犬泣き淵
段瀑(2段)、落差約4m、徳島県美馬郡脇町東俣名
吉野川の支流、東俣谷川にある淵。淵に流れ込む部分が小さな滝を形作っている。
滝は2段で上段2m、下段2mほど。
上段のすぐ上に高さ1mほどの堰があり、正面から見ると3段の滝のようにも見える。
水量は普通である。
和泉帯の砂岩層にかかる滝で、太尾の滝などと形状はよく似ている。
ただ各段の滝口付近の砂岩層は水流により大きくえぐられ、かなり昔からある滝であることを伺わせる。
淵の横の道路脇には次のような案内標識が立っている。
「犬泣き淵は東俣名にある数少ない名勝の一つです。滝の上の幾重にも重なった蛇腹のような岩層の美しさと青黒く淀んだ淵に白泡を立てて音もなく静かに吸い込まれていく滝を見てください。
昔獲物を追って主人と離れてしまった猟犬が主人の呼び声を耳にして折からの濁流の中に飛び込み、励ます主人の声も空しく滝壺深く沈んでしまったという哀れな話も残っています。また睡魔に誘われた猟師が激しく吠え立てる愛犬を切り捨てたとき、滝の上へすっくと鎌首を持ち上げてきた四斗樽のような大蛇と立ち向かったとも言われています。
この辺りには大入道や魔物が徘徊し、此の淵には大蛇や大ガマが棲むとも言われてきました。人が落ち馬が転げ長年にわたって次々と人畜を呑んだ場所なのです。それらの霊魂を静めるために明治四年に地蔵菩薩がお祀りされ、道中の安全のために明治廿四年には不動明王が祀られたのです。
この伝説の秘めた名勝を皆の力で美しくしたいものだと思います。」
滝壷へ降りる踏み跡には空き缶が散乱し、この標識の呼びかけも空しい。
ただ不動明王、地蔵菩薩ともまだ道路脇に祀られている。
写真データ:(001224-1 No16)
2000.12.24
ミノルタα7
ミノルタAFズーム24〜105mmF3.5-4.5(D)
f=16
s=1.5秒
CPL
三脚・レリーズ使用
フジクロームベルビア
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