ダニエル・アイランド・ニュース
2007年9月20日
クーリエ、サンプラスは「ミラクル・マッチ」を演じる
文:Tom Ratzloff


テニス界の偉人が MUSC 子供病院のためにビッグヒットする


先週の土曜日、ジョン・マッケンローと朝の練習セッションを行うためにコートへ向かう20分前、ジム・クーリエは電話をかけた。今週の日曜日にノース・チャールストン・コロシアムで催されるピート・サンプラスとのエキシビション・マッチについてである。

「観客は良いテニスを見るつもりでいる」とクーリエは言った。彼は4つのグランドスラム・タイトルを獲得し、2000年に ATP ツアーを引退した。「お遊びの打ち合いじゃない。我々はそれをコートに展開するんだ」

37歳のクーリエは元・世界ナンバー1テニスプレーヤーだが、長年のライバルであり、14のグランドスラム優勝記録を打ち立てた36歳のピート・サンプラスに立ち向かう。彼らは3セットマッチのシングルスの他に、チャールストン大学バスケットボール部ヘッドコーチ、ボビー・クレマンズと知事のマーク・サンフォードを迎えて有名人ダブルスを行う。

9月23日のイベントは、「サンプラス対クーリエ:ミラクル・マッチ・ツアー」と銘打った、5都市で開催される国内ツアーの第1戦である。ノース・チャールストンのイベント収益は、ミラクル・マッチ財団と MUSC 子供病院にもたらされる。

ミラクル・マッチ財団は、元テニスプロのビル Przybysz が創設した。彼は1995年に、重篤な単核細胞白血病と診断された。骨髄移植を含む一連の治療で回復した後、ミシガン州グランドラピッズに暮らす彼は、「ミラクル・マッチ」のアイディアを実現化させた。類似した病と闘っている人々が、支援と援助のネットワークを得られるようにするためである。

「ジョン・マッケンローは友人で、私がミラクル・マッチを設立するのに力を貸してくれた」 Przybysz は先週、電話インタビューで語った。「我々の初イベントは1999年にグランドラピッズで行われ、私はそこでプレーした。メイン・イベントはジョン・マッケンロー対ビョルン・ボルグの試合で、人々は喜んでくれた。素晴らしいイベントだった」

そのデビューから、マッケンローは国内15カ所でミラクル・マッチ・エキシビションに参加してくれた、と42歳の Przybysz は語った。彼は1980年代半ばにプロテニスでプレーをしていた。マッケンローはスケジュールの関係で今週のイベントには現われないが、Przybysz は今週チャールストンに向かい、子供病院を訪問する。しかしながら、日曜日にテニスはしない。

「私は時折しっかりと休息しなければならないので、このイベントではプレーしない」と、フルタイムでミラクル・マッチ財団のために働く Przybysz は語った。「だが、他の開催地ではコートに戻りたいと望んでいる」

クーリエは、マッケンローを通じて1年前に Przybysz に会ったと語った。そして昨年2月、グランドラピッズでミラクル・マッチ・イベントに初参加し、マッケンロー、引退した女子プロのアンナ・クルニコワ、ヤナ・ノボトナ等とプレーした。

「とても素晴らしい、心温まるイベントだった」とクーリエは語った。「それ以来、ビルをよく知るようになったが、彼が行っている事、彼の人間性に感銘を受けている」

クーリエと Przybysz は提携し、クーリエが2004年に共同設立した独立イベント・プロダクション会社「インサイドアウト・スポーツ&エンターテインメント」を通して、ミラクル・マッチ財団をプロモートしてきた。この会社が行うイベントのすべては、アウトバック・チャンピオンズシリーズ、レジェンダリー・ナイトシリーズ等のテニス・エキシビションを含めて、揺るぎないチャリティ的要素を有している。インサイドアウト社は創設以来、様々の有益な目的に250万ドル以上を寄付してきた。

クーリエは2005年に「国際テニス名誉の殿堂」入りを果たし、多くの慈善事業で活動してきた。彼は故郷のフロリダ州セント・ピーターズバーグに「レイモンド・ジェームズ・クーリエ:都心部子供・青年テニス・プログラム」を設立した。また、「ファーストサーブ」「ガリクソン財団」のような、他のテニス関連慈善団体でも委員を務めている。

プロテニス・サーキットでの生活が、慈善活動への関わりに役立っているとクーリエは語った。

「テニス界には、ある選手がイベントを行うと、互いに協力し合うという文化がある。ある種のお返しで、良い事がなされるための素晴らしい方法だ。だが、テニス選手が他の人々よりも称賛に値するという訳ではない。それぞれが有している才能を持ち寄るんだ。ウォーレン・バフェット(アメリカの著名な株式投資家、経営者、慈善家)のような億万長者とか誰かが無料食堂を提供する場合もあるし、あるいは学童保育プログラムで子供たちに本を読み聞かせてもいい。我々はみんな、自分にできる事で社会に貢献すべきだ」

数年前に引退した後、36歳のサンプラスは、昨年ワールドチームテニスやエキシビションでプレーを始めた。クーリエは、長年のライバルがコートに戻ってきたのを喜んでいる1人である。彼らは10歳と11歳の子供だった時、国内ジュニア選手権で初めて対戦した。そして何年もの間、テニス界のナンバー1を懸けて戦ってきた。

「ピートは少し活動休止していたが、戻ってきたのは素晴らしい」とクーリエは言った。「テニス界のためにも素晴らしい事だ。彼は人々が見たいと思う伝説的偉人だからね。ピートの業績それ自体が物語っている。そして、本当だよ、彼は今でも素晴らしいゲームをする……。観客は何らかの優れたテニスを見る事になるだろう」