ホームページ・メッセージ101128 小 石 泉
申命記 No.V モーセの遺言V
神様はモーセの遺言という形を通して、イスラエルにこれから進むべき道を示されています。7章の途中からですが、ここには次のような約束があります。それは「もし、神が命じる、おきてと定めを守るなら」という条件で、
- 先祖(アブラハム、イサク、ヤコブ)に誓われた恵の契約を守り、イスラエルを祝福する。子供、地の産物、穀物、ぶどう酒、油、家畜を祝福する。全ての国々の中で最も祝福されたものとなる。
- 全ての病気を取り除く。
- 異邦の民を恐れてはならない。神が彼らを追い払うが、すぐにはそうしない。土地が荒廃して、獣が増えたりしないため。
- 偶像を破壊しなければならない。自分のところに持ち込んではならない。それにかぶせた銀や金を欲しがってはならない。(これは非常に誘惑だったことでしょうが、偶像には悪霊ののろいがあり、それが金銀と一緒にもちこまれることがあったからでしょう。)
8章では荒野の行程を忘れないことが命じられています。そして有名な言葉があります。
8:3 それで主は、あなたを苦しめ、飢えさせて、あなたも知らず、あなたの先祖たちも知らなかったマナを食べさせられた。それは、人はパンだけで生きるのではない、人は主の口から出るすべてのもので生きる、ということを、あなたにわからせるためであった。
この言葉で、イエス様はサタンの誘惑に勝ちました。また不思議な言葉もあります。
8:4 この四十年の間、あなたの着物はすり切れず、あなたの足は、はれなかった。
これは、40年間彼らが同じ服を着ていたという意味にとる必要はありませんが、そうとる人もいます。また、カナンの地がどんなに良い土地かが書かれています。
8:5 あなたは、人がその子を訓練するように、あなたの神、主があなたを訓練されることを、知らなければならない。 8:6 あなたの神、主の命令を守って、その道に歩み、主を恐れなさい。 8:7 あなたの神、主が、あなたを良い地に導き入れようとしておられるからである。そこは、水の流れと泉があり、谷間と山を流れ出た深い淵のある地、 8:8 小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろの地、オリーブ油と蜜の地。 8:9 そこは、あなたが十分に食物を食べ、何一つ足りないもののない地、その地の石は鉄であり、その山々からは青銅を掘り出すことのできる地である。
たしかに、今でもイスラエルはヨーロッパに農産物を輸出しています。また、かつては銅や鉄を産しました。死海の沿岸からは肥料となる化学物資が取れます。
しかし、豊かになると高慢になります。その時も荒野の体験を忘れないようにとあります。そしてもし高慢になり神を忘れるなら滅びるだろうとも言われています。
8:17 あなたは心のうちで、「この私の力、私の手の力が、この富を築き上げたのだ。」と言わないように気をつけなさい。 8:18 あなたの神、主を心に据えなさい。主があなたに富を築き上げる力を与えられるのは、あなたの先祖たちに誓った契約を今日のとおりに果たされるためである。 8:19 あなたが万一、あなたの神、主を忘れ、ほかの神々に従い、これらに仕え、これらを拝むようなことがあれば、きょう、私はあなたがたに警告する。あなたがたは必ず滅びる。 8:20 主があなたがたの前で滅ぼされる国々のように、あなたがたも滅びる。あなたがたがあなたがたの神、主の御声に聞き従わないからである。
9章ではこれから占領する土地の民族についての説明があります。
アナク人について。アナク人はネピリムの子孫と考えられ、巨人で強い民族でした。しかし、神様が先頭に立って彼らを滅ぼすと約束されます。イスラエルが正しいから勝つのではなく、これらの国々が悪いから滅ぼすのだと。
この後、シナイ山での出来事などがもう一度語られます。ここでは最初の律法の石の板について語られています。しかし、金の子牛を作って拝んでいたために、それをモーセが砕いたことです。しかし、これはすでにそれを知っている世代が残り少なくなって、若い世代に移ったからです。私たちは良く知っていることなので省略しましょう。
10章では二番目の律法の板について語られています。そして、このような不従順にもかかわらず、神様のイスラエルへの愛は変わりません。
10:12 イスラエルよ。今、あなたの神、主が、あなたに求めておられることは何か。それは、ただ、あなたの神、主を恐れ、主のすべての道に歩み、主を愛し、心を尽くし、精神を尽くしてあなたの神、主に仕え、 10:13 あなたのしあわせのために、私が、きょう、あなたに命じる主の命令と主のおきてとを守ることである。
ここは、「第一の戒めは何ですか」と言う律法の専門学者の質問に答えたときに用いられています。そして、非常に印象的な言葉をかけられます。
10:14 見よ。天ともろもろの天の天、地とそこにあるすべてのものは、あなたの神、主のものである。 10:15 主は、ただあなたの先祖たちを恋い慕って、彼らを愛された。そのため彼らの後の子孫、あなたがたを、すべての国々の民のうちから選ばれた。今日あるとおりである。 10:16 あなたがたは、心の包皮を切り捨てなさい。もううなじのこわい者であってはならない。 10:17 あなたがたの神、主は、神の神、主の主、偉大で、力あり、恐ろしい神。かたよって愛することなく、わいろを取らず、
10:18 みなしごや、やもめのためにさばきを行ない、在留異国人を愛してこれに食物と着物を与えられる。 10:19 あなたがたは在留異国人を愛しなさい。あなたがたもエジプトの国で在留異国人であったからである。 10:20 あなたの神、主を恐れ、主に仕え、主にすがり、御名によって誓わなければならない。 10:21 主はあなたの賛美、主はあなたの神であって、あなたが自分の目で見たこれらの大きい、恐ろしいことを、あなたのために行なわれた。 10:22 あなたの先祖たちは七十人でエジプトへ下ったが、今や、あなたの神、主は、あなたを空の星のように多くされた。
11章では、荒野での反逆について語られます。まだ残っていた老人たちに、もう一度確認をしています。さらにカナンの地は自然の恵みにあふれていると言われます。もし忠実なら天から雨が降り自然の灌漑によって潤されると。
11:10 なぜなら、あなたが、はいって行って、所有しようとしている地は、あなたがたが出て来たエジプトの地のようではないからである。あそこでは、野菜畑のように、自分で種を蒔き、自分の力で水をやらなければならなかった。 11:11 しかし、あなたがたが、渡って行って、所有しようとしている地は、山と谷の地であり、天の雨で潤っている。 11:12 そこはあなたの神、主が求められる地で、年の初めから年の終わりまで、あなたの神、主が、絶えずその上に目を留めておられる地である。 11:13 もし、私が、きょう、あなたがたに命じる命令に、あなたがたがよく聞き従って、あなたがたの神、主を愛し、心を尽くし、精神を尽くして仕えるなら、 11:14 「わたしは季節にしたがって、あなたがたの地に雨、先の雨と後の雨を与えよう。あなたは、あなたの穀物と新しいぶどう酒と油を集めよう。 11:15 また、わたしは、あなたの家畜のため野に草を与えよう。あなたは食べて満ち足りよう。」
しかし、もし不従順なら天は閉じて雨が降らなくなると。
11:16 気をつけなさい。あなたがたの心が迷い、横道にそれて、ほかの神々に仕え、それを拝むことのないように。 11:17 主の怒りがあなたがたに向かって燃え上がり、主が天を閉ざされないように。そうなると、雨は降らず、地はその産物を出さず、あなたがたは、主が与えようとしておられるその良い地から、すぐに滅び去ってしまおう。
この後、今でもオーソドックス・ジュー(正統派ユダヤ)人が守り続けている習慣が定められます。
11:18 あなたがたは、私のこのことばを心とたましいに刻みつけ、それをしるしとして手に結びつけ、記章として額の上に置きなさい。 11:19 それをあなたがたの子どもたちに教えなさい。あなたが家にすわっているときも、道を歩くときも、寝るときも、起きるときも、それを唱えるように。 11:20 これをあなたの家の門柱と門に書きしるしなさい。
さらに、約束の地エレーツ・イスラエルの範囲が示されます。
11:24 あなたがたが足の裏で踏む所は、ことごとくあなたがたのものとなる。あなたがたの領土は荒野からレバノンまで、あの川、ユーフラテス川から西の海までとなる。
この約束をユダヤ人は今も信じ、イラクからサウジアラビヤまで含む土地の輪郭をコインに刻んでいるとお話しました。彼らの前には祝福と呪いがありました。
11:26 見よ。私は、きょう、あなたがたの前に、祝福とのろいを置く。 11:27 もし、私が、きょう、あなたがたに命じる、あなたがたの神、主の命令に聞き従うなら、祝福を、 11:28 もし、あなたがたの神、主の命令に聞き従わず、私が、きょう、あなたがたに命じる道から離れ、あなたがたの知らなかったほかの神々に従って行くなら、のろいを与える。
11:29 あなたが、はいって行って、所有しようとしている地に、あなたの神、主があなたを導き入れたなら、あなたはゲリジム山には祝福を、エバル山にはのろいを置かなければならない。 11:30 それらの山は、ヨルダンの向こう、日の入るほうの、アラバに住むカナン人の地にあり、ギルガルの前方、モレの樫の木の付近にあるではないか。 11:31 あなたがたは、ヨルダンを渡り、あなたがたの神、主があなたがたに与えようとしておられる地にはいって、それを所有しようとしている。あなたがたがそこを所有し、そこに住みつくとき、 11:32 私がきょう、あなたがたの前に与えるすべてのおきてと定めを守り行なわなければならない。
このすばらしい約束の地も、彼らが不従順で反逆し、アッシリヤとバビロンに捕囚になった後、荒廃し、再び帰ってきた後も乳と蜜の流れる地にはなりませんでした。そして紀元70年ローマによって滅ぼされ世界に離散してからは、さらに荒廃し、砂漠とマラリヤの蔓延する湿地帯になりました。しかし、2000年の後、1948年に帰ってきて血の滲むような努力の末、開拓してから再び雨が降るようになり、今は緑の大地に変わっています。約束の地も従順と努力無しでは与えられないのです。