ホームページ・メッセージ100516 小 石 泉
民数記 No.T 荒野にて
第1章 民数記をユダヤ人たちは最初の行から「そして彼は言った」または「荒野にて」と呼んだようです。「民数記」という呼び方は七十人訳聖書の「数」から来ています。それはこの書の主要なテーマが人口調査だったからです。しかし、最もふさわしい呼び名は「荒野にて」でしょう。
1:1 人々がエジプトの国を出て二年目の第二月の一日に、主はシナイの荒野の会見の天幕でモーセに告げて仰せられた。 1:2 「イスラエル人の全会衆を、氏族ごとに父祖の家ごとに調べ、すべての男子の名をひとりひとり数えて人口調査をせよ。 1:3 あなたとアロンはイスラエルにおいて、二十歳以上の者で、すべて軍務につくことのできる者たちを、その軍団ごとに数えなければならない。
細かく見ていくと、とても長いのでかいつまんで学びましょう。この後、モーセとアロンは各部族の長を決め、彼らを助手とします。人口調査の対象は二十歳以上で軍務につくことのできるすべての男子でした。
ルベン部族で登録された者は、四万六千五百人であった。
シメオン部族で登録された者は、五万九千三百人であった。
ガド部族で登録された者は、四万五千六百五十人であった。
ユダ部族で登録された者は、七万四千六百人であった。
イッサカル部族で登録された者は、五万四千四百人であった。
ゼブルン部族で登録された者は、五万七千四百人であった。
エフライム部族で登録された者は、四万五百人であった。
マナセ部族で登録された者は、三万二千二百人であった。
ベニヤミン部族で登録された者は、三万五千四百人であった。
ダン部族で登録された者は、六万二千七百人であった。
アシェル部族で登録された者は、四万一千五百人であった。
ナフタリ部族で登録された者は、五万三千四百人であった。
登録された者の総数は、六十万三千五百五十人であった。
しかしレビ人は、彼らの中で、父祖の部族ごとには、登録されなかった。
レビ族は神の幕屋に仕えるために登録されませんでした。
ここで問題なのは、この数です。60万人とは多過ぎないでしょうか。これは「軍務につくことの出来る20歳以上の男子」だけですから、総数はその4〜5倍、すなわち200〜300万人ということになります。もちろん聖書の言葉を疑うわけではないのですが、創世記でも見てきたようにユダヤ人の数に関する考え方は我々とは違います。そして、その人数では舞台が現在のシナイ半島では到底足りません。本当はアラビヤ半島だったにしても水の供給一つをとっても300万人の人口を支えるのは無理だと思います。もちろんマナで養われた奇跡を見ると、神に不可能はないのですが、その後のパレスチナ占領を見ても、パレスチナの総人口に匹敵する数とは考えられないのです。ヘブル語では千人隊長と千人とは同じ言葉です。私は10分の1の30万人か100分の1の3万人位ではなかったかと思います。
第2章 は1章を復習するような記録です。ただ、族長と旗じるしのもとに宿営することを命じています。
第3章 はアロンの系図が書かれています。アロンの家系はレビ族と共に神の幕屋と礼拝に関与し、一般のイスラエル人とは区別され、人口調査には加えられませんでした。
3:2 アロンの子らの名は長子ナダブと、アビフと、エルアザルと、イタマルであった。 3:3 これらはアロンの子らの名であって、彼らは油そそがれて祭司の職に任じられた祭司であった。 3:4 しかしナダブとアビフは、シナイの荒野で主の前に異なった火をささげたとき、主の前で死んだ。彼らには子どもがなかった。そこでエルアザルとイタマルは父アロンの生存中から祭司として仕えた。
レビ記においてアロンの長男ナダブと次男アビフは父の祭司職を巡って争い、勝手な香を炊いて神に近づいたため殺されました。それで三男以後が祭司として選ばれました。
3:5 主はモーセに告げて仰せられた。 3:6 「レビ部族を近寄らせ、彼らを祭司アロンにつき添わせ、彼に仕えさせよ。 3:7 彼らは会見の天幕の前で、アロンの任務と全会衆の任務を果たして、幕屋の奉仕をしなければならない。 3:8 彼らは会見の天幕のすべての用具を守り、またイスラエル人の務めを守って、幕屋の奉仕をしなければならない。3:9 あなたは、レビ人をアロンとその子らにあてがいなさい。彼らはイスラエル人の中から、正式にアロンにあてがわれた者たちである。 3:10 あなたは、アロンとその子らを任命して、その祭司の職を守らせなければならない。ほかの人で近づく者は殺される。」
「他の人で近づくものは殺される。」何と厳しい命令でしょうか。それが神につかえると言うことの一面です。この後、神はレビ人をイスラエルの初子の代わりとして御自分のものとして仕えさせます。彼らには幕屋の管理と建設の厳密な任務が与えられました。レビ族は1ヶ月以上のすべての男子が選らばれました。人口調査は20歳以上でしたのでその点を注意してください。
レビ族の構成と職務
- 長の長 アロンの三男エレアザル
- ゲルション−長エルヤサフ リブニ、シムイ 7500人 西側に宿営 幕屋の天幕と覆い、入り口の垂れ幕、庭の掛け幕、幕屋と祭壇の回りを取り巻く庭の入口の垂れ幕、その全てに用いるひも
- ケハテ−長エリツァファン、アムラム、イツハル、ヘブロン、ウジエル 8600人 南側に宿営 契約の箱、机、燭台、祭壇、およびこれらに用いる聖なる用具と垂れ幕と、それに関するすべての奉仕
- メラリ−長ツリエル、マフリ、ムシ 6200人 北側に宿営 幕屋の板、その横木、その柱と台座、そのすべての用具およびそれに用いるすべてのもの、 庭の回りの柱とその台座、その釘とそのひも
- モーセ、アロン、その子ら- 東側に宿営 イスラエル人の任務に代わって、聖所の任務を果たす
レビ族の初子は22000人。 レビ族はイスラエルの初子の代わりとして神に捧げられたので、イスラエル人の初子と数あわせをしなければなりませんでした。
3:42 モーセは主が彼に命じられたとおりに、イスラエル人のうちのすべての初子を登録した。 3:43 その登録による、名を数えられたすべての一か月以上の男子の初子は、二万二千二百七十三人であった。 3:44 主はモーセに告げて仰せられた。3:45 「レビ人をイスラエル人のうちのすべての初子の代わりに、またレビ人の家畜を彼らの家畜の代わりに取れ。レビ人はわたしのものでなければならない。わたしは主である。3:46 レビ人の数より二百七十三人超過しているイスラエル人の初子の贖いの代金として、 3:47 ひとり当たり五シェケルを取りなさい。これを聖所のシェケルで取らなければならない。一シェケルは二十ゲラである。 3:48 そして、この代金を、超過した者たちの贖いの代金として、アロンとその子らに渡しなさい。」 3:49 こうしてモーセはレビ人によって贖われた者より超過した者たちから、贖いの代金を取った。 3:50 すなわちイスラエル人の初子から、聖所のシェケルで千三百六十五シェケルの代金を取り、 3:51 モーセは、主の命により、この贖いの代金を、主がモーセに命じられたように、アロンとその子らに渡した。
イスラエルの初子の数は22,273人。273人多かったので、その分を一人5シェケルとして合計1365シェケルをレビ族に支払いました。これらの数字にどんな意味があるのか判りませんが、レビ族の場合は特に厳密に計算されたことを覚えましょう。