樋曽山から角田山   2009年27日夜〜28日

コース:間瀬峠5:50〜樋曽山〜10:05五ケ峠10:30〜12:20角田山12:35〜桜尾根〜14:05角田浜


ユキワリソウとコシノコバイモに会いたくなって、久しぶりに新潟の山行に申し込む。マイクロバスでの夜行は久しぶりだ。
予報では雪となっており、折角の花も雪に埋もれ、わざわざ寒い思いをしに出かけるのはどうかとさえ思ったが、万に一つでも花が見られれば、と僥倖を期待してバスに乗り込む。
案の定、途中の上越国境あたりでは吹雪で、トンネルを抜けると雪国だったが、それでも新潟に入ると路面は乾いていた・・・。

明るくなると曇っていても切れ目があり、何とあたりには積雪もない。なんて幸運かと思ったら、それは当初から織り込み済みとリーダーは涼しい顔。早速間瀬峠から登り始める。
間瀬峠の登山口は、地形図と少しずれている。弥彦山スカイラインの間瀬ゲートへとの分岐地点手前にあり、そこからすぐに斜面に取り付く。

ここを登った前回は、すぐに歓声を上げるほどシュンランやカタクリの群生地だった。今回は・・・ちょっと少ない気がする。それでも、ナガハシスミレが咲いており、スミレサイシンも少しずつ咲き始め、ユキワリソウ(ミスミソウ)の白花が沢山見られる。

スミレサイシン(菫細辛)とエゾエンゴサク(蝦夷延胡索)

コバイモ、コバイモ、と探すが地味な花ゆえなかなか見当たらない。カタクリがあちこちに群生しているが、如何せんこの寒さと曇天でみなまだ開いていない。
どこにでも咲いているけれど、開くと大輪で綺麗なキクザキイチゲも沢山ある。イカリソウの葉もあちこちにあるものの、まだ咲いていない・・と思ったら、開きかけた白い花が。トキワイカリソウのようだ。

 トキワイカリソウ(常葉碇草)  キクザキイチゲ(菊咲一華)

私有地ゆえ入るなという掲示が見られるのは、きっとここが有名になりマナーの悪い、もっと言えば盗掘する人が増えたからだろう。悲しいことだ。
花を求めていつもの半分のペースで歩く。時間は気にしない・・・。ナニワズの黄色い花や、キツネノサカヅキの赤いラッパも見える。


ナニワズ(難波津)、 オウレン(黄蓮=キクバオウレン:菊葉〜)、 キツネノサカズキ(狐の盃、キノコ類)[地域によっては絶滅危惧種指定。]

紫から青系統のミスミソウはあるが、前回はもっと種類も株もあったのに、ルートの周りは殆ど白い花ばかり。
でも、雄しべがカラフルでとても綺麗だ。

コシノカンアオイの渋い大きな花を見つけてリーダーが写真を撮っている。(ただし、他のオジさま方には不人気なようだ。)

 コシノカンアオイ(越の寒葵)

ようやくコシノコバイモを見つけ、喜んでレンズを向ける。小さくてなかなか写りにくいが、一旦目に付くと、ある程度見つけやすくなる。この花は興味がないと見つけにくいだろう。数もこのコース上には少ない。

コシノコバイモ(越の小貝母) (内部)

樋曽山と思われる地点で休憩。空は明るくなり始め、時折日も射すが、風の冷たいこと。僅かな残雪もあり、その中にオウレンが突き出して花を見せている。足元は雪解けでドロドロ。でも雪があってこその花々なので気にしない、気にしない・・・。

滑る斜面に注意しながら、角田山の登山口の1つがある五ヶ峠に下りると、何とその斜面のあちこちにコシノコバイモが咲いている!
駐車場の向かいの斜面は花畑だ。こんな楽に見られるなんて、と呆れるが、いやいや本来、山の中はこんな感じだったのだろう。・・・複雑な気分である。
ここで少し早いが昼食となる。

角田山に登り始めるとこれまた豪華な「お花畑」で、コバイモも、綺麗な濃い色のミスミソウも沢山。これは、移植してあるかな。

僅かの距離に沢山咲いているが、少し登っていくとぱったり見えなくなる。有名な角田山といっても、樋曽山には敵わない。ここも人が入りすぎたのだろう。
時折見えるミスミソウとカタクリに励まされて歩いていけば広い山頂だ。既に沢山の人が休んでいる。

ここから僅かに戻ると、何の標識もないが、地形図には載っているよく踏まれた尾根道への分岐が現れるが、ここにこの分岐を無視するように『浦浜コース・五ヶ峠コース・灯台コースは←』という小さな標識がある。
桜尾根と呼ばれるが、町の案内図には載っておらず、一応公然の秘密になっている。花、特にカタクリが多く私有地なのでご通行はご遠慮下さいということだそうだ。
でも、入るなという看板はないので、お行儀よく通らせていただくことにして、そちらに進むと結構まだ雪もあるが、斜面はカタクリの大群落だ。

 カタクリの花

急傾斜を雪に注意して降りていくと、また時折ミスミソウの群落が見える。今日もよく写真を撮ったなあと思っていると、寒さのせいか、枚数が多かったからか、バッテリーのマークが出始め、もうすぐ海岸というころに更に沢山の綺麗なミスミソウがあるのに、カメラが言うことを聞かなくなってきた。
ちょっとポケットに入れて暖めたりしたが、マークが点滅し始め、最後の一番綺麗な群落は写せなかった。

『ユキワリソウ』(ミスミソウ、オオミスミソウ)

  

 

*いわゆる雪割草は、ミスミソウ(三角草)、オオミスミソウ(大三角草)のことで、葉の形による。ミスミソウの葉は先端が尖り、オオミスミソウのほうは丸みを帯びているというが、区別は難しい場合も多い。

一日たっぷりお花を楽しみ、個人山行以上にノンビリ歩いたが、これもまた贅沢な花山行となった。
一番花が多かったのは、角田浜からすぐのあたり。車で来て少し登れば素晴らしい花園を見られるだろう。ただ、ここにも立ち入り禁止という竹の杭が打ち込まれ、ロープが張ってあった。
山好きだけでなく多くの人が訪れるため、どうしてもマナーが保てないのだろう。入山禁止にならないよう、お互いに充分気をつけつつ、いつまでも可憐な花を見られたら、と願わずにはいられない。

帰りの寺泊では吹雪になったが、山では僅かに風花が舞う程度で、本当に花に恵まれた楽しい山行となった。



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