テニスライフ・マガジン
2007年8月号
長年にわたり、友人やライバルたちが見てきたサンプラス


アンドレ・アガシ
「彼は優れたプレッシャー・ポイント・プレーヤーだ。彼は試合の山場を感じ取って相手にプレッシャーを掛け、そして自分のゲームレベルを高める。従って、時に彼は1時間プレーして、相手に1滴の汗もかかせないという事もできる。彼が試合のリズムを奪うからだ。彼がプレーするポイントは素速くて、中へ詰め、少しばかりミスをする。そして突然、彼は優れたゲームをして、そして去っていく」

「僕は何回も彼をネットの反対側から見て、競い合い、プッシュされるという栄誉を経験してきた。たくさんの忘れ難い試合がある。彼は巡ってくるすべてに、特にこれ、家庭生活を楽しみ、スポーツから離れて先へ進むだけの権利がある」

アンディ・ロディック
「彼は史上最も上品なプレーヤー、静かに競争心を燃やす人々の1人だった。そして僕は彼を、史上最高のプレッシャー・プレーヤーの1人だと考えている。大試合であればあるほど、彼のプレーは優れたものになった。彼はそれをキャリアの間じゅう、やってのけてきたんだよ。彼は物事について騒ぎ立てたりしなかった。勝利によって、彼は名を高めてきたんだ」

トッド・マーチン
「彼の語り継がれる名声は、彼がどれほど勝利したか、特に幾つのグランドスラムで勝利したかであると思う。プレーヤーとしては、彼のサーブと運動能力が語り継がれるだろう。そして僕は、それは彼の真価を見損なっていると思う。僕がこれまで出会った誰よりも、ピートはいつプレーすべきか、いつより良いプレーをすべきか、いかにより良いプレーをすべきか知っていた。

それは身体能力への称賛によって、遺憾ながら見過ごされすぎてきた技量であり、才能であると思う。だが、いいかい、 4ゲーム・オールのデュースで、彼は何をすべきか知っていた。そして彼はそれを実行した。何回も、何回も何回も。やれやれ、たまには彼の立場に身を置いてみたかったよ」

ティム・ヘンマン
「キャリアを通じて、彼とはかなり親しく知り合うようになった。そして長年にわたり、幾つかの大きい重要な試合で彼と対戦をしてきた。僕の考えでは、彼のファースト&セカンドサーブの組み合わせ――2つをまとめて考える――は疑いなく、僕がこれまでに対戦した中で最高のものだ。

フェデラーの方がより完成されたプレーヤーであるというのは事実だが、彼はピートとは別の時代にプレーしている。そして時代を比較するのは難しい。もし彼らが今日のコンディションで10試合を行ったら、フェデラーが優位に立つと思う。だが、90年代半ば辺りのより速いコンディションでなら、互角だろう。あれほどのビッグサーブがあると、いつだって相手にトラブルをもたらすものだよ」

ビリー・ジーン・キング
「もちろん、彼がフレンチ・オープンで優勝しなかったのは残念だわ。だからといって、彼が史上最高である事は否定できないわ……。ロッド・レーバーは彼が史上最高だと言う……。彼がピートは最高だと言うのなら、彼は最高なのだわ」

リンゼイ・ダベンポート
「彼はこれまで――何年間かは分からないけれど――で、最も偉大な男子選手だと思う。彼の記録は驚くばかりだわ。彼はいつもアンドレ、ジム・クーリエ、マイケル・チャンと比較され、一緒のグループにされてきたと思う。けれども彼のすべての結果、すべてのグランドスラム・タイトルは、彼がなんと堅実で偉大な選手だったかを如実に物語っているわ。彼はなんて信じがたいほどの終わりを迎えたのでしょう。皆が2年間ほど彼を見限ってきた後にも、彼はとてもタフで、誰もが間違っていたと示したのよ」

ポール・アナコーン
「人々はいつも、何かを探している。彼はその辺りにいる友人と全く同じだ。彼には理解できないんだ。なぜ皆は、例えば、彼が昨夜の夕食で何を食べたかに興味を持つのかが。彼は実像そのものだ。ピートについては、見たままが彼なんだよ」

ジョン・マッケンロー
「冗談でなく言うのだが、私ならウインブルドンでは、今でも彼を疑いなくトップ5にシードするだろう。ウインブルドンでこの男を負かすであろう5人の男を挙げてごらん? 私は2人ほど挙げるのにも苦労するよ。彼は今でも、まったくもってボールを強打し、相手を心地悪く不安にさせる。彼に会うまで、それを忘れている。彼は一発で相手を痛めつけるからだ。

それはナダルとは正反対にあたる。ナダルとだと、ウィナーを取れないと感じる。この男はどこからでもウィナーを打ってくる。そしてセカンドサーブでエースを狙い、ラインの外側を掠めるように打ってくる。相手はただ『そんな事を試みる奴がいるかよ?』とお手上げ状態になるんだよ」

パット・ラフター
「それは途轍もないサーブだ――畏怖するほどで、読めない、拾えない。あれほど良いサーブを打てば、リターンゲームではプレッシャーを取り除ける。だがリターンゲームでも答えを見つけ出す必要がある。彼は完成されたゲームを持っているが、あのような驚嘆に値するサーブがあると、各ゲームでもプレッシャーをあまり感じずにいられるよ」

ゴラン・イワニセビッチ
「恐らく俺がこれまで対戦してきた中で、最もタフな選手はピートだね。彼は1試合で1つ2つしかチャンスをくれないからだ。そしてそのチャンスを逃すと、終わりだ。他の相手とだったら、もっと多くのチャンスがある。彼とだと、2つ、彼の気前が良かったら3つ。彼との対戦は、俺には最も厳しかったと思うよ」

「ナンバー1にならなかった事、それは恐らく、俺のキャリアで唯一悔いを残すものになるだろう。だがピート・サンプラスの次にナンバー2である事、それは俺にとって最大の名誉だ。彼はテニス史上で最高の選手だからね。それに、俺がナンバー2だったあの年、彼は3つのグランドスラムで優勝した。だから俺がナンバー1になるチャンスはなかった――俺が彼を銃で撃ちでもしない限りは。そして俺はそんな事はできなかった。だから無理だったんだよ。だが、そんな男に対してナンバー2だった事は、俺にとってはナンバー1であったようなものだ」

訳注:1994年の事を指す。ピートはその年に3大会優勝を果たした訳ではないが、1993年ウインブルドンから連続3大会に優勝し、さらに1994年ウインブルドンで優勝した。

ジム・クーリエ
「ピートはいい役者だよ、言ってみれば。ある者たちは、自分はタフだと前面に出す。ピートは苦しんでいる様子を前面に出す傾向がある。だが彼はそれでもなお、エースを放つようだね……。彼はタフだ。彼は本当に不屈だ。彼が疲れていても、僕は気にしないよ……。3時間、3時間半も戦い、その間じゅう首根っこまで捕らえていても、彼はただ(エースを)放ち続ける。僕は何かを見逃しているに違いない。

彼が見えているままの状態で、あのレベルでプレーし続けられるのなら、僕の目は見誤っているんだ。僕は盲目ではないと断言する。いいかい、彼は疲れている。しかし大した問題じゃないんだ。彼は強い心を持っているからね。彼は本当にとても強い心を持っていて、それをコートに出し尽くそうとしているんだ」

マルチナ・ナヴラチロワ
「もし彼が史上最高でないのなら、ロッド・レーバーと共に史上最高の2人という事ね。ああ、途轍もない試合になったでしょうね、サンプラス対レーバー戦は。彼は史上最高の1人だわ。彼がフレンチ・オープンで優勝しなかったとしても、私は気にしない。あまり関係ないわ。彼がそれに関心を向けたなら、できた筈だわ」

ボリス・ベッカー
「残念ながら、現在センターコートを所有しているのは彼だ。2年前には僕が所有していたが。今は彼が所有している。彼がここ(ウインブルドン)で成した事は、本当に特別なものだ。彼は何も言わず、コート上で感情を見せない男だ。恐らくそれが、彼がこんなにも優れている理由なのだろう。

恐らく時が経つにつれて、人々は彼を本当に正しく理解するのだろう。今のところ、誰もがアンドレ・アガシについて、そして彼が得る注目について話をする。だが、もしテニス界に1人の模範がいるとすれば、それはピート・サンプラスだ」

ロジャー・フェデラー
「多くの人々は、フレンチで優勝した事がないからと、サンプラスの業績を低く見積もり、彼のキャリアは完全ではなかったと言う。僕は全く同意できない。彼はどんな選手の中でも最高のキャリアを得たと思う。だから彼のキャリアが完全でないと言うのは、公正ではないよ」

カルロス・モヤ
「ピートは際立ったところにいた。フェデラーやナダルは優れているが、彼と同等ではない」