ファラオ・サンダースのバラード集の第2弾です。激しい演奏が好きな方には軟弱と感じられる方もいらっしゃるようですが、私はアドリブまでもメロディックに歌い上げる本作の演奏は素晴らしいものだと思います。Coltraneゆかりの曲はまるで本人が乗り移ったかのようです。そのスピリチュアルな表現力をもって、ファラオはバラード演奏に関してはColtraneを越えたとも言っても過言ではないと思います。ところで、本アルバムでは、「THE BIRD SONG」においてファラオの完全な独奏を聴くことができます。この演奏のすごいところはサックス一本での表現力はもちろんのこと、フラッタータンギング？（のどちんこを震わせ音を震わせるテクニック、本当は何というのでしょうか？）でラストのテーマ1コーラスをすべて吹ききってしまうことです。フラッタータンギングができない私はこれを聴くたびに悔しく思ってしまうのですが、サックスプレーヤーでない方はこの不思議なサックスの音色を楽しんでみて下さい。また7曲目の「POLKA DOTS AND MOONBEAMS」はアルバム「Oh Lord, let me do no wrong」にも収録されてるファラオの愛奏曲の一つですが、本アルバムではソプラノサックス版を聴くことができます。本作はアルファレコードの邦盤より収録曲が多いのですが、アルファレコード盤には本作未収録の「MOONLIGHT IN VERMONT」が入っており、どちらを先に買うか悩ましいのですが、やっぱりお得なこちらかな？

1. YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS (G. De Paul, D. Raye) (4:55)

2. THE NEARNESS OF YOU (H. Carmichael, N. Washington) (5:18) DEDICATED TO EDDY MOORE

3. MY ONE AND ONLY LOVE (G. Wood, R. Mellin) (8:05)

4. I WANT TO TALK ABOUT YOU (B. Ecksteine) (8:12)

5. SOUL EYES (M. Waldron) (9:22)

6. NANCY (J. Van Heusen, P. Silvers) (6:53)

7. POLKA DOTS AND MOONBEAMS (J. Van Heusen, J. Burke) (7:20)

8. SAY IT (F. Loesser, J. McHugh) (6:53)

9. LAMENT (J. J. Johnson) (6:13)

10. THE BIRD SONG (P. Sanders) (6:50)

PHAROAH SANDERS tenor and soprano saxophone

WILLIAM HENDERSON piano

STAFFORD JAMES bass

ECCLESTON W. WAINWRIGHT drums

上のアルバムの国内版のような感じ。アルファレコードから出版されたものだ。しかしライナーノーツによると、もともとアルファレコード独自の制作によるものだそうだ。収録曲は上のTIMELESS版とほぼ同じなのだが、「SOUL EYES」、「LAMENT」、「THE BIRD SONG」 が 入っておらず、かわりにMOONLIGHT IN VERMONTが入っている。曲数としては2曲も少なくなっており、普通ではTIMELESS版を買ってしまいそうだ。ただし私にとって「MOONLIGHT IN VERMONT」はジャズにハマるきっかけとなった運命的な曲なので、本アルバムも「買い」です。ファラオは非常にストレートにメロディーを奏でており、好感がもてる仕上がりです。参考）Billy Holiday、「MOONLIGHT IN VERMONT」：「オール・オア・ナッシング・アット・オール」ビリー・ホリデイ・ストーリーVol.7 POCJ-2410/1に収録。

1. MY ONE AND ONLY LOVE (G. Wood, R. Mellin) (8:05)

2. SAY IT (F. Loesser, J. McHugh) (6:56)

3. YOU DON'T KNOW WHAT LOVE IS (G. De Paul, D. Raye) (4:55)

4. I WANT TO TALK ABOUT YOU (B. Ecksteine) (8:12)

5. NANCY (J. Van Heusen, P. Silvers) (6:53)

6. POLKA DOTS AND MOONBEAMS (J. Van Heusen, J. Burke) (7:20)

7. THE NEARNESS OF YOU (H. Carmichael, N. Washington) (5:18) DEDICATED TO EDDY MOORE

8. MOONLIGHT IN VERMONT (K. Suessdorf) (6:13)

Pharoah Sanders (tenor sax & soprano sax)

William Henderson (piano)

Stafford James (bass)

Eccleston W. Wainwright Jr. (drums)

本作は他のアルバムでは聴けない曲がめじろ押しです。超有名なスタンダードナンバーも取り上げているので、ジャズ初心者にもお奨めです。「Greensleeves」はColtrane風のモードスタイルで、「Summertime」はストレートな４ビートでのオーソドックスなスタイルで演奏されます。7曲目「Mara」ではかなりフリーキーで熱い演奏が繰り広げられますが、最後は「Over The Rainbow」の美しいバラードで締めくくられます。途中、4-6ではHIcksトリオが、しっとりと良い演奏を聴かせます。本作の試聴はCDNOWにリンク貼ってます。

1. Greensleeves (traditional) (5:47)

2. Naima (J. Coltrane) (8:50)

3. Summertime (G. Gershwin) (5:57)

4. Stormy Monday Blues (T Bone Walker) (8:59)

5. I've Never Been In Love Before (F. Loesser) (7:51)

6. Skylark (H. Carmichael) (3:44)

7. Mara (R. Davis) (10:23)

8. Over The Rainbow (H. Arlen) (6:59)

Pharoah Sanders tenor sax

John Hicks piano

Richard Davis bass

Tatsuya Nakamura drums

tracks 4 & 5: Hicks, Davis, & Nakamura only

track 6: Hicks & Davis only

track 8: Sanders & Hicks only

現在、 1-1・1-4・1-5・2-2・2-5・2-6が愛のクレッセント (TKCV-35130 左)、1-6・2-3・2-4・2-1・1-2・1-3が愛のバラッド (TKCV-35129　右) として売られている。LP盤もあり。

本アルバムは二枚組のバラード集ですが、現在は１枚ずつ売られています。こういうやり方は気に入らないので、私は原板しか買っていません。しかし、内容はとても素晴らしいもので、お奨めできる１枚（2枚？）です。私にとって、このアルバムはAfricaの次に買った二枚目のCDなのですが、今思えば、始めにこのような素晴らしいアルバムに巡り合えたことに感謝しなければなりません。ファラオというとColtraneとやっていた頃のフリーキーで激しい演奏をイメージが強く、敬遠してしまう人が多くとても残念なのですが、そういう人にこそ聴いてもらいたいと思います。スピリチュアルでメロディックなサックスを聴くことができます。中身はというと、Coltraneゆかりの曲がめじろ押しです。Coltraneの演奏がファラオの水々しく透き通 った音色で奏でられており、その内容はColtraneのバラードを越えたと言えるでしょう。バラードはプレーヤーの力量 のみならず人間性そのものをさらけ出してしまうものですが、ファラオの極めて高い次元の演奏を聴く度に、ファラオが「現在の最高のプレーヤー」であると確信するのです。本作で私が好きな演奏は「LONNIE'S LAMENNT」、「MISTY」、「BODY AND SOUL」。とくに「LONNIE'S LAMENNT」では途中でわざと裏返ったトーンを出すところがあり、これがなんとも感情を表しており脱帽です。サックスを知り尽くしたからこそできる表現でしょう。単なるミスだったりして・・・。「MISTY」、「BODY AND SOUL」ではフラジオ音域を駆使し情感たっぷり歌いあげており、まさに名演です。

DISC 1

1. LONNIE'S LAMENNT (J. Coltrane) (7:56)

2. MISTY (E. Garner) (5:45)

3. IN A SENTIMENTAL MOOD (D. Ellington) (6:36)

4. SOFTLY FOR SHYLA (W. Henderson) (3:14)

5. WISE ONE (J. Coltrane) (13:44)

6. TOO YOUNG TO GO STEADY (J. McHugh) (5:58)

DISC 2

1. BODY AND SOUL (J. Green, R. Sour, E. Heyman, Frank Eyton) (9:01)

2. NAIMA (J. Coltrane) (6:44)

3. FEELING' GOOD (A. Newley) (7:15)

4. LIGHT AT THE EDGE OF THE WORLD (P. Piccioni) (6:24)

5. CRESCENT (J. Coltrane) (9:49)

6. AFTER THE RAIN (J. Coltrane) (5:39)

Pharoah Sanders - tenor sax

William Henderson - piano

Charles Fambrough - bass

Sherman Ferguson - drums

Verve 529 578-2

Recorded in 1995

1. OUR ROOTS (Began in Africa) (P. Sanders) (10:21)

2. NOZIPHO (P. Sanders) (9:43)

3. TOMOKI (P. Sanders) (6:26)

4. OCEAN SONG (P. Sanders) (8:49)

5. KUMBA (P. Sanders) (7:50)

6. COUNTRY MILE (P. Sanders) (6:03)

PHAROAH SANDERS tenor and soprano saxophones, flutes, bells, bowls, vocals

MICHAEL WHITE violin

WILLIAM HENDERSON acoustic and electric piano, vocals

BERNIE WORRELL electronic keyboards, vocals

JEFF BOVA programming, electronic keyboards

FODAY MUSA SUSO kora, dousongonni, vocals

DOMINIC KANZA guitar

CHARNETT MOFFETT acoustic bass

STEVE NEIL acoustic and electric bass

HAMID DRAKE drums, tablas, frame drums, vocals

AIYB DIENG chatan, congas, bells, gongs, vocals　　　　他

1曲目の「Save Our Children」はアフリカ系のヒョウキンなボーカルが突然入ってきますが、かなり格好良いです。2曲目はいわゆる ''バークリー広場のナイチンゲール'' ですが、ミッドナイト風？にちょっとだけクラブ系の味付けになってます。3曲目は長い長いイントロ（3分〜）を抜けると、フュージョンの世界が待ってます。Kenny Gのようになめらかなソプラノサックスの音に身をまかせてみましょう。4曲目はアルバム「JOURNEY TO THE ONE」収録にも収録の「Kazuko」。前作よりも瞑想的になっています。一音一音心を込めて演奏されます。5曲目はダブルリード系の楽器が用いられ、かなり民族音楽調ですが、ダンスミュージックに近い仕上がりでなかなか楽しめます。でもこの曲で踊っていたら、怪しい呪術の儀式になってしまうかもしれませんね。6曲目もこてこての民族音楽。ガムラン？でしょうか？ もちろん本作もBill Laswellプロデュースです。

1. Save Our Children (P. Sanders, A. Oyewole, A. Mboup) (7:51)

2. Midnight In Berkeley Squere (M. Sherwin, E. Maschwitz) (9:17)

3. Jewels of Love (P. Sanders) (14:00)

4. Kazuko (P. Sanders) (10:15)

5. The Ancient Sounds (P. Sanders) (10:51)

6. Far-Off Sand (H. Hussain, P. Sanders) (9:09)

PHAROAH SANDERS: tenor and soprano saxophones, double reed, bells, voice

WILLIAM HENDERSON: piano, harmonium

BERNIE WORRELL: organ, electric piano, synthesizers

TONY CEDRAS: harmonium

JEFF BOVA: synthesizers and programming

ALEX BLAKE: acoustic bass

ZAKIR HUSSAIN: tablas, wooden box, mbira, voice

TRILOK GURTU: drums, tablas, percussion

ABDOU MBOUP: talking drum, voice

ABIODUN OYEWOLE: voice

名義はpharoah sanders, hamid drake, adam rudophの三人。珍しいライブ演奏です。打楽器中心のユニットで、ハーモニー楽器が入っていないので、好き嫌いが分かれるかもしれません。三人のインタープレイが楽しめるアルバムです。ファラオも音を大切に紡いでおり、70年代のフリー演奏とは一線を画す広がりのある音楽になっています。

1. Sunrise (19:12)

2. Morning In Soweto (5:00)

3. The Thousand Petalled Lotus (7:00)

4. I And Thou (2:05)

5. Uma Lake (3:14)

6. Ancient People (7:35)

7. Calling To The Lumiinous Beguins (5:54)

8. Roundhouse (2:28)

9. Molimo (2:44)

10. Sunset (5:05)

Compositions by Pharoah Sanders, Adam Rudolph and Hamid Drake

Pharoah Sanders -Tenor saxophone, Vocal, Wood Flutes, Hindehoo

Hamid Drake -Trap Drums, Vocal, Der, Tabla, Frame Drums

Adam Rudolph -Handumset (congas Djembe), Udu Drum, Thumb Piano, Talking Drum, Bendir, Bamboo Flute, Overtone Singing, Gong, Percussion