ワールドチームテニス 記者会見
2007年7月3日
ピート・サンプラス


メモ:7月10日、カリフォルニア州ニューポートビーチで開催されるアドバンタ主催のワールドチームテニス(WTT)プロリーグに、参加2シーズン目のピート・サンプラスが帰ってくる。ピートはニューポートビーチ・ブレーカーズの一員としてホームゲームを1試合プレーし、ロード――セントルイス、シュネクタディ、フィラデルフィア――で3回プレーする。

WTT プロリーグのレギュラーシーズンは、7月5〜25日に合衆国内の11カ所で行われる。各リーグの上位2チームは、7月27〜29日の WTT チャンピオンシップ・ウイークエンドに進出する。


司会者:こんにちは、お早うございます、皆さん。本日はお集まりいただき、ありがとうございます。ワールドチームテニスのロージー・クルーズです。この電話記者会見のために、ピート・サンプラスと同席しています。

ピートはこの夏、ニューポートビーチ・ブレーカーズの一員として4試合に出場します。7月10日はニューポートビーチ、7月18日はシュネクタディ、 7月19日はフィラデルフィア、そして7月24日は、彼が昨年も(1試合)プレーしたセントルイスです。

それでは質疑応答を始めます。まずヒューストンからにしましょう。

Q. 昨年から長い時間が経ちました。引退した者として、あなたのゲームが現在どんな状態か話してくれますか。もちろん1年前と比べてという意味ですが。2番目ですが、1〜2週前にジム・クーリエと話をしたところ、彼はもしウインブルドンが3セットマッチだったら、あなたは第2シードになるだろうという意見でした。同意しますか? また15カ月前にヒューストンでカムバックした時と比べて、現在の状態はどの辺りでしょう。

ピート・サンプラス:
テニスに関してだが、昨年初めてヒューストンと WTT を始めた時よりは、少しばかり良くなったよ。昨年は最高の状態という訳ではなかった。少し錆びついていて、あまり――それほど練習もしていなかった。昨年は、15カ月間は、僕はコンスタントにプレーしてきたと思う。現時点では――かなりいいプレーをしてきて、コンディション調整も進み、力も戻ってきたようだ。この6カ月間は良いプレーをしてきたよ。

今年のWTT では昨年より上手くやりたいね。昨年はあまり良くなかった。だがそれからプレーを続けてきた。この6カ月間、週に3日ヒッティングをしてきた。練習がもたらすものは素晴らしいね。それで僕のテニスは少し良くなったよ。

ウインブルドンでプレーする事については――その賛辞をありがたく思う。確かに芝生は独特なサーフェスで、3セットマッチだったら僕は恐らく今でも競い合えるだろう。サービスをキープできる。それは今でも僕が上手くやっている事の1つだ。ボレーもかなり上手くやっている。芝生というサーフェスでは確かに、現在のようなステイバックする者に対して、少しばかり有利になる。

Q.(カムバックを)そそられますね?

ピート・サンプラス:
何よりも、好奇心をそそられるね。そういう選手の1人と1セットをプレーしてみたい――僕は今でもかなりハードなサービスを打ち、ボレーも動きもかなりいい。それがいわば戦いの半分だ。ハードコートではきっと少し違うだろう。だが芝生なら――少なくとも僕が現役だった頃は、ステイバックする相手を見ると舌なめずりしていたよ。

僕は芝生でビッグサーバーだった。サーブ&ボレーをする男は、それが好きじゃなかった。僕は上手くやるんじゃないかな。多分オーケイだろう。もし本格的な練習をして、体調を整え、そしてサーブ&ボレーを山ほどして、かつてしていた事をすれば、1試合ならまあ上手くやれるだろう。

Q. もちろん、私は3セットマッチと言いましたが、実際は3セットマッチではありません。それでもあなたにチャンスがあると思います。

ピート・サンプラス:
芝生では大きな利点があるね。現在ウインブルドンで、皆がステイバックしているのを見ると悲しいよ。サーブ&ボレーのプレーではない。その種のゲームが廃れているのを見ると悲しい。芝生のテニスとは攻撃する男、サーブ&ボレーをする男だと思っていた。僕の時代には、皆がしていた事だ。今はフレンチとウインブルドンを見ても、唯一の違いはコートの色だけだ。

Q. あなたにとって WTT がアピールする理由は何ですか? 参加を呼びかけられた時に、どんな衝動に駆られましたか?

ピート・サンプラス:
僕は楽しんでいる。実際に楽しい夜だよ。競技的なテニスだ。本当のテニス。いいプレーをしたい、勝ちたいと思う環境だ。様々なプレーヤー、2つのダブルス、シングルスをファンに見てもらうんだ。チームの雰囲気がある。

実際に、いいプレーはできなかったが、昨年の経験を楽しんだよ。メンバーの多くは長年の友人で、僕はプレーする事でツアーの手助けをしたいと望んでいる。

プレーする事にワクワクしているよ。さっきも言ったように、今年は昨年よりもう少し良いプレーをして、チームを勝利に導きたいね。季節は夏だ。外でテニスをするにはいい季節だ。それにここで「名誉の殿堂」のエキシビション・マッチもある。だから僕は東海岸で2週間プレーをして、楽しみつつ準備をするんだ。

Q. あなたは「名誉の殿堂」と、ニューヨークのロックハム郡、デルウッドの大会にも出場します。同じく我々の取材範囲です。本当にかなりやってきたのですね――あなたが今年後半にフェデラーとエキシビションでプレーするのを知っていますが。予定を組み立てる時に、どんな事を考えていたのですか――今年は本格的なスケジュールですよね?

ピート・サンプラス:
うん、必要な事だった。僕は引退してから3年間、何もしなかった。少し落ち着かなくなり、退屈してきたのだと思う。何かを始める必要があった。15カ月前にリバーオークスでエキシビションに出場したが、観客の前に出た最初のエキシビションだった。

それから、いわばドアを開けて、幾つかのエキシビションやチームテニスでプレーしたが、とても楽しかったよ。クーリエの大会でもプレーした。体調を整え、準備をし、集中すべきものを与えてくれる。かつてのようにね。数カ月ごとに、楽しみにする何か、少しばかりプレーする機会を持ちたい。

今でも楽しいし、今までのように技術を使うんだ。スケジュールは、さほどきつくない。フェデラーとの対戦でアジアに行くのは、かなりユニークな状況だ。長い旅になる。相手がロジャーでなかったら、引き受けなかっただろう。我々が競い合うのは恐らくこれが最後だろうからね。

だからエキシビションに出たり WTT でプレーするのは、毎週の事ではないが、何かに関わり続けるのは誰にとってもいい事だよ。

Q. デルウッドの大会に出ようと思ったきっかけは何ですか?

ピート・サンプラス:
ニュージャージーの?

Q. はい。

ピート・サンプラス:ジャスティン・ギメルストブから話が来たんだ。僕はここ、ロサンジェルスでジャスティンと練習をしている。彼がエキシビションをしないかと訊いてきたので、僕はいいよと答えたんだ。それは「名誉の殿堂」のすぐ後、同じ日になる。興味があるなら知らせてくれと彼は言った。僕はシュネクタディでプレーする前に、数日の休日がある。1つの事が次に繋がり、ジャスティンがお膳立てを整えたんだ。プライベートな事で纏まったんだよ。僕たちがいいプレーをして、皆に楽しんでもらえたらいいね。

Q. シュネクタディでは、あなたが17歳の時にプレーしましたね。その時の経験について、また、その時点ではキャリアのどんな辺りだったのか、覚えていますか?

ピート・サンプラス:もちろん。僕はプロになったばかりで、結果を出してポイントを得て、数ドル稼ごうとしてした。

たしか――本戦ドローでワイルドカードを貰ったんだと思う。完全には覚えてないけど、僕は準決勝に進んで、当時トップ10だったティム・メイヨットに負けた事を覚えているよ。それなりにタフな戦いをしたと思う。トップ10の男と互角に戦ったような気分だったと思う。初の準決勝としては、かなりいいプレーをしていた。本当にいわば――17歳における最良の週だったね。

そんな風に若い頃は、ただあちこちで幾つかの試合に勝とうとするんだ。シュネクタディでは1回以上勝ったから、いい気分だった。ティムとそれなりに接戦を演じた事は、僕に自信を与えてくれたんだ。

Q. 若い頃に、キャリアの成功を思い描くような方法はありますか。それとも、そのような事について考えるのは早すぎますか?

ピート・サンプラス:
早すぎるよ。子供の頃は、ナンバー1になるとか、ウインブルドンで優勝するとか夢を持つ。それが本当に起こるとは思っていない。17歳の頃は、ただ自分の道を見つけ出そうとしている。まだ若者で、大人になろうとしているんだ。同時に、自分より年上で、経験豊かで、大きくて、強い男たちの間でもまれるんだよ。

その頃は上達しよう、コツを学ぼう、ゲームを改善しようとしているんだ。それには時間がかかる。一夜では実現しない。ほとんど何も知らなかった。自分がどこへ向かうのか、どれくらい良くなるのか、全く分からなかったよ。自分がメジャー大会で優勝し、今日ここに座っているとは思ってもみなかった。

僕の場合、自分の方向は何かを理解する途上で、クレージーな事が起こったという感じだ。22歳、23歳頃までに、自分の居場所がどこかを知った。

Q. 昨年 WTT に出場した時、観客にどのように迎え入れられましたか。そしてシュネクタディに戻ると、レセプションはどんな風だと予想しますか?

ピート・サンプラス:
昨年は素晴らしかったよ。これまで訪れた事のなかった都市で僕を温かく迎えてくれ、僕がプレーするのを喜んでくれた。心地よかった。僕にとって4〜5年ぶりのイベントだった。僕が久しぶりに再びプレーするのを、みんな楽しみにしてくれていた。

今年も同じだと思う。僕はこれらの試合に出る直前に、名誉の殿堂に叙せられる。それは良いキャリアに花を添えてくれるものだ。いいプレーをしたいと望んでいるよ。

それが、いわば僕の目標だ。みんな僕がいいプレーをするのを見たがってくれる。今年は昨年よりもいいパフォーマンスをしたいね。

Q. 差し迫った「名誉の殿堂」入りについては、どんな気持ちですか?

ピート・サンプラス:
興奮し、楽しみにしているよ。この2日ほど、スピーチを纏めようと取り組んでいる。自分のキャリアを振り返り、考える時だ。キャリアで経験してきた事を振り返り、家族全員を「名誉の殿堂」に招く。僕のテニスに関して、家族が集まる事はあまりなかったからね。ある意味で、少し感傷的になるだろう。

ただ楽しみにしているよ。名誉の殿堂を見て、そこに入った偉大な選手たち全員を見る事。まだそれほどピンと来ていない。だがその場に立ったら、ありがたく感じるだろう。自分のキャリアを感謝し、考える時だ。

現在の日々の生活は、子供たちの世話をする事が中心だが、今回は自分のキャリアについて考える時だ。味わう機会を与えてくれる。それを楽しみにしているよ。素晴らしい時になるだろう。

この事や「名誉の殿堂」についてクーリエと話をしたが、スピーチはあまり楽しくなかったと言っていた。終わった途端に、楽しみを味わったって。

Q. フェデラーが5年連続でウインブルドン優勝するよう応援していますか?

ピート・サンプラス:そうだね、僕はファンだ。彼のゲームのファンだよ。彼みたいなタイプの選手のファンだ。彼は5度目の優勝をすると思う。彼は大方のテニス記録も破るだろう。

彼のような男、プレーヤーは好きだよ。彼は不平を言ったりしない。人を苛立たせたりしない。彼はスムースで、見るのが楽しい。彼を真に脅かす存在はいないと思う。彼を応援している。僕はいつもお気に入りを応援するんだ。

Q. このリーグで、特に対戦してみたいという人はいますか?

ピート・サンプラス:
まあ、僕は誰と対戦するのか、よく知らない――今年は誰が出場するのか、他のチームに誰がいるのか知らないんだ。

Q. 現在、どんなラケットを使っていますか?

ピート・サンプラス:
少し大きいのを使っている。フェデラーが使っている赤と白のもの。

Q. 使い心地は気に入っていますか? 新しいテクノロジーは気に入っていますか? かつてはなかった、新しい何かがありますか?

ピート・サンプラス:
気に入っているよ。より大きいラケットを使うのはいいね。大きな相違を生み出すのはストリングスだ。半分をガット、半分をルキシロンにしている。パワーとコントロール性を与えてくれるよ。それで、皆スピンをかけてハードにボールを打つんだ。10年前にこれがあったら良かったね。僕は自分が持っていたものでプレーした。あの頃、違うものを試してみて、テクノロジーに対してもう少し心を開けば良かったよ。

今は、異なった物を試してみるのは面白いよ。

Q. 練習のプランについて触れましたが、現在は何か違った事をしていますか? 週に3回プレーすると言いました。誰としているのですか?

ピート・サンプラス:
1日おきに1時間か、1時間半ヒッティングをしている。ジムに行って、少しワークアウトをする。若い子がいるよ。大学に行っている若いプロとかね。UCLA(南カリフォルニア大学)に通っている若者とか。時々プロ選手が来る事もある。ハースとヒッティングした事もあるよ。ジム・クーリエはウッドランド・ヒルズに住んでいる。たくさんの相手がいるよ。

ジャスティン・ギメルストブとは、よく打ち合っている。練習相手に不足はないよ。一心不乱になるほどではないが、チャレンジするものを待ち受け、少し競い合う気分になるんだ。

Q. WTT が向かっている方向について、どんな印象ですか?

ピート・サンプラス:方向性はとても前向きなものだと思う。チームテニスを、プロツアーとは少し異なったものと位置づけているのだろう。コートの色とか、いろいろな事で、もう少し賑やかなものと。それは娯楽だ。シングルス、ダブルス、音楽、愉快な雰囲気、ファンがプレーヤーと接触できる場所、そういったものを少しずつ提供しようとしているんだ。

そういうものを好む人々の市場がある。昨年、セントルイスや他の場所では、チケットを完売した。それはスポーツへの情熱を興し、順調にやっている事を反映している。彼らが始めてから、何年も経った。今後さらに成功を収めていくだろう。それは情熱を証明するものだ。

楽しい夜だよ。本当に。子供たちが来て、さっきも言ったように、ファンは盛り上がり、プレーヤーと触れ合う楽しい夜だ。

Q. 人気を博していく可能性を秘めているものですか? 恐らく主流とはならないでしょうが、現在よりも大規模になるでしょうか?

ピート・サンプラス:
微妙なところだね。テニスは伝統的なスポーツだ。メジャー大会やウインブルドン、ツアーを見るだろうが、多くの伝統がある。そして WTT でしている事が主流になるには、限度があるかも知れないし、慎重を要するかも知れない。だが明確な市場はあると思う。

テニスの試合で叫んだり賑やかにやれる事を望む人々もいるし、そうでない人々もいるだろう。様々だ。これは人々がテレビで見る、あるいは自分の住む都市に WTT のチームがあるなら見に行くと選べるものだ。伝統的ではあるが、同時に違ったものも包含している。

ATP の大会をしのぐか? それは恐らくないだろう。彼らがそれを望んでいるか分からない。彼らは1カ月のシーズン、あっと言わせる事、楽しむ事が好きで、そうしながら少しばかりお金を稼ぐのだと思うよ。

Q. あなたは2002年に引退し、その後アンドレも去りました。現在の男子テニスをどう思いますか?

ピート・サンプラス:
アメリカのテニスという立場で考えると、基本的に2人の男が支配している。1人はロジャーだ。彼が僕の記録をすべて破っていくのは必至だ。記録に関する比較のために、僕はこの1年でキャリア全体よりもたくさんインタビューの依頼を受けたよ。彼は僕の14という記録を破る途上で、ニクラウスと同じくらいタイトルを勝ち取るだろう。途轍もないストーリーだ。

アメリカのテニスに関しては、少しばかりお寒い状況にある。ロディックは中心的な存在で、ブレイクもいる。彼らは良くなってきて、ロジャーに近づいていると思う。彼は倒すべき男という存在だろう。

究極的には、スポーツを売り込むのは何らかのライバル関係だ。フェデラーとナダルが際立つにつれて、そこにアメリカ人がいない事に傷つく。90年代が終わり、あの世代はアメリカの歴史で最も良い世代の1つだった。現在の状態と90年代を比較するのは厳しいよ。我々の世代と同じものを期待するのはアンフェアだと思う。ジムとアンドレ、僕で20以上のメジャー優勝をした。世界のナンバー1にもなった。それは特殊な状況だ。

現在はフェデラー、ナダル対全選手だ。そしてアンディは彼らの後ろにいる。扉を叩いている。迫ろうとしている。彼がさらに努力し、ゲームに情熱を抱いているのを見るのは楽しみだよ。だが今のところは、やはりロジャーがテニス界の長だと思う。

Q. アメリカ人がもう少しテニスを受け入れ、才能集団を生み出せると思いますか? アンディのような選手がいなくなった後、さらにスターが現れるでしょうか?

ピート・サンプラス:
それは微妙な問題だね。この国では、テニスは多くのスポーツと競合している。子供たちはフットボール、バスケットボールを手にしている。多分テニスは、どちらかと言えば都市部で盛んにできるだろう。

恵まれない子供たちがラケットを手に入れるのが難しいほど、伝統的、金持ちのスポーツという訳でもない。テニスをするのに費用はそれほど掛からない。ラケットと公共のコートがあればいいんだ。それで外に出てプレーできる。

究極的にはメジャー大会の時期が、みんながテニスを見ている時だろう。マスコミ報道が最も盛んになる時だ。そこにアメリカ人の存在感がある事、それがテニスの人気を高めるのに不可欠だと思う。

90年代には僕とアンドレがいて、それが少しばかりあった。現在、それは変わってきた。合衆国にはテニスの存在感がそれほどない。ヨーロッパとアジアに移ってきている。微妙な時期だ。我々がもっとテニスを好きになり、メジャー大会を見るようになれば、それが助けになるだろう。

Q. セレナ・ウィリアムズとヴィーナス・ウィリアムズが支配する女子テニスについてはどうでしょう。彼女たちはさらに――明らかに、都市部ではファンを増やしています。女子テニスの現状については、どう思いますか? ある意味で男子テニスを超えたと思いますか?

ピート・サンプラス:
そうだと思うよ。彼女たちが支配的で、順調にやっていた時は、テニス人気を高めたと思う。

現在もそれなりに順調だが、以前ほど支配的ではない。それは少しばかりマイナスだ。だが合衆国では、彼女たちは男子のゲームより影響力があると思う。彼女たちの個性、男子テニスには彼女たちのような存在はいない。それでも――男子のゲームの方が少しばかり競争が激しい。ファンの僕にとっては、よりアピールするよ。

確かに彼女たちは先頭に立ち、望むなら高める事もできる。何をしたいのか、それは彼女たち次第だ。偉大なプレーヤーであり、同時に彼女たちがしてきたような他の事にも関わるというのは難しいと思う。現在、彼女たちはより集中しているようだね。

Q. フルタイム、あるいはパートタイムでも、放送の仕事をもちかけられた事がありますか?

ピート・サンプラス:
公式にはないよ。NBC がやってみないかと声をかけてきたが、正直言うと出掛けていってコメンタリーをする気がないんだ。僕は上手くやるだろうと思うが、その気が――今はない。5、6、7年後には、気が変わるかも知れないけどね。

今のところ、自分がしている事に満足しているよ。だが僕はゲームを知っている。今日のプレーヤーで解説を務めている人をあまり知らないが、僕はゲームについてどう話すべきか知っているよ。

Q. NBC はバド・コリンズとの契約を打ち切ると発表しました。彼は長く放送の仕事をしてきました。彼との思い出は何かありますか? 彼とは長年、関わってきたでしょうから。

ピート・サンプラス:彼はいつも僕に親切だったよ。彼はウインブルドンにいて、僕たちは一緒に出掛けたりもした。彼は賑やかな人柄だった。ある意味で、彼のコメンタリーには少し誇張されたところもあったが、多くのファンをテニスに引き込んだ。

彼はブースで熱心に「ネット・コード」とか、もっと色々な事を叫んだりしていた。マッケンローがその役割を担ったのだろう。

バドを好きだったよ。彼はテニスを愛していた。情熱的だ。彼は惜しまれるだろう。彼は長年ウインブルドンの一部だった。彼がいなくなるのは、テニスにとってちょっとショックだ。みんな彼を好きだったと思う。溌剌とした人だったと思う。彼は確かに惜しまれるだろう。

Q. 放送に関する質問と類似していますが、ルーク・ジェンセンは現在シラキュースでコーチをしています。あなたは大学、あるいはプロレベルでのコーチングに興味を抱いた事がありますか?

ピート・サンプラス:いいや、大学にはない。もし何かあるなら、僕はこの1年、何人かの若い子とヒッティングをしてきた。若いプロ、大学に入るジュニアとか。彼らに少しばかり手を貸す事には興味を感じていた。

僕が経験してきたようなツアーでのゲーム、真剣な仕事としては、する気はない。手助けしたりちょっとアドバイスするのがいいね。

Q. 注目する若手選手はいますか?

ピート・サンプラス:
ここロサンジェルスで数回、サム・ケリーとヒッティングをした。彼は素晴らしいゲーム、心構えを持っていて、かなり上手くやれると感じた。限定的にしか見ていないが、彼は上手くやれると思う。大学に行っている若手については、あなたは知らないだろう。それ以外には、ここにはそれほど多数はいない。

だから僕は若手選手とはあまり繋がりがない。ロサンジェルス近辺にいる者を見て、一緒に練習して、というだけだ。

Q. 今はウインブルドンの最中です。何年経っても、家にいてウインブルドンにいないというのは妙な気分ですか? そして、雨による遅延を懐かしく感じますか?

ピート・サンプラス:最初の質問についてだが、引退して2年くらいは、うん、奇妙な気分だったよ。5年ほど経った今では、それほどでもないね。それに慣れた。僕はヨーロッパにいないから、ここで決勝戦を見てきた。少し違うね。

僕はテニスからもメジャー大会からも遠ざかっていて、今は家での生活に馴染んでいるよ。

雨による遅延については、懐かしくないよ。ウインブルドンで最もタフなものの1つが雨だ――ある年、月曜日にプレーして、それから金曜日までプレーしなかったのを覚えている。つまり始めからやり直しだった。ウインブルドンならではだといつも感じていた。

芝生のテニス、それは挑戦だと感じていた。最初のポイントから注意を怠らないようにしなければならない。皆が同じ条件だった。それが雨は望まないけれど、屋根をつける事に賛成しない理由だ。

雨はウインブルドンの魅力の一部でもあると思うよ。雨が降り、2時間あるいは6時間コートから離れなければならない。それはメンタルの試練だ。体力テストではない。プレー再開を待ち――いつ物を食べるか? それは本当に挑戦なんだ。

だからそういう日々は懐かしくないが、ウインブルドンは今でも懐かしいと言えるね。現在、僕は懐かしく感じる。45歳とか55歳になった時にも、やはり懐かしく感じるだろう。それは今でも僕の人生の大きな部分だ。

Q. ジャスティン・ギメルストブとエキシビションをしますね。ロジャーと対戦するのは、また別物です。その試合はどのようにして実現したのですか? どんな意味がありますか? もしあなたのサーブが65%の確率で入れば、ロジャーはあなたをブレークできないでしょう。

ピート・サンプラス:
インディアンウェルズの前にここでロジャーと練習した時、僕はかなりいいサーブを打ち、わりと楽にサービスをキープしていた。もしロジャーに好きじゃないものがあるとすれば、相手が中に詰める事、サーブ&ボレーをする事、彼にプレッシャーをかける事だろう。僕のゲームは相応に彼のゲームと噛み合うだろう。

ロジャーとプレーする前には、僕は大いに練習しなければならない。そして大いにサーブ&ボレーをしておかなければね。彼についていくには、身体を充分にフィットさせておく必要がある。

そしてとにかくプレーする、大いにプレーをして、上手くボールを打つ事だ。僕たちが対戦する時に、自分のゲームを掴んでいるといいね。ロジャーはヨーロッパで4週間プレーしてくるだろう。それで彼は下準備ができているだろうから、僕は自信を身につけていなければ。だから微妙だね。

僕はとにかく練習し、ボールを上手く打っている。ここで彼とヒッティングしたのは楽しかったよ。そして僕はここ、自宅で自分のサーブをキープできた。でも彼は多分、外で僕にあまり決まり悪い思いをさせないんじゃないかな。まあ、見てみよう。

Q. あなたは上手くやりたいと望んでいますね。あなたに証明する必要があるのか私は分かりませんが、あなたは彼に対して上手くプレーする事を望んでいます。

ピート・サンプラス:
そりゃそうだ。みんな結果に興味を持つだろう。僕たちは結果にこだわりたいとは思わないが、僕は人生のこの段階で、自分が上手くプレーして、ほんの少し彼をプッシュして、競技的なものにできるかどうか、それを楽しみにしているよ。僕がこれらの試合に勝つとは思っていない。だがもし彼をタイブレークまで押しやれたら、僕は有頂天になるだろうね。

僕はフルタイムで本格的な練習はしてこなかった。試合の前に2〜3週間毎日ヒッティングをして、彼に対してする事にとても集中したら。微妙だね――僕がどのくらい上手くやるか、興味深いね。僕にとってはサーブ&ボレーのタイミングが問題だ。僕がそのタイミングを掴み、いい動きができれば、自分のサービスゲームをある程度キープできるだろうと思う。

司会者:ピート、我々に合流してくれて、本当にありがとうございます。