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出エジプト記  No. XVIII 会見の幕屋


 神様はいよいよ天幕の神殿の設計図をモーセに示されます。実に細かく念入りに教えます。この天幕は単にイスラエル人という一つの民族のためではなく、その後の異邦人クリスチャンにもおよぶ神の祝福の設計図でもあったのです。そしてそれはすでに前回お話したように天にある神殿の模型でもありました。
26:1 幕屋を十枚の幕で造らなければならない。すなわち、撚り糸で織った亜麻布、青色、紫色、緋色の撚り糸で作り、巧みな細工でそれにケルビムを織り出さなければならない。 26:2 幕の長さは、おのおの二十八キュビト、幕の幅は、おのおの四キュビト、幕はみな同じ寸法とする。 26:3 その五枚の幕を互いにつなぎ合わせ、また他の五枚の幕も互いにつなぎ合わせなければならない。 26:4 そのつなぎ合わせたものの端にある幕の縁に青いひもの輪をつける。他のつなぎ合わせたものの端にある幕の縁にも、そのようにしなければならない。 26:5 その一枚の幕に輪五十個をつけ、他のつなぎ合わせた幕の端にも輪五十個をつけ、その輪を互いに向かい合わせにしなければならない。 26:6 金の留め金五十個を作りその留め金で幕を互いにつなぎ合わせて一つの幕屋にする。

 天幕は日本で言えば西陣織のような豪華絢爛たるものでした。そこに描かれたのはケルビムでした。ケルビムは神の最も御側近く仕える天使で、人と獅子と鷲と牛の顔を持ち、6枚の羽根を持つ不思議な生き物です。間もなく私たちはその姿を見るでしょう。

 この幕は縦約11メートル、横1.6メートルの細長い布でした。それを5枚ずつつなぎ合わせ2枚の幕にします。その2枚の幕を青い紐の輪と金の留め金でつなぎ合わせて一枚の大きな幕にしました。長さ約16メートル、幅約11メートルの、恐らくは分厚い幕だったことでしょう。この幕にはケルビムが美しく織り込まれていました。

 ここにはキリストの天的な起源が表されています。金は神性を表します。
26:7 また、幕屋の上に掛ける天幕のために、やぎの毛の幕を作る。その幕を十一枚作らなければならない。 26:8 その一枚の幕の長さは三十キュビト。その一枚の幕の幅は四キュビト。その十一枚の幕は同じ寸法とする。 26:9 その五枚の幕を一つにつなぎ合わせ、また、ほかの六枚の幕を一つにつなぎ合わせ、その六枚目の幕を天幕の前で折り重ねる。 26:10 そのつなぎ合わせたものの端にある幕の縁に輪五十個をつけ、他のつなぎ合わせた幕の縁にも輪五十個をつける。 26:11 青銅の留め金五十個を作り、その留め金を輪にはめ、天幕をつなぎ合わせて一つとする。 26:12 天幕の幕の残って垂れる部分、すなわち、その残りの半幕は幕屋のうしろに垂らさなければならない。 26:13 そして、天幕の幕の長さで余る部分、すなわち、一方の一キュビトと他の一キュビトは幕屋をおおうように、その天幕の両側、こちら側とあちら側に、垂らしておかなければならない。26:14 天幕のために赤くなめした雄羊の皮のおおいと、その上に掛けるじゅごんの皮のおおいを 作る。

 その天幕を覆うために、山羊の毛で幕を作りました。長さは約2メートル。幅は約1.6mのやはり細長い織物でした。山羊の毛は非常に硬く丈夫です。高級な背広の布地に織り込まれる場合があります。この布を11枚つなぎ合わせました。やはり5枚ずつをつなぎ合わせ2枚の幕を作り、それをつなぎ合わせて、留め金で留めて一枚としました。その留め金は青銅でした。全体で長さ約17.6メートル、幅12メートルの幕でした。前の幕より少し大きくなっていることに注意してください。  山羊はこの後、レビ記などで罪の身代わりとして砂漠に放逐される動物です。(アザゼルの山羊)また、青銅は苦難を表します。十字架の上のキリストのお姿を思わせられます。 赤い色の雄羊の皮は正にキリストの流された血を表します。ジュゴンの皮は砂漠の暑い日差しをさえぎるものですが、どう見ても美しいものではありません。キリストは貧しい大工の子として生まれました。それは謙遜のお姿でした。イザヤ書にはこうあります。 「彼は主の前に若木のように、かわいた土から出る根のように育った。彼にはわれわれの見るべき姿がなく、威厳もなく、われわれの慕うべき美しさもない。」53:2
またコロサイ書にはこうあります。
キリストは、神のかたちであられたが、神と等しくあることを固守すべき事とは思わず、かえって、おのれをむなしうして僕のかたちをとり、人間の姿になられた。その有様は人と異ならず、 おのれを低くして、死に至るまで、しかも十字架の死に至るまで従順であられた。2:6〜8

 アラビヤの砂漠の中の天幕の神殿は、外から見たら美しくないみすぼらしいものだったことでしょう。それは神の子のこの世でのお姿そのものです。私たちは外の見栄えだけで人を判断しないようにしましょう。サムエル記にはこうあります。
しかし主はサムエルに言われた、「顔かたちや身のたけを見てはならない。わたしはすでにその人を捨てた。わたしが見るところは人とは異なる。人は外の顔かたちを見、主は心を見る」。16:7

 この後、もう一度、天幕の内部、聖所の設計図が示されます。
26:15 幕屋のために、アカシヤ材で、まっすぐに立てる板を作る。 26:16 板一枚の長さは十キュビト、板一枚の幅は一キュビト半。 26:17 板一枚ごとに、はめ込みのほぞ二つを作る。幕屋の板全部にこのようにしなければならない。 26:18 幕屋のために板を作る。南側に板二十枚。 26:19 その二十枚の板の下に銀の台座四十個を作らなければならない。一枚の板の下に、二つのほぞに二個の台座を、他の板の下にも、二つのほぞに二個の台座を作る。 26:20 幕屋の他の側、すなわち北側に、板二十枚。 26:21 銀の台座四十個。すなわち一枚の板の下に二個の台座。他の板の下にも二個の台座。 26:22 幕屋のうしろ、すなわち、西側に、板六枚を作らなければならない。 26:23 幕屋のうしろの両隅のために板二枚を作らなければならない。 26:24 底部では重なり合い、上部では、一つの環で一つに合うようになる。二枚とも、そのようにしなければならない。これらが両隅となる。 26:25 板は八枚、その銀の台座は十六個、すなわち一枚の板の下に二個の台座、他の板の下にも二個の台座となる。 26:26 アカシヤ材で横木を作る。すなわち、幕屋の一方の側の板のために五本、 26:27 幕屋の他の側の板のために横木五本、幕屋のうしろ、すなわち西側の板のために横木五本を作る。 26:28 板の中間にある中央横木は、端から端まで通るようにする。26:29 板には金をかぶせ、横木を通す環を金で作らなければならない。横木には金をかぶせる。 26:30 あなたは山で示された定めのとおりに、幕屋を建てなければならない。

 これは天幕の中に建てる建物の説明です。何と細かく規定されていることか。長さは4メートル幅は60センチ。それを左右に20枚ずつですから奥行きは12メートルです。高さは4メートル。下の部分にそれぞれ二つの出っ張りを設け、それを銀の台にはめ込みます。間口は3メートル30センチ。これは両端の2枚を加えたものです。入り口には板の壁はありません。幕が掛けられます。これらの板の壁は横木で固定されました。

 全てはアカシヤ材を金の板で覆いましたから、金色(こんじき)燦然たる建物です。銀は贖いを表します。
26:31 青色、紫色、緋色の撚り糸、撚り糸で織った亜麻布で垂れ幕を作る。これに巧みな細工でケルビムを織り出さなければならない。 26:32 これを、四つの銀の台座の上に据えられ、その鉤が金でできている、金をかぶせたアカシヤ材の四本の柱につける。 26:33 その垂れ幕を留め金の下に掛け、その垂れ幕の内側に、あかしの箱を運び入れる。その垂れ幕は、あなたがたのために聖所と至聖所との仕切りとなる。 26:34 至聖所にあるあかしの箱の上に『贖いのふた』を置く。 26:35 机を垂れ幕の外側に置き、その机は幕屋の南側にある燭台と向かい合わせる。あなたはその机を北側に置かなければならない。 26:36 天幕の入口のために、青色、紫色、緋色の撚り糸、撚り糸で織った亜麻布で刺繍をした幕を作る。 26:37 その幕のためにアカシヤ材の柱五本を作り、これに金をかぶせる。それの鉤も金で、また、それらの柱のために青銅の台座五つを鋳造する。

これだけ読むと分かりにくいかもしれませんが、ここには二つのカーテン(垂れ幕)が語られています。一つは聖所と至聖所を隔てるカーテンであり、もう一つは聖所の入り口、すなわちこの幕屋の入り口のカーテンです。カーテンと言うより緞帳(どんちょう)と言う方がふさわしいかもしれません。分厚い布で、中のカーテンにはケルビムが織り出されていましたが、入り口のものはただ刺繍したとあるだけです。聖所と至聖所の隔ての幕は4本の柱で支えられていました。前者の台は銀、後者の台は銅でした。銅は苦難を表します。

 この内、内部の垂れ幕はキリストが十字架に架かられたときに、真っ二つに裂けたと書かれています。聖所と至聖所を隔てる隔ての垂れ幕が裂けたのです。
だから、わたしたちは、あわれみを受け、また、恵みにあずかって時機を得た助けを受けるために、はばかることなく恵みの御座に近づこうではないか。ヘブル4:16(口語訳) 兄弟たちよ。こういうわけで、わたしたちはイエスの血によって、はばかることなく聖所にはいることができ、10:19(同)


聖所の建物の想像図












幕を掛けた場合









契約の箱



メノラー









香台











パンの台