ジャーナル・ニュース
2006年7月20日
サンプラスは今でも感銘を与える
文:Jane Mcmanus
*写真は7月22日のもの。


Mamaroneck ――昨夜の試合前、ピート・サンプラスはさほど興味を感じているように見えなかったかも知れない。『ワールド・チーム・テニス』で彼がプレーする初年、ニューポート ・ブレーカーズのチームTシャツも似合っていなかった。彼の試合に先立つ女子シングルスの時には、試合を決するポイントの直前にあくびさえしていた。

しかしコートの上で、Mamaroneck のハーバー・アイランド・スタジアムをほぼ埋め尽くす、スポータイムズ・チームのホーム観客に、サンプラスはかつての姿の片鱗を披露した。山なりのバックハンド、ネットでの技能―― そしてサンプラスならではのサーブ。

スポータイムズはブレーカーズを21 - 10で下した。しかし観客の大部分はサンプラスを応援していた。34歳の男は、若いアレックス・ボゴモロフ・ジュニアを下した。男子シングルスは13分のうちに5-1で片がついた。サンプラスには今でも威嚇する力があり、ボゴモロフは1stサーブで、彼らしくもなくダブルフォールトを犯した。

混合ダブルスでは、サンプラスはくつろぎ、観客とふざけ合った。ボールをスマッシュしようと跳び上がり……ネットへ掛けた後で。観客は彼とともに笑った。

試合は中止になるところだった。スポータイムズのオーナー、クロード・オキンは、火曜日夜の嵐の後、コート上の木の枝やがらくたを片付けるため、皆が1日じゅう働いたと語った。だが開始時刻までには、通常の状態に戻った。そしてマルチナ・ヒンギスは、プレーの予定はなかったにも関わらず、所属するチームを見るためにスタンドにいた。

ヒンギスは、明晩7時半に開始する、シーズン最後の試合の注目選手になるだろう。

ニューヨークに戻るのは奇妙な気分だ、とサンプラスは語った。マンハッタンにあるトランプ・インターナショナル・ホテルの格式ある部屋に、彼が最後に足を踏み入れたのは、感動的な引退式典に参加した時だった。そこでは1年前にUSオープンで印した、彼の14回目であり、最後となったグランドスラム・タイトルを、儀式をもって記念した。

それは2003年の事だった。サンプラスは幼い息子クリスチャンを連れて、最後にチャンピオンとしてニューヨークへ向かい、アーサー・アッシュ・スタジアムコート上で、価値あるスタンディング・オベーションを受けたのだった。今年、彼は独りで東海岸へやって来たが、そこでプレーしていた頃の事を思い出さずにはいられなかった。

「部屋に入ると、かつての試合前の緊張感を思い起こすよ」とサンプラスは語った。「もちろん、妙な気分だ」

今、彼にとって人生は大いに変わった。彼自身の父親は、家族を養うために2つの仕事に従事していたが、サンプラスは2人の幼い息子、そして妻ブリジット・ウィルソンと、たっぷり一緒に過ごす事ができる。

しかしタイトルとランキングを追い求めるキャリアを送ってきた後、レジャーは自分にしっくり来ないという事に、サンプラスは気付いた。

火曜日の夜、ビバリーヒルズで一緒にバスケットボールをしたスポータイムズの監督チャック・アダムスには、それが理解できた。彼らはそこで暮らしている。

「2年間くらいは、1カ所にいる事が嬉しいものだ」最高で33位に就いた事のあるアダムスは語った。「そして数年の間1カ所にいると、再び外に出たくなる」

今年の初め、『ワールド・チーム・テニス』に参加する前に、サンプラスはロビー・ジネプリとエキシビションで対戦した。最初の2試合を通し、彼の成績は6-10(ゲーム)だった。そして火曜日の夜に予定されていたフィラデルフィアの試合は、雨で流れた。

「昨年、もし機会があったら、プレーしてみようと決めていたんだ」とサンプラスは言った。「ここでプレーする約束をして、自分の生活になんらかの規律を得る約束となった」

昨日、サンプラスはスポータイムズの VIP テントで、多数のファンに歓迎の挨拶をした。彼は微笑み、握手し、そして観客たちが、コート上の彼を見てきた年月が、自分たちにとってどれほど意味があったかを語ろうとするのに耳を傾けた。

「( WTT )は人々との交流がより多い」とサンプラスは語った。「プレーの前に、写真を撮ったりサインをするなんて、かつてはあり得なかったよ」

少しばかり混乱はあったが、ファンには喜んでもらえた。A.J. Jadhav と彼の妻 Pranita は、サンプラスがやって来る日付をカレンダーに丸で囲んでいた。そして10歳の娘クリスは、昨夜サンプラスと一緒に、写真に収まった。

「ステキだったわ」とクリスは言った。彼女は Mamaroneck に住んでおり、ボールガールも務めたのだ。「夢が叶ったの」

将来、ATP ツアーに戻る気はないが、もう少しテニスへ戻ろうかと考えている、とサンプラスは語った。彼はジョン・マッケンローの、テレビとエキシビション・マッチへの関わり合いに触れた。だが現時点では、彼は家にいる事がとても楽しいし、――えへん――物静かな態度でいると語った。

多くの若いアメリカ人にとって、彼は強力な動機を与える存在となり得るだろう。サンプラスを Mamaroneck に招く事で、地元の若いテニスプレーヤーに興味を起こさせる事をオキンは望んでいる。

「彼が引退のスピーチをした年、私はオープンにいた」とオキンは言った。「そして、涙が溢れたよ」




『ワールド・チーム・テニス』におけるピートの戦績は、以下の通りです。
スコアリングは1セットマッチで、4ポイント先取した者がゲームを取る、5ゲーム先取した者が試合の勝者となるようですが、よく分かりません。詳しくは以下のサイトで。
http://www.worldteamtennis.com/schedules/schedules.asp

7月10日(月) 於ニューポート・ビーチ
対 St. Louis Aces
シングルス Pete Sampras 対 John Paul Fruttero 4-5
ダブルス Pete Sampras / Ramon Delgado 対 Brian Wilson / John Paul Fruttero 5-3

7月12日(水) 於サクラメント
対 Sacramento Capitals
シングルス Pete Sampras 対 Sam Warburg 2-5
ダブルス Pete Sampras / Rick Leach 対 Sam Warburg / Mark Knowles 2-5

7月19日(水) 於 Mamaroneck(ニューヨーク)
対 New York Sportimes
シングルス Pete Sampras 対 Alex Bogomolov Jr. 5-1
ダブルス Pete Sampras / Rick Leach 対 Alex Bogomolov Jr. / David Martin 0-5
混合ダブルス Pete Sampras / Tina Krizon 対 David Martin / Ashley Harkleroad 1-5

7月20日(木) 於 フィラデルフィア
対 Philadelphia Freedoms
シングルス Pete Sampras 対 Jaymon Crabb 3-5
ダブルス Pete Sampras / Rick Leach 対 Daniel Nestor / Jaymon Crabb 2-5

7月21日(金) 於 ハートフォード
対 Hartford FoxForce
シングルス Pete Sampras 対 Glenn Weiner 2-5
(ピートは第4ゲームで右脚の大腿筋を傷めた)
ダブルス Pete Sampras / Rick Leach 対 Glenn Weiner / Goran Dragicevic 4-5

7月23日(日) 於セント・ルイス
対 St. Louis Aces
シングルス Pete Sampras 対 John Paul Fruttero 0-5
ダブルス Pete Sampras / Rick Leach 対 Brian Wilson / John Paul Fruttero 2-5

7月24日(月) 於ヒューストン
対 Houston Wranglers
シングルス Pete Sampras 対 Jan-Michael Gambill 3-5
ダブルス Pete Sampras / Rick Leach 対 Jan-Michael Gambill / Graydon Oliver 5-4


率直に言って、あまりパッとした成績ではないようですが……。(^^;
ま、ピートが楽しんでやっているのなら、個人的には充分です。
また7月29日にはワイルドカード・マッチとやらにピートが登場。8月7日、カーソンにおける女子ツアー大会の期間中には、ジム・クーリエと3セットのエキシビション・マッチを行う予定もあるそうです。