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申命記  No.\ モーセの遺言\

23章は神の民としての細かい決まりがあります。
23:1 こうがんのつぶれた者、陰茎を切り取られた者は、主の集会に加わってはならない。
23:2 不倫の子は主の集会に加わってはならない。その十代目の子孫さえ、主の集会に加わることはできない。
いわゆる宦官と呼ばれる、男性性器を切り取った者は神の民から外されました。中世に男性のソプラノ,カウンターテナーのために性器を切り取ることがヨーロッパでは広く行われていました。ナポレオンはひどくそれを嫌い「醜悪だ」と止めさせたといいます。
ただ使徒行伝のエチオピアの宦官が文字通りならば、彼は新しい神の民に受け入れられたことになります。
23:3 アモン人とモアブ人は主の集会に加わってはならない。その十代目の子孫さえ、決して、主の集会に、はいることはできない。23:4 これは、あなたがたがエジプトから出て来た道中で、彼らがパンと水とをもってあなたがたを迎えず、あなたをのろうために、アラム・ナハライムのペトルからベオルの子バラムを雇ったからである。 23:5 しかし、あなたの神、主はバラムに耳を貸そうとはせず、かえってあなたの神、主は、あなたのために、のろいを祝福に変えられた。あなたの神、主は、あなたを愛しておられるからである。 23:6 あなたは一生、彼らのために決して平安も、しあわせも求めてはならない。
ここもモアブの娘ルツがボアズに迎えられ、ダビデ王の先祖となったことも考えなければなりません。原則はこの通りですが実際は柔軟な面もあったのです。
23:7 エドム人を忌みきらってはならない。あなたの親類だからである。エジプト人を忌みきらってはならない。あなたはその国で、在留異国人であったからである。 23:8 彼らに生まれた子どもたちは、三代目には、主の集会にはいることができる。
エドムはヤコブの兄エソウの子孫ですから最大限の尊敬を持って受け入れられました。イエス様の誕生のときの王ヘロデはエドム人でした。彼らは三代目にはイスラエルに入れられました。
23:9 あなたが敵に対して出陣しているときには、すべての汚れたことから身を守らなければならない。 23:10 もし、あなたのうちに、夜、精を漏らして、身を汚した者があれば、その者は陣営の外に出なければならない。陣営の中にはいって来てはならない。 23:11 夕暮れ近くになったら、水を浴び、日没後、陣営の中に戻ることができる。 23:12 また、陣営の外に一つの場所を設け、そこへ出て行って用をたすようにしなければならない。 23:13 武器とともに小さなくわを持ち、外でかがむときは、それで穴を掘り、用をたしてから、排泄物をおおわなければならない。 23:14 あなたの神、主が、あなたを救い出し、敵をあなたに渡すために、あなたの陣営の中を歩まれるからである。あなたの陣営はきよい。主が、あなたの中で、醜いものを見て、あなたから離れ去ることのないようにしなければならない。
軍事行動のときの排泄物の処理まで決められていました! これは衛生面を考えれば納得がいくでしょう。
23:15 主人のもとからあなたのところに逃げて来た奴隷を、その主人に引き渡してはならない。
23:16 あなたがたのうちに、あなたの町囲みのうちのどこでも彼の好むままに選んだ場所に、あなたとともに住まわせなければならない。彼をしいたげてはならない。
逃亡奴隷に対する寛容さは注目に値します。普通は殺されていたかもしれないのです。ここはパウロがピレモンへの手紙で逃亡奴隷オネシモを返した記事に関連します。彼は信仰の友ピレモンの許可を待ってオネシモを自分の従者としたかったのです。
23:17 イスラエルの女子は神殿娼婦になってはならない。イスラエルの男子は神殿男娼になってはならない。
神殿娼婦は世界中で広く行われた習慣です。今でもあります。カンボジアなどの寺院で踊る少女たちは神殿娼婦だったのです。日本の場合、神社仏閣の側には必ず大きな遊郭がありました。イスラエルでは厳しく禁じられました。
23:18 どんな誓願のためでも、遊女のもうけや犬のかせぎをあなたの神、主の家に持って行ってはならない。これはどちらも、あなたの神、主の忌みきらわれるものである。
これは重大な問題ですね。やはり原則は原則なのです。しかし、憐れみもあるのです。
23:19 金銭の利息であれ、食物の利息であれ、すべて利息をつけて貸すことのできるものの利息を、あなたの同胞から取ってはならない。 23:20 外国人から利息を取ってもよいが、あなたの同胞からは利息を取ってはならない。それは、あなたが、はいって行って、所有しようとしている地で、あなたの神、主が、あなたの手のわざのすべてを祝福されるためである。
同胞からは利息を取らない。この戒めを中世ヨーロッパ貴族階級で普及させ、実際はどうしても借金は必要だったのでユダヤ人は貴族たちに金を貸して巨万の富を築きました。
23:21 あなたの神、主に誓願をするとき、それを遅れずに果たさなければならない。あなたの神、主は、必ずあなたにそれを求め、あなたの罪とされるからである。 23:22 もし誓願をやめるなら、罪にはならない。 23:23 あなたのくちびるから出たことを守り、あなたの口で約束して、自分から進んであなたの神、主に誓願したとおりに行なわなければならない。
誓願の誓いは強制されたのではなく、自発的なものです。止めたければはっきり止めますといえばいいのです。中途半端に無理するのは御心ではありません。
23:24 隣人のぶどう畑にはいったとき、あなたは思う存分、満ち足りるまでぶどうを食べてもよいが、あなたのかごに入れてはならない。 23:25 隣人の麦畑の中にはいったとき、あなたは穂を手で摘んでもよい。しかし、隣人の麦畑でかまを使ってはならない。
これは面白い決まりですね。食べるのはいくら食べてもいいのですって。持って帰ってはならないのです。