コース:室堂〜雷鳥平8:40〜9:10新室堂乗越〜室堂乗越〜11:04奥大日岳11:33〜七福園〜13:23中大日岳〜13:34大日小屋13:43〜14:00大日岳14:20〜14:35大日小屋(泊)
6:05大日小屋〜8:11大日平山荘8:27〜牛首9:35猿ヶ馬場〜10:25登山口[〜称名の滝]
2002年の立山・剣山行から丸3年、また室堂から山に登ることになった。 あの時、目の前に聳えていた立山三山、威容を放つ剣岳とは全く違って、みくりが池の向こうに穏やかに伸びている山並、それが大日連峰だった。 次はあそこを上りたいなと思ったので、絶好の機会とばかり山行に申し込む。 室堂へ入るには扇沢からのアルペンルートがあるが、私たちは前回同様、富山県側から入ることになる。 マイクロバスはケーブルの立山駅に余裕を持って到着、少し仮眠の後、始発のケーブルに乗る。それから弥陀ヶ原を走るのだが、団体貸切でバスを運行してくれるのは有難い。 |
なかなかの展望なのだが、少しでも睡眠不足を解消しようとバスの中でも惰眠を貪る。 称名の滝前ではバスを停めて車窓からじっくり見せてくれるのだが、今回はここへ降りてくる予定なので、ま、いいや、と片目を開けて、またつぶる。 室堂ターミナルに降り立ったのは8時前。名水を汲んで、ゆっくり歩き出す。ちょっと空は重たい雲がかかっているが、天気には問題なさそうだ。 |
大日連峰 | テント場まで来ると橋が見える。ここを渡ればようやく山登りらしくなる。 橋を渡りきると分岐であり、右は別山乗越を経て剣への道である。アザミが沢山咲いている。まだ咲き残りの花も少しあり、ちょっと期待させてくれる。 ここから新室堂乗越まではすぐだ。お花畑の痕跡を眺めながら歩いて行く。オヤマリンドウが沢山咲いている。 あっという間に乗越に着くと今度は水平道となる。気分良く歩いて行く。 |
ナナカマドが色づき、ゴゼンタチバナも赤い実をつけている。シラタマノキのほかベニバナイチゴも赤い大きな実をつけて登山者を"誘惑"している。
今回は38人なので、先頭と最後尾では相当の"時差"がある。長い列は多分他の登山者には目障りこの上なかろうが、比較的静かな山域なので、何とかなりそうだ。
そのうちにいきなり渋滞したと思ったら、どうやら絶景の地点にさしかかったらしい。
おお、剣が聳えているではないか。しかし、ちょっと頭の上に雲がかかっている。待てば全容が見えるだろうか・・・。
剣岳
いつ見ても形のいい山である。何度もシャッターを押す。秋というのにも靄っていて、透明感がないのは残念だが、とにかくも写さずにはいられない被写体だ。
まずは大展望を楽しんで、また歩き出すと、再度綺麗な姿を現すのは嬉しい。
縦走路は結構急登に見えながら、近づけはそれほどでもない。それもそのはず、雷鳥平が2277m、奥大日岳で2605mだから大したことはない。 雷鳥の生息密度大と聞いているので期待しているが、だんだん晴れてきたのでちょっと無理かもしれない。 今日のコースタイムは6時間ほど。ゆっくり写真ストップをしても、慌てることはない。秋の山と風景を楽しみつつ歩く気分は最高だ。 多少のアップダウンを繰り返し、だんだん奥大日岳が近づいてくる。 |
ピンクのカライトソウが咲いていてかわいい。 穂先から咲いて行くのがカライトソウ、下から咲くのがトウウチソウらしいが、すぐに混同してしまう。今日はお花に詳しいYokoさんがご一緒で心強い。あとでいろいろ教えてもらおう。 歩いているといつの間にかピークに到着。今日は楽でいいなあ。 まだポットのお湯が熱いので、コーヒーを飲む。ちょっと頭が痛くなってきた。夜行の疲れと高山病だろう。 |
梯子を下る | 前回立山から歩いた時も、別山あたりで頭がガンガンしてかなり辛かった。ちょっと嫌な予感がする。 バッファリンを飲むと直るのだが、うちのは1年以上も使用期限が過ぎており、買いに行く暇がなかったのだ。 こんな時に限って・・・。 大日からの下りにはジュラルミンの梯子があるという。脆い岩場に注意とあるが、どんな感じかな。 タカネ・マツムシソウも咲いている。やっぱり大きな花はよく映える。 | 高嶺松虫草 |
梯子を通過すれば、次のポイントは七福園と中大日岳で、そこを過ぎれば今日の宿、大日小屋に着くはずだ。 稜線を行く見晴らしの良いコースは気分がいい。でも、頭が痛い・・・。 水を沢山飲んだ方がいいと分かっているものの、小屋のトイレまで持たせたいのでがぶ飲みは避けたい。何とか頑張れるだろう。 七福園とは修行の場だったとかで、ちょっとした自然の庭園のようになっているという。しかし、登り返さなければならないのは頭痛のする身にはちょっと辛い。その登りの前の休憩で先頭に移動する。宿の手続きがあるからだ。 地図を広げると、小屋までそこから40分と書いてある。ところが、リーダー曰く、そんなはずはない、前回は中大日岳を降りたらすぐ小屋だったという。あれれ? 私の昭文社の地図では、七福園から小屋まで40分と書いてある。(最新版では直っている??) |
七福園 | まあ、行ってみれば分かること。 頭痛は全然治らない。諦めてゆっくり歩くしかない。 岩が点在するちょっとした広場が七福園のようだ。ビバークできそうな岩穴がある。 箱庭のような感じもする。確かにちょっと泊まってみたい気がする静かな場所だ。 そのうち木道になり、気づかぬうちに中大日岳のピークを過ぎたらしい。さあ、下りだ。小屋はどのあたりに・・・。 |
リーダーの後を追うと、何と眼下には赤い屋根が間近に見える。ジグザクを切ってちょっと降りればあっという間ではないか。 なるほど、中大日岳?から9分で着いてしまった。小屋前にザックをおいて、宿代を払う。 空身で大日岳に向かう。ザックが無い分楽だが、疲れと頭痛とで15分かかってようやく登頂。展望はない。 小屋は定員40名なので私達だけで満員ということになるが、大部屋の両側に2段ベッドがあって、ずらっと布団が並んでいる。 目が覚めると2時間ほど経っているようだ。幸い体調は回復、今度は周りでみんながお昼寝中なので、そっと抜け出し、梯子を降りて廊下へ出る。 | 眼下の大日小屋 |
皆さんは、私が寝ている間に談話室兼食堂でコーヒーを頼み、一服していたらしいが、今は夕食の準備で使えない。
つっかけを借りて外へ出ると剣が見えているが頭にはいつも雲の帽子をかぶっている。
剣を見ながら熱いコーヒーを片手に優雅な時間を・・は実現できなかった。でも、明日が中秋の名月なので、今日の月も綺麗だろう。
夕食は2回戦に分かれるようだ。私たちはまとまってややきついけれど一緒の方がいいですね、と配慮してもらって先に入る。
どうも小屋の手伝いは男性ばかりのようだ。欧米人らしき人もいる。みんなきびきび働いていて好ましい。
食事はご飯がちょっと失敗かなという感じだが、中身は◎で、山小屋では食べたことがないようなメニューが少しずつ盛られている。乾物やレトルト・冷凍食品だろうが、上手に組み合わせてとても味付けもいい。(本日のお献立★サケのムニエル野菜の千切り載せ、豚肉とワカメの炒め物、ソーメンの椀、豚汁、煮豆、オレンジ、など。)
私にはご飯が軽く盛られていたのが嬉しかった。いつも残すことになるので、誰かに先に半分取ってもらうことになる。勿論、皆さんは山では大食なので何度かお代わりをしているが。
洗面所はあるが天水ということで、手持ちの水で歯磨きをし、お湯は100円でポットにつめてもらうことにする。
さっき昼寝したので、2回戦が終わった後の食堂へ戻り、ランプが灯りストーブが赤々と燃える静かな空間を楽しむ。
他の登山者数人が、スタッフがかけてくれたラジオを聴いている。
そのうちにスタッフの食事時間となり、全員出てきて食べている。テレビをつけ、天気予報などをチェックしているようだが、余り雑談はない。
しばらくランプの余韻を楽しみ、今日はギターはなさそうだなと思い、布団に戻ることにする。
皆さんはもう就寝中。布団は湿っておらず、とても手入れが行き届いている感じだ。小屋の中もとても片付いていて、印象はとてもよい。
朝食もプレートに盛られた美味しいものだった。一切れながらミカンのゼリーが美味しい。朝はご飯もよく炊けていて、野菜も多く、本当に味付けがいい。 食べ終わってご来光を見てから出発することになる。もう十分明るいが、太陽は剣岳の右(別山?奥大日?)から昇るようだ。 さあ、下山だ。今日は標高差が相当ある(小屋から下山口まで1400mほど)ので気を引き締める。均等に降りて行くのではなく、2箇所で一気に下る箇所が要注意だ。 |
下山開始 | すぐに眼下には弥陀が原が広がり、うねった道路が見える。時間が早いのでまだバスは走っていないが、上から見ると見事に平らである。 さらに、台地の端に大日平小屋がもう見えるではないか。 水平に随分移動させられながら、足元に注意して進んで行くと、急降下が始まる。ロープや鎖がある箇所も多い。 すると、目の前を歩いていた男性がもんどりうって倒れるのが見えた。 私の悲鳴を聞いて、後からHさんも駆け寄って、2人でようやく助け起こすが、頭を打ったのではないかと思い心配だ。 |
ストックが折れ曲がり、それがクッションになったようで、目だったキズはない。しかし、念のためしばらくその場で座って、落ち着いてから歩き出せば、と言うが、大丈夫、大丈夫、とすぐに歩き出そうとなさる。 ようやく着いたラストのYさんにリーダーへの連絡を頼むが、地形の関係で電波が届かず、伝わらなかったようだ。 まだまだ急坂が続くのでとても心配だ。やっぱり早く伝えて、待ってもらったほうがいいのでは・・・。 とにかくも必死に降りて行くとやっと緩やかになって、木道が現れる。 |
アキギリ | 暫くは本当に平らすぎて、眠くなりそうな木道を行く。距離は稼げるが、高度は・・・。 このあたりは、夏は花が綺麗だろうと思う。 岩の段差やザレた足場に苦戦しつつ、安全第一で下りて行く。長い列なので、後ろはきつい。尺取虫のように、渋滞したり一気に間が空いてしまったり。 転んだ男性はゆっくり歩いている。面倒見のいいSさんは、敢えてその後ろを、彼が急がなくても歩けるようにと間隔を広く空けて、見守りながら歩いている。 |
猿ガ馬場に出て、大分降りたことが分かる。急降下ももうすぐ終わるだろう。 ようやく舗装道路に出て、下山完了。称名の滝を見に行くことになっているので、コンクリートの道を観光客と一緒にのぼって行く。 既にみんなは橋を渡って滝を見ている。え〜あんなに離れちゃってるのか、とがっかり。 せっかくだから、とHさんに励まされてようやく石段を上がって行く。確かに滝を見るにはここが一番か。 ザックを降ろし、「マイナスイオン△△」と書かれた表示を尻目に、滝の前で記念撮影をし、やっとほっとする。 あとは駐車場に戻り、お風呂に寄る。 <女人禁制だった霊山「立山」の登山口、芦峅寺(あしくらじ)で、「布橋灌頂会(かんじょうえ)」が再現され、白装束にすげ笠をかぶり、目隠しをして、朱塗りの布橋を渡ったそうだ。 秋の彼岸中日に「この世」と「あの世」の境界である布橋を渡り、普段は女人禁制の姥堂(うばどう)に参拝する行事。参加すると、男性が立山に修行登山したのと同じ功徳があるとされた。 (Asahi.comより一部引用)>
その後コンビニに寄ると、珍しく「黒造り」が置いてある。(イカ墨を使ったイカの塩辛。)小さい頃、田舎からよく送ってくれたものの1つだ。 あとは高速道路をひた走り、富山県の聞きなれた地名標識に懐かしさを覚えながら家路に着く。 | 称名の滝 |