メッセージ070923 小 石 泉
Bible Land museum
バイブルランド博物館
創世記 アブラハム]V イサクの妻
24:1 アブラハムは年を重ねて、老人になっていた。主は、あらゆる面でアブラハムを祝福しておられた。
24:2 そのころ、アブラハムは、自分の全財産を管理している家の最年長のしもべに、こう言った。「あなたの手を私のももの下に入れてくれ。
24:3 私はあなたに、天の神、地の神である主にかけて誓わせる。私がいっしょに住んでいるカナン人の娘の中から、私の息子の妻をめとってはならない。
24:4 あなたは私の生まれ故郷に行き、私の息子イサクのために妻を迎えなさい。」
24:5 しもべは彼に言った。「もしかして、その女の人が、私についてこの国へ来ようとしない場合、お子を、あなたの出身地へ連れ戻さなければなりませんか。」
24:6 アブラハムは彼に言った。「私の息子をあそこへ連れ帰らないように気をつけなさい。
24:7 私を、私の父の家、私の生まれ故郷から連れ出し、私に誓って、『あなたの子孫にこの地を与える。』と約束して仰せられた天の神、主は、御使いをあなたの前に遣わされる。あなたは、あそこで私の息子のために妻を迎えなさい。
24:8 もし、その女があなたについて来ようとしないなら、あなたはこの私との誓いから解かれる。ただし、私の息子をあそこへ連れ帰ってはならない。」
24:9 それでしもべは、その手を主人であるアブラハムのももの下に入れ、このことについて彼に誓った。
24:10 しもべは主人のらくだの中から十頭のらくだを取り、そして出かけた。また主人のあらゆる貴重な品々を持って行った。彼は立ってアラム・ナハライムのナホルの町へ行った。
この物語には、ほとんど解説は要りませんね。美しい結婚のお話です。アブラハムの最も忠実なこのしもべはエリエゼルだろうと思われます。イサクが生まれる前にアブラハムが跡取りと考えていた奴隷でした。アブラハムの「全財産を管理している家の最年長のしもべ」はエリエゼル以外には考えら得ません。この人は忠実で謙遜で真実なすばらしい人物です。そして、今回はじめて気がついたのですが、この物語にはエリエゼルと言う名前が入っていません。それは恐らく、エリエゼル自身が書いたか、伝えたからではないかと思われます。だから、場面、場面が生き生きと書かれているのです。ヨハネが福音書の中でやはり自分の名を書かなかったように、エリエゼルも自分の名を伏せたのでしょう。
ここには実に美しい従順なしもべの姿があります。
1.アブラハムは自分の大切な跡取りの嫁を探してくるように頼んでいますが、彼ならきっとすばらしい嫁を探してくると全く信頼して頼んでいます。ももの下に手を入れるというの当時の最も重大な誓だったのでしょう。
2.次に、エリエゼルは、何を持っていくか、どれ位の人数で行くか、どんな贈り物をするべきかなど、いちいちアブラハムに聞いていません。らくだは10頭。あらゆる貴重な品々。エリエゼルは常識、礼節をわきまえた賢い人だったのです。
私たちは、キリストのしもべと自称しますが、エリエゼルのように賢く、主に全く信頼
されているでしょうか。神に全てをゆだねられるしもべでしょうか? 遠い話ですね。私
たちは、いつまでも、いつまでも、神に要求するだけ、不足だらけ、泣き言ばかりの祈り、
そんな役立たずのしもべではないでしょうか。何だかこんなイエス様の声が聞こえてきそ
うです・・・。
イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な、曲った時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまであなたがたに我慢ができようか。その子をここに、わたしのところに連れてきなさい」。マタイ17:17
さらに、
ところで、あなたがたのだれかに、耕作か羊飼いをするしもべがいるとして、そのしもべが野らから帰って来たとき、『さあ、さあ、ここに来て、食事をしなさい。』としもべに言うでしょうか。かえって、『私の食事の用意をし、帯を締めて私の食事が済むまで給仕しなさい。あとで、自分の食事をしなさい。』と言わないでしょうか。しもべが言いつけられたことをしたからといって、そのしもべに感謝するでしょうか。 あなたがたもそのとおりです。自分に言いつけられたことをみな、してしまったら、『私たちは役に立たないしもべです。なすべきことをしただけです。』と言いなさい。ルカ17:7〜10
昔、奴隷が雇用期間を終え、もう自由にどこに行ってもいいということがあったそうです。しかし、その奴隷が、「私はこのご主人に一生仕えたいです」といった場合、彼の耳たぶに穴を開け、金の輪を通しました。これを終身奴隷と言い、この奴隷をつれて歩くことは非常に名誉なことだったと言います。今のピアスはその名残なのです。あなたはキリストの終身奴隷になりたいですか? もちろん、あなたはいつでも自由にどこにでも行けるのですよ。
24:11 彼は夕暮れ時、女たちが水を汲みに出て来るころ、町の外の井戸のところに、らくだを伏させた。 24:12 そうして言った。「私の主人アブラハムの神、主よ。きょう、私のためにどうか取り計らってください。私の主人アブラハムに恵みを施してください。 24:13 ご覧ください。私は泉のほとりに立っています。この町の人々の娘たちが、水を汲みに出てまいりましょう。 24:14 私が娘に『どうかあなたの水がめを傾けて私に飲ませてください。』と言い、その娘が『お飲みください。私はあなたのらくだにも水を飲ませましょう。』と言ったなら、その娘こそ、あなたがしもべイサクのために定めておられたのです。このことで私は、あなたが私の主人に恵みを施されたことを知ることができますように。」 24:15 こうして彼がまだ言い終わらないうちに、見よ、リベカが水がめを肩に載せて出て来た。リベカはアブラハムの兄弟ナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘であった。 24:16 この娘は非常に美しく、処女で、男が触れたことがなかった。彼女は泉に降りて行き、水がめに水を満たし、そして上がって来た。 24:17 しもべは彼女に会いに走って行き、そして言った。「どうか、あなたの水がめから、少し水を飲ませてください。」 24:18 すると彼女は、「どうぞ、お飲みください。だんなさま。」と言って、すばやく、その手に水がめを取り降ろし、彼に飲ませた。 24:19 彼に水を飲ませ終わると、彼女は、「あなたのらくだのためにも、それが飲み終わるまで、水を汲んで差し上げましょう。」と言った。 24:20 彼女は急いで水がめの水を水ぶねにあけ、水を汲むためにまた井戸のところまで走って行き、その全部のらくだのために水を汲んだ。 24:21 この人は、主が自分の旅を成功させてくださったかどうかを知ろうと、黙って彼女を見つめていた。
ここにも美しい人が出てきます。リベカです。顔だけではなく心も美しい女性でした。何と、エリエゼルが祈るや否や、アブラハムの親族の娘が現れたのです。この地方の井戸は深い穴に階段を下りていって汲む場合と、つるべのように汲み出す場合とがありました。いずれにせよリベカはエリエゼルたちの水だけではなく、らくだにも飲ませましょうと、エリエゼルの祈りの通りに答えました。優しい性格が現れています。エリエゼルは天にも昇る気持ちだったことでしょう。しかし、はやる心をじっと抑えて神様がなさることを見守っていました。
24:22 らくだが水を飲み終わったとき、その人は、重さ一ベカの金の飾り輪と、彼女の腕のために、重さ十シェケルの二つの金の腕輪を取り、
24:23 尋ねた。「あなたは、どなたの娘さんですか。どうか私に言ってください。あなたの父上の家には、私どもが泊めていただく場所があるでしょうか。」
24:24 彼女が答えた。「私はナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘です。」 24:25
そして言った。「私たちのところには、わらも、飼料もたくさんあります。それにまたお泊まりになる場所もあります。」
24:26 そこでその人は、ひざまずき、主を礼拝して、 24:27 言った。「私の主人アブラハムの神、主がほめたたえられますように。主は私の主人に対する恵みとまこととをお捨てにならなかった。主はこの私をも途中つつがなく、私の主人の兄弟の家に導かれた。」
24:28 その娘は走って行って、自分の母の家の者に、これらのことを告げた。
24:29 リベカにはひとりの兄があって、その名をラバンと言った。ラバンは外へ出て泉のところにいるその人のもとへ走って行った。
24:30 彼は鼻の飾り輪と妹の腕にある腕輪を見、また、「あの人がこう私に言われました。」と言った妹リベカのことばを聞くとすぐ、その人のところに行った。すると見よ。その人は泉の
ほとり、らくだのそばに立っていた。 24:31 そこで彼は言った。
「どうぞおいでください。主に祝福された方。どうして外に立っておられるのですか。私は家と、らくだのための場所を用意しております。」
24:32 それでその人は家の中にはいった。らくだの荷は解かれ、らくだにはわらと飼料が与えられ、その人の足と、その従者たちの足を洗う水も与えられた。
イラスト: 渡辺 百合
リベカがアブラハムの兄弟ナホルの娘だったと聞いたとき、エリエゼルの全身には戦慄が走ったことでしょう。神の導きとはこういうことです。彼はすぐに高価な贈り物をしました。1ベカは約5〜6g、10シケルは約100グラムです。我々、品のないものはすぐに値段を考えてしまいますが、ここでは止めましょう。おそらくこの時は、ナホルは死んでいて、兄のラバンの元にリベカは居たのでしょう。リベカは走っていって親族に告げました。ラバンも驚いたことでしょう。主人の息子さんのための嫁探しに来たというキャラバンなんて珍しい話です。ラバンは走って行き、エリエゼルの一行を迎えました。