秋田駒ヶ岳〜乳頭山   201507月10日〜11日

@秋田駒ヶ岳
8合目8:10〜10:00阿弥陀池〜10:10男女岳(1637m+休憩)10:55〜横岳〜大焼砂〜分岐〜『ムーミン谷』〜分岐12:50〜13:20稜線出合(*五百羅漢)13:25〜14:10男岳14:20〜14:40阿弥陀池〜15:35八合目

A秋田駒ヶ岳〜乳頭山
8合目6:30〜笹森山〜7:33湯森山7:40〜熊見平〜9:00笊森山9:10〜分岐〜9:30千沼ヶ原10:25〜10:45分岐*〜11:50乳頭山12:20〜12:55田代岱小屋13:00〜14:20孫六〜14:30大釜


*1日目*
山仲間と花の名山へ。浜松町から夜行バスで田沢湖駅着。予定は8:00だが、少し早く7:22に着く。8合目行きのバスは、田沢湖駅からは8:15だが、途中の「アルパこまくさ」からはもっと本数が多い。そこで早い バスに乗り継げるようタクシー乗り場に向かう。アルパこまくさ7:42発には流石に無理と思ったが、運転手さんが「間に合わせましょう!」というので慌てて飛び乗る。
途中で時間切れか、と思ったが、「アルパこまくさ」(駐車場と立ち寄り湯等がある)から「駒ヶ岳登山口」バス停まで再度戻ってくるので、それには間に合うはず、とそこで降ろして貰う。 予定時刻の2分前!
運転手さんも気のいい人で、心配だからとバスが来たのを確認して、戻って行った。
これでかなりの時間短縮となり、マイカー規制の狭い山道を、何度もくねりながら8合目着。(途中から気付いただけでもカーブミラーの数が42。 車に弱い人にはちょっと辛いかもしれない。)

梅雨時と言うのに思いがけない快晴のもと、山歩きを始めると、もう早速ハクサンチドリ等が咲いていて、写真撮りに忙しい。
予定より1時間早く歩き出せたので、なだらかな道をカメラ片手に楽しく撮影会。鮮やかなエゾツツジ、久しぶりのオノエランを見つけて大はしゃぎ!田沢湖も見えてきて、最高の気分。


   見えてきた田沢湖、 見あきるほどのハクサンチドリ、 鮮やかなエゾツツジ、 妖精のようなオノエラン。

各駅停車もいいところで、超スローペースで阿弥陀池に到着、とりあえず男女岳に登頂。空身で登る。照り返しが眩しい。
阿弥陀池

山頂からは田沢湖の他、彼方の雲海の上にちょこんと顔を出しているのは鳥海山?
降りて旧鉱山跡を通るルートの入り口は雪渓が残り、チングルマやヒナザクラの群落が早速お出迎え。ムシトリスミレやコイワカガミなど、夏の花がもほほ笑んでいる。

一休みしてから本日のメインである通称『ムーミン谷』へ向かう。直行せずに大焼砂経由のルートとし、横岳に少し登り返すととても風が強い。 名前通りの砂礫地には、タカネスミレの光る濃い緑の葉と、お目当てのコマクサの大群落。残念ながらタカネスミレはもう葉ばかりだが、 コマクサは最盛期。驚くほどの数で斜面を埋め尽くす。

大焼砂はコマクサの群落

さて、分岐から小岳方面に折り返し、いよいよ『ムーミン谷』に降りていく。ここはまだチングルマも盛りで、ヒナザクラも絨毯のよう。 木道を歩いていくと、不思議な雰囲気につつまれた谷間が開けている。ここでお昼。時間を忘れさせる空間だ。


   『ムーミン谷』と、チングルマの絨毯

さて阿弥陀池に戻るには、来た道を引き返す(初心者・家族連れには引き返す以外のルートは危険。)か、あとは下りで死亡事故の起きている、 超急坂を直登するのが一般的。Sさんはこれを登ることにし、他の3人は金十郎長根の「五百羅漢」あたりに向かうルートを選ぶ。 草に覆いかぶされているものの、足元ははっきりしており、不安なく進むと、10分ほどで稜線かな、という地点に出る。 右手にはまっすぐ山頂に向かう、とんでもない急坂が見える。これを登るのかと身構えたら、過去に歩いているiさんが、違うという。
よく見れば、さらに直進していく先行者が見える。明瞭な尾根にはゴツゴツした岩峰群。あれが五百羅漢だろうか。

ここからは足元が更に怪しい狭いトラバース道となり、左手には女岳が噴火した際の溶岩流跡だろうか、荒々しい黒い溶岩に圧倒されながら進む。 草に覆われた急斜面の心もとないルートだ。
初心者のKさんに注意を促しながら、慎重に進む。Sさんと別れた地点から30分でやっと稜線に出るが、最後は滑り落ちそうな急坂だった。 登りついた地点は岩峰の少し男岳寄り。そして、男岳への急坂が見える。

滑り落ちそうなザレ場を必死に登るKさん。さぞ怖かっただろう。iさんのサポートもあって、何とか無事に山頂へ。祠のある見晴らしの良い山頂からは、Sさんの待つ阿弥陀池も見える。
何より、Sさんが登った急坂が目に入ってくるが、見ているだけでもオソロシイ角度だ。あれを降りるなんて考えられない。登り返しもトンデモナイ。しかし、私たちのルートも決して初心者にはお勧めできない。ムーミン谷は意外と厄介だ。

さて池に戻りついたら朝来た道を8合目に戻るだけ。3時半には到着。あとはバスに揺られてお宿へむかうのみ。1日よく晴れた、花一杯の山を堪能した。

*見られた花*
ハクサンチドリ、ハクサンシャクナゲ、エゾツツジ、オノエラン、マルバシモツケ、モミジカラマツ、カラマツソウ、ヒナザクラ、ムシトリスミレ、ミヤマダイコンソウ、チングルマ、トウゲブキ、マルバダケブキ、コイワカガミ、コマクサ、コミヤマハンショウヅル、ニッコウキスゲ、コバイケイソウ、 モミジイチゴ、ウラジロヨウラク、オオバキスミレ、ゴゼンタチバナ、ハクサンシャジン、等。


*2日目*
翌日は朝風呂組に合わせて4時起き。宿の好意で5時から朝食、8合目行きの始発バスに乗る。アルパこまくさではバスの座席が8割以上埋まるほど。流石に土曜日だけのことはある。6時半に到着、早速縦走路にGo!
まずは笹森山、それから湯森山へ向かう。振り返るたびに男女岳が見送っているように感じる。時々雪田も残り、ヒナザクラが白い絨毯のよう。歩き始めから花も多く、期待が高まる。

今日は長丁場なので、新鮮な経験に思わず全てにレンズを向けるKさんには、今日は『撮影禁止令』が。ゆっくりでも立ち止まらずに歩いて欲しいということで、iさんが先導し、代わりに私が撮影担当ということになる。
お陰で順調に進み、どんどん男女岳が小さくなっていくと展望も開け、なだらかなどこまでも続くような稜線漫歩となる。が、乳頭山はまだ遠いかな・・・。

所々の湿原は、日照り続きということでかなり干上がっているが、よく見ればこれから黄色の絨毯をなすであろうキンコウカの群落(まだ全く咲いていない)や、今が盛りのニッコウキスゲ、時折隠れるようにトキソウも。風が強く、その分暑さも和らぐが、もし 雨だったら、大変なことになっているだろう。

熊見平を過ぎて笊森山への登りにかかる。かなりなだらかなせいで、登っても登ってもまた新たな「山頂」が私たちを招いているのには苦笑するばかり。何度も期待を裏切られて、やっと山頂が見えてほっとする。眼下には、本日のメインである千沼ヶ原が飛び込んできた。池塘が点在し、素敵な雰囲気がここからも見て取れる。
下り始めてすぐに道標が倒れているものの、分岐があり、右手に進むと木道をどんどん降りていき、ついに千沼ヶ原に到着。別世界だ。 ここで大休止。

千沼ヶ原(せんしょうがはら)

ミツガシワの群落と、わずかのワタスゲだが、雰囲気は抜群だ。ここでゆっくり優雅なコーヒータイム。

十分に静かな時間を楽しんだ後、今度は縦走路に戻ろうと進むと雪渓の横断箇所が現れる。向こう側に丸太で土留めした階段が見えるが、そこまでの横断が問題。雪渓はかなり融け始め、所々に岩肌が見えている。しかし、端から覗き込むとかなり空洞も見え、万一崩壊したら 大事になるだろう。もっと雪があるか、もっと融けていれば難なく進めるのだが、経験者ばかりではないし、ここで怪我でもしたら折角の楽しい山行が台無し。
すっぱり諦めて引き返し、元の木道を登り返す。どうにか20分でメインルートに戻り、仕切り直し。

あの雪渓横断の道を進んでいたら、どこで合流するのかと思ったら、合流後20分ほどで分岐が現れた。う〜ん、40分のロスか。でも安全には変えられない。
周りの花々に励まされ、また早く出た余裕もあって、焦りもなく、ついに最後の乳頭山への登りにさしかかる。

乳頭山へ

見た目ほどの急登りではなく、1ピッチで辿りつく。暑い。そして相変わらず風が強い。
ここからは秋田駒が遠くに見え、振り返れば岩手山、そして早池峰か。ここで大休止。ほっと一息ついて、昼食とする。

さて、もう登りはないから、とKさんを励まし、まずは田代岱の小屋へ向かう。途中の湿原にはハクサンシャクナゲ、トキソウ、ニッコウキスゲ、ワタスゲなどが咲き乱れ、ここでもキンコウカが満開になったらどんなにきれいだろうと想像力を働かせると、再訪したくなる。
小屋のあたりは木道で、分岐を入ると最後の池塘。ミツガシワが揺れている。

降り始めると今度は展望のない樹林帯で、赤土なのか滑るし、花もぱたっと消え、ちょっと興ざめなルート。花の縦走路の締めとしてはちょっとがっかりだが、気を抜かず歩いていく。
何か芳しい香りがするのは何だろう。しかし、急に人影も減り、また疲れのせいか、口数もすくなくなったので、念のため鈴を鳴らしながら降りていく。

ブナの巨木が時折目を癒してくれる。そのうちに沢音が聞こえ出し、やっと孫六が見えてきた。林道に合流し、下山完了。14:30になっている。順調なコースタイムだ。Kさんもよく頑張りました!
バス停に一番近い大釜で入浴することにし、1時間後のバスに乗るべく510円払ってお風呂へ急ぐ。熱い湯だし、ドライヤーなどという文明の利器もおいてなかったが、汗を流し、さっぱりと縦走を締めくくった。


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