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2008年2月22日
ピート、カムバックに手を出さないでくれ
文:Kamakshi Tandon


カムバックの夢。ピート・サンプラスがプレーするたびに、それは少しずつ大きくなっている。何と言っても、彼は11月に行われたエキシビションでロジャー・フェデラーを負かし、ショットのいくらかは今までと変わらず優れているように見えたのだ。今週はまた、彼はサンノゼ第1夜のエキシビションで、トミー・ハースを比較的簡単に破った。

彼は昨年幾つかの試合とシニア大会でプレーしたが、今回は彼が本物の現行 ATP 大会の領域でプレーした初の機会である。そして選手たちの反応は、慎重なものも無頓着なものも、冷徹な現実の分析であった。

36歳のサンプラスがカムバックするとしても、1回限りのウインブルドンに限定されるか、あるいはどこか2大会程度ではあろうが、その事自体が、彼がいかに全盛期から遠ざかっているかを示している。カムバックを期待する者たちが本当に望むのは、現在のフィールドと対決する最高のサンプラスを見る事である。しかしそれはあり得ない。ここに挙げたのは、サーキットへの復帰が無分別だという5つの助言である。

1.エキシビションと現実と混同してはいけない。
これは月曜夜にハースが心得ていた、サンプラスの相手としての役割である。「ピートのイベント、ピートの時だ。彼が楽しむようにする事。楽しかったよ」

一般の観客には、ハースが自制していたかどうか分からなかったかも知れないが、サンプラスは承知していた。「今夜トミーは僕にかなり親切だったよ」と彼は観客に語りかけたのだ。

2.芝生はスローになっている――のではなかったか?
この数年、ウインブルドンのコンディションは遅くなっている、というのが選手たちの一致した見解だが、サンプラスはそう考えていない、そしてフェデラーもそう考えてはいないと彼は言う。

それでは、我々は勘違いをしているのか? ロディックは言う。「僕は誰よりもピートへ最大の敬意を抱いている――子供の頃、彼は僕の英雄だった――が、そこでプレーしてみないと、コートは遅くなっていないと判断するのは難しいと思う」

3.当時でも厳しかった。
USオープンにおける最後の大いなる歓喜を別にすると、最後の数カ月間サンプラスはプレーに苦闘していた。2002年5〜8月の間、彼は5勝8敗の成績だった。大会の数週間前にサンノゼをプロモートする際、率直なロディックは再び遠回しな言い方をしなかった。「彼が戻ればすぐにもトップ5になるだろう、といった見方もあるようだね。ゲームから退いた時、彼はトップ5ではなかった。そして3〜4年も離れていた人が戻ってきて、もっと良い順位になるとは想像しにくいよ」

4.練習、それは1つの事である……
サム・ケリーはオフシーズンにしばしばサンプラスと練習していたが、月曜日はサンプラスに感銘を受けた。しかし自分と真剣に打ち合うのに、サンプラスは精一杯の努力をしていると示唆した。「彼は日によっては、僕と今でも互角にやれる、という事を示したいのだと思うよ」とケリーは語った。「またある日は、背中が少し硬くなっていて、あまり激しくやらない事もあるんだ」

ツアーの試合に耐えられるだけの体調を保つには、大いなる肉体的鍛錬を要する。さらに本物の試合をするために大会へ赴く事は、自宅の庭で音楽を流してヒッティングを行うのとは全く異なるものだ。

5.どうなればベストなのか?
彼がウインブルドンで優勝する事はない。

もちろん、ウインブルドンの2番コートで2回戦敗退を喫するのは、最愛の大会から去る理想的な方法ではない。しかし1回戦敗退よりはましだ。さらに、ウインブルドン大会組織は彼を2番コートに送り返さないとも限らない。そこで彼はタフな相手に出くわす事もあり得るのだ。例えばミカエル・ユーズニーに。

サンプラス自身も言っている。「失うものは多く、得るものは大してない」