タイムズ・オンライン(イギリス)
2005年3月19日
ヘンマンにはいつかウインブルドンで優勝できる才能がある
文:Neil Harman


「ティム・ヘンマンがウインブルドンで優勝する事の重大さを考えてごらんよ。イギリス・スポーツ界の歴史上、個人のものでは最大になるよね? 若者( kid )にとっては、とても大きなプレッシャーだ。そして彼はまさにそれを感じているんだ」

33歳のピート・サンプラスが、30歳の人間を kid として話すとは面白い。サンプラスは、自分はウインブルドンで勝つために生まれたのだと言う。ヘンマンはいまでも、それは自分の運命だと感じている。

サンプラスは言う。「もちろん、強い信念が必要だ。ティムは世界でベストのプレーヤーか? ノー。彼は真に偉大なプレーヤーか? ノー。でも彼はとても才能のあるプレーヤーで、もし物事がうまく運べば、それは起こり得るよ」

「対戦相手に恵まれ、スケジュールに恵まれ、聞く必要のない意見を無視する必要はある。彼がいまでも探っているひたむきな集中が、僕にはあった」

ヘンマンはイギリスのテニス・メディアを「世界最悪」と表現した。そしてサンプラスは、国のナンバー1であるヘンマンは批判に敏感だと語った。「だが、できる事はある」と彼は言う。

「一緒にエレベーターに乗っていた時の事だが、彼の携帯電話が鳴り、それはイギリスの記者からだった。僕は言ったよ。『ティム、どうなってるんだい? なぜ記者が君の電話番号を知ってるの? それは君の職業の一部なのかい?』って」

「現役の頃、僕はそういう事をしなかったよ。メディアの誰ともとりたてて親密な関係にはならなかったから、自分の電話番号を教えたりしなかった。ティムはいい人すぎて、誰も不愉快にしたくないんだ」

「毎朝目覚めたら、ただ何かに多くのエネルギーを振り向けるんだ。僕のエネルギーは上達するため、そして勝つためにトレーニングする事に向けていた。自分の妨げになるかもしれないものは望まなかったし、それをハッキリさせていた。誰とも話さなくてすめばいいのにと思っていたよ。特に初期の頃はね」

サンプラスはウインブルドンを熱愛しており、2008年にはセンターコートに屋根をつける計画だと聞いて憂鬱になった。

「僕は好きじゃないな。センターコートでプレーするイギリス人選手やトップ選手には、とても大きなアドバンテージだろう。だが他の選手たちは、プレーするのに4日待たなければならないかもしれない。それは不公平で、同時に2つの別な大会を行うようなものだよ」

「ビジネス的には、ファンやテレビのためには、賢明だと分かるよ。ウインブルドンでプレーするのは大変だ。月曜日に始まって、金曜日までプレーしなかった事もあった。ある特殊な面で選手は不安にさせられたよ」

「でもそういう場所は、他のどこにもない。だからこそ僕にはとても印象的だった。心の中で、テニス以上のものとなった。本当にウインブルドンが懐かしい。ウインブルドンのすべてが懐かしいよ。シャイで内向的な人間としては、自分を誇示できる唯一の場所だったんだ」


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