メッセージ 2001・12・23 小 石 泉 牧師
乞食と王子(クリスマスの意義)
日の出だ 日の出に 鳴った 鳴った ポーポー サイレン サイレン
カンカン チンゴン 夜明けの鐘の音 天皇陛下お喜び
みんな みんな 拍手 うれしいな母さん 皇太子様お生まれなった
これは現在の天皇がお生まれになったときの歌です。なんとものどかな歌ではありませんか。本当にこのときは日本全国が沸き立ったのです。それまでは3人の内親王様だったので、親王の誕生は国家的な慶事でした。(なお、カンカンチンゴンはランランだったかもしれません。おぼろげな記憶です。)今年、愛子様が生まれ少しだけ喜びました。
さて、国の王様の子供というのはこのように祝福されて生まれるものです。しかし、イエス様がお生まれになったとき、イスラエルでは誰もそれを祝いませんでした。ちょうちん行列も無く、歌も歌われませんでした。何と遠いペルシャの国から博士たち、マゴス、星占い師、当時の天文学者が来るまでは誰も話題にもしなかったのです。
ハレー彗星の発見者ハレーによれば当時、イスラエルの守護星座である魚座で王を表わす木星と苦難を表わす土星の会合があったということです。太陽系で最大の二つの星の会合は、さぞかし大きく輝いたことでしょう。ペルシャの星占い師たちは、これを見てイスラエルにやってきたということです。彼らは当然のことながらヘロデ王の王宮にやってきて王子の誕生を祝おうとしました。
もっとも、博士たちが来たのはイエス様の誕生から1年ぐらい後のことだったらしく、良く絵などで見られる博士と羊飼いと聖家族の出会いは無かったのです。それというのもヘロデは博士たちの言葉を頼りに、そのあたりの2歳以下の子供たちを皆殺しにしているからです。
木星と土星は、王宮を出た博士たちを導くようにエルサレムの南の空に現れ、博士たちの歩みに連れて天空に昇り、ベツレヘムについたときには頂上に達しました。博士たちがのどが渇き水を飲もうと井戸に近づくと、あの星が井戸に映っていたというので、今でもベツレヘムには博士たちの星の井戸というのがあります。本当かどうかはわかりませんが楽しい話です。
さて、イエス様は王の宮殿に生まれませんでした。絹の産着も着せられず、馬小屋の飼い葉おけの中に布にくるまれていました。子供の誕生でこれほど惨めな状況もあまり無いでしょう。普通の親ならもう少しましなところで出産をするでしょう。しかし、丁度、人口調査の為に彼らはナザレから旅行中でした。それにしてもヨセフとマリヤは、親に祝福された結婚をしたのでしょうか。いつもお話しするように、マリヤはみごもった子供を親に何と説明したのでしょうか。すでに彼女の異常な妊娠は近所でも評判になっていたようなのです。ヨセフの親はヨセフを祝福したのでしょうか。華やかな結婚式はあったのでしょうか。それは書かれていませんが、とにかくこうして神の御子はこの世にお生まれになりました。みすぼらしい馬小屋で。貧しい大工の息子として。
さて、私はこの物語を読むとき、いつも王子と乞食の童話を思い出します。瓜二つの王子と乞食が着物を取り替えたために起こる大騒動。結局、乞食が本当の王子だとわかったとき、王子はそれまで自分に接した人々の態度から人間の本性を知り、賢い王になったのです。それと同じように、イエス様がお生まれになったのは、この世で虐げられた貧しい人々の中でした。しかし、イエス様が再び来られるとき、今度は神の御子、王の王、主の主として現れなさいます。そのとき、イエス様を信じていた人々は大きな栄誉を受け、あなどり、軽んじていた人々は大いなる恥を受けるでしょう。そのときは近いのです。