

そして、目の前には浅間山から妙義など360度の大パノラマ。本当に青空が眩しい。

 本峰からのパノラマ(左手の白い山は浅間山、中央のギザギザは妙義山)

もう一度振り返れば、これから行く四ツ又山も眼下に見える。4つ小ピークがあるからそう呼ばれるのだろうか。

四ツ又山と鹿岳(南峰)

下りも渋滞。待っている足場も狭く、ずっと立っていると体が強張ってしまう感じ。
少しでも不安のある箇所は後ろ向きに。足場がザレていて神経を使う。ロープに振られると結構コワイ。でも、気になったのは一箇所のみで、あとは何とか降りて、鞍部を左に下りて行く。(登山口から突き上げた箇所と、四ツ又山へのルートは少しずれており、完全な十字路ではない。)

ここも早速ザレた断崖に沿ったルートで、ロープの連続。

   

安全第一、間隔を開けながら慎重に降りていくと少し傾斜も緩む。気温も上がってきて結構喉が渇く。
それでも鹿岳を登った満足感で楽しく降りて行く。ここでもヒゲネワチガイソウを見つけるが、上手く写らない。
途中、妙義山がよく見える。アカヤシオや新緑を縁取りに、なかなか絵になる景色だ。

 妙義山を臨む 

マメガタ峠について大休止、ここで本日の自己紹介タイムとなる。

ここからまた大変な急登。それでも停まるとズルズル後ずさりしそうで嫌な斜面である。
上がっていくにつれて先ほどの鹿岳が姿を現し、展望を楽しむことができる。
急登に息を切らし、やっと着いたのかと思うとまだまだ。3つ目はかなり張り出したピークで、登ろうかというときに先頭のHリーダーが降りて来た。
ここが本峰ではないと聞いて、そろそろ急登にバテ気味なので思い切りよくカット、最後のピークへ向かう。そこには標識と、石像が待っていた。

 四ツ又山

本日のピークは全て登頂、あとは下山のみ。といってもそろそろ腹時計も昼時を告げ、ゆっくりランチという場所もなく、山頂を後にする。
なだらかな場所を見つけて大休止、やっとポットを取り出して、冷めたお湯でコーヒーを飲む。
お昼を済ませ、少し軽くなったザックを担ぎ、もう一頑張り。ここが大天狗と思い、どうも下山コースが合わないと気にしながら歩くと、広い鞍部に出て、そこに「大天狗」が鎮座していた。なるほど、鼻が長い。

大天狗サマ

ここに標識もあり、左手に折れて宮室を目指す。樹林帯に入ると暗いのはちょっとがっかり。ちょっと急なジグザグだが、今度は足元がフカフカで歩きやすいのは助かる。
神経を使う道ばかり歩いてきたのでほっとする。

しばらくすると沢沿いの道になり、このころからちょっと右ひざ裏が痛くなる。今日の急登急降下の疲労だろう。これまたストックがあれば、と後悔先に立たず。
このあたりにも何か無いかと探していると、ヒナスミレやアズマイチゲの葉、それから見事なフタバアオイの艶やかな葉とよく見れば小さなお椀を伏せたような花。

 フタバアオイ(双葉葵)

フタバアオイは下山口まで延々と続く。足元に注意しながらも道は平坦に近くなり、新緑が眩しいハイキングコースを歩いていると、突然足がもつれ、あれれという間にスローモーションでも見るように転ぶ。
見れば太い木の枝が両足の間に挟まって抜けず、前にバッタリ。怪我は無いものの、最後尾のAリーダーに抜いてもらわなければ立てない始末。これも足の疲労と注意力の散漫さから。やれやれ・・・。
ほんの数分で車道に出て、下山完了。最後に何かと思って見回すと車道に出る手前の斜面にジュウニヒトエ(十二単)の大株。

 ジュウニヒトエ

あとはバスに戻り、荒船の湯によって汗を流し、コンニャク専門店によってお買い物、早い時間に都内到着、これもGWの混雑を避けたHリーダーの読みの通り。
楽しい一日となった。

参考サイト:下仁田町のHPより鹿岳マップ鹿岳・四ツ又山情報
地形図・鹿岳

◆余談◆地形図や下仁田町の鹿岳マップ、昭文社の地図を見ながら非常に疑問に思っているのが、一ノ岳とニノ岳の位置。顕著な双塔を成しているいるが、地形図では??
標高は本峰(北側、二ノ岳)が1015m、南の一ノ岳が980mという。地形図で「鹿岳」のすぐ下のピークが、等高線から明らかに1015mの本峰を指すと思われる。しかし、それでは南峰はどこに??
位置関係からすると、「鹿岳」の文字の両側のピークを一、二ノ岳とすると分かりやすいが、少なくとも下仁田町、昭文社のマップではこの1015mピークの右下に張り出した尾根の「岩」記号の先端部になるようだ。しかし、標高は全く合わない。結局、狭い範囲に一気に盛り上がっているため、等高線を書けなかったということだろうか。
う〜ん、気になるなあ・・・。

ご一緒した皆様へ


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