ワールド・チーム・テニス サイトより
2006年7月6日
ピート・サンプラス電話記者会見
*写真は7月10日にニューポート・ビーチで行われたイベントより。


ジョシュ・ウェイスマン:『ワールド・チーム・テニス』のジョシュ ・ウェイスマンです。今日は電話記者会見に参加してくださり、感謝いたします。電話の向こうには、ピート・サンプラスがいます。月曜の夜、ニューポート・ビーチにおいて、彼は『ニューポート・ビーチ・ブレーカーズ』チームの一員としてデビューします。今年はニューポート・ビーチでホームゲームを1つ行い、7月にはロードに出て、さらに6試合に出場します。

今日の電話記者会見に合流してくれたピートに、ありがとうと言いたいと思います。
では、ピートへの質問を始めましょう。

Q. 2週間前に引退を発表したアンドレ・アガシについてですが。アンドレの引退について、あなたのコメントは?

ピート・サンプラス:以前にも言ったが、1つの時代の終わりだった。彼は偉大な選手で、テニス界に多くをもたらしてくれた。僕たちの試合では、僕の遺産とも言うべきものに、多くをもたらしてくれた。彼は惜しまれるだろう。だが同時に、先へ進み、決断をする時であると、彼は分かっていたのだと思う。

この数年、肉体的にすり減ったのだろう。そうなると、精神的にも疲れて、先へ進むべき時だと知る事になるのだと思う。彼は惜しまれる、だが人生は続く。

Q. アンドレはどのように、あなたのレガシーに影響を与えましたか?

ピート・サンプラス:始めの方が聞こえなかったんだけど。何と言ったの?

Q. どんな風に、彼はあなたのレガシーに影響を与えましたか?

ピート・サンプラス:
そうだね、何年もの間、僕が支配的だった頃は、恐らく書くべき事があまりなかっただろう。彼が本当にいいプレーをしていた頃、彼と僕がウインブルドンやUSオープンの決勝で対決した時、僕は最高のテニスをしていたと思う。

僕たちのライバル関係は、テニスファンではないかも知れない一般のスポーツファンにもアピールして、彼らは多分、チャンネルを試合に合わせたんじゃないかな。

僕たちのゲームは異なっていたし、性格も違っていたと思う。アンドレと対戦する時はいつも、ベッカーやシュティッヒ、あるいはエドバーグと対戦するのとは違うように感じていた。

さらに、2人ともアメリカ人で、世界の1位と2位だったしね。過去の10〜15年のスポーツ界の中でも、相当に素晴らしいライバル関係だったんじゃないかな。

僕たちの対戦は、最高のテニスの1つだったと思うよ。僕たちは尊敬し合っていた。お互いの間には、悪意がなかった。競争心はとても強かったけれど、それを上手く扱っていたと思う。

いつも言ってきたが、彼は僕をより良いプレーヤーにしてくれた。僕のゲームに幾つかの事をつけ加えさせてくれた。他の選手相手だったら、それ無しでもやりおおせただろう事をね。

彼は特別の男であり続ける。僕のライバルは誰だったかと聞かれたら、彼だと答えるよ。

Q. 現在の体調ですが、プレーするにはどうですか?

ピート・サンプラス:
問題ないよ。へとへとに疲れるほどではないが、週に3〜4日、1時間半くらいボールを打っている。ジムへも少し行って、サーブを打ったり動き回ったりできるように、身体を整えている。かなりいいよ。かつてには及ばないが、何試合かする分には差し支えない。

Q. 戻ってきて、『ワールド・チーム・テニス』でプレーしたいと思った理由は?

ピート・サンプラス:まあ、昨年の終わり頃、少しばかり落ち着かない気分になったんだ。多分、次は何かなと考えるのに、少し飽きてきていたんだろう。今年はプレーしてもいいな、という気になっていた。日常に何かしら規則正しさ、集中といったものを与えるためにね。

ここ数年ずっと、アラインとビリーは『チーム・テニス』に誘ってくれていたんだ。何日かプレーしないかと、彼女が話をもちかけてきた。僕はちょっとプレーして、楽しもうという気になっていた。初めに考えていたよりも、もう何日か多くプレーする事に決めた。そういう成り行きだったよ。

実際のところ、『ワールド・チーム・テニス』の後、もう少しプレーするつもりだ。幾つかエキシビションに出て、集中しようかと思っている。引退から3年が経って、自分がしている事に少しばかり飽き足らなくなっていると感じたんだ。

テニスをするのは得意だと思うし、今でもプレーが好きだよ。どれくらいプレーするか、どれくらい練習やトレーニングが必要か、自分でコントロールできるものだ。へとへとに疲れるほどはしないが、日々を規則正しいものにし、得意だった事をするんだ。

Q. かつてのように、それなりの競争心が湧き出してくると予想していますか?

ピート・サンプラス:
分からないね。さっぱりだ。どうなるか、見てみるよ。望むのは、いいプレーをして、怪我をしない事だ。それが主たる関心事だね。

適切な状況にいて、僕は競争心が強い人間だ。特にテニスコートの上では。順調にやって、そして勝つ事を望むだろう。でも、かつてのような熾烈な闘いのテニスじゃない。どうなるだろうね。

ジョシュ・ウェイスマン:ピートは7月12日、サクラメントでもプレーします。

Q. あなたは以前、もう ATP ツアーの大会でプレーする気はないと言いましたね。

ピート・サンプラス:
うん。

Q. 少し退屈になってきていたと言いましたが、再びテニスを始める前は、何をしていましたか? ゴルフですか?

ピート・サンプラス:たっぷりとゴルフをしていたよ。週に5〜6日、間違いなくプレーしてきたね。かなり上手くなった。少し燃え尽きてきて、自分がしたい事では日々が満たされない、と感じた事があった。

僕は子供と一緒に過ごしてもいた。育児に関わる事、子供の成長を見守るのは好きだ。だが同時に、僕は常に働いてきた、決まりある日々を送ってきた。

引退したばかりの頃は、決まりのない事、リラックスした生活、働かない事、もっと遊ぶ事を本当に楽しんでいた。3年が過ぎたら、目覚めた時、少し落ち着かない気分になっていた。妻によく言うんだ、僕は何かを見いだす必要がある、何かを始める必要がある、とね。

それから、プレーするという観点から、テニスを考えてみる気になった。僕にとっては、最良のものの1つだったと思うよ。さっき言ったように、週に3〜4日練習してボールを打ち、ジムへ行ってストレッチなどする事ができる。かつての気分を少しばかり思い出すね。

決まりある生活を送ってきて、それから離れると、初めは楽しいが、そのうち妙な感じで、懐かしくなるんだ。

Q. 誰とプレーしていたのですか? 練習相手がいるのですか?

ピート・サンプラス:
UCLA の選手2〜3人とやっていた。この辺ではたくさんの人が練習しているよ。

Q. 月曜の夜、あなたの家族は見に来られますね。

ピート・サンプラス:
うん。妻と長男が来るよ。次男は、きっと家にいるだろう。

Q. ご家族は、(ロビー)ジネプリとの対戦は見られたのですか?

ピート・サンプラス:
コンピュータ上では、よく見えなかったらしい。少しぼやけていた。だから、あまり見なかった。でもライブなら見るよ。

Q. お子さんは、父親だと気付いているようですか?

ピート・サンプラス:
何かしら分かっているよ。息子に伝えて、話をしたよ。本当に分かっているとは思わないけどね。僕が人前でプレーしているのを見れば、息子ももっと良く理解するだろう。今のところ、組み立ておもちゃとか、『*Dora the Explorer』とか、『機関車トーマス』などの方が、気になるようだね。
訳注:Dora the Explorer。アメリカの子供たちに大人気のアニメ。

Q. 話題は変わりますが、ウインブルドンでのナダルの進歩をどう見ますか? 彼は今大会まで、芝で2〜3試合しか勝った事がありませんでした。

ピート・サンプラス:少し驚いていると認めるよ。パリで優勝したばかりで、彼のゲームは芝に適合していなかったのに。それに彼は素晴らしい選手だ。つまり、芝の上で、精神的にとてもポジティブだと思う。

クレーコート・プレーヤーの多くが、どちらかと言えばネガティブな心構えでウインブルドンに臨む事を考えると、彼の心構えは素晴らしいと思う。彼はウインブルドンに敬意を払い、そこで上手くやりたいと望んでいるようだ。

僕はベースライン・プレーヤーのあら探しをしたり、正真正銘のグラスコート・プレーヤー、本当の意味でサーブ&ボレーをできる選手がいなくて、皆がステイバックしているので、ウインブルドンを見ていても、まるでコートが緑色のフレンチオープンを見ているようだ、とか言う事になるかと思っていたよ。誰もネットへ詰めようとしないから、彼はステイバックする者の1人として、上手くやる事ができる。

だから、それほどは驚いてはいない。10年前ならば、はるかに多くのサーブ&ボレーヤーがいて、彼は現在よりも厳しい経験をしただろうが。

Q. ロジャー(フェデラー)について、少し話してもらえますか。彼は芝で圧倒的な快進撃を続けています。彼は……今のところ、彼らは対決に向かい、間に2人の男がいるだけの状態です。ロジャー対ナダルの決勝戦になる可能性について、どう思いますか? ロジャーはこれを制するでしょうか?

ピート・サンプラス:もちろん。

Q. もう少し話してもらえますか?

ピート・サンプラス:
ロジャーは、芝生では負け知らずだと思うよ。どこででもそうだが。クレーでナダルと対戦する時は、ほんの少し違うかも知れないけど。ナダルが決勝に進出するチャンスは、かなりあると思う。

彼らが共に決勝進出するなら、芝ではフェデラーに軍配が上がるだろう。パワーと速いサーフェスは、彼に有利に働くと思う。ナダルは激しく彼と競い合うだろうが、勝つとは思えないな。

Q. 先ほど、お子さんについて話をしていましたが、あなた以外で誰かテニスをしていますか?

ピート・サンプラス:うん、クリスチャンがね。毎日ではないけれど。ここにはコートがあるから、彼はボールを打つよ。僕があちこちにボールを出してやる。彼はそれが好きだよ。そのボールを打つのが好きなんだ。目と手の協調能力を、少しばかり持っているよ。

Q. US オープンで何が起こるか、アンドレがもう1回決勝に進出できるか、それは分かりません。それはともかくとして、彼が引退したら、歴史上の偉大な選手の中で、彼をどの辺りに位置づけますか? 何位くらいでしょう?

ピート・サンプラス:順位をつけるのは難しいな。彼は史上トップ10の中に入ると考えている。すべてのサーフェスで優勝し、世界1位にもなった。他にも5〜6回、メジャー大会の決勝に進出した。

彼はトップ10内にいるが、何位と決めるのは難しい――コナーズやマッケンローより上だったか? 世代の違いがあるからね。誰がそのリストで史上最高かと述べるのは、難しいと思っている。僕は――各世代に、それぞれのベストがいると考えている。90年代では、僕を含めて、彼はベストの1人だった。世代や何かを比較するのは困難だ。ベストの1人という事だ。

Q. あなたは彼を、皆と合わせて考えた上で、トップ10の中に位置づけるのですか?

ピート・サンプラス:うん、僕の見方だと、トップ5は、レーバー、フェデラー、僕自身、ボルグ、レンドルだ。その5人は、それぞれの世代で、誰よりも支配的だったと思う。多分ロジャーは、他の4人の誰よりも支配的になるだろう。僕だったらアンドレを6〜10位辺りに位置づけるかな。マッケンローやコナーズなどと共に。そんな風に考えている。

ジョシュ・ウェイスマン:少し『チームテニス』の話に戻ります。あなたはブレーカーズのチームメイトについて、よく知っていますか? 監督のディック・リーチはどうでしょう?

ピート・サンプラス:電話記者会見に参加している人たちは、誰も気にしてないみたいだよ。(笑)

ジョシュ・ウェイスマン:監督のディック・リーチについて、話してもらえますか?

ピート・サンプラス:冗談だよ。リック・リーチの事は、かなりよく知っている。女子選手については知らない。デルガド、彼の事は少し知っている。パリで1回対戦したんだ。リックはいい男だ。(ディックは)彼の父親だね。楽しい時を過ごせるだろう。良いチームメイト、楽しいチームメイトがいると、楽しいよ。

Q. ウインブルドンを見る時、フェデラーがそこで、あなた自身の記録に並ぶ4年連続のタイトルを獲得するだろうと、あなたは考えている訳ですが、誰かがあなたと同じような方法で自身のレガシーを作っているのを見ると、どのような事が頭をよぎりますか?

ピート・サンプラス:そうだね、僕はロジャーのファンだよ。つまり、彼のプレーの仕方、彼自身、彼を一流だと思っているという意味で、彼のファンだ。――個人的には知り合いではないが、彼はコートの内でも外でも、一流の男のようだ。彼を見るのは楽しいよ。運動能力、彼が走りながらできる事などがね。彼はすべてのテニス記録を破ることができるし、そうするだろうと思う。

彼は、僕がプレーを見ている選手の中で、唯一の真に偉大なプレーヤーだと思っている。ナダルはとても優れていて――素晴らしい選手だ。だが、彼ほどではないと思う。今日、ロジャーは他の選手より2〜3レベル上だと思うよ。実際、彼はさらに良くなってさえいるようだ。それらすべてを併せ考えると、誰も彼の1位の座を脅かすとは思えないな。彼はまさに堅実で、優れていて、誰に対しても脅威だ。僕も時にそういう要素を持っていたが、彼にはさらにずっとあると思う。

Q. 彼が記録に近付いているのを見ると、複雑な気持を抱きますか?

ピート・サンプラス:そういうものはないよ。誰かに対して悪い事は考えない。記録は破られるものだ。彼は1位在位の記録だけでなく、グランドスラムの記録も更新する途上だと、かなり確信があるよ。つまり、彼はすべての武器を備えているし、心構えも確かだと思っている。彼は記録を破るための全てを備えているよ。

Q. 現在のアメリカのテニスについて、気懸かりですか?

ピート・サンプラス:かなり良いと思っているよ。ジム、僕自身、マイケル、アンドレの時代を繰り返すのは難しい事だ。過去10年に起きた事と現在を比較するのは、アンディやジェームズ、その他の選手たちに対して不当だと思う。

現在だってかなり良い状態だよ。アメリカのテニスにとっては残念だが、フェデラーとナダルがいる。彼らはとても優れていて、今のところゲームを支配している。

USオープンでは、ジェームズとアンディは実力を発揮して、なにがしかの事をできると思うよ。だがアメリカのファン、アメリカのメディアというものは、ウインブルドンの優勝者を期待する、USオープンの優勝者を期待する、アメリカ人が世界1位でいる事を期待する。

それは難しい事だ。ジェームズとアンディには可能性がある。だが、それを実現するには、素晴らしい選手、全てに対処できる人間であらねばならないんだ。

彼らには可能性がある。しかし大いなる献身、犠牲を払う覚悟が必要だ。彼らが答えを見つけ出してくれるといいね。

Q. あなたはここで、徐々に競技の場に戻るため、そして楽しむために、『ワールド・チーム・テニス』を試しているようですね。ジム・クーリエは、チャンピオンズ・ツアーにあなたを誘ってきたと思いますが。

ピート・サンプラス:うん、熱心に誘ってくれたよ。ジムに話をした。僕はまだ、その類の事をする気にならない。あちこちで一夜限りのエキシビションをするのも、それなりに競技的だが、ジムが関わっているものほど熾烈ではない。あれはもう少し真剣だ。僕はそういう段階にはいない。これから先も、そういう事をやる気になるかどうか、分からない。僕はただ、徐々に戻っているだけだ。

『ワールド・チーム・テニス』は素敵な、楽しい場だ。エルトン・ジョン・エイズ財団のイベントに何回か参加して、プレーした事がある。ダブルス、シングルス、混合ダブルスがあるのは面白いよ。色んなものがあるんだ。

それが多分、テニスへ返礼する僕のやり方なんだろう。ファン、メディア、スポンサーともっと交流する事が。僕はただ徐々に戻っているだけで、いかなる点でもカムバックしたいとは思わない。少し楽しみ、生活に少しばかり規律と集中を与えるんだ。

Q. あなたは構築する事について話をしました。『ワールド・チーム・テニス』で、あなたはテニスへ(聞き取り不能)新しい方法を探しているようですね。コーチングを考えた事はありますか?

ピート・サンプラス:
いいや。全くない。

Q. ウインブルドンにおいてさえ、サーブ&ボレーのテニスは、多かれ少なかれ消滅しているように思われます。あなたがプレーする時は、サーブ&ボレーをするつもりですか?

ピート・サンプラス:僕はサーブ&ボレーをし続けるよ。昨日だって、かなり強烈なサーブを打ち、ネットへ詰めていた。それは僕の天性、自然なものなんだ。かつてのように速くネットに着けるかどうかは怪しいが、僕は前へ行くだろう。

Q. 現在の選手たちは、今でもそれを有効な作戦にできると思いますか?

ピート・サンプラス:サーブ&ボレーを?

Q. はい。

ピート・サンプラス:
それは一夜で学ぶものではない。子供の時から学ぶものだ。年齢が上がるにつれて、より得意になっていく。23歳くらいになってから、ある朝、僕はサーブ&ボレーをするつもりだ、という訳にはいかないよ。元テニス選手としては、サーブ&ボレーのテニスが懐かしい。殊に、芝でそれを見るのがね。今は誰もがステイバックしている。一方がネットへ詰め、一方がステイバックする、という対照が懐かしいね。

Q. 先ほど、アメリカのテニスについて質問がありました。ずっと考えてきた事なのですが、あなたの時代、他の優れた選手たちの多くは、ボロテリー・アカデミーや、そういった所にいました。現在の選手にも必要だと思いますか? 私が知る限り、あなたはそういう所にいませんでした。

ピート・サンプラス:それは、どこの出身かという事によると思う。アンドレやジムのように、それほど多くの競争がない地域で成長してきた者には、ボロテリー・アカデミーは素晴らしい場所だろう。他の選手とプレーできるからね。

それに対して、僕にはマイケル・チャンがいた。そういった選手たちが、南カリフォルニアにはいたんだ。どこかへ行く必要があるとは感じなかった。もしミシシッピ出身なら、練習する相手がいないし、冬は寒い。フロリダのアカデミーへ行く事を勧めるだろうね。

Q. この時期、ウインブルドンの期間が、最も懐かしいと感じる時期ですか? そういう感情は、もう過ぎ去りましたか?

ピート・サンプラス:これからも懐かしいと感じるだろう。恋しいよ。僕はあそこでプレーする事、コート、ウインブルドンで日々を送る事に、とても慣れ親しんでいる。34歳、44歳、54歳になっても、それを懐かしむだろう。あの場所に馴染み、たくさんの良い思い出がある。この2週間は、僕が本当にテニスを恋しく感じる時期だと思う。

オープンや他の事も懐かしいが、この2週間は――そこで多くの成功を収め、たくさんの素晴らしい思い出があった、格別な懐かしさを感じるよ。

Q. ウインブルドンでフェデラーと対戦して負けた時、後継者が現れたのかも知れないと、明確に感じましたか?

ピート・サンプラス:あの時点では、確かではなかった。彼に才能がある事は知っていた。つまり、彼は本当にとても優れていると知っていた。実際、僕は悪い試合をした訳でもなかった。きつい試合の最後で敗れたんだ。

彼がどこまで行くのか、どこに彼が向かうのかは、分からなかった。この2年ほど、彼が少しずつ、少しずつ良くなっていき、いわば道を見つけていくのを見てきたと思う。つまり、それが――僕は僕なりに理解していった。みんな、いわば独力で解決していくんだ。僕もそうだったが、世界最高の選手である事に対して、彼は彼なりの方式を持っている。

彼が今ほど支配的になっていくかどうか、(あの時点では)僕には分からなかった。だが、彼がプレーしているのを見ると、ただただ彼は、本当に優れていると思う。座して彼を見守り、自分をコートの反対側に置いて、僕なら彼とどんな風に対戦するだろうと考えてみるんだ。我々はお互いに、目いっぱいでやるだろうと思うよ。

Q. アンドレの引退が取り沙汰されていますが、明らかにアンドレは今、最高の状態にはありません。あなたは引退しましたが、それでもグランドスラムで優勝しました。まだ優勝する事ができ、最高の状態でプレーできるだろうと知りながら引退するのは、より困難な事でしたか?

ピート・サンプラス:難しい決断だった。次へ進み、もうプレーしないんだと分かってくるまで、約6カ月が必要だった。オープンの翌年だった。自分がウインブルドンに向け、やる気になると思っていた。3日間の練習後、僕は心の底から、次へ移る時だと知ったんだ。もう燃えるものがなかった。練習したいと思わなかった。自分自身に証明すべきものは、もう何もなかった。終わりにする時だった。

引退への道程は、各々で異なっている、特にテニスの場合は。チームスポーツで、契約の最後の年をプレーし、それで終わりになるのとは違う。

アンドレは昨年、身体的に辛い時期をくぐり抜けてきた。精神的にもすり減ったのだと思う。35、36歳にもなると、ハードワークに対して、即刻の結果を求めるようになるものだ。それを得られなかった時、彼は少しばかり疲れを感じたのだろう。

肉体的に、背中の故障に対処してきて、6カ月間プレーせず、カムバックするのでは、かつての彼のレベルにいる事は期待しにくい。引退を発表して、これから数カ月、みんなが彼に敬意を表する事ができる、それが彼の考えた事だ。

その時が来たんだ。先へ進むべき時、最後の挑戦を試みて、その成り行きを見る時であると、彼は感じたのだろう。

Q. ゴルフのハンデはどのくらいですか? (今年は)タホで、有名人ゴルフ大会に出場するつもりですか?

ピート・サンプラス:テニスが入っているから、タホの大会には出られないんだ。ハンデは4くらいだ。少しばかり上達したよ。未だに運動選手がゴルフをするという感じで、ゴルファーとは言えないけどね。子供の頃からやってきた者、プロゴルファーなら承知している、ゲームのちょっとしたニュアンスが、僕には分からない。僕はただ楽しんで、クラブを握って強打するんだ。

ジョシュ・ウェイスマン:ここらで終了にいたします。ピートが参加してくれた事に、改めて感謝したいと思います。7月には、ニューポート・ビーチ、サクラメント、フィラデルフィア、ハートフォード、ニューヨークで、彼に会えるでしょう。

ピート・サンプラス:では、みなさん。