サン・スター(フィリピン)
2008年2月24日
もし「ピストル・ピート」が照準を合わせれば、W. を勝ち取る事ができる
文:John Pages


テニス界の史上最高選手――ロジャー・フェデラーの次に――はピート・サンプラスである。彼は14のグランドスラム・シングルス・タイトル――男子プレーヤー最多――を獲得した。しかし我々は彼が引退して久しいと承知している。2002年USオープン決勝のアンドレ・アガシ戦、ピートはその試合に勝利した――それが ATP ツアー最後の試合だった。5年半前の事であった。

現在、ピストル・ピートは戻ってきた。昨年11月、サンプラスは3度フェデラーと対戦した。韓国ソウルの初戦では6-4、6-3で敗れた。マレーシア、クアラルンプールの第2戦では7-6、7-6で敗れた。しかしマカオの最終戦では、ピートは7-6(6)、6-4で勝利し、ロジャーに衝撃を与えた。そして、つい数日前のトミー・ハース戦では、ピートは6-4、6-2で勝利し、43分でドイツ人を片付けたのだ。

それは最近の2戦における2勝である。

その事は私に疑問を抱かせる。ピートはカムバックすべきなのではないか?

「僕は今でも少しばかり、かなり高いレベルでプレーできる。だがカムバックは全く別物だ。全く違うライフスタイルで、大いなる努力を要する」とサンプラスは語った。

「日々テニスに努める事、それはもう僕にはない。今でもあちらこちらで幾つかエキシビションを楽しんでいるが、カムバックは別の話だ。脚光やお金のためにプレーするのではない。僕がプレーするのは勝つためだ」

そう、ピート、あなたはロジャーに勝ったのではなかったか? そして数日前には、元ナンバー2のハースを困惑させたのでは?

あなたはそれをした。そして、あなたはもう空港で何時間も待機したり、ホテルの部屋で眠る事は望まず、あなたが言ったように「勝つためにプレーする」と理解したうえで、私は提案をする。

なぜウィンブルドンに出場しないのか? そう、1大会だけ……。

オール・イングランド・クラブを覚えているか? あなたがトロフィーを集めていた頃、皆がお辞儀する中、鉄製のゲートをくぐり抜けていた感触を覚えているか? 初日の気持ちは?

忘れてはならない、ウィンブルドンは1行で表されたのだ。ピート・サンプラスの故郷と。歴史上で Mr. ウィンブルドンの彼自身ほど、ウィンブルドンの芝生でくつろぎを感じていた者はいなかった。

彼は7つの栄冠を獲得したのだ。

そして、私は主張する。もしピートが最後にもう1度ロンドンに焦点を合わせれば、順調にやる以上のチャンスがある――優勝する事も可能だ。

理由?

私は年をとって髪も薄くなってきた過去のチャンピオンたちを大勢見てきたのではなかったか? 彼らは結婚し、子供を育て、ゴルフをし、葉巻きを吸い、プールサイドのデッキチェアに寝そべり……そして引退を撤回し……自身にきまり悪い思いをさせていたのではなかったか?

そう。マイケル・ジョーダンは試みた。そして一瞬の間、MJ はまだ「それ」を持っていると我々は思った。彼が15歳若い21歳の選手にぶつかられて身体じゅうを疼かせ、そして年のいった、はげかかった男のように見えるまでは。

しかしサンプラスがウィンブルドンに乗り出す――2008年のウィンブルドンのみ――のは、また別の話だ。ここにその理由を挙げる。

理由1:他の誰もしていない時から、彼は芝生に照準を合わせる事ができる。今から6月まで――4カ月間ある――他の選手たちがハードコートとクレーでプレーしている間、ピートは緑の芝生で練習する事ができるのだ。そのメリットを想像してほしい。そしてウィンブルドンに向けた芝生の大会は3〜4大会しかないのだから……それもピートにとってプラスとなる。

理由2:もはや誰もネットへの攻撃をしない。今日のウィンブルドンは、すべてがベースラインプレーである――かつてとは違って。その理由は、サンプラスのようなネット・プレーヤーがいなくなったからだ。したがって彼のスタイルは敵を動転させ、混乱させるだろう……。

理由3:昨年11月のクアラルンプールで彼のプレーを見た時、彼はサーブ&ボレーをし、そしてロジャーは彼のサーブをブレークする事ができなかった。彼のサービス――史上最高と見なされている――は、全盛期の10年前と同じくらい優れていた。彼は今でも「ブレークされ」ないのだ。

理由4:現在ピートは、より大きいウィルソン・ラケットでプレーし、そしてハイブリッド・ストリングスを用いている。「いろいろ試してみて、しっくりくる組合わせを見つけた――鋭いスウィングをして、なおかつコントロールもできるよ」と彼は語った。「素晴らしい組合わせだ。まるでズルをしているみたいだよ」

ピート、もちろんそれは不正行為ではない。現在は誰もが新技術のラケットを使っているのだ。ピートが旧式のラケットで7度の栄冠を獲得した事を考慮したうえで、新しいラケットで彼がどんなゲームをするか想像してほしい。

理由5:彼はまだほんの36歳なのだ! 

私の結論? ウィンブルドンでなら、ピートはヒューイット、ダビデンコ、ゴンザレス、ナダル、 ジョコビッチ等を打ち負かすだろう。彼は準々決勝、準決勝、決勝にまで達する……。

そして、他でもないフェデラー・エクスプレスと対決するのだ。筋書き:1人は7回の優勝を遂げ、もう一方は5回連続優勝を遂げた。1人は14のメジャータイトルを有し、もう一方は12。1人は偉大なチャンピオン、もう一方は、間もなく史上最高の選手となるのだ。

カモン、ピート。