メッセージ080106                小 石  泉

水 の 星


 ある方の、思いがけないご招待で、年末年始を豪華客船飛鳥Uでグアム、サイパン10日間のクルーズに行ってきました。快適な船室、豪華な食事、広いラウンジの籐椅子に座れば「お飲み物はいかがですか?」とマケドニア人のウエイトレスがコーヒーでもジュースでも持ってきてくれます。(食堂のウエイターと、それ以外の従業員はほとんどフイリッピン人)深夜以外はハンバーガーなどの軽食も自由。お酒以外は全てただです。コインランドリーがあるというので100円玉をかき集めていけば洗剤から全てがただ・・・ビンボー人なんだなあオレはと実感しました。食事のとき、宝石をいっぱい付けたご婦人から、「飛鳥は何度目でございますの?」と聞かれて、「初めてです・・・そして・・・おそらく最後です・・・」とは言わなかった。
 日本にはこんなに金持ちが沢山いるのだなあ! なにしろ一人55万円から100万円以上という800の客室が満室! それどころか3年間3億円で乗り続けたという人がひとりふたりではない複数居る! 私たちは、金持ちの海の中に投げ込まれた貧乏人代表という居心地の悪さを耐えつつ、せっかく90台まで下がった血糖値が上り続けるのを頭の中から振り払いつつ、とにかく不思議な体験を味わいました。

パウロ先生はピリピ4:12でこう言っています。

私は、貧しさの中にいる道も知っており、豊かさの中にいる道も知っています。また、飽くことにも飢えることにも、富むことにも乏しいことにも、あらゆる境遇に対処する秘訣を心得ています。

 私たちはどちらかといえば貧しさの中にいることだけが信仰のように考えていますが豊かさに対処することも少しは必要なのかもしれません。良い経験でした。                                       豪華なラウンジ
  私はこの旅行の間、次の御言葉が頭から離れませんでした。

ついで神は「大空よ。水の間にあれ。水と水との間に区別があるように。」と仰せられた。こうして神は、大空を造り、大空の下にある水と、大空の上にある水とを区別された。するとそのようになった。神は、その大空を天と名づけられた。こうして夕があり、朝があった。第二日。創世記1:6〜8

 私は今までこんなに多くの水に囲まれたことはありませんでした。360度が海。かすかに地球の円周が分かります。水と空がはっきりと区別され、水なのに空間に飛び散ることも、蒸発して失われることもなくそこにあり続けるのです。宇宙にどれほどの星があるか知れませんが、こんなに水が豊かにある星は地球以外に絶対にないだろうなと思いました。

すなわち、天は古い昔からあり、地は神のことばによって水から出て、水によって成ったのであって、当時の世界は、その水により、洪水におおわれて滅びました。Uペテロ3:5〜6

 地球は水から出来たのです。改めてそのことを目で見る思いでした。人々には何でもない当たり前の光景なのかもしれませんが、私には不思議で、不思議でたまらないことでした。陸上から見ている一方だけの水平線ではなく、回りを全て水平線に囲まれると、人間の小さなことがひしひしと感じられます。島影も行き交う船もなく、茫漠とした大海原の中ではさしもの巨船も頼りなげです。
 たまたま往路で二度ほどエンジンが停止し、船長が「しばらく漂流します」(漂流なんて言葉を使うか!)と言われたときは、どうしてもタイタニックを思い出しました。タイタニックが沈んだとき、直立した船体の船底に「神はいない」と書かれていたといいます。                                        
 乗客をあきさせないように、いろいろなイベントが毎日もたれていました。それで私は「教養としての聖書講座」というのを開きたいと申し出たのですが、「今回は準備できません、またの機会に」ということでした。またの機会か・・・あるかねえ。
 サイパンに行ったときのことです。ツアーで行く所がほとんど第二次世界大戦の激戦地でした。そこしかないのでしょう。私たちは日常の日本ではもうとっくに忘れていた戦争の傷跡に、突然、放り込まれたような思いでした。

 南の島はあくまでも明るく、海は
 美しいのに、何万人もの死の記憶が生々しく残っているのです。毎日、美食だエステだと言っている乗客の      
婦人たちが、どんな思いでこれを見るのだろうかと思いました。豊かさを満喫するのは女性ですね。正餐の時、男はせいぜいモーニングかダークスーツ。女性は華やかな衣装や髪形にお金をかけるものですからね。
 それにしても、私たちはみんな、まもなく神の御前に行くのです。一般人3000人が飛び込んで自殺したというスイサイドクリフ先ほどの、ペテロ第二の手紙の続きは次のようになっています。

しかし、今の天と地は、同じみことばによって、火に焼かれるためにとっておかれ、不敬虔な者どものさばきと滅びとの日まで、保たれているのです。3:7