ホームページ・メッセージ111009        小 石  泉

ヨシュア記  No. ]V 土地の割り当て−2

 19章はシメオン、ゼブルン、イッサカル、ナフタリ、アシェル、ダンの部族への土地の割り当てです。その後ヨシュアに対して特別に割り当て地が与えられます。
19:49 この地について地域ごとに、相続地の割り当てを終えたとき、イスラエル人は、彼らの間に一つの相続地をヌンの子ヨシュアに与えた。 19:50 彼らは主の命令により、ヨシュアが求めた町、すなわちエフライムの山地にあるティムナテ・セラフを彼に与えた。彼はその町を建てて、そこに住んだ。 19:51 これらは、祭司エルアザル、ヌンの子ヨシュア、およびイスラエル人の部族の一族のかしらたちが、シロにおいて会見の天幕の入口、主の前で、くじによって割り当てた相続地であった。こうして彼らは、この地の割り当てを終わった。
 こうして見ても、民の指導者たる者が決して自分の権力を振り回すことなく、ほとんど一般人と同格に近い扱いを受けていることは3000年も前の政治形態としては異例のことです。
 20章は「逃れの町」の選定です。ヨルダン川の東と西にそれぞれ3つずつ選ばれました。
20:7 それで彼らは、ナフタリの山地にあるガリラヤのケデシュと、エフライムの山地にあるシェケムと、ユダの山地にあるキルヤテ・アルバ、すなわちヘブロンとを聖別した。 20:8 エリコのあたりのヨルダン川の向こう側、東のほうでは、ルベン部族から、高地の荒野にあるベツェルを、ガドの部族から、ギルアデのラモテを、マナセ部族から、バシャンのゴランをこれに当てた。
 21章ではレビ人に町が与えられます。イスラエル中に48箇所でした。
21:41 イスラエル人の所有のうちで、レビ人の町は、全部で四十八の町と、その放牧地とであった。
 レビ族はその使命から集団としてではなく国中に散らばる形で住んだことに注目しましょう。彼らは特別に尊敬をもって扱われたのです。
21:43 こうして主は、イスラエルの先祖たちに与えると誓った地をすべて、イスラエルに与えられたので、彼らはそれを占領して、そこに住んだ。 21:44 主は、彼らの先祖たちに誓ったように、周囲の者から守って、彼らに安住を許された。すべての敵の中で、ひとりも彼らの前に立ちはだかる者はいなかった。主はすべての敵を彼らの手に渡された。 21:45 主がイスラエルの家に約束されたすべての良いことは、一つもたがわず、みな実現した。
 こうしてカナンの地パレスチナはイスラエルのものとなりました。しかし、ここに書かれているほど完全に占領したのではなく、なお異民族は残っていました。
 22章においてはこれまでヨルダン川の東側に住むことを希望したルベン人、ガド人、およびマナセの半部族の戦士たちに自分の領土に帰ることを許します。特に多くの分捕りものを与えてその労をねぎらったことを書いています。
22:1 そのとき、ヨシュアはルベン人、ガド人、およびマナセの半部族を呼び寄せて、 22:2 彼らに言った。「あなたがたは、主のしもべモーセがあなたがたに命じたことを、ことごとく守り、また私があなたがたに命じたすべてのことについても、私の声に聞き従った。 22:3 今日まで、この長い間、あなたがたの同胞を捨てず、あなたがたの神、主の戒め、命令を守ってきた。 22:4 今すでに、あなたがたの神、主は、あなたがたの同胞に約束したように、彼らに安住を許された。今、主のしもべモーセがあなたがたに与えたヨルダン川の向こう側の所有地、あなたがたの天幕に引き返して行きなさい。 22:5 ただ主のしもべモーセが、あなたがたに命じた命令と律法をよく守り行ない、あなたがたの神、主を愛し、そのすべての道に歩み、その命令を守って、主にすがり、心を尽くし、精神を尽くして、主に仕えなさい。」 22:6 ヨシュアは彼らを祝福して去らせたので、彼らは自分たちの天幕に行った。22:7 ――マナセの半部族には、モーセがすでにバシャンに所有地を与えていたが、他の半部族には、ヨシュアはヨルダン川のこちら側、西のほうで、彼らの同胞といっしょに所有地を与えた。――さらに、ヨシュアは彼らを天幕に送り返すとき、彼らを祝福して、
22:8 次のように彼らに言った。「あなたがたは多くの財宝と、おびただしい数の家畜と、銀、金、青銅、鉄、および多くの衣服とを持って天幕に帰りなさい。敵からの分捕り物はあなたがたの同胞と分け合いなさい。」
 ところが、ここに問題が起こりました。ヨルダン川東側の3部族が大きな祭壇を築いたのです。これはイスラエルから反逆し、別の国家を形成する宣言に思われたのです。そこで、それを阻止するためにイスラエル人同士の戦争が起こりそうになりました。
22:10 ルベン族、ガド族、マナセの半部族は、カナンの地にあるヨルダン川のほとりの地に来たとき、そこ、ヨルダン川のそばに一つの祭壇を築いた。それは、大きくて、遠くから見える祭壇であった。
22:11 イスラエル人はこういううわさを聞いた。「ルベン族、ガド族、およびマナセの半部族が、カナンの地の国境、ヨルダン川のほとりの地、イスラエル人に属する側で、一つの祭壇を築いた。」22:12 イスラエル人がそれを聞いたとき、イスラエル人の全会衆は、シロに集まり、彼らといくさをするために上って行こうとした。 22:13 それでイスラエル人は、祭司エルアザルの子ピネハスを、ギルアデの地のルベン族、ガド族、およびマナセの半部族のところに送り、 22:14 イスラエルの全部族の中から、一族につき族長ひとりずつ、全部で十人の族長を彼といっしょに行かせた。これらはみな、イスラエルの分団の中で、父祖の家のかしらであった。 22:15 彼らはギルアデの地のルベン族、ガド族、およびマナセの半部族のところに行き、彼らに告げて言った。 22:16 「主の全会衆はこう言っている。『この反逆は何か。あなたがたはきょう、主に従うことをやめて、イスラエルの神に反逆し、自分のために祭壇を築いて、きょう、主に反逆している。 22:17 ペオルで犯した不義は、私たちにとって小さなことだろうか。私たちは今日まで、自分たちの身をきよめていない。そのために、神罰が主の会衆の上に下ったのだ。 22:18 あなたがたは、きょう、主に従うことをやめようとしている。あなたがたは、きょう、主に反逆しようとしている。あす、主はイスラエルの全会衆に向かって怒られるだろう。
 しかし、3部族は、それは違うと説明します。むしろ後の時代に自分たちがイスラエルから分断され捨てられることを恐れたのだと。その祭壇は全焼のいけにえや他の祭儀のために使われるのではなく、ただのシンボルとして建てたのだと説明します。しかし、それならあらかじめ他の部族に話し、了解を得てからやれば良かっただろうにという疑問は残ります。実際こういう祭壇が儀式や礼拝の対象となるのはありがちなことだからです。
22:21 すると、ルベン族、ガド族、およびマナセの半部族は、イスラエルの分団のかしらたちに答えて言った。 22:22 「神の神、主。神の神、主は、これをご存じです。イスラエルもこれを知るように。もしこれが主への反逆や、不信の罪をもってなされたのなら、きょう、あなたは私たちを救わないでください。 22:23 私たちが祭壇を築いたことが、主に従うことをやめることであり、また、それはその上で全焼のいけにえや、穀物のささげ物をささげるためであり、あるいはまた、その上で和解のいけにえをささげるためであったのなら、主ご自身が私たちを責めてくださるように。 22:24 しかし、事実、私たちがこのことをしたのは、次のことを恐れたからです。後になって、あなたがたの子らが私たちの子らに次のように言うかもしれないと思いました。『あなたがたと、イスラエルの神、主と何の関係があるのか。 22:25 主はヨルダン川を、私たちとあなたがた、ルベン族、ガド族との間の境界とされた。あなたがたは主の中に分け前を持っていない。』こうして、あなたがたの子らが私たちの子らに、主を恐れることをやめさせるかもしれません。 22:26 それで、私たちは言いました。『さあ、私たちは自分たちのために、祭壇を築こう。全焼のいけにえのためではなく、またほかのいけにえのためでもない。 22:27 ただ私たちとあなたがたとの間、また私たちの後の世代との間の証拠とし、私たちが、全焼のいけにえとほかのいけにえと和解のいけにえをささげて、主の前で、主の奉仕をするためである。こうすれば、後になって、あなたがたの子らは私たちの子らに、「あなたがたは主の中に分け前を持っていない。」とは言わないであろう。』 22:28 また私たちは考えました。後になって、もし私たち、また私たちの子孫に、そのようなことが言われたとしても、そのとき、私たちはこう言うことができる。『私たちの先祖が造った主の祭壇の型を見よ。これは全焼のいけにえのためでもなく、またほかのいけにえのためでもなく、これは私たちとあなたがたとの間の証拠なのだ。』 22:29 私たちが、主の幕屋の前にある私たちの神、主の祭壇のほかに、全焼のいけにえや、穀物のささげ物や、他のいけにえをささげる祭壇を築いて、きょう、主に反逆し、主に従うことをやめるなど、絶対にそんなことはありません。」 22:30 祭司ピネハス、および会衆の上に立つ族長たち、すなわち彼とともにいたイスラエルの分団のかしらたちは、ルベン族、ガド族、およびマナセ族が語ったことばを聞いて、それに満足した。
 彼らの懸命の説得で他の部族は了承します。微妙な問題ですね。イスラエルの分裂の危機であったのです。
22:32 こうして、エルアザルの子の祭司ピネハスと族長たちは、ギルアデのルベン族およびガド族から別れて、カナンの地のイスラエル人のところに帰り、このことを報告した。 22:33 そこで、イスラエル人は、これに満足した。それでイスラエル人は、神をほめたたえ、ルベン族とガド族の住んでいる地に攻め上って、これを滅ぼそうとは、もはや言わなかった。 22:34 それでルベン族とガド族は、その祭壇を「まことにこれは、私たちの間で、主が神であるという証拠だ。」と呼んだ。