ボストン・グローブ
2007年4月29日
ラケット・マン
文:Doug Most
(写真:Joe Schmelzer)


テニスの偉人ピート・サンプラスは35歳で戻ってくる。水曜日にボストンで行われるアウトバック・チャンピオンズシリーズに参加する。


引退生活はどんな風でしたか?

最初の2年はとても楽しかったよ。プレーやトレーニングについて悩む必要がなかった。小さい赤ん坊がいた。3〜4年経つと、少し落ち着かなくなった――ゴルフをたくさんやれるだけではね。

少なくとも時にはテニスをしていましたか、それともラケットは本当に埃を被っていたのですか?

地下室で埃を被っていたよ。僕はラケットに触らなかったんだ。興味がなかった。倦んでいたんだ。今、僕にはラケットを握る理由がもっとある。競い合うんだ。

競技を恋しく思いましたか? あなたの生活はどう変化したのですか?

2年間は何もしなかった。食べたいものを食べていた。それから自分の写真を見たんだ。何が起きたか? 僕の顔は――二重顎になっていたよ。僕はかつて運動選手だったんだ。これはストップしなければってね。今は多分、現役時の体重近くまで戻っているだろう。

全盛期にあなたがしていたように、現在ロジャー・フェデラーは男子テニスを支配していますね。

僕は彼の気質が好きだよ。不作法ではない。彼のプレーを見ると、僕なら何ができるだろうかと考える。それは僕の中にある競技者の魂だ。互いに全盛期なら、どちらが優れているだろうか? 僕たちのゲームは異なっていると思うが、動きは似ている。

あなたなら彼にどう対するでしょう?

3週間前に彼とヒッティングをしたが、自分のサーブはキープしたよ。今でもかなり手際よくサービスをキープできる。それはテニスの闘いの半分だ。

しかし、あなたはそれで充分なのですか? 30歳以上のツアーに出場する選手たちはどうですか? 再び競い合うだけで幸せを感じられますか、それとも勝たなければなりませんか?

我々は勝ちたいと思っているよ。楽しくやり、愉快な一面を見せる時もある。でも良いプレーをし、勝つ事を望んでいる。現役選手のレベルではないが、かなり近いよ。僕たちは、勝つ必要がある、勝たなければならない、と張り詰めてはいないんだ。

それはカムバック話のようには聞こえませんが。

毎日毎日こつこつと骨折りする事、トラックでのトレーニングとか何やかやは、もう僕の中にはない。僕には4歳半と1歳半になる2人の息子がいるんだ。彼らを追いかけ回しているよ。

もう息子さんたちに、ラケットを握らせていますか?

4歳の息子は小さいラケットを持っている。彼はそれが好きだ。彼は型破りな握り方をしている。それを変えるように言うと、彼は「パパ、分かってるよ」と言うんだ。

あなたは17歳でプロに転向しました。運動選手が若くしてプロスポーツに入るのは賢明だと思いますか?

良い人々が周りにいる必要があるね。ゆっくり時間をかけるんだ。(ゴルファーの)ミシェル・ウィーを見てごらんよ。彼女は言わば爆発するが、それは彼女のキャリアを傷つけたかも知れないね。人生で何を欲するかについて、適切なバランスを取るんだ。良い親、良いしつけ、良いエージェント、自分のスポーツでベストになるためには、人生の準備段階が必要だ――選んで、それについて賢明である事だ。