ホームページ・メッセージ090104               小 石  泉

          Bible Land museum
                         バイブルランド博物館

出エジプト記 No.6ファラオの前に

5:1 その後、モーセとアロンはパロのところに行き、そして言った。「イスラエルの神、主がこう仰せられます。『わたしの民を行かせ、荒野でわたしのために祭りをさせよ。』」 5:2 パロは答えた。「主とはいったい何者か。私がその声を聞いてイスラエルを行かせなければならないというのは。私は主を知らない。イスラエルを行かせはしない。」 5:3 すると彼らは言った。「ヘブル人の神が私たちにお会いくださったのです。どうか今、私たちに荒野へ三日の道のりの旅をさせ、私たちの神、主にいけにえをささげさせてください。でないと、主は疫病か剣で、私たちを打たれるからです。」 5:4 エジプトの王は彼らに言った。モーセとアロン。おまえたちは、なぜ民に仕事をやめさせようとするのか。おまえたちの苦役に戻れ。」5:5 パロはまた言った。「見よ。今や彼らはこの地の人々よりも多くなっている。そしておまえたちは彼らの苦役を休ませようとしているのだ。」

 私はここを読むと、どうしてモーセとアロンがファラオに会うことが出来たのか不思議でなりませんでした。現代の私たちは王権と言うものを知りません。ましてや3000年前のエジプトの王権の偉大さを想像することも難しいです。突然、ミデヤンの砂漠から現れた80歳の二人の老人がなぜ王に接見できたのでしょうか。しかも、モーセは、一度は犯罪者として追われた身です。エジプトにはその記録やうわさがあったに違いありません。それには前回の記事が参考になります。

「4:29 それからモーセとアロンは行って、イスラエル人の長老たちをみな集めた。 4:30 アロンは、主がモーセに告げられたことばをみな告げ、民の目の前でしるしを行なったので、 4:31 民は信じた。彼らは、主がイスラエル人を顧み、その苦しみをご覧になったことを聞いて、ひざまずいて礼拝した。」

 モーセとアロンはまずイスラエルの民衆に会い神のメッセージを聞かせ奇跡を見せたのです。そして彼らがイスラエルを把握したことを王朝は知っていたのでしょう。

5:6 その日、パロはこの民を使う監督と人夫がしらに命じて言った。 5:7 「おまえたちはれんがを作るわらを、これまでのようにこの民に与えてはならない。自分でわらを集めに行かせよ。 5:8 そしてこれまで作っていた量のれんがを作らせるのだ。それを減らしてはならない。彼らはなまけ者だ。だから、『私たちの神に、いけにえをささげに行かせてください。』と言って叫んでいるのだ。 5:9 あの者たちの労役を重くし、その仕事をさせなければならない。偽りのことばにかかわりを持たせてはいけない。」 5:10 そこで、この民を使う監督と人夫がしらたちは出て行って、民に告げて言った。「パロはこう言われる。『私はおまえたちにわらを与えない。 5:11 おまえたちは自分でどこへでも行ってわらを見つけて、取って来い。おまえたちの労役は少しも減らさないから。』」 5:12 そこで、民はエジプト全土に散って、わらの代わりに刈り株を集めた。 5:13 監督たちは彼らをせきたてて言った。「わらがあったときと同じように、おまえたちの仕事、おまえたちのその日その日の仕事を仕上げよ。」

       ぺル・ラメセス

 このレンガは日干しレンガです。1883年考古学者のナヴィルと1908年キールはエジプトのピトムの遺跡から、最下部には良質のわらが入ったレンガ、中ほどからはわらが少なく刈り株が入ったレンガ、最上部には何もわらが入っていないレンガを発見しています。ファラオの侮りと怒りは当然と言えば当然ですが、4章の21節に、「しかし、わたしは彼の心をかたくなにする。彼は民を去らせないであろう。」とあるように、神様は当時の最強最大の帝国エジプトで創造主なるご自身を表すためにファラオをあえてかたくななままにしておいたと言えます。このファラオは誰でしょうか。
                                                             ラメセス2世 

5:14 パロの監督たちがこの民の上に立てたイスラエル人の人夫がしらたちは、打ちたたかれ、「なぜおまえたちは定められたれんがの分を、きのうもきょうも、これまでのように仕上げないのか。」と言われた。 5:15 そこで、イスラエル人の人夫がしらたちは、パロのところに行き、叫んで言った。「なぜあなたのしもべどもを、このように扱うのですか。 5:16 あなたのしもべどもには、わらが与えられていません。それでも、彼らは私たちに、『れんがを作れ。』と言っています。見てください。あなたのしもべどもは打たれています。しかし、いけないのはあなたの民なのです。」 5:17 パロは言った。「おまえたちはなまけ者だ。なまけ者なのだ。だから『私たちの主にいけにえをささげに行かせてください。』と言っているのだ。 5:18 さあ、すぐに行って働け。わらは与えないが、おまえたちは割り当てどおりれんがを納めるのだ。」 5:19 イスラエル人の人夫がしらたちは、「おまえたちのれんがのその日その日の数を減らしてはならない。」と聞かされたとき、これは、悪いことになったと思った。 5:20 彼らはパロのところから出て来たとき、彼らを迎えに来ているモーセとアロンに出会った。 5:21 彼らはふたりに言った。「主があなたがたを見て、さばかれますように。あなたがたはパロやその家臣たちに私たちを憎ませ、私たちを殺すために彼らの手に剣を渡したのです。」 5:22 それでモーセは主のもとに戻り、そして申し上げた。「主よ。なぜあなたはこの民に害をお与えになるのですか。何のために、私を遣わされたのですか。 5:23 私がパロのところに行って、あなたの御名によって語ってからこのかた、彼はこの民に害を与えています。それなのにあなたは、あなたの民を少しも救い出そうとはなさいません。」

このファラオが誰かということは長い間、聖書学者の間でも中々結論が出ていません。しかし、恐らくラメセス二世だろうと言う説が有力です。
 ラメセス二世は、古代エジプトの王の中でも、もっとも自己顕示欲の強かった王として知られています。現在エジプトに残されている古代建造物を一番多く建てた王です。その中でも、アブ・シンベル神殿は傑作といわれています。大神殿は、太陽神ラー・ホルアクティとラメセス二世自身に捧げられました。ラムセス二世は67年間の長い期間、エジプト全土のファラオとして君臨しましたが、次のことが彼をしてファラオの中のファラオとして語り継がれ、彼以降、三世から十一世に至るまで、何人ものファラオがラムセスに憧れてその名前を継承しております。
               アブシンベル寺院

・軍事遠征による領土の維持・拡大:
・ネフェルタリへの熱愛と多くの側室:
・壮大な建造物の建造:

 絶大な権力を背景にエジプトを絶頂期まで繁栄させたラメセス二世は、自身の権力を後世に伝えるべく巨大なアブシンベル大神殿を創建し、更にカルナック、ルクソール神殿を増築し、これら神殿内に自身の巨像、立像、座像、彫像などを数多く造らせたため建築王とも言われております。こうして、ラメセス二世は92才で死亡し王家の谷に葬られましたが、墓は盗掘により破壊されて所在不明となり、ミイラは盗掘者達から守るため、死から約200年後に父、セティ一世の墓に移され、更に父や他のファラオのミイラと共に秘密の埋葬場所に移されましたが、幸いにも1881年に40体もの他のファラオや王妃とともにデイル・アル・バハリの崖下で発見され、現在はカイロ博物館に保存公開されています。
 ところがラメセス二世の後継者でメルエンプタハというファラオのミイラには非常に大きなミステリーがあります。このファラオは死後一ヶ月間ぐらい水中にいたらしいのです。死体が水中または地中にしばらくあると死ろうが出ます。このミイラには死ろうがあるのです。モーセが紅海を分けたとき、水中に沈んだファラオならありうることです。それでイスラエルを奴隷にしたのがラメセス二世で、出エジプトのときにはメルエンプタハに代わっていたのかも知れません。
                                                        メルエンプタハ



訂正:先週のメッセージの年代に関して
イエス様の十字架を29年の3〜4月としましたが、誕生がBC26年の9〜10月とすると33年6ヶ月目は30年3〜4月になります。 6ヶ月の数え方が間違っていたようです。