ホームページ・メッセージ080511            小 石  泉

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創世記 ヨセフ\

49:1 ヤコブはその子らを呼び寄せて言った。「集まりなさい。私は終わりの日に、あなたがたに起こることを告げよう。 49:2 ヤコブの子らよ。集まって聞け。あなたがたの父イスラエルに聞け。

 死に向かってヤコブは子供たち一人々々に遺言します。これはその後の各部族を予言したものとなりました。ところがよく読むと「終わりの日に、起こること」とあることに気がつきます。これは何を表しているのでしょうか。不思議な言葉です。実は新約聖書の黙示録にもう一度十二氏族が出てきます。

*それから私が、印を押された人々の数を聞くと、イスラエルの子孫のあらゆる部族の者が印を押されていて、十四万四千人であった。ユダの部族で印を押された者が一万二千人、ルベンの部族で一万二千人、ガドの部族で一万二千人、アセルの部族で一万二千人、ナフタリの部族で一万二千人、マナセの部族で一万二千人、シメオンの部族で一万二千人、レビの部族で一万二千人、イッサカルの部族で一万二千人、 ゼブルンの部族で一万二千人、ヨセフの部族で一万二千人、ベニヤミンの部族で一万二千人、印を押された者がいた。7:4〜8

 これはキリストに仕える最も清い人類の代表者である若者たちのことです。私はこれが文字通りに実現すると思います。色々な憶測で聖書の言葉を捻じ曲げたり、自分の好みに無りやり引用すべきではありません。これは終わりの時代にこの通り実現することです。ただ、ダンの部族が抜けています。その代わりヨセフ(エフライム)とマナセが入って十二となっています。ダン族は何かの理由で消滅するのでしょう。

49:3 ルベンよ。あなたはわが長子。わが力、わが力の初めの実。すぐれた威厳とすぐれた力のある者。 49:4 だが、水のように奔放なので、もはや、あなたは他をしのぐことがない。あなたは父の床に上り、そのとき、あなたは汚したのだ。――彼は私の寝床に上った。――

 長男ルベンに対する期待と失望。ヤコブの悲しい思いが伝わってきます。

49:5 シメオンとレビとは兄弟、彼らの剣は暴虐の道具。 49:6 わがたましいよ。彼らの仲間に加わるな。わが心よ。彼らのつどいに連なるな。彼らは怒りにまかせて人を殺し、ほしいままに牛の足の筋を切ったから。 49:7 のろわれよ。彼らの激しい怒りと、彼らのはなはだしい憤りとは。私は彼らをヤコブの中で分け、イスラエルの中に散らそう。

 シメオンとレビに対してはやはりあの乱暴な行動を責めています。この言葉の通りにシメオン族は少数になり兄弟の中に散らばりました。ただ、レビに関しては違った意味で散らばりました。それは神に仕える部族としてでした。それはモーセがこの部族から生まれたからです。
*シメオンとレビが一緒に扱われているのは,シェケムにおける2人の行動(34:25‐31)のため.その行いがここで厳しく叱責されている(〈のろわれよ〉7).そのためこれらの部族は民の間に散らされると言う.出エジプト後2年目の人口調査によると,シメオン部族の人口は5万9300人であったのに(民1:23),それから約40年後の第2回人口調査では半数以下の2万2200人に激減している(民26:14).また,モーセの祝福(申33章)にもデボラの歌(士5章)にもシメオン部族は言及されていない.シメオン部族の相続地はユダの相続地の中にあったが(ヨシ19:1,9),ダビデの治世以後はユダの相続地に統合され(T歴4:31),人々は各所に散って行ったようである(同4:39‐43).アサ王の宗教改革の時にもヨシヤ王の宗教改革の時にも,北の部族の仲間に入っていたようで(U歴15:9,34:6),王国分裂の時にはすでに多くの人々が北のほうに移住していたものと考えられる。
 レビ部族も結果的には12部族の間に散らされるが(ヨシ21章),シメオン部族の場合とは違って祝福としてである.神は恐らくレビ部族出身のモーセ(出2:1)の故に,恵みによってレビへののろいを祝福に変えられたのであろう.〈激しい怒り〉も〈はなはだしい憤り〉も(7),それに〈暴虐の道具〉も(5),主の義のために用いれば御旨にそったものとなる(出32:26‐29,申33:11,エレ18:7‐8).モーセが出エジプトの立役者として立てられたため,レビ部族が重要な役割を担うようになるのである.モーセの兄アロンの家系が祭司職に任じられ(出28:1),レビ部族が特別に幕屋での奉仕に任じられる(出38:21,民1:50).そして神はレビ部族を特別にご自分のものとし(民3:12,8:14‐18,16:9‐10),ご自分をレビ部族の相続地として,彼らには他の部族のようには相続地を与えず(民18:20‐24,申10:8‐9,18:1‐2),他の部族の間に散らされるのである.また兵役と人口調査を免除し(民1:49)カナン偵察隊にも加えられない(民13章)ここに至ってヤコブが2人の孫マナセとエフライムを養子にしたことが具体的に意味を持ってくるのである

49:8 ユダよ。兄弟たちはあなたをたたえ、あなたの手は敵のうなじの上にあり、あなたの父の子らはあなたを伏し拝む。 49:9 ユダは獅子の子。わが子よ。あなたは獲物によって成長する。雄獅子のように、また雌獅子のように、彼はうずくまり、身を伏せる。だれがこれを起こすことができようか。 49:10 王権はユダを離れず、統治者の杖はその足の間を離れることはない。ついにはシロが来て、国々の民は彼に従う。 49:11 彼はそのろばをぶどうの木につなぎ、その雌ろばの子を、良いぶどうの木につなぐ。彼はその着物を、ぶどう酒で洗い、その衣をぶどうの血で洗う。 49:12 その目はぶどう酒によって曇り、その歯は乳によって白い。

 ユダに関しては誰よりも長い言葉が費やされています。一般にヨセフが長子の特権を継承したと言う説とユダだという説がありますが、私はこのユダへの言葉とその後のイスラエル人の歴史を見るとユダが長子の特権を得たと言うのが適切だと思います。ヨセフはエフライムとマナセがヤコブの孫から子供に昇格していますが、ヨセフそのものはヤコブを越えて大きくなったのであえて長子の特権など要らなかったでしょう。エフライムはその後北朝イスラエルを率いますが、結局不信仰のゆえにアッシリアに滅ぼされてしまいます。その後の歴史ではユダが中心となります。そして王の王ダビデとメシヤであるイエス・キリストはユダ族から生まれたのです。

49:13 ゼブルンは海辺に住み、そこは船の着く岸辺。その背中はシドンにまで至る。
49:14 イッサカルはたくましいろばで、彼は二つの鞍袋の間に伏す。 49:15 彼は、休息がいかにも好ましく、その地が、いかにも麗しいのを見た。しかし、彼の肩は重荷を負ってたわみ、苦役を強いられる奴隷となった。
49:16 ダンはおのれの民をさばくであろう、イスラエルのほかの部族のように。 49:17 ダンは、道のかたわらの蛇、小道のほとりのまむしとなって、馬のかかとをかむ。それゆえ、乗る者はうしろに落ちる。 49:18 主よ。私はあなたの救いを待ち望む。
49:19 ガドについては、襲う者が彼を襲うが、彼はかえって彼らのかかとを襲う。
49:20 アシェルには、その食物が豊かになり、彼は王のごちそうを作り出す。
49:21 ナフタリは放たれた雌鹿で、美しい子鹿を産む。


 これらの子供たちへの言葉は彼らがエジプトを脱出してからカナンに住んだ地域を予言していますが、それ以上のことはユダヤ人にでも聞かないと判らないでしょう。

49:22 ヨセフは実を結ぶ若枝、泉のほとりの実を結ぶ若枝、その枝は垣を越える。 49:23 弓を射る者は彼を激しく攻め、彼を射て、悩ました。 49:24 しかし、彼の弓はたるむことなく、彼の腕はすばやい。これはヤコブの全能者の手により、それはイスラエルの岩なる牧者による。 49:25 あなたを助けようとされるあなたの父の神により、また、あなたを祝福しようとされる全能者によって。その祝福は上よりの天の祝福、下に横たわる大いなる水の祝福、乳房と胎の祝福。 49:26 あなたの父の祝福は、私の親たちの祝福にまさり、永遠の丘のきわみにまで及ぶ。これらがヨセフのかしらの上にあり、その兄弟たちから選び出された者の頭上にあるように。

ヨセフに関してはもう何も付け加えるものはありません。彼は父ヤコブを越えて偉大な人となりました。しかし、それが彼の子供たちに継承されたとは言えません。ヨセフ一代の祝福でしょう。エフライムは一応北朝イスラエルの指導者にはなりましたが。

49:27 ベニヤミンはかみ裂く狼。朝には獲物を食らい、夕には略奪したものを分ける。」

 ベニヤミン族はベニヤミンが末っ子だったためにわがまま勝手な印象を与えます。彼らはその暴虐のゆえに一族の滅亡寸前にまでなることがあります。
* あるレビ人のそばめにベニヤミン族の人々が乱暴して殺したことから,ベニヤミン族は全イスラエルと戦って破れ,部族滅亡の危機に陥ったことがあった(士20‐21章).ペリシテ人の圧迫からイスラエルを救出したサウルはベニヤミン人であった(Tサム9:1,14:52).ダビデが王位につくと,彼を支持するベニヤミン人もあったが(Uサム3:19),反感を持つ者もいた(Uサム16:11,19:17,20:1).ソロモンはその行政区の一つにベニヤミンを入れた(T列4:18).その後ベニヤミンの名は「ユダとベニヤミン」というように,ユダと組み合されていった(T列12:23).エルサレムには「ベニヤミンの門」があり(エレ20:2),エゼキエルの幻においてはユダとベニヤミンの地域は近接している(エゼ48:22). 「ベニヤミンはかみ裂く狼」(創49:27)はこの部族の力と勇敢さを表しており,エフデ(士3:15),サウル(Tサム9:1),勇士たち(T歴8:40),エステル(エス2:5),パウロ(ロマ11:1)はベニヤミン族の出身である.

12支族の紋章
49:28 これらすべてはイスラエルの部族で、十二であった。これは彼らの父が彼らに語ったことである。彼は彼らを祝福したとき、おのおのにふさわしい祝福を与えたのであった。 49:29 彼はまた彼らに命じて言った。「私は私の民に加えられようとしている。私をヘテ人エフロンの畑地にあるほら穴に、私の先祖たちといっしょに葬ってくれ。 49:30 そのほら穴は、カナンの地のマムレに面したマクペラの畑地にあり、アブラハムがヘテ人エフロンから私有の墓地とするために、畑地とともに買い取ったものだ。 49:31 そこには、アブラハムとその妻サラとが葬られ、そこに、イサクと妻リベカも葬られ、そこに私はレアを葬った。 49:32 その畑地とその中にあるほら穴は、ヘテ人たちから買ったものである。」 49:33 ヤコブは子らに命じ終わると、足を床の中に入れ、息絶えて、自分の民に加えられた。

 ヤコブは死に当たってヨセフに、自分をカナンの地の、後にヘブロンと呼ばれる土地のアブラハムの墓地に葬るように頼みます。そこにはアブラハムとサラ、イサクとリベカが葬られていました。そしてレアも。やはり正式な妻はレアだったのです。ラケルは気の毒にもベツレヘムにひとり淋しく葬られています。

*次にこれらの部族の特徴をまとめたものをインターネットのサイトから借用します。
◆ルベン族…………優れた威厳と優れた力の持ち主。水のような奔放性。少数派。
◆シメオン族………暴虐性。国中に散らされる。
◆ユダ族……………獅子のように獲物によって成長する。王権と指導力。繁栄。自己防衛。
◆ダン族……………己の民を裁く。マムシのような狡猾さ。
◆ナフタリ族………牝鹿のような美人系。善良さ。優雅さ。恵みに満ち足りる。
◆ガド族……………防衛的。勇敢さ。正義感。最良の地を見つける。
◆アシェル族………王の食卓に美味を供える。穏やかさ。
◆イッサカル族……たくましいロバのよう。労働。苦役を強いられる。
◆ゼブルン族………海辺に住む。そこは舟の出入りする港となり、その境はシドンに及ぶ。
◆ベニヤミン族……オオカミのように好戦的。主に愛される者。
◆マナセ族&………大自然の祝福。膨大な恩恵。生産の祝福。地の果て果てまで、
◆エフライム族  国々の民をことごとく突き倒していく進出力。