2004・2・15 小 石 泉
父権の喪失と夫婦の逆転
先日、ある韓国系の教会の牧師先生たち数人と話す機会がありました。彼らは日本を愛し永住権を取って日本の伝道に一生を捧げるというのです。これには本当に驚きました。あれほど韓国を苦しめた日本をどうして愛することができるのか。
そのうちの一人は、韓国にいれば相当大きな教会を作ることができるだろうと思った有能な人材でした。彼は毎年、車で日本全国を回って伝道しています。
さて、そんな語り合いの中で、日本には父親の権威がないという話になりました。「韓国にはまだありますよ」というのです。これは私も最近つくづく感じていたので本当に考えさせられました。
今、日本ほど父親の権威のない国は世界にまれではないでしょうか。聖書は父と母を敬うことを大切なこととして教えています。
あなたの父と母を敬え。あなたの神、主が与えようとしておられる地で、あなたの齢が長くなるためである。出エジプト20:12
あなたの父と母を敬え。あなたの神、主が命じられたとおりに。それは、あなたの齢が長くなるため、また、あなたの神、主が与えようとしておられる地で、しあわせになるためである。申命記5:16
おのおの、自分の母と父とを恐れなければならない。また、わたしの安息日を守らなければならない。わたしはあなたがたの神、主である。レビ19:3
だれでも自分の父あるいは母をのろう者は、必ず殺されなければならない。彼は自分の父あるいは母をのろった。その血の責任は彼にある。20:9
かたくなで、逆らう子がおり、父の言うことも、母の言うことも聞かず、父母に懲らしめられても、父母に従わないときは、その父と母は、彼を捕え、町の門にいる町の長老たちのところへその子を連れて行き、町の長老たちに、「私たちのこの息子は、かたくなで、逆らいます。私たちの言うことを聞きません。放蕩して、大酒飲みです。」と言いなさい。
町の人はみな、彼を石で打ちなさい。彼は死ななければならない。あなたがたのうちから悪を除き去りなさい。イスラエルがみな、聞いて恐れるために。申命記21:18〜21
「自分の父や母を侮辱する者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。申命記27:16
わが子よ。あなたの父の訓戒に聞き従え。あなたの母の教えを捨ててはならない。箴言1:8
孫たちは老人の冠、子らの光栄は彼らの父である。箴言17:6
自分の父をあざけり、母への従順をさげすむ目は、谷の烏にえぐりとられ、わしの子に食われる。箴言30:17
私は自分が父だから言うのではありません。私も子だったのです。父母を敬うことはそのまま神を敬うことに直結するからです。神は別名を父とも言います。(英語の場合は明瞭でFatherと最初の文字が大文字ならそれは神のことです。)
今、日本で起きている少年少女たちの犯罪は家庭における父権の喪失から来ていると私は信じています。特に問題なのがこの父権の喪失で、母親の方は結構、権威があるのです。これが実は最大の問題だと思います。それために、今、日本の家庭は崩壊の危機に瀕しています。それはまた日本と言う国家そのものの存続を脅かしているのです。これは決して大げさな言い方ではないと思います。
今、日本の家庭では父親の権威は地に落ちています。妻は夫より強く、夫は妻の顔色を伺いながら生活すると言った逆転現象が沢山見られます。男性は社会に出ることで常に上下関係というものがありますが、女性は自分の夫さえ抑えればもう恐れるものはありません。そのために向こう見ずに横暴な女性が生まれているのです。こういうとものすごい反発が女性から来るだろうと思います。しかし、私は牧師として多くの不幸なケースに遭遇してきました。
ある女性は全く自己中心で、世界は自分を中心に回っているとでも思っているのだろうかと思いました。事実、その方のご主人がそう言っていました。そして私の懸命の説得にもかかわらず「私はもう、彼女と共に生活することはできません。」と別れて行きました。また、ある女性は私に対しておよそ生涯で一度も聞いたこともないような口を利きました。それは全く頭から私を馬鹿にしている慇懃無礼な物言いでした。(私は決して私情を挟んでいません)私は驚いてその人を良く知る人に聞きました「よくあの人のご主人は我慢していますね。」答えは「離婚しましたよ。」でした。
同じように、夫たちよ。妻が女性であって、自分よりも弱い器だということをわきまえて妻とともに生活し、いのちの恵みをともに受け継ぐ者として尊敬しなさい。それは、あなたがたの祈りが妨げられないためです。Tペテロ3:7
本来女性は弱いものだと聖書は言っています。ところが今や女性は強い器です。これらの婦人に共通していることは、その責任が常に自分にはなく他人にあると信じ切っていることです。それはものすごく堅固な確信で、到底、動かすことはできません。一片の反省もないのです。人間関係というものはどうあっても100%自分が正しいということはありえないでしょうに。
妻たちよ。あなたがたは、主に従うように、自分の夫に従いなさい。なぜなら、キリストは教会のかしらであって、ご自身がそのからだの救い主であられるように、夫は妻のかしらであるからです。教会がキリストに従うように、妻も、すべてのことにおいて、夫に従うべきです。夫たちよ。キリストが教会を愛し、教会のためにご自身をささげられたように、あなたがたも、自分の妻を愛しなさい。エペソ5:22〜:25
それはそうとして、あなたがたも、おのおの自分の妻を自分と同様に愛しなさい。妻もまた自分の夫を敬いなさい。5:33
私はホテルの結婚式で、この御言葉からいつもこんな説教をしていました。
「夫は妻を愛しなさいと書いてありますが、妻は夫を愛しなさいとは書かれていません。夫に従いなさいとあるのです。夫は自分の命よりも妻を愛しなさい、妻は神に仕えるように夫に仕えなさい。これが神の教える家庭であり、幸せの道なのです。」
ところがある時、ホテルにクレームがありました、「あの牧師の説教はいやです。夫に従えなんて許せない。」私は驚くと共に時代を感じました。今の女性には夫に従えというのは耳にするのもいやなのだなあ、むしろ夫よ、妻に従いなさいという方が受けるだろうと。それどころか創世記から、アダムのあばら骨からエバが造られたと話したら、男が先に造られたというのが気に入らないというものまでありました!
男性の心の最大の特徴はプライドです。そのプライドが踏みにじられると、男性は怒るか、全く力を失います。男性の権威はライオンのたてがみのようなものだと思います。たてがみには何の実用性もないのです。しかし今、プライドを傷つけられ、力を失った男性が多いと思いませんか。会社で上司にいじめられ、家で妻や子にいじめられ。
あるテレビの番組で、アフリカのサバンナのライオンの家族を放送していました。ライオンはメスが獲物を捕り、オスと子供が食べます・・・・・・。ある時、父親ライオンがいないのに母親ライオンが獲物を捕りました。ところがたくさんのハイエナが寄ってきてライオンの家族を脅かすのです。母親ライオンと子供たちは獲物をあきらめて立ち去ろうとしました。ところがそこに雄ライオンが帰ってきました。彼が「ガオー」と一声吼えるとハイエナたちは蜘蛛の子を散らすように逃げて行きました。私は久しぶりに溜飲を下げました。これがオスだよ! これが男だよ!
私は明治生まれのしとやかな老婦人から、ある時こんな言葉を聞きました。彼女は慎ましく笑いながら言いました。「先生、男の人って馬鹿なものですよ。私は夫に内緒で着物やいろいろなものを買いましたが、ちっとも判らないのです。」
これが本当の賢さというものではありませんか。昔のご婦人たちは表面では夫に従い、夫を立てていますが、実はしたたかに生きていたのです。今のように小さなことまで、ことごとく張り合って、勝ったつもりが、実は相手を破壊し、家庭を破壊し、結局、自分も破壊してしまうのは決して賢いとは言えません。男と言うものは出来れば沢山のお金を妻に渡して、何でも好きなものを買いなさいと言いたいものなのですよ。
こういうわけで、父権の喪失は実は夫婦のつながりの危うさから来ていると私は思います。世のご婦人方よ、とにかく夫に従いなさい。それが神様の決められた人間の幸せです。
女性の権利を歌ったフェミニズムが最も盛んだったアメリカは今や離婚大国です。私はアメリカに行くと必ず沢山の離婚した男女に会います。クリスチャン以外の人のほとんどと言っていいほどです。そして決して幸せではないのです。神様は妻が夫に従わないことによる弊害を知っておられたのです。「夫に従え、夫を敬え」と言うのは私の意見ではなく、神の言葉です。どうぞ私に文句を言わないで下さい。
さて、もちろん私はこの逆のケース、暴力をふるったり、横暴な夫がいることも知っていますが、なぜか私はそのようなケースに出会ったことがなく、お話ししたようなケースにばかり出会うのです。もし男性の問題のケースに出会ったらまた考えましょう。