檜洞丸2007   2007年5月26日

コース:
西丹沢自然教室〜8:45登山口〜9:20ゴーラ沢出合9:30〜10:15展望園地10:25〜11:05シロヤシオ群落(写真タイム)〜12:00檜洞丸(1600m)12:50〜14:05展望園地〜14:50ゴーラ沢出合〜15:25登山口〜15:30西丹沢自然教室


先週に引き続き、盛りの花を見ようとシロヤシオを求めて檜洞丸(ひのきぼらまる)へ。
明日が山開きだが、今日もきっと混むだろうと、新松田7:20発のバスに乗り込む。臨時便も出て全員座れるのは有難い。
前夜の雨も上がり、気温が30度近くなるという予報。

西丹沢に着くと乗用車の数も凄い。きっと登山道も渋滞するだろう・・・。
今日はツツジ新道のピストンだが、最短距離とはいえ標高差が1000mあり、急登もあり、日帰りではギリギリ。バスの本数も少ない。

実はこの山、山の会に入った翌年(97年)、石棚尾根経由、下りはツツジ新道というルートに参加している。
この年初めての山行に選んでしまい、自業自得の大バテ。死ぬかと思う位苦しかった記憶が蘇る。

ゴーラ沢までは散歩道のようだが、ゴーラ沢には大勢の登山者が休憩している。水量もかなり少なめで、橋が不要なほど。
しかし、この先は急登が待ち構えている。雨上がりで滑る山道を、数珠繋ぎになって登って行く。
目ぼしい花もなく、ひたすら登るのは余り楽しいものではないが、今日は体は動いている。順調に登っていき、そこそこ追い抜かせてもらいつつ、『展望園地』で休憩。今日はSさんと二人連れ。冷たい果物をご馳走になりながら、背中の汗を乾かす。

ヤマクワガタ

ツアーや団体が目に付くが、話はシロヤシオ、それも「愛ちゃん」(愛子内親王)のお印だということばかり。
確かに楚々とした素敵な花で、愛ちゃんにぴったりかもしれない。でも、シロヤシオはまだまだ先。辛い急登の連続を慰める花は極端に少ない。そのせいか、目に付くのは本当に小さい白い花、ヤマクワガタ(山鍬形)ばかり。

(花を覗くと『角』が2本延びている。これが昆虫のクワガタに似ているからかと思ったら、果実の萼の形が兜の鍬形に似ているからだという。)
里に咲くオオイヌノフグリと姉妹という感じの花だ。

遠雷のような音がひっきりなしに響いてくるが、どうやら演習場の音のようだ。
この辺りでは山慣れない感じの女性陣がかなりへばっているのが目に付く。まだ着かないの〜という声も。
抜きつ抜かれつ歩いていくと足元に落ちている白い花。・・・あ、シロヤシオ!!

急登に喘ぎつつも見上げればまばらに白い花が咲いている。咲いている木はどこ?と更に登るとだんだん花の数が増え、カメラを向けた登山者がたたずむ姿が目に付くようになる。

自然と足も速まって、上から歓声が聞こえだすと、もうそこはシロヤシオの森の中。

真っ白で瑞々しいシロヤシオ(別名:五葉〔ゴヨウ〕ツツジ)と、濃い赤紫のトウゴク・ミツバツツジ(東国三葉ツツジ)が美しい。
数も大変なもので、今年は当たり年と言ってもいいのではないだろうか。

汗も疲れも吹き飛び、思わず足を停めて見とれてしまう。沢山のシロヤシオに包まれ、至福の一時。

それから何度もレンズを向ける。頑張って登ってきて本当によかった。
時折踊り場のような平らな場所もあるが、すぐにまた急登にもどるものの、途切れなくシロヤシオに包まれていれば、元気一杯、もっと見たい一心で進んでいく。

今日は本当に花のピークかもしれない。これだけの人が登るのも、むべなるかな。

とうとう木の階段が現れ、木道が続くようになるとコバイケイソウの群落があちこちに見られ、ああ頂上が近づいたと分かる。

10年前の記憶と言えば、石棚尾根の急登に音を上げたことと、木道の続く下りを駆け下りたこと。コバイケイソウが沢山生えていたこと。
なぜかシロヤシオの印象は薄い。
それでもこの木道は覚えている。

中腹ではガスのためかやや薄暗く、その分涼しく登れたが、今は青空が覗き、日差しが眩しい。時計を見ればもうお昼。そういえば、お腹空いた!

木道の下はコバイケイソウのほか、フキのような丸い葉の、これは何だろう・・・。
あとはワチガイソウがまばらに生えている。これらの花が一斉に咲いたらそれは見事な絨毯だろう。
鹿避けの網もあり、保護されているためかとても数が多い。

ソーラーパネルが設置してあるが何に電気を送っているのだろうか。
頂上直下はまた少し登りで、最後に汗をかかされるとようやく広い頂上。
沢山の人々が思い思いに昼食を取っている。ちょうど12時、私たちも店開き。

元気があったら犬越路に回ろうと思ったが、シロヤシオも堪能したし、やっぱり疲れたのであっさり諦め、ゆっくり食べてからまたシロヤシオを愛でつつノンビリ降りることにする。

気になるワチガイソウの写真を撮りながら下山開始。
眩しい光を浴びて一層輝くシロヤシオ。見ているだけで本当に幸せな気分にさせてくれる花。

しかし、こんなところ登ってきたっけ?というほどの急勾配。赤土で滑り、石も滑り、気が抜けない下山路だ。
それでも気分楽々、体も軽くどんどん降りていくと、下からまだまだ登山者が上がってくる。一様に苦しそうな表情。
「シロヤシオが綺麗ですよ。」と励ましながら降りていく。

ワチガイソウ
滑る足元にそろそろ足が悲鳴を上げ始めるころ、展望園地まで戻ってくる。
相変わらずヤマクワガタ以外には花らしい花もなく、フタリシズカ(二人静)を1輪見たのみ。その点はちょっと寂しいが、これも山頂近くのシロヤシオに感激するための伏線と思うことにする。

休憩してからまた急降下。下から沢音がだんだん響くようになると、真っ白な河原が見えてきて、急な階段を下りればゴーラ沢。
バスの時間も気になるので素通りして登山口へ急ぐ。
往路は気にならなかったのに、ふと見れば鹿らしき白骨死体。ちょっとグロテスクだが、これも自然の摂理だろう。

この先は平らな道になり、距離はあるものの沢を渡れば車道に出て、あとはバス停まで少し。
何とか15:40発のバスに乗って、あとは睡魔に身を任せ、新松田に戻る。

10年ぶりの檜洞丸。相変わらず楽には登らせてくれないが、素晴らしいシロヤシオの森を楽しんだ。


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