月山 2006年7月7日夜〜8日
コース: |
今日は『絨毯のように咲く黒百合』を確かめに、月山に夜行日帰り山行である。月山は2度目。前回は八合目から縦走し、沢山のお花に感激したものだ。(そう言えば母も一緒だった。8合目からの往復ならまだ歩けるだろうか・・・。) 都内を22時に発ち、東北道を北上する。この頃筋力が落ちたせいか、夜行明けに首が凝り、結構こたえる。 それでも、短いながら良く眠れたので、目覚めも良く、ほっとする。 空はまあまあ。でも、月山に向かうと山はガスに包まれている。 今回は姥沢からはペアリフトを使い、姥ヶ岳を経て山頂に向かうことになる。夜行日帰りで時間も制限されているし、雪の量も半端ではない。 | リフト乗り場へ |
オオタチツボスミレ (大立坪菫) | 姥沢の駐車場からリフト乗り場へ歩くとここもまだ厚く雪が残っている。綺麗なスミレが咲いているが、オオタチツボスミレ? あたりには咲き始めたニッコウキスゲと、何気なくウズラバ・ハクサンチドリが咲いているではないか。 見渡せばリフト乗降所の周囲が素晴らしいお花畑になっている。さすが月山、花の山だ。 さあ、ペアリフトに乗っていざ出発。ガスがかかって見通しが利かないが、足元の花を楽しみ、また幻想的な雰囲気を楽しむ。この大きなザックさえなければ、お散歩気分だ。 |
リフトを降りるとすぐに雪の斜面が待ち受けている。ここでアイゼン装着。 斜面にはトラ・ロープが張ってあるのでこれを忠実に辿ればよい。 しかし、ガスで先が見えないし、かなり急なので朝一番にはきつい登りだ。…まだかな〜と思いながらひたすら歩いていく。 ようやく木道が雪の下から現れて、アイゼンを外す。すると、間もなく姥ヶ岳山頂に導かれる。 木道がめぐらされ、沢山の花が迎えてくれる。頑張って登ってよかった!と思う瞬間である。 |
ハクサンチドリ (白山千鳥) | ウズラバハクサンチドリ (鶉葉白山千鳥) | ヒナウスユキソウ(雛薄雪草) 別名:ミヤマウスユキソウ | ヨツバシオガマ (四葉塩竈) |
所々雪田を横切りながらもアイゼンなしで何とか歩いて行く。雪解けを待ちわびたショウジョウバカマ、ヒナザクラ、ミツバノバイカオウレン、コイワカガミなども咲いている。 どこまで言ってもハクサンチドリが顔を覗かせ、その美しさに何度も何度もシャッターを切らされる。花に誘われて分岐で違う方向に進んでしまいそうだ。 |
ミヤマリンドウ (深山竜胆) | ヒナザクラ (雛桜) | ミツバノバイカオウレン (三つ葉の梅花黄連) | ショウジョウバカマ (猩猩袴) |
お花畑の逍遥も終わると今度は山頂まで延々と急登が続く。雪が消えた先は今度は岩の階段。なかなか足にも厳しい。諦めが肝腎かも。 雪が無くなってからもひたすら喘ぎながら進むが、両側の花が黄色尽くしとなる。 ミヤマキンバイ、キバナノコマノツメ、ウサギギク、ホソバ・イワベンケイ、キンポウゲ・・・。 上から降りてきた人が「黒百合が咲いていますよ!頑張って!!」と声を掛ける。黒百合、咲いているんだって!とみんなも大喜び。この言葉が最後の登りを頑張る何よりの媚薬となる。 そこは一面の黒百合の花園だった・・・。 | キバナノコマノツメ (黄花駒爪) |
(ミヤマ)クロユリ(深山黒百合)はバイモの仲間だそうで、なるほどうつむいた小さめの花は独特の趣がある。 とにかく、山頂にかけて、本当に一面に咲いているではないか。何だか10年分くらい見た感じ。 |
二輪づつ咲いています | 中を覗いてみました | クロユリの絨毯?! |
希望者は月山神社に詣でることになり、2度目だが折角なので私もお参りする。 500円也を払うと、入口でまずお祓い。それから人型(ひとがた)に穢れを移して流す。 然る後に神殿へ通ることを許され、参拝。それから出口に向かうとお神酒を頂き、お守り等の売り場を抜けて社から出るというコースになっている。 おみくじも引いて、お札も買って、気分爽快。ちなみにおみくじは大吉!素直に喜ぶ。 山頂と三角点にも立ち寄って、もう一度クロユリと名残を惜しむと、今度はどんどん下って行く。その速いこと、速いこと。 |
下りきり、何度か雪田を渡っていく。帰りは姥ヶ岳には寄らず、直接リフト乗り場方面に向かう。アイゼン装着。一体何度目だろう。最初はもたもたしていたが、流石に手早くなってくる。 そういえば竜ヶ岳の時に、もっと楽につけられる新しいアイゼンを買おうと思ったのだが、それ以来ですっかり忘れていた。 雪原に足を踏み入れる。往路の急傾斜とは違い、比較的なだらかで、ロープも張ってあり、ストック片手に何とか歩いて行く。 一旦下りきると今度は少し登って行く。このあたりでガスが晴れ、急に日差しが眩しくなって、サングラスを掛ける。 |
振り返ると来し方が良く見える。山の懐に抱かれて、あやされているような不思議な気持ちになる。 迷う危険も無く雪崩の心配もない場所なればこそ、か。 木道が現れ、雪解けの沢の音に促されて再度の緩やかな斜面を登って行くと、最後の雪の斜面に出る。 朝、必死に登ったその斜面はなんとゲレンデと変り、Tバー(?)が設置され、中〜上級斜面(??)を沢山のボーダーやスキーヤーが滑っているではないか。 ようやくアイゼンをはずし、あっという間にまたリフト乗り場へ。予想外に時間がかかったが、怪我も無く花も堪能して、ちょっと雪も楽しんで、充実感でいっぱい。 リフトに揺られて夢の世界からまただんだんと下界に引き戻されるのは、ちょっと残念。 |
月山は信仰の山でもあり、花の宝庫でもある。季節を変えて、また是非行きたいと思う。 |