ガーディアン(イギリス)
2006年3月14日
ヘンマンは大男の前に倒れ、トップ50から落ちる
文:Eleanor Preston:インディアン・ウェルズ / パシフィック・ライフ・オープン


ティム・ヘンマンはキャリアを通してより大きく、より強い選手と戦ってきた。しかし最近、それらの選手たちは、すべて彼より若いようでもあった。「パシフィック・ライフ・オープン」における昨夜の2回戦、彼が6-4、6-4で20歳のトーマス・ベルディッヒに敗れたのは、1つの好例であった。その結果、彼の順位は10年ぶりにトップ50から落ちる事となった。

ベルディッヒは6フィート5インチあり、彼のゲームは、恐らく21歳のヘンマンでもトラブルに陥ったであろう力強いものだった。そのゲームでチェコ人は世界25位に達し、すでにマスターズシリーズのタイトルも約束されていた。31歳のヘンマンは背中に不安を抱え、過去18カ月間、引き出すべき自信もほとんどなく、チャンスもほぼなかった。

言うなれば、彼は最初の45分間、巨大なベルディッヒに対してよくやり、面白くて競い合った第1セットを戦った。そして早い段階では、チェコ人のサービスゲームで0-40 の見せ場さえあった。ベルディッヒは苦しむヘンマンに何をすべきか、答えを出そうとしていたのだ。ヘンマンは試合に入り込むべく、最大限の努力をしていた。やがてベルディッヒは、自分のグラウンドストロークを対戦相手の届かない所に強打するのがスマートな戦術だと気付いた。そこからは、試合は事実上終わりだった。

ベルディッヒがリターンで打つべき場所を見いだす前、ヘンマンは第1セットで4-4まで均衡を保った。第1セットが50分経ったところで、サービスブレークが生まれた。イギリスのナンバー2は、第2セットの始めで再びサービスゲームを落とした。そして、勇敢に戦いはしたが、必然の運命を止めるために出来る事は、ほとんどなかった。ほぼ1時間半後、大会に対するイギリスの関心は消えた。

ピート・サンプラスはその地域に不動産を所有する、多くの退職した百万長者の1人だが、通常は太陽の降り注ぐ Coachella 谷に凍るような寒い日々が続いた後、日光浴のため観客席にいた。元世界ナンバー1、多数のグランドスラムで優勝した者は大いに微笑していた。恐らく、時間と、男子ツアーに容赦なく打ち寄せる才能の潮流とを、コート上で食い止めようとする者ではない事が嬉しくて。

サンプラスが初めてヘンマンに出会った頃、イギリス人は可能性に満ちた活発で若い選手だった。今や彼はベテランで、老朽化して痛む身体の崩壊と、ベルディッヒのような大きくて破壊的な若者の出現とに抗して、絶え間ない闘いをうんざりと遂行している。

このところヘンマンの背中の問題は軽減してきたようだが、それでも彼の世界順位は、上へよりむしろ下へ向かい続けている。彼はサンプラスの例に従い、心地よく裕福な引退生活へ向かいたくなっているに違いない。そこでは、彼が気に懸けねばならない若者は、彼自身の子供たちだけである。

次の大会、マイアミのナスダック100オープンでは、ヘンマンには防衛すべき準々決勝のポイントがある。そしてベスト8かそれ以上に達しなければ、彼の順位はさらに滑り落ちるだろう。



気の毒なヘンマンの現状はさておき、記者会見ではこんな愉快なやり取りがあったようです。

ヘンマンの記者会見より

観客席にはよく知られた、しかし珍しい顔が見られました。彼はそこに座って、数ゲームを見ていました。あなたは彼が見ているのに気付きましたね。アイコンタクトはありましたか? 彼はサングラスをかけていましたが。

ティム・ヘンマン:彼と話をしたよ。もう1年くらい会っていなかったけれど、ここで彼に会い、話をした。

12カ月前、彼は見に来る事に興味がありませんでした。

ティム・ヘンマン:今や彼は(大会に)投資している。うん、彼は退屈しているに違いないね。(微笑)


ファンがテレビで見たピートの様子

ヘンマンのインタビューで触れている観客席の男は、確かにピートでした。−−彼は素晴らしい様子でした!!!

パトリック・マッケンローとクリフ・ドライスデールがコメンタリーをしていましたが、P・マックはドライスデールを遮り、観客席でピートがポール・アナコーンの隣に座り、ヘンマンの試合を見ていると、皆の注意を喚起しました。

マッケンローはサンプラスを見つけ、子供のように興奮していました。もちろんカメラはサンプラスを捉え続けました(彼はせわしなくチューインガムを噛んでいました)。ピートはずっと微笑み、笑っていました。そしてよく喋っていました。

P・マックとドライスデールは試合にピートがいたのをとても喜び、彼を「ショット・オブ・ザ・マッチ」にしました。

……彼を再びテレビで見られたのは、本当に素晴らしかった……。