なかなか愛らしい花を付ける植物です。ミヤマの名を冠しますが、比較的低山でも見かける植物です。
花は一方に偏って穂状に5〜10個をつけます。花色は淡い紅色でそれがかわいらしさを増してます。花をよく見ると、両手を広げたように外側にやや開いた萼片(側萼片?)があり、その外面には毛がたくさん生えています。上の写真を見る限り腺毛のようですね。
花の上部には黄褐色の小班があり目立ちますが、ここが側花弁の先端内側になります。側花弁の先端は背萼片と密着し、かぶとをつくっています。
側萼片と側花弁に囲まれた花の中心部には、ぷっくりと膨らんだ唇弁があります(「花を下側から写した写真」を参照)。最初、図鑑を調べた時にこの唇弁内面には密毛があるとあり、それが近似種との区別点にもなっていました。しかし撮った写真を見ただけではその様子がわからりません。そこで絶滅危惧種ではないことを確認し、翌年に改めて花を1つだけ採取して解剖してみました。それが下の「唇弁内部の写真」です。このように唇弁の基部内面の毛は外側からはわかりません。
なお辞典によっては、萼片部分を外花被片と呼んで説明している場合もあります。萼片と花弁の質や形が似ている場合、それぞれを外花被片、内花被片と呼ぶんだそうです。うーーん、植物用語はたくさんあって覚えるのも大変です。
さて、花以外にもう一つ、この植物の特徴として葉の模様があります。葉の表面は濃緑色地で、そこに白色の網目模様があります。これがとても美しく目を惹きます。この葉の紋様を鶉斑にたとえてミヤマウズラの名が付いたそうです。花のない時期でもこの葉を見れば、ミヤマウズラかその仲間だとわかります。
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