ロイター通信
疲れ切ったサンプラスは悲痛に満ちた困憊の1週間を語る


メルボルン、オーストラリア――木曜日、世界ナンバー1のピート・サンプラスは、彼のテニス人生における最も悲痛で消耗した1週間について、そして、彼曰くキャリアで最も厳しい試合を闘いながら、センターコートで泣いた事をどう感じたかついて語った。

同国のジム・クーリエと対戦したオーストラリア・オープンにおける叙事詩的な5セットに引き続き、うなだれ、精根尽きた様子で世界のメディアの前に姿を現してからちょうど36時間後、より落ち着いたサンプラスは、公の場で見せた深い悲しみを振り返る事ができた。

「みんな、僕が普通の人間だって分かったんじゃないかな。僕はみんなと同じように感情がある……ロボットなんかじゃないよ」と、23歳のアメリカ人は言った。彼は病に苦しむコーチのティム・ガリクソンを案じ、コート上で打ちのめされたのだ。

「僕は道を横切るその辺の男と同じ、普通の人間だ。テニスプレーヤーを見る時、我々は他の人と変わらない、みんなと同じ事をするのだと、理解すべきだと思う」と彼は付け加えた。

6-7、6-3、6-4、6-4で第5シードのマイケル・チャンを破り、6回目のグランドスラム決勝に到達した後で、彼は話をしていた。彼は電話でガリクソンと連絡を取ったところだった。ガリクソンは先週末にここで病に倒れた後、シカゴに戻っていたのだ。

ガリクソンは昨年末に小発作を2回起こしていたが、火曜日に合衆国へ帰った。そして病院で徹底的な検査を受けた後、今は自宅に戻って家族と一緒にいる、とサンプラスは語った。

「ティムはとてもうまくやっているよ。今朝、彼と話をした。試合後に話したんだが、彼は上機嫌だった」と付け加えた。

これから2日間も「ちょっとお喋りと戦略」を、彼はガリクソンと話しているだろう。

水曜日の未明、サンプラスはクーリエ戦で2セットダウンから劇的に追いついたが、ファイナルセットの始めに1人のファンが「コーチのために頑張れ」と叫んだ時、抑えきれない涙にむせんだ。

「とても辛い経験だったが、まだここにいられて嬉しいよ」とサンプラスは言った。

トップシードのサンプラスは、スウェーデンのマグナス・ラーソンとクーリエに対する2度の5セット・マラソンの後、自分の思い、そして肉体的な疲労困憊で精一杯で、4時間にわたる準々決勝の大試合が、すでにテニス界の伝説に属していた事を知らなかった。

「どんな影響が自分自身やテニスにあったか分からなかった。僕はどちらかと言えば控えめだし……新聞やテレビはあまり目にしていなかった」と彼は言った。「多分あなたたち(メディア)の方が、僕より良く知っているよ」

今週サンプラスが経験した情緒的なトラウマは、他の選手たちの胸をも打った。信心深いキリスト教徒のチャンも。

「ピートはこの2週間に、とても上手く対処してきた」とチャンは語った。

「彼はとても上手くテニスに集中する事ができ、なおかつ非常に思いやり深い人間でいられた」

「我々はピート・サンプラスの違った面を目にしたが、それは確かにこれまで見た事のないものだった」と付け足した。

クーリエとの試合は「これまでで最も厳しい闘い……昨日より今日の方が、さらに身体が痛いよ」とサンプラスは言った。

彼には決勝戦の前に3日間の休みがあり、身体と心を再充電する。

そして日曜日には、彼はナンバー2のアンドレ・アガシか、同じアメリカのアーロン ・クリックステインと対戦する。彼曰く、人生で最も重要な試合になるであろうもの。

「これは特別だ。状況ゆえに、そして僕がクーリエ、ラーソンに対して崖っぷちから真剣に抵抗し、逆転勝ちしたという事実ゆえに」