アメリカ版テニス
2006年5月17日
『テニス』時代の最も偉大な選手40人


『TENNIS』誌創刊40周年(1965〜2005年)を祝して、我々はこの40年でベストの選手40人を選出した。今年の各号で、リストに上がった選手を4人ずつ紹介してきた。今月は、過去40年で最も偉大な選手4名を紹介する。


1位 ピート・サンプラス
文:Stephen Tignor
写真:Tommy Hindly/Professional Sport


サンプラスは最大の大会でゲームのレベルを上げた。他のいかなるテニス選手よりも、彼はプロの運動選手に与えられる最高の賛辞に値した。すなわち、彼に賭ければ間違いなかった、と。

テニスファンにとっては、偉大な選手とは単なる個人ではなく、象徴的な存在である。ジョン・マッケンローは怒れる天才を、ジミー・コナーズは熱血と根性を、クリス・エバートはプレッシャーの下での気品を、それぞれ体現した。

では、ピート・サンプラスには何と名づけるか? よりシンプルで、より高貴なもの、勝利者。彼のアイドル、マイケル・ジョーダンのように、友人のウェイン・グレツキーのように、サンプラスは彼のスポーツにおける最も偉大な近代チャンピオンである。

しかし、初めからそうだった訳ではない。初期のピストル・ピートは、競争心よりも手つかずの才能で知られていた。プロに転向して4年が過ぎても、彼はナンバー1になっていなかった。

それは21歳の彼が、1992年USオープン決勝戦でステファン・エドバーグと対戦した時だった。4セットで敗れ去った時、もう2番目では決して満足できないとサンプラスは知った。「以前は、僕は6位でも幸せだった」とサンプラスは語る。「僕は深く理解していなかったんだ。もしあの敗戦がなかったら、僕はここまでのものを達成しなかっただろう」

カリフォルニア出身のしなやかな男が達成したものは、記録を塗り替えた。サンプラスは徹底的に勝利した。最大のステージで、毎週毎週のツアーで。彼は14という男子最多グランドスラム・タイトルを有するだけでなく、6年連続でナンバー1となり、286週トップの座に就いた。いずれも男子最高記録である。

彼はテニス界で最も名高い大会、ウインブルドンを自分の名前と同義にした。8年間で7回、そこでタイトルを獲得したのだ。しかしサンプラスはほぼ至る所で勝利した。彼は8年連続USオープン決勝進出というイワン・レンドルの高名な連続記録にストップをかけた。メルボルンではコーチが脳腫瘍と診断されて涙にくれた後、ジム・クーリエを倒した。キャリア最後の試合は、最大のライバルであるアンドレ・アガシに対する勝利だった。そして5回目のUSオープン・タイトルを獲得した。1995年、合衆国が最後にデビスカップを獲得した時、決勝で3試合すべてに勝ち、ロシアを負かしたのは誰だったか?

だが、多くの試みにもかかわらず、フレンチ・オープンはサンプラスを退けた。それは彼のキャリアにおける穴であり、そしてオープン時代には2人の男、ロッド・レーバーとアガシしか、他のすべてのメジャータイトルと共にフレンチを獲得していないという事実のみが弁解になりうる。もちろん、ここでサンプラスに続く3人を含めて、多くの女子は獲得している。それでは、なぜ彼はトップになったのか?

それは彼の業績の特異性だった。トップ3の女子は同等に非の打ち所のない記録を持っている。競争がより厳しい男子の側で、サンプラスは単独で際立っている。

賞金額を見てみよう。獲得賞金が偉大さの尺度だと見なされる事は滅多にない。何十年間も賞金はなかったからだ。しかし我々の2位と3位の選手、マルチナ・ナヴラチロワとシュテフィ・グラフのキャリア賞金獲得額がほぼ同額(2,100万ドル)なのに対し、サンプラスは引退時に4,300万ドルで、当時2番目のアガシよりも1,700万ドル近く多かった事実は、注目に値する。

偉大さとは単に金で測られるものではないが、最も賞金の高い大会は、概して最大の大会である。そしてそれは、サンプラスがゲームのレベルを上げた場所だった。他のいかなるテニス選手よりも、彼はプロの運動選手に与えられる最高の賛辞に値した。すなわち、彼に賭ければ間違いなかった、と。

キャリアハイライト: ウインブルドンとUSオープンを併せ、15回の決勝戦に進出した。優勝は12回。
年末のチャンピオンシップで ATP 記録となる5回優勝(イワン・レンドルとタイ)。
1年(1995年)に5百万ドルを獲得した最初のプレーヤー。



<参考>

2位 マルチナ・ナブラチロワ
3位 シュテフィ・グラフ
4位 クリス・エバート
5位 ビヨルン・ボルグ
6位 マーガレット・コート
7位 ジミー・コナーズ
8位 ロッド・レーバー
9位 ビリー・ジーン・キング
10位 イワン・レンドル
11位 ジョン・マッケンロー
12位 アンドレ・アガシ
13位 モニカ・セレス
14位 ステファン・エドバーグ
15位 マッツ・ビランデル
16位 ジョン・ニューカム
17位 セレナ・ウィリアムズ
18位 ボリス・ベッカー
19位 ロジャー・フェデラー
20位 ケン・ローズウォール
21位 ロイ・エマーソン
22位 マルチナ・ヒンギス
23位 イボンヌ・グーラゴン
24位 ギレルモ・ビラス
25位 ビーナス・ウィリアムズ
26位 ジム・クーリエ
27位 アランチャ・サンチェス-ビカリオ
28位 イリー・ナスターゼ
29位 リンゼイ・ダベンポート
30位 アーサー・アッシュ
31位 ジュスティーヌ・エナン・アルデンヌ
32位 トレーシー・オースチン
33位 ハナ・マンドリコワ
34位 レイトン・ヒューイット
35位 スタン・スミス
36位 ジェニファー・カプリアティ
37位 グスタボ・クエルテン
38位 バージニア・ウェード
39位 パトリック・ラフター
40位 ガブリエラ・サバティーニ

*さらに詳細をご覧になりたい方は、こちらを参照してください。
http://www.tennis.com/features/40greatest/index.aspx