ホームページ・メッセージ061203            小 石  泉

ロシアと聖書


 今日は、すぐにでも起こる大戦争に関する聖書の予言を見ましょう。聖書の予言でハルマゲドンはあまりにも有名です。前にイスラエルに行ったとき、ハルマゲドンの語源となったメギドの丘(ハルは丘の意味。ハルメギドがなまってハルマゲドンとなった)の上に誰が建てたのか「この地で世界最後の戦争が行われるとキリスト教の伝承がある」という看板が建てられていました。かつてアイゼンハウアーは、その退任演説で「世界はハルマゲドンの恐怖におののいてきた」と言いました。そのようにハルマゲドンは世界史を終わらせる大戦争と位置づけられています。
 ところが聖書には“まだ起こったことのない大戦争”が書かれています。

主の言葉がわたしに臨んだ、「人の子よ、メセクとトバルの大君であるマゴグの地のゴグに、あなたの顔を向け、これに対して預言して、言え。主なる神はこう言われる、メセクとトバルの大君であるゴグよ、見よ、わたしはあなたの敵となる。わたしはあなたを引きもどし、あなたのあごにかぎをかけて、あなたと、あなたのすべての軍勢と、馬と、騎兵とを引き出す。彼らはみな武具をつけ、大盾、小盾を持ち、すべてつるぎをとる者で大軍である。ペルシャ、エチオピヤ、プテは彼らと共におり、みな盾とかぶとを持つ。ゴメルとそのすべての軍隊、北の果のベテ・トガルマと、そのすべての軍隊など、多くの民もあなたと共におる。あなたは備えをなせ。あなたとあなたの所に集まった軍隊は、みな備えをなせ。そしてあなたは彼らの保護者となれ。多くの日の後、あなたは集められ、終りの年にあなたは戦いから回復された地、すなわち多くの民の中から、人々が集められた地に向かい、久しく荒れすたれたイスラエルの山々に向かって進む。その人々は国々から導き出されて、みな安らかに住んでいる。あなたはそのすべての軍隊および多くの民を率いて上り、暴風のように進み、雲のように地をおおう。エゼキエル書38:1〜9

 ここはマゴグの地のゴグという民族が中東に侵攻するという予言です。このゴグはイスラエルから見て北の方角コーカサス山脈の向こうに住むと古い聖書解説者は言っています。そして、このメセクとトバルはそれぞれモスクワ、トボルスクのことだと言われます。
 「多くの日の後」このゴグは「終りの年にあなたは戦いから回復された地、すなわち多くの民の中から、人々が集められた地に向かい、久しく荒れすたれたイスラエルの山々に向かって進」みます。すなわちイスラエルを中心とする中東に大軍を送るのです。一緒に行動する国々がはっきりと予言されています。ペルシャ、エチオピヤ、プテ、ゴメルとそのすべての軍隊、北の果のベテ・トガルマです。この内、ペルシャは今のイラン、エチオピアはそのまま、プテは今のリビア、ゴメル、ベテ・トガルマはそれぞれ旧ソビエトの国々と考えられます。重要なことは、このような戦争はまだ起こったことがないということです。それは「多くの日の後」「終りの年」に起こるのです。
 ロシアは第二次世界大戦後、大変な苦労の末にアメリカに匹敵する軍事力を蓄えました。核弾頭に至ってはアメリカをしのぐ数を持っています。戦後、アメリカは世界の警察を自称して世界中で戦争を起こしてきました。その中には旧ソビエトの国ユーゴスラビアやアフガニスタン、イラクなどロシアにとって重要な国々もありました。しかし、ロシアはじっと忍耐してアメリカと対決することを避けてきました。そして今、ロシアと軍事同盟を結んでいるイランを標的にしています。イランはあのペルシャです。ロシアはアメリカがイランを攻撃するなら反撃すると明言しています。
 プーチン大統領は、前任者のゴルバチョフ、エリツインと決定的に違う立場にあります。それはこの二人が西側の支援によって大統領となり、ロシアの富を西側に流出させたことを怒っている人々によって立てられたことです。「アメリカの横暴に対してロシア軍の忍耐は限界に来ている」と昨年来日した、元ロシア首相プリマコフ氏は言っています。
 エゼキエルの予言は次のように続きます。

主なる神はこう言われる、その日に、あなたの心に思いが起り、悪い計りごとを企てて、言う、『わたしは無防備の村々の地に上り、穏やかにして安らかに住む民、すべて石がきもなく、貫の木も門もない地に住む者どもを攻めよう』と。そしてあなたは物を奪い、物をかすめ、いま人の住むようになっている荒れ跡を攻め、また国々から集まってきて、地の中央に住み、家畜と貨財とを持つ民を攻めようとする。シバ、デダン、タルシシの商人、およびそのもろもろの村々はあなたに言う、『あなたは物を奪うために来たのか。物をかすめるために軍隊を集めたのか。あなたは金銀を持ち去り、家畜と貨財とを取りあげ、大いに物を奪おうとするのか』と。38:10〜13

 ここは私にとって、非常に分かりにくい箇所でした。「わたしは無防備の村々の地に上り、穏やかにして安らかに住む民、すべて石がきもなく、貫の木も門もない地に住む者どもを攻めよう」とありますが、イスラエルは「無防備」でもなく、「穏やかにして安らかに住んで」もいないし、「すべて石がきもなく、貫の木も門もない地」ではないからです。イスラエルはものすごい軍事力を持っています。またいつもテロと攻撃に警戒しています。一般の人の住居でもシェルターと機関銃の弾に耐えられることを前提に建設されています。
 私は長年この箇所が分かりませんでした。ところがヘンリー・グルーパーという伝道者が書いた本に驚くべき記述があったのです。この「あなたの心に思いが起り、悪い計りごとを企てて」という箇所は原語ではもう一つの軍事行動と読めるのだそうです。そして師はイギリスにいるときロシアの原子力潜水艦から発射された核弾頭のミサイルによって、アメリカの多くの大都市が壊滅する幻を見せられたのです。グルーパー師は敬虔で霊的な人です。アメリカに行ったことのある人なら、「無防備の村々、穏やかにして安らかに住む民、すべて石がきもなく、貫の木も門もない地」という表現がアメリカそのものだという印象を持たれるでしょう。ロシア軍は中東、イスラエルを攻撃する前にアメリカを打ち砕くでしょう。このアメリカに対するロシアの核戦争の予言を、私は他に5人の人から聞いています。元イギリス情報部MI6の将校だったジョン・コールマン氏、元サタニストの高い地位にいてキリストによって救われたシスコ・ホィーラー女史、友人で今、監獄に入れられているフリッツ・スプリングマイヤー、純福音事業家親交会のデモス・シャカリアン氏の本に書かれているアルメニアの少年預言者、元魔術師で救われたデイヴィッド・メイヤー氏です。
 この戦争は恐らく短期間に終わるでしょうが、アメリカを初めとする同盟国においては数百、数千万人の死者が出るだろうと私は推測しています。もちろん日本も例外ではないでしょう。何しろアメリカの軍事基地が無数にあるのですから。
 ところが、中東に侵攻したロシアの同盟軍は一旦は中東一体を占領するでしょうが、たちまち同士討ちによって壊滅します。それも予言されています。

それゆえ、人の子よ、ゴグに預言して言え。主なる神はこう言われる、わが民イスラエルの安らかに住むその日に、あなたは立ちあがり、北の果のあなたの所から来る。多くの民はあなたと共におり、みな馬に乗り、その軍隊は大きく、その兵士は強い。あなたはわが民イスラエルに攻めのぼり、雲のように地をおおう。ゴグよ、終りの日にわたしはあなたを、わが国に攻めきたらせ、あなたをとおして、わたしの聖なることを諸国民の目の前にあらわして、彼らにわたしを知らせる。主なる神はこう言われる、わたしが昔、わがしもべイスラエルの預言者たちによって語ったのは、あなたのことではないか。すなわち彼らは、そのころ年久しく預言して、わたしはあなたを送って、彼らを攻めさせると言ったではないか。しかし主なる神は言われる、その日、すなわちゴグがイスラエルの地に攻め入る日に、わが怒りは現れる。わたしは、わがねたみと、燃えたつ怒りとをもって言う。その日には必ずイスラエルの地に、大いなる震動があり、海の魚、空の鳥、野の獣、すべての地に這うもの、地のおもてにあるすべての人は、わが前に打ち震える。また山々はくずれ、がけは落ち、すべての石がきは地に倒れる。主なる神は言われる、わたしはゴグに対し、すべての恐れを呼びよせる。すべての人のつるぎは、その兄弟に向けられる。38:14〜21

 この時、イスラエルには熱核兵器は使われないだろうと思います。恐らく、今なおロシアで根強い力を持っているロシア正教がそれを止めるのでしょう。使われるとしても中性子爆弾でしょう。中性子爆弾は核兵器ですが熱や爆風を伴わず、電子レンジのように生物だけを殺します。聖書にはそっくりな表現があります。

エルサレムを攻撃したもろもろの民を、主は災をもって撃たれる。すなわち彼らはなお足で立っているうちに、その肉は腐れ、目はその穴の中で腐れ、舌はその口の中で腐れる。ゼカリヤ14:12

 この後、世界は激変するでしょう。アメリカもロシアも超大国の地位を失い、ヨーロッパが世界の中心となるでしょう。もしかすると、この戦乱を収束し、世界に平和をもたらすような一人の指導者が現れるかもしれません。すでに、EU議会にはその人の議席が用意されています。それはまだ空席なのですが679議席の内の666番目です。
 私はあのゴグの指導者が今のプーチン大統領ではないかと思っています。スターリン以来、彼ほどロシア民族の心を持ったロシア人はいないこと、まだスターリン以来、彼ほどの権力を持った指導者もいなかったこと、そして、彼に次ぐ人は考えられないことです。最近の相次ぐ暗殺によって、プーチン政権は極度に秘密を守る体制を整えていることが分かります。一方、アメリカはブッシュ大統領の指導力に限界が現れています。恐らく、あと2年の任期の内に何かをやらかすかもしれません。それはイランを攻撃することです。イスラエルを守るというアメリカのスタンスから言って、イスラム諸国が核兵器を持つことは絶対に容認できないことです。
 私は神の預言者ではなく単に聖書解釈をしているだけなのですから、これが100%正しいとは言えません。こういう見方も出来るという風に受け止めてください。特に、ゴグの戦乱がハルマゲドンの前にある、独立した戦争だと解釈していることに注意してください。ゴグの乱の後にはしばらくの平和が書かれています。エゼキエル書はこの後にエルサレムに建設される第三神殿の設計図がかれているのです。到底ハルマゲドンのような最終戦争とは思えません。また、ハルマゲドンは666として表されている反キリストの後に起こることです。世界は間もなく、想像を絶する時を迎えるでしょう。それはイエス様の予言にもあります。

その時には、世の初めから現在に至るまで、かつてなく今後もないような大きな患難が起るからである。マタイ24:21

 しかし何が起ころうと、主にある者たちには恐れることはありません。主はその花嫁である教会とその細胞であるクリスチャンを守られるでしょう。