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創世記 アブラハムVOL [

イラスト 渡辺百合
19:1 そのふたりの御使いは夕暮れにソドムに着いた。ロトはソドムの門のところにすわっていた。ロトは彼らを見るなり、立ち上がって彼らを迎え、顔を地につけて伏し拝んだ。 19:2 そして言った。「さあ、ご主人。どうか、あなたがたのしもべの家に立ち寄り、足を洗って、お泊まりください。そして、朝早く旅を続けてください。」すると彼らは言った。「いや、わたしたちは広場に泊まろう。」 19:3 しかし、彼がしきりに勧めたので、彼らは彼のところに向かい、彼の家の中にはいった。ロトは彼らのためにごちそうを作り、パン種を入れないパンを焼いた。こうして彼らは食事をした。
 19:4 彼らが床につかないうちに、町の者たち、ソドムの人々が、若い者から年寄りまで、すべての人が、町の隅々から来て、その家を取り囲んだ。 19:5 そしてロトに向かって叫んで言った。「今夜おまえのところにやって来た男たちはどこにいるのか。ここに連れ出せ。彼らをよく知りたいのだ。」 19:6 ロトは戸口にいる彼らのところに出て、うしろの戸をしめた。 19:7 そして言った。「兄弟たちよ。どうか悪いことはしないでください。 19:8 お願いですから。私にはまだ男を知らない二人の娘があります。娘たちをみなの前に連れて来ますから、あなたがたの好きなようにしてください。ただ、あの人たちには何もしないでください。あの人たちは私の屋根の下に身を寄せたのですから。」 19:9 しかし彼らは言った。「引っ込んでいろ。」そしてまた言った。「こいつはよそ者として来たくせに、さばきつかさのようにふるまっている。さあ、おまえを、あいつらよりもひどいめに合わせてやろう。」彼らはロトのからだを激しく押しつけ、戸を破ろうと近づいて来た。
  19:10 すると、あの人たちが手を差し伸べて、ロトを自分たちのいる家の中に連れ込んで、戸をしめた。 19:11 家の戸口にいた者たちは、小さい者も大きい者もみな、目つぶしをくらったので、彼らは戸口を見つけるのに疲れ果てた。


この箇所は読むのも話すのもいやなところです。何で聖書にこんなことが書かれているのだろうと思う人は多いでしょう。しかし、これが人間の赤裸々な姿です。
 ソドムと言うのは「石灰の場所」と言う意味ですが、現在の英語のSodomy(同性愛、男色)と言う言葉の語源になったように非常に汚れた町でした。
 アブラハムと語り終えた神様が天に帰られ前に、残る二人の天使はソドムの町に行きました。ロトはこの汚れた町に住んでいても、さすがにアブラハムの影響があったのでしょう、二人の人が只者ではないと悟り、アブラハムのように丁重に迎えています。そして聖なるパン、ふくらし粉を入れないパンを焼いてもてなしました。すると、ソドムの町中の男たちが老いも若きもロトの家に来て、あの二人を出せと要求しました。恐らく天使たちは美しい姿をしていたのでしょう。男たちが「彼らをよく知りたいのだ」と言っているのは、同性愛的な対象にしたいという意味です。
 困り果てたロトが出した交換条件もひどいものでした。二人の処女の娘を差し出すから天使たちには手出しをしないでくれと言うのです。騒乱がいよいよ激しくなったとき、天使たちは自分たちの持っている超能力を使って、彼らの目をくらませました。
 この町でロトは議員のような立場にいたようです。いつもは人々に尊敬されていたのでしょう。しかし、何かあると「こいつはよそ者として来たくせに、さばきつかさのようにふるまっている。さあ、おまえを、あいつらよりもひどい目に合わせてやろう。」と言うことになります。この世と妥協して生きると、ひどい目にあうという実例です。ソビエトで革命が起きたとき、その仲間に加わり、共産主義を誉めそやしたクリスチャンが真っ先に殺されたということです。信仰の道は真実に歩むことです。

19:12 ふたりはロトに言った。「ほかにあなたの身内の者がここにいますか。あなたの婿やあなたの息子、娘、あるいはこの町にいるあなたの身内の者をみな、この場所から連れ出しなさい。
19:13 わたしたちはこの場所を滅ぼそうとしているからです。彼らに対する叫びが主の前で大きくなったので、主はこの町を滅ぼすために、わたしたちを遣わされたのです。」 19:14 そこでロトは出て行き、娘たちをめとった婿たちに告げて言った。「立ってこの場所から出て行きなさい。主がこの町を滅ぼそうとしておられるから。」しかし、彼の婿たちには、それは冗談のように思われた。
19:15 夜が明けるころ、御使いたちはロトを促して言った。「さあ立って、あなたの妻と、ここにいるふたりの娘たちを連れて行きなさい。さもないと、あなたはこの町の咎のために滅ぼし尽くされてしまおう。」 19:16 しかし彼はためらっていた。すると、その人たちは彼の手と彼の妻の手と、ふたりの娘の手をつかんだ。――主の彼に対するあわれみによる。そして彼らを連れ出し、町の外に置いた。 19:17 彼らを外のほうに連れ出したとき、そのひとりは言った。「いのちがけで逃げなさい。うしろを振り返ってはいけない。この低地のどこででも立ち止まってはならない。山に逃げなさい。さもないと滅ぼされてしまう。」 19:18 ロトは彼らに言った。「主よ。どうか、そんなことになりませんように。 19:19 ご覧ください。このしもべはあなたの心にかない、あなたは私のいのちを救って大きな恵みを与えてくださいました。しかし、私は、山に逃げることができません。わざわいが追いついて、たぶん私は死ぬでしょう。 19:20 ご覧ください。あそこの町は、のがれるのに近いのです。しかもあんなに小さいのです。どうか、あそこに逃げさせてください。あんなに小さいではありませんか。私のいのちを生かしてください。」 19:21 その人は彼に言った。「よろしい。わたしはこのことでも、あなたの願いを入れ、あなたの言うその町を滅ぼすまい。 19:22 急いでそこへのがれなさい。あなたがあそこにはいるまでは、わたしは何もできないから。」それゆえ、その町の名はツォアルと呼ばれた。19:23 太陽が地上に上ったころ、ロトはツォアルに着いた。 19:24 そのとき、主はソドムとゴモラの上に、硫黄の火を天の主のところから降らせ、 19:25 これらの町々と低地全体と、その町々の住民と、その地の植物をみな滅ぼされた。 19:26 ロトのうしろにいた彼の妻は、振り返ったので、塩の柱になってしまった。


 天使たちはロトに早くここを出なさいと勧めます。長年住み慣れた家、築いた財産、それらを全て捨てて、逃げなさいとロトは家族に言いますが、皆信じません。特に娘の夫たちはソドムの人間だったのでしょう、笑って取り合わないのです。ついにロトは妻と二人の娘だけを連れてソドムを出ます。後ろを振り向いてはいけない、とにかく高いところに。振り向いてはいけないというのは、高温のマグマによる光と稲妻によって目をやられるからでしょうが、霊的に考えれば罪深い享楽の町、時を振り返ってはならないと言う意味にもなるでしょう。高いところと言うのは、ソドムは低地でそこにマグマから噴出する火砕流や熱水が満ちるからでしょう。何度もお話したように、ソドムはアフリカに元を発する、大地溝帯の末端で、いつマグマの噴出があってもおかしくない地形でした。この日、地下深くにあるマグマが、神の御手によって噴出しました。溶岩流、火砕流、熱水、硫黄、塩などの化学物質、それらのものが一瞬にソドムとゴモラを埋め尽くしました。おそらくこれによって、ヨルダン川から流れ下る水が堰き止められアカバ湾に流れなくなり、死海が出来たと考えられます。この地点はアメリカの民間考古学者ロン・ワイアットさんによって実際に発見され特定されています。
 紀元62年、イタリヤのポンペイで同じような惨劇が起こりました。ポンペイも汚れた町でした。今の世界はどうでしょうか。神様は大きな忍耐をしておられますが、投げ出しておられるわけではありません。何時の日か、神の御手がこの世界にも伸べられることでしょう。

  死海の南部、西岸の高台に「ロトの妻」という名の岩塩のオブジェがあります。見るからに振り向いてはいけないと言う天使の言葉に従わないで、残してきた家や友人や町を眺めたかった女性らしい姿です。もっとも高さは、十数メートルはあるので、ロトの妻がそんなに背が高かったとは思えません。この物語から生まれたお話なのでしょう。
  
(一般的なイスラエルツアーではここまでは行きません。エジプトから来る場合だけ見ることが出来ます。)