ホームページ・メッセージ100418        小 石  泉

Yes or No?

中国から帰って来て、感じることは、日本人はキリスト教を拒絶しているなあということでした。現在、中国では約10%の人がキリスト教を受け入れています。1億人以上です。政府は激しく弾圧していますが、民衆は「Yes」ではないにしても「No」でもない。いわばニュートラルな状態です。しかし、日本人はキリスト教に対してはっきり「No」と言っているように感じます。最近読んだある神学校の山村の調査でも、「いやだ」「関係ない」「もう来るな」と言う人が90%以上です。明治から昭和の初期にかけては、むしろ「Yes」であったことを考えるとこれは大きな違いです。
 どうしてこうなったのだろうと思います。戦後、沢山の宣教師がアメリカからやってきました。彼らの熱心な伝道は一部では実を結びましたが、日本が経済的に繁栄するに連れてキリスト教に対する日本人の熱は冷めていきました。そして、統一教会、エホバの証人、モルモン教と言ったキリスト教もどきの宗教がはびこりました。さらにオウム真理教のテロの衝撃が加わりました。そして宗教そのものが危ないと言った感情が生まれてきました。
 これに対して、キリスト教側は有効な手を打てないで居ます。色々な大会やイベントが行われていますが、何をやっても“仲間内の騒ぎ”で終わっているように感じます。本質的に日本人がキリスト教を「嫌悪している」ということへの認識がないのではないかと思います。これは迫害とも違う、独特のもので、民族的な体質となって居るように思えます。
再びヨナに次のような主のことばがあった。「立って、あの大きな町ニネベに行き、わたしがあなたに告げることばを伝えよ。」ヨナは、主のことばのとおりに、立ってニネベに行った。ニネベは、行き巡るのに三日かかるほどの非常に大きな町であった。
ヨナは初め、その町にはいると、一日中歩き回って叫び、「もう四十日すると、ニネベは滅ぼされる。」と言った。そこで、ニネベの人々は神を信じ、断食を呼びかけ、身分の高い者から低い者まで荒布を着た。このことがニネベの王の耳にはいると、彼は王座から立って、王服を脱ぎ、荒布をまとい、灰の中にすわった。 王と大臣たちの命令によって、次のような布告がニネベに出された。「人も、獣も、牛も、羊もみな、何も味わってはならない。草をはんだり、水を飲んだりしてはならない。人も、家畜も、荒布を身にまとい、ひたすら神にお願いし、おのおの悪の道と、暴虐な行ないとを悔い改めよ。もしかすると、神が思い直してあわれみ、その燃える怒りをおさめ、私たちは滅びないですむかもしれない。」神は、彼らが悪の道から立ち返るために努力していることをご覧になった。それで、神は彼らに下すと言っておられたわざわいを思い直し、そうされなかった。ヨナ3:1〜10
 ヨナは紀元前10世紀の神の預言者でした。神はヨナに敵国アッシリアの首都ニネベに行き神の前に悔い改めるように預言せよと命じます。しかし、ヨナは今にも襲い掛かってくるかもしれない大帝国アッシリアのために神の警告を与えるような仕事は真っ平ごめんとヨーロッパに向けて逃げ出します。しかし、神様は嵐を送り、船は沈没の危機に遭遇します。ヨナは死んでもいやだと自分を海に投げ込むことを提案します。そして、ヨナは魚に飲まれ三日三晩魚の体内に止まります。そして魚が彼を陸に吐き出した後の話です。
 当時、世界最大の帝国アッシリアの首都ニネベは100万都市でした。5つの城壁に囲まれた無敵の大都市です。しかし、ニネベはヨナの警告に聞き従いました。これは驚くべきことです。一説にはニネベには魚を神とする宗教(パレスチナのダゴンのように)があって、魚の口から出て来た預言者の言葉を受け取る素地があったと言います。
 いずれにしても彼らは一地方の名も知れぬ預言者の言葉に素直に従ったのです。その結果、ニネベは滅ぼされないで済みました。その事を不服として怒り狂ったヨナに対して神様はこう言われました。
主は仰せられた。「あなたは、自分で骨折らず、育てもせず、一夜で生え、一夜で滅びたこのとうごまを惜しんでいる。 まして、わたしは、この大きな町ニネベを惜しまないでいられようか。そこには、右も左もわきまえない十二万以上の人間と、数多くの家畜とがいるではないか。」
4:10〜11
「右も左もわきまえない十二万以上の人間」とは幼子を意味していると言われます。
 今、日本にヨナが表れても、日本の人々は聞くでしょうか。やはり鼻でせせら笑って「No」と言うのではないでしょうか。その結果はニネベと反対のことになるのではないでしょうか。
 ヨナがニネベに行くのを拒み、試みを受けてしぶしぶ従った後でも、ヨナはニネベが悔い改めるとは思っていなかったのです。だからニネベが悔い改めたとき、彼は大いに驚き怒りました。滅ぼされることを期待していたからです。
 私たちも日本が救われるとは思えない状況です。私たちの場合は、日本が滅びることを望んではいません。私たちに出来ることは、ただ、神に忠実なことです。
全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい。 信じてバプテスマを受ける者は、救われます。しかし、信じない者は罪に定められます。」マルコ16:15〜16
 目に見えるところは、希望が無くても、私たちはただ黙って神の言葉に従いましょう。状況や結果を考えるのではなく、ただ神に忠実でありましょう。結果は神様ご自身が決められることです。


■ヨナ (〈ヘ〉yonah,〈ギ〉Ionas) 「鳩」という意味.北王国イスラエルの王ヤロブアム2世と同時代の預言者.父はガリラヤのガテ・ヘフェル出身の預言者アミタイ(U列14:25).彼はレボ・ハマテからアラバの海までイスラエルの領土が拡張されることを預言した.その他の活動については,同名の預言書,ヨナ書によって知ることができる.イエスはこのヨナに言及している(マタ12:39‐41,16:4,ルカ11:29‐32).U列14:25のヨナと,ヨナ書のヨナは同一人物ではないという見解もあるが,両者共父親の名前が同じであり,聖書にはこのほかにアミタイという名前が見出せないことから,同一人物と考える方が自然である.