荒野の声 NO.112


異様なハリケーン対策

 今回のアメリカのハリケーン・アイリーンの対策の異常さに驚いたのは私だけだろうか。230万人に避難勧告。ニューヨークでは37万人に避難命令。全ての交通機関の停止。ところがハリケーンそのものはたかだか最大風速39m(53mと言う説もあり)のすこし大きめの台風並だ。日本ならそれほど問題にならない規模である。オバマ大統領はFEMAに行って陣頭指揮をした。
 私は、これは明らかにマーシャル法のリハーサルだと思った。とにかくアメリカは早く強制的な軍事国家にしたくて仕方がないようだ。古き良きアメリカははるか昔に消え去った。軍靴の響きが聞こえてくる。だから彼らの思うようにはならない日本が 憎たらしいのだろうか。

放射線の下で生きる

 シスコからのメールは、その後フリッツに聞いてもらったところ、現在の日本を心配してのことで、新しい災害というわけではないらしい。とにかくシスコとの連絡は難しい。
 さて、外国人から見ると日本は避難を呼びかけたくなるような状況なのだと言うことは改めてわかった。原発に反対して冷遇された京大の6人組の一人は近親者なのだが早くから極度の危険を警告していた。チェルノブイリの経験から見て、福島の被害がどれほどであるのかが分かるのは数十年経ってからであろう。ふと気になった聖書の記事がある。
イスラエルの人々よ、主の言葉を聞け。主はこの地に住む者と争われる。この地には真実がなく、愛情がなく、また神を知ることもないからである。ただのろいと、偽りと、人殺しと、盗みと、姦淫することのみで、人々は皆荒れ狂い、殺害に殺害が続いている。 それゆえ、この地は嘆き、これに住む者はみな、野の獣も空の鳥も共に衰え、海の魚さえも絶えはてる。ホセア4:1〜3
 ああ、バビロンはついに取られた、全地の人の、ほめたたえた者は捕えられた。ああ、バビロンはついに国々のうちに驚きとなった。海はバビロンにあふれかかり、どよめく波におおわれた。 その町々は荒れて、かわいた地となり、砂原となり、住む人のない地となる。人の子はひとりとしてそこを過ぎることはない。エレミヤ51:41〜43
  (この最後の一行が何だか核の被害のように思えるのだが。)
 これは聖書のイスラエルとバビロンへの警告である。日本がかつてのイスラエルやバビロンと同じではないと思うのだが。日本人が真実の神を認めその前にへりくだって従順に生きることを神は願っておられるのだ。
 それにしても原発は昔の日本軍のようではないか。思い上がり、負けると判っている戦争を推し進め、反対するものを弾圧し、大本営発表のような嘘を発表し続けていた。これほど危険なものを、いまだに推し進めようとしているのは正気の沙汰ではない。
 子供が外に出て遊べない国など世界のどこにあるのか。日本は広島、長崎、ビキニ、東海村、もんじゅ、福島と核による被爆の好個の実験国家になってしまった。誰が日本人をモルモットにしたのか。何らかの意図的な選択があるのではないか。
 また菅さんはもっと評価されて良いのではないだろうか。あの事故の当日東京電力の清水社長は撤退を決めていたという。しかし、菅さんは一喝して事態の収拾を命じた。もしそれが無かったら被害は今の数十倍、数百倍になったであろう。これは歴史的な決断だった。もし菅さんでなかったらと思うとぞっとする。そしてフクシマ50(実際は数百人?)も良くやった。
 また知り合いのアメリカ人牧師はハイチの被災地へ行った経験から日本の災害復旧はすばらしいと感嘆していた。仮設住宅などハイチには全く無いという。被災者は露天にそのまま放っておかれているという。我々は自国のことを悪く考えすぎるのではないか。もっと評価すべきは評価すべきだ。

リビア情勢―2

 リビアの革命に対してわかりやすい解説がある。笹川財団というあまり取り上げたくない団体の人の書いたものだが、この件に関してだけは参考になるので引用する。(阿修羅より)自分たちが無駄遣いをして経済が立ち行かなくなったら、金持ちの弱小国を叩いて富を奪おうという欧米諸国の強盗行為なのだ。

革命後の国民は本当に幸福になれるのか?

 リビアの富を奪うために欧米諸国が仕掛けたカダフィ打倒−笹川平和財団アドバイザー・佐々木良昭

 今年の2月に始まり半年にも及ぶ内戦の結果、リビアのカダフィ体制はほぼ崩壊したかに見える。世界のマスコミはこの勇気あるリビア国民の革命蜂起と成果を称賛する一方で、かつてアメリカのレーガン大統領が彼に浴びせかけた『狂犬』以上の罵倒をカダフィ大佐に浴びせかけ、独裁者、血ぬられた男、国民の大虐殺に踏み切った男と評した。
 実際にカダフィ体制下のリビアが西側諸国や革命派が主張するように、非民主的で非自由社会で非統一の国家だったか否かは、もう少し時間が経過しなければ分からない。革命派はこれらの諸問題の解決を標榜するが、実はリビアの将来には幾つもの難問と不安が待ち受けているのだ。

石油輸出の停滞とインフラの復旧遅れが3年は続く

 まず、リビア人に限らず利己主義的な感覚が強いアラブ人に共通する最重要課題は個人所得だが、リビアのこれまでのGDPは一人当たり1万4000ドルであった。リビア国民の個人的な経済状態が今までよりも良くなるか否かが、最も重要な社会安定の要素なのだが、悪くなると予測する方が正しいのではないか。  その理由は当分の間(一部の専門家の予測では3年以上)、リビアの石油輸出が革命以前のレベルに戻れないからだ。95%以上の外貨収入を石油輸出に依存しているリビアにとっては、この石油輸出が遅滞することは、大きな痛手となる。 そして今回の内戦で破壊された、インフラの再構築に膨大な費用が必要になろう。そのことが国民の生活に与える影響は、小さくあるまい。

 今回のリビア革命を、最初の段階から支援してきたイギリスとフランス、そしてアメリカは、当然のこととして新生リビア政府に対し対価を求めよう。もちろん、最初の段階ではこれらの国々はリビアに対し経済支援をするのであろうが、結果的には、これらの国々によって膨大なリビアの富が持ち去られるということを忘れてはならない。 そもそもイギリスとフランスがリビアに乗り込んで行ったのは、自国経済が破たん寸前だったからではないのか。リビアの富と石油を支配することによって自国の経済を復興させようとしたのであろう。 こうなると新生リビア政府は、カダフィ大佐が大金を投入して築き上げたインフラの多くを、修復できないままで放置せざるを得なくなる。その中で一番問題になるのは、カダフィ大佐が造り上げたGMR(人間が作った偉大な川)だ。GMRとはリビア南部の地下水を汲み上げ、地中海沿岸地域に運び、農業用そして飲料として使うというものだ。このGMRの補修・手入れができなくなれば、人口が集中しているトリポリ市やベンガジ市は、一気に水が無い死の世界に変貌する危険性がある。

解決されていないイスラム宗派間の対立

 リビアの今後で不安なのは、今回の革命で主導権を握ったメンバーの中には外国逃亡組が多数いるということだ。彼らはよく言えば穏健なイスラム教徒、きつい言い方をすれば欧米かぶれの世俗派である。 リビアには元々サヌーシー派(サヌーシー教団とも呼ばれていた)という、イスラム原理主義の宗派の人たちが少なくなく、特に東部地域ではそうだ。それに加えエジプトと隣接していることもあり、ムスリム同胞団のメンバーも多いのだ。 そうなると近い将来、欧米帰りの世俗派とイスラム原理主義者が衝突する場面が想定される。リビアの国内の対立衝突因子は部族間に限ったことばかりではないのだ。 もちろん、そもそも今回の革命が始まった原因は、部族間に所得格差が生じたことによる、とされてきていた。それならば当然のことながら、今後新政府が結成されていく段階では部族間の富の配分バランスをどう調整するか、という大きな問題が解決されなければならない。

革命の火を放ったのはだれか

 今回のリビアの革命で、忘れてはならない疑問点がある。今後の不安材料に繋がっていくのだが、そもそも誰が最初に今回の革命の火を放ったのかということだ。 単純に言えば、リビアの民主化を求めた国民、ということになろうが、そんな単純なものではない。実は反体制の動きが起こった当初の段階で、パキスタンの情報部が、イギリス、フランス、アメリカが軍事顧問をベンガジに送り込んだ、という情報を伝えていた。カダフィ大佐に嫌われ、チャドに長い間派兵されていたハリーファ・ヘフタル大佐がチャドから他のアフリカの国に移動した後、彼と彼の部隊をアメリカが受け入れ20年もの間バージニアに匿っていた。そのハリーファ・ヘフタル大佐も内戦勃発と同時期にリビアのベンガジ市に戻っている。しかし不思議なことに彼の名は、いまだ全くリビアから聞こえてきていない。

 イギリス、フランスは反政府派が軍事行動を起こし始めると、彼らの軍事行動への具体的な支援を始め、飛行禁止区域の設定に加え、空爆、武器の供与が行われた。それにアメリカが後発で加わる。アメリカは無人機を多数送り込み、空爆を実行した。もちろん偵察衛星や偵察機で集めたカダフィ大佐側の軍の動きも逐一、反体制側に送られていたものと思われる。そして最終的には、カダフィ大佐側が追い込まれ、彼の住居とされていたバーブ・アジージーヤも反政府側によって落とされた。 これで一件落着と言いたいところだが、そうは行かない。カダフィ大佐側が拠点を移して反攻に出る可能性が否定できない。彼にはいまだに、多数の武器と莫大な資金がある。

 だからと言ってカダフィ大佐にもこの革命の流れを変えることはできなかったはずだ。それは時代の変化ということに加え、リビアで起こっている革命戦争に欧米が全面的に介入しているからだ。ここまできて反政府側がカダフィ大佐側によって敗北させられたのでは、欧米の面子が丸つぶれになるばかりではなく、戦争に費やした費用が回収できなくなるからだ。欧米はなんとしても、カダフィ体制を打倒しリビアの富とエネルギー資源を、手中に収めようと考えている。

植民地と化すリビア

 こうした欧米側の考えを裏付けているのが反体制側の要人たちの発言だ。現在反体制側の代表者となっている、ムスタファ・アブドッジャリール氏は「リビアに居住していたユダヤ人に帰ってきて欲しい」と呼びかけ、彼らがリビアの政治活動に参加することを期待している。彼以外にも、王制時代の閣僚の子息である、アハマド・シェイバーニ氏は「イスラエルとの協力関係が重要だ」と語っている。彼に言わせれば、イスラエルの持つ国際的な影響力を通じて、新生リビアが国際的認知を受けていく必要があるからだというのだ。 何のことは無い、イギリスやフランスに加え、最初の段階からイスラエルやユダヤ人がリビアの革命に深く関係していた、ということではないのか。つまり、今回のリビアの革命騒ぎは、欧米諸国やイスラエルなどが、こぞってリビアの富を奪うために仕掛けたものだったということであろう。 そのことをカダフィ大佐ははじめから分かっていたのであろう。だからこそ欧米に支援される革命派に対し、徹底抗戦を叫び続けたのだと思われる。結果的に彼は妥協するタイミングを失い、敗北していくことになった。この結果、リビアは欧米の新しい形の植民地支配下に置かれることになった。