サンノゼ・マーキュリー
2008年2月19日
サンプラスは今でも勝利する事ができる
サンプラスはエキシビションに勝利し、サンノゼのファンをワクワクさせる
文:Darren Sabedra


年を重ねた男は、今でも少しばかりプレーする事ができる。

ピート・サンプラスは月曜日、スタート時には若干の荒さを見せた。しかし一たび調子を掴むと、まるで以前と同じようだった。「少しはお慈悲を」 SAP オープンの第1夜に HP パビリオンで行われたエキシビションで、史上最高の偉人に6-4、6-2で敗れるさなか、トミー・ハースはそう懇願した。

36歳のサンプラスは華麗なサーブ&ボレーを披露して、SAP オープン第1夜としては大会史上最多――8,812人――の観客をワクワクさせた。それは彼を記録的な14のグランドスラム・タイトルへと導いた技だった。

「もう一度」サンプラスがネットへ詰めてジャンピング・オーバーヘッド・ウィナーを決めると、1人のファンが叫んだ。

しかしサンプラスにとって、もう一度の ATP ツアーはない。コート上のインタビューでカムバックについて尋ねられた時、ファンは喝采したが、それはないとサンプラスは答えた。

彼は「僕がする事を言おう。ファンのために戻って来るよ」と言い、ちょっとの間だけ観客を焦らしはした。しかし拍手喝采が収まると、サンプラスは付け加えた。「僕は引退に満足しているよ。引退から戻るのは大変な仕事だ」

サンプラスは一連のエキシビションを行っている。昨年11月には、3試合シリーズの第3戦で、彼は世界ナンバー1のロジャー・フェデラーから勝利を挙げた。3月10日には、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで再びフェデラーと対戦する予定である。

月曜日、サンプラスは1996・97年にタイトルを勝ち取った街に戻ってきた。

「かなりいい感じだったよ」と彼は語った。「どういう事になるかは分からなかった。僕は時たまプレーするだけだからね。言わばその場に臨み、とにかくやってみるという事だ」

「調子を掴み、リズムに乗るのに少し時間がかかった――ボールがふっ飛んでいたね。だがかなり良いボレーを何本か打てたし、リターンもまあまあだった。それとトミーには今週、僕との対戦よりも重要な事が控えているからね」

ハースは世界26位で、今週は本戦ドローに名を連ねている。彼はこれまでサンプラスに対して、8回の対戦のうち5回負けている。最後の対戦は2002年USオープンの4回戦で、4セットで敗れた。サンプラスはその大会の決勝戦でアンドレ・アガシを下して優勝し、その後に引退へと向かった。

カムバックすべきかどうかは、サンプラスだけが決定できるのだとハースは語った。

「彼がカムバックするには、整えるべき事柄がたくさんある。もし戻るのなら、2年前にすべきだったと思うよ。彼が引退したやり方は申し分のないものだった。USオープンで長年のライバル、アンドレ・アガシを倒して14回目のメジャー優勝を遂げたんだからね。それより良い辞め方なんてあるかい?」

月曜日、サンプラスはこのような試合のプレーにとても満足しているようだった。灰色のショートパンツに白と黒のシャツを身につけ、彼はスタンディング・オベーションに迎えられてコートに入場した。そして1時間足らずの試合を通して観客を楽しませた。

雰囲気に慣れると、サンプラスはくつろいだように見えた。ボールボーイや線審と冗談を交わした。第1セットを勝ち取ると、彼は頭にラケットをぶつけ、右の握り拳を振り上げた。

幸運も彼に味方した。フォアハンドがネットの最上部に当たった時、ボールは上に跳ねて再びネットの最上部に当たってから転がり落ち、ウィナーとなったのだ。

「観客は素晴らしかったし、心地よい雰囲気だったよ」とサンプラスは言った。「楽しい夜だった」

デイセッションのハイライトは、 ギレルモ・ガルシア - ロペスが第6シードのジャーデン・メルツァーを番狂わせで倒した一戦だった。スペイン人は6-2、6-7(5-7)、7-6(8-6)のマラソンマッチの末に勝利を収めた。

また第4シードのラデク・ステパネクは12本のエースを放ち、ポール・カプデビーユを7-6(7-2)、6-1で下した。

コート外では、第5・6・7シードの選手――ヴィンセント・スペイディア(足)、ヒュン - タク・リー(背中)、マイケル・ラッセル(肩)――が怪我で大会を棄権したために、大会監督のビル・ラップは選手の入れ替えに大わらわだった。

クリス・グッチオーネはスペイディアに代わって、水曜日にトップシードのアンディ・ロディックと対戦する。ウェイン・オデスニクはリーに代わり、月曜日の遅い時間にドナルド・ヤングを6-1、5-7、6-4で破った。そしてラッセルに代わってジェシー・ウィッテンが本日ロビー・ジネプリと対戦する。