ホームページ・メッセージ130210        小 石  泉

縦糸と横糸

時の機織り

人の命は時を織る 織機の中に横たわる
模様は誰にも見えはせぬ けれども織り手とシャトルとは
とこよの朝まで 飛び掛ける
シャトルの中には銀の糸 他のシャトルは金の糸
なぜか時には薄墨の 色がしばらく織り上がる
織り手は確かな目を持って シャトルの行き来を見つめては
たくみな模様を手際よく あせりもせずに織り上げる
神の確かな計らいの 模様は糸の明と暗
たくみな技に選ばれて 描き出される布の上
シャトルを飛ばして走らせて 糸を見たとて魅力なく
金の糸とて同じこと 神のみぞ知る美しさ
織機が沈黙する前に シャトルが飛ぶのを止める前
神は模様をあらわして わけを聞かせて下さろう
薄墨色の糸さえも 織り手の巧みな手の中で
金糸銀糸に同じこと 神の御旨の必需品
                      作者不詳   訳 小石 泉

 この詩は1993年、教団の教職研修会でマックス・モリス先生が話される資料を八束師に頼まれて私が訳したものです。原文は韻を含んでいるため、訳すのに苦労しました。
 私たちは人生の中でしばしば大きな試練に直面します。そんな時、私たちは神様の御旨がわからずにあわてふためきます。時にはその試練は耐えがたい苦しみの場合もあります。涙を持って神を見上げて「なぜですか、なぜですか」と叫ぶこともあるでしょう。しかし、その試練の中に神の御旨があるのです。布は縦糸と横糸の組み合わせで織られて行きます。人の人生も神の御旨の縦糸と私たちの意志の横糸とで織り成されるのです。途中で見てもなんだかわかりませんが、織り上がってみると美しい模様が現れます。
だが、今、ヤコブよ。あなたを造り出した方、主はこう仰せられる。イスラエルよ。あなたを形造った方、主はこう仰せられる。「恐れるな。わたしがあなたを贖ったのだ。わたしはあなたの名を呼んだ。あなたはわたしのもの。あなたが水の中を過ぎるときも、わたしはあなたとともにおり、川を渡るときも、あなたは押し流されない。火の中を歩いても、あなたは焼かれず、炎はあなたに燃えつかない。わたしが、あなたの神、主、イスラエルの聖なる者、あなたの救い主であるからだ。わたしは、エジプトをあなたの身代金とし、クシュとセバをあなたの代わりとする。わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。イザヤ43:1〜4
 ここで苦悩は水の中、火の中と表現されていますが、そこを「過ぎる」時に「押し流される」こともなく「焼かれる」こともありません。この最後の言葉の訳は新改訳では珍しい名訳です。口語訳では「あなたはわが目に尊く、重んぜられるもの、わたしはあなたを愛するがゆえに、」となっていて新改訳のような感動はありません。
 そうです、あなたは神様の目には高価で尊いのです。私達が生まれたばかりの幼子を見ると本当に高価で尊いと思います。同じように神様には私達が見えるのでしょう。しかし、年をとるにつれて、ずるさや、罪や、あざとさで汚れてきます。それを清めるために、時々試練の波が訪れます。

さらに恵みを与えたもう

重荷の大いにふえる時 恵みはいよよ与えらる
骨折り仕事の増す時に 神は力を送られる
苦悩の加わるその時は 神はあわれみ加えたもう
試みの波しげき時 神の平安重なりぬ
神の御愛は限りなく 神の御恵み量りえず
神の御力かぎりなく 人はその果て極めえず
主イエスの中に秘められし 豊かな富を惜しげなく
神は与えて また与え さらに再び与えたもう
耐え忍ぶ事の蓄えを 我らが使い果たす時
日の半ばにもならぬまに 我らの力尽きる時
たくわえ来たりし蓄積も ついに終わりとなりしとも
我らの父の供給は まだ始まりにしか過ぎず
神の御愛は限りなく 神の御恵み量りえず
神の御力かぎりなく 人はその果て極めえず
主イエスの中に秘められし 豊かな富を惜しげなく
神は与えて また与え さらに再び与えたもう
                      作者不詳   訳 小石 泉