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創世記Vol.11  セツの系図

5:1 これは、アダムの歴史の記録である。神はアダムを創造されたとき、神に似せて彼を造られ、 5:2 男と女とに彼らを創造された。彼らが創造された日に、神は彼らを祝福して、その名をアダムと呼ばれた。 5:3 アダムは、百三十年生きて、彼に似た、彼のかたちどおりの子を生んだ。彼はその子をセツと名づけた。 5:4 アダムはセツを生んで後、八百年生き、息子、娘たちを生んだ。 5:5 アダムは全部で九百三十年生きた。こうして彼は死んだ。 5:6 セツは百五年生きて、エノシュを生んだ。 5:7 セツはエノシュを生んで後、八百七年生き、息子、娘たちを生んだ。 5:8 セツの一生は九百十二年であった。こうして彼は死んだ。 5:9 エノシュは九十年生きて、ケナンを生んだ。 5:10 エノシュはケナンを生んで後、八百十五年生き、息子、娘たちを生んだ。 5:11 エノシュの一生は九百五年であった。こうして彼は死んだ。 5:12 ケナンは七十年生きて、マハラルエルを生んだ。5:13 ケナンはマハラルエルを生んで後、八百四十年生き、息子、娘たちを生んだ。 5:14 ケナンの一生は九百十年であった。こうして彼は死んだ。 5:15 マハラルエルは六十五年生きて、エレデを生んだ。 5:16 マハラルエルはエレデを生んで後、八百三十年生き、息子、娘たちを生んだ。 5:17 マハラルエルの一生は八百九十五年であった。こうして彼は死んだ。 5:18 エレデは百六十二年生きて、エノクを生んだ。 5:19 エレデはエノクを生んで後、八百年生き、息子、娘たちを生んだ。 5:20 エレデの一生は九百六十二年であった。こうして彼は死んだ。 5:21 エノクは六十五年生きて、メトシェラを生んだ。5:22 エノクはメトシェラを生んで後、三百年、神とともに歩んだ。そして、息子、娘たちを生んだ。 5:23 エノクの一生は三百六十五年であった。 5:24 エノクは神とともに歩んだ。神が彼を取られたので、彼はいなくなった。 5:25 メトシェラは百八十七年生きて、レメクを生んだ。 5:26 メトシェラはレメクを生んで後、七百八十二年生き、息子、娘たちを生んだ。 5:27 メトシェラの一生は九百六十九年であった。こうして彼は死んだ。 5:28 レメクは百八十二年生きて、ひとりの男の子を生んだ。 5:29 彼はその子をノアと名づけて言った。「主がこの地をのろわれたゆえに、私たちは働き、この手で苦労しているが、この私たちに、この子は慰めを与えてくれるであろう。」 5:30 レメクはノアを生んで後、五百九十五年生き、息子、娘たちを生んだ。 5:31 レメクの一生は七百七十七年であった。こうして彼は死んだ。 5:32 ノアが五百歳になったとき、ノアはセム、ハム、ヤペテを生んだ。

 「歴史の記録」とある言葉は“トーレドート”で「系図」または「由来」と言う意味です。確かに「歴史の記録」ではあるのですが、系図の方がはるかにふさわしいと思います。なんだか妙な日本語ですね。アダムの正統、嫡子セツの子孫の系図です。これをそれぞれの寿命と名前の意味を列記してみます。〔名前の後の()は口語訳の呼び方です。〕
 
アダム             930年 土  
セツ              912  償い  
エノシュ(エノス)      905  死ぬべきもの  
ケナン(カイナン)      910  獲得する  
マハラルエル(マハラレル)  895  神は輝き  
エレデ(ヤレド)       962  子孫  
エノク             365  先生  
メトシェラ(メトセラ)    969  不明(一説には投げ槍の人)  
レメク(ラメク)       777  混乱
ノア           950  休息
 この10人の祖先たちはものすごい長寿だったことが大きな特徴ですが、特に注意したいのは、これは完全な系図ではなく、多くの省略または簡略があったと思われることです。聖書の記者は必要なことだけを書いたのです。それはマタイによる福音書の冒頭のキリストの系図でも同じで、それぞれ14代とあるのに実際はいくつも抜けていることが分かっています。他にも名前の書かれていない子孫がいます。
                          イラスト渡辺 百合













   
 
この系図を元に英国教会大主教で神学者だった、ジェームス・アッシャーと言う人がアダムの誕生をBC4004年と計算し、それは聖書の欄外にも書かれるほど有名になりました。しかし、前述のヒス氏はアダムの誕生をBC15000〜30000年としています。私もそれぐらいだったのではないかと思います。それと言うのも最近の考古学的な発見発掘によって最古の文明がそれぐらいであることが分かってきたからです。
 さて、人は本当にこんなに長寿だったのでしょうか。私は聖書の文字通りに信じています。何しろアダムは本来は死なないものとして造られたのですから、罪を持つものとなったばかりの時は長生きだったとしても不思議はありません。私は長寿だっただけではなく、体も大きかったのではないかと思っています。実は世界の至る所から巨人の骨の化石が出土しています。身長2メートルどころか7メートル!(本当です)と言う化石も発掘されているのです。これはいわゆるネピリム(巨人、落ちた者、6章で話します)の化石かもしれませんが、900歳も生きるのは現在の身長では無理ではないかと単純に思うのです。
 それにしても900歳も生きると言うことは我々の10倍の知識を持つことが出来たと言うことです。一人の人が10世紀を生きると言うことは、ものすごい知識と能力と技術力があったと考えても不思議ではありません。数学や物理化学の分野でも現在に勝るとも劣らない知識とデータが蓄えられていたとも考えられます。ピラミッドや南米の文明にしても現在では解明できない技術力が報告されています。興味深いことです。
「神はアダムを創造されたとき、神に似せて彼を造られ、男と女とに彼らを創造された。彼らが創造された日に、神は彼らを祝福して、その名をアダムと呼ばれた。」(新改訳)
「神が人を創造された時、神をかたどって造り、彼らを男と女とに創造された。彼らが創
 造された時、神は彼らを祝福して、その名をアダムと名づけられた。」(口語訳)
「神は人を創造された日、神に似せてこれを造られ、男と女に創造された。創造の日に、
 彼らを祝福されて、人と名付けられた。」(新共同訳)
In the day that God created man, He made him in the likeness of God. He created them male and female, and blessed them and called them Mankind in the day they were created.(KJV)
(When God created human beings, he made them like himself. He created them male and female, blessed them, and named them "Human Beings.")(TEV)
ここに並列してみたのはその微妙な違いに注意したいからです。新改訳と口語訳は人間をアダムと訳していますが、新共同訳と英語の訳は人と訳しています。こういうところは訳するのが難しいところなのでしょう。人は本来は尊い神に似せて造られたのです。猿や類人猿とは全く関係ありません。これはネアンデルタール人と現在の人間とに全く共通点が無いことでも証明されています。(前述の「創世記の謎を解く」より)
 これらの人々の寿命を比べてみましょう。(正確なものではありません)
アダム  ―――――――――930
セツ     ―――――――――912
エノシュ   ―――――――――905
ケナン     ―――――――――910
マハラルエル   ―――――――――895
エラデ       ――――――――――965
エノク        ―――365
メトシェラ       ――――――――――969
レメク           ――――――――777
ノア              ―――――――600(大洪水)―――950
こうしてみると、ここに出てくる父たちは皆、大洪水の前に死んでいます。大洪水によって死んだのではないのです。ということは、彼らは、洪水による悲惨な裁きを受けなかったという意味において、曲りなりにも、神の御心に沿った生き方をした人々なのでしょう。 ちなみにカインの系図は簡単に書いてあり、寿命など書かれていませんが、そこに神の関心の度合いを感じます。セツの系図はやはりアダムの正統な子孫なのです。
 そして、これらの父たちの中で最も興味深いのは言うまでもなくエノクです。
「エノクは六十五年生きて、メトシェラを生んだ。エノクはメトシェラを生んで後、三百年、神とともに歩んだ。そして、息子、娘たちを生んだ。エノクの一生は三百六十五年であった。エノクは神とともに歩んだ。神が彼を取られたので、彼はいなくなった。」
エノクは神と共に歩んだ人です。しかし、聖人君子ではなく「息子、娘たちを生んだ」のですから、普通の結婚をし、普通の家庭を営んでいました。しかし、365歳のある日、神が取られたので地上から消えてしまいました。生きたまま天に移されたのです。何と幸いな人でしょうか。人類の中で生きたまま天に携えられる人がいたのです。もう一人、エリヤもそうですが不思議なことですね。
 次にレメクです。カインの子孫のレメクはその名の通り粗暴な人でしたが、セツの子孫のレメクはこの後に洪水が起こることを暗示しています。そしてノアが生まれました。
「レメクは百八十二年生きて、ひとりの男の子を生んだ。彼はその子をノアと名づけて言った。『主がこの地をのろわれたゆえに、私たちは働き、この手で苦労しているが、この私たちに、この子は慰めを与えてくれるであろう。』」ノアとは休息、慰めを意味します。よほど神に忠実で敬虔な人だったのでしょう。神の喜びが伝わってきます。