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IPS細胞と創造の御業

 先日、NHKの特別番組で、京都大学の山中伸哉という教授が作り出したIPS細胞についてやっていました。IPS細胞というのは細胞の最も初期の形で、そこから様々な臓器や器官に変わってゆく細胞のことです。これは世界中の科学者が競って研究していたもので日本の山中教授が最初に作り出したのでした。これは世界の科学者に衝撃を与えました。今、ものすごい勢いでその追認研究と発展が進んでいます。
 山中教授は人間の皮膚の細胞から、この細胞を作り出したのですが、簡単に言うと、この細胞から何でも作り出せるのです。もう一人の人間も造ることができるはずです。実際に教授の下で働いている研究者はねずみの腎臓のIPS細胞から完全なもう一匹のねずみを作り出しました。山中教授自身が恐ろしいことだと言っています。
 これはいわゆるクローンとは違います。クローンは卵子を人口的に刺激して細胞分裂を起こさせるのですが、IPS細胞はその卵子さえ造ることができるのです。恐らく、卵子を作らなくてもダイレクトに心臓や腸や皮膚や骨や脳を造ることが出来るでしょう。
 この技術によってもう一人の人間を臓器移植のために造り出すことが出来ます。あるいは人間にしなくても本人の細胞から心臓や肝臓を造ることが出来るでしょう。私はこれを見て、非常に困惑しました。これは人間にとって喜ぶべきことなのか、それとも神の創造の御業への冒涜と考えるべきなのか。
 こういう技術で、もし人間が造られたら、その人には魂や霊はあるのでしょうか。
あなたはわが内臓をつくり、わが母の胎内でわたしを組み立てられました。 わたしはあなたをほめたたえます。あなたは恐るべく、くすしき方だからです。あなたのみわざはくすしく、あなたは最もよくわたしを知っておられます。わたしが隠れた所で造られ、地の深い所でつづり合わされたとき、わたしの骨はあなたに隠れることがなかった。 あなたの目は、まだできあがらないわたしのからだを見られた。わたしのためにつくられたわがよわいの日のまだ一日もなかったとき、その日はことごとくあなたの書にしるされた。詩篇139:13〜16
 このように聖書は人間が神の創造の御業によって造られると言っています。どう考えてもこのような技術は神の御業の領域を侵害するように思われてなりません。そして、その死によって体が失われるとき、霊は神の元に帰ります。
ちりは、もとのように土に帰り、霊はこれを授けた神に帰る。伝道の書12:7
 IPS細胞によって造られた人間には霊はないのでしょうか。分からなくなります。
 もっと恐ろしいことは、人類はすでに違う種類のDNAを交配させることによって、今までにない種類の生物を作り出すことが出来るようになるかもしれません。これをキメラと言います。極端な話、馬と人間の姿をしたギリシャ神話のケンタロウスも作り出せるのです。このようなことを聖書はどう言っているでしょうか。
あなたがたは、わたしのおきてを守らなければならない。あなたの家畜を種類の異なった家畜と交わらせてはならない。あなたの畑に二種類の種を蒔いてはならない。また、二種類の糸で織った布地の衣服を身に着けてはならない。レビ19:19
 このように、聖書ははっきりと禁じています。しかし、人間の知的好奇心と探究心は止まることがないし、それを禁じてしまうことも中世の教会のように、頑なで迷信に満ちたものになる可能性もあります。コペルニクスやガリレオの発見を異端として退けたように。
ダニエルよ、あなたは終りの時までこの言葉を秘し、この書を封じておきなさい。多くの者は、あちこちと探り調べ、そして知識が増すでしょう。ダニエル書12:4(口語訳)
 「多くの者は、あちこちと探り調べ、そして知識が増すでしょう」とあるように、本当に今は人間が究極の探求を行い、知識を持った時代です。人間は宇宙の始まりを知ることが出来、生物の根本的な仕組みを解明しました。考えようによっては、人間はその気になれば科学的に神を知ることも出来る時代とも言えます。事実、最近欧米では多くの科学者がクリスチャンになっています。神の創造の御業を探求すれば神を発見せざるを得ないのです。信仰を持つ勇気さえあればですが。
 この言葉をダニエルに告げたのは、この人でした。
目をあげて望み見ると、ひとりの人がいて、亜麻布の衣を着、ウパズの金の帯を腰にしめていた。そのからだは緑柱石のごとく、その顔は電光のごとく、その目は燃えるたいまつのごとく、その腕と足は、みがいた青銅のように輝き、その言葉の声は、群衆の声のようであった。10:5〜6
 この方が全てをご存知です。この方だけがすべてのものを造られたのです。
すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもない。ヨハネ1:3(新改訳)
 天地創造から150億年、人類は神の領域を犯し始めています。いつまで神様はこんなことを許されるでしょうか。バベルの塔に勝る、高慢と冒涜がはびこり始めています。私たちは次のダニエル書の言葉を噛みしめましょう。
その時あなたの民を守っている大いなる君ミカエルが立ちあがります。また国が始まってから、その時にいたるまで、かつてなかったほどの悩みの時があるでしょう。しかし、その時あなたの民は救われます。すなわちあの書に名をしるされた者は皆救われます。また地のちりの中に眠っている者のうち、多くの者は目をさますでしょう。そのうち永遠の生命にいたる者もあり、また恥と、限りなき恥辱をうける者もあるでしょう。 賢い者は、大空の輝きのように輝き、また多くの人を義に導く者は、星のようになって永遠にいたるでしょう。ダニエル12:1〜3(口語訳)
 あなたは、この最後の言葉のようになるのです。そうです、だから「多くの人を義に導く」事は最も大切なことなのです。