ヒューストン・クロニクル
2006年4月7日
リバー・オークス・インターナショナル
サンプラス以外の誰もが楽しんで帰宅する

文:Dale Robertson


テニスの伝説的チャンピオンは、エキシビションの敗戦ではなく、良い結果を求めた

ピート・サンプラスは、ヒッティング・パートナーのヒューゴ・アルマンドと2人、裏道をそっと歩いていこうとしていた。2002年USオープンで優勝して以来、初の試合を行う前に、遠くのバックコートで短いウォームアップを行うところだった。

だが、それは『リバー・オークス』の会場に素早く知れ渡った。間もなく、100人近い好奇心旺盛なファンがコートに列をなし、史上最高のテニスプレーヤーの写真を撮ったり、静かな敬意を払っていた。

気まぐれなバックハンド
しかしながら、サンプラスの軽いストローク練習に注目した人々は、恐らく驚くべき事に気付いただろう。グランドスラムで14回優勝したチャンピオンは、バックハンドをうまく打つ事ができなかった。トップスピンであれスライスであれ、オーバーしていた。とにかく長かった。

「今、以前より大きいラケットを使っていて――もっとパワーは得られるが、コントロールがもう一つなんだ」と、サンプラスは語った。木曜日の夜、彼は2時間近い愉快なエキシビション・マッチに出場し、ロビー・ジネプリに6-3、7-6(10)で負けた。そして3年半の休止後、競技場への復帰を印したのだ。

「まあまあの感じだった。かなり良かったが、確かに素晴らしくはなかったね」と彼は言った。「自分が34歳であるとか、しばらくプレーしていないとかは気にしない。大事なのは、いいプレーをして、ファンに楽しいショーを提供したいという事だ」

陽気で眼の高い満場の観客を前に、彼はそれを行った。サンプラスは観客に、彼がどれほど優れていたかを大いに思い出させた。しかし彼自身を満足させるには充分でなかった。彼の内なる競技者魂は、勝利を期待していた。対戦相手のジネプリは彼より11歳も若くて、『リバー・オークス・インターナショナル』の No. 1シード選手である事は関係なかった。あるいは、ジネプリがバシリス・マザラキスに番狂わせで敗れた事も 。

「始まりは少し心許なくて、最後は少し息切れした」とサンプラスは語った。
「みんなが見守る中で実際にプレーするのは、練習とずいぶん違うよ」