1999年11月22日
1999 ATPチャンピオンシップ / ハノーバー、ドイツ

ピート・サンプラス記者会見(ドロー・セレモニー時)


背中の具合は元通りですか?

ピート・サンプラス:
うん。

ピート、最初の、そして言うまでもない質問ですが、身体的にはどんな具合ですか?

ピート・サンプラス:
まあ、くわばらくわばら、背中はいい感じだよ。
訳注:「knock on wood」自慢などをした後で復讐の神 Nemesis の怒りを和らげるため、手近の木製物をコツコツと叩くおまじない。

パリ(インドア大会)の後、もう1回 MRI(断層撮影)の検査を受けたが、それまで以上のダメージはなかった。だから良かったよ。――僕はこの2日ほど、かなり激しい練習をしたが、不快感は何もなかった。だから――だが、試合でプレーするのは少し訳が違う。少しばかり無理をする。無事に最初の試合を終え、そしてこの週を切り抜けられたら、と願っているよ。

最初のグループにはあなたとアンドレが一緒で、興味深いグループになっています。

ピート・サンプラス:
面白いね。僕たちのこれまでが、試合をとても面白いものにするのは間違いない。彼は素晴らしい年を過ごし、大会に臨む中で最もホットな選手だろう。だが僕は、自分が上手くボールを打っていると感じている。今週は、自分のフォームを見つけられれば、と望んでいる。でも彼は確かに、優勝候補として少しばかり抜け出しているね。

僕は、自分が徐々に負けにくい状態になっていくだろうと感じている。夏の間のようなレベルになるかどうかは、何とも言えない。でも、そうなれるといいな、と思っているよ。

USオープン前のシンシナティ以降、あなたは1試合しかプレーしていません。カムバックしてすぐに試合勘を取り戻すのは、どれほど難しいですか?

ピート・サンプラス:
まあ、試合勘を取り戻すのはかなり難しいよ。可能な限り練習し、そして練習で上手くやる事はできる。だが、ちょっとナーバスな気分で試合に臨むのは、練習とは少し違う。だから、とにかく試合でプレーして、願わくば初戦を突破して大会を進んでいきたいね。

それが、僕の現状だと考えている。夏の間のレベルになれるとは期待できない。でも僕がここにいるのは、状況を見ているからだ。来年の全豪の事を、背中が持ち堪えるかという事を考えている。僕の身体がどんな段階にあるかを知るための、本格的なテストだよ。

もし僕がここで勝つ事ができたら、それはボーナスだ。とても大きなボーナスだろうね。再びプレーするのは、競技の場にいるのは楽しいよ。

なぜあなたがプレーしたのかは分かりますが、今となっては、恐らくパリでプレーすべきではなかった、少しばかり時期尚早だったと考えていますか?

ピート・サンプラス:ちょっと早すぎたのかも知れないね。これまでもずっと、Teraflex というサーフェスは僕の背中にトラブルを与えてきた。プレーを始めるまでは、そして2時間あのサーフェスで走り回るまでは、背中は何ともなかったんだ。僕の背中は準備できてなかったんだね。でも椎間板の問題ではなかった。筋肉と疲労の問題だった。

それで、ヒッティングを再開しても問題ないと自分の心に言い聞かせるために、検査を受けたんだ。でも、プレーする事にしたのは前進だと考えている。短い間にあれこれあったのは、辛い経験だった。だが、それは正しい決断だと考えていた。

ここへ来たのは正しい決断だと願っているよ。そうなるだろうと思っている。多少サーフェスは硬くても、僕の背中にはより楽かも知れない。そうである事を願うよ。

パリで、試合の後すぐに、検査を受けようという気になったのですか?

ピート・サンプラス:
椎間板の状態を調べるために、戻るとすぐに MRI を受けたんだ。USオープン後の状態と、ほぼ同じだった。それは背中を過度に保護する反応だった。脊柱の周りの筋肉が、それほど激しく動く準備ができていなかったんだ。

だから、自由にプレーできると感じるのは精神的に良い事だよ。それが、闘いの半分を占めるものなんだ……。

1位の座を争わない状態でいるのは、奇妙な感じですか? あるいは、それはある意味で、何年も前にあなたが言った言葉を使うなら、「背中の荷を下ろした」ような気分ですか?

ピート・サンプラス:
まあ、前にも今年と昨年の相違について尋ねられたが、今、僕は完全に、そして全くもってリラックスしているよ。昨年の今頃の事を覚えているなら、僕は確かに記録を破ろうとしていて、もっとストレスのかかった状態だった。

だが僕がこの4カ月間、いかにコントロールできなかったかは興味深いね。それは自分の健康だった。そしてもしオープンで順調にやり、良い秋シーズンを送っていたら、僕は7年連続の記録のために、ここにいた筈だ。

その意味では、失望するものだ。でも僕は今それを乗り越え、それを受け入れたんだ。自分の順位は成り行きだ。今年だけでなく、新しいシステムになる次の2〜3年もね。僕が1位であった日々――それが終わろうとしているとは言いたくない。だが、これからはもう少し難しくなるだろう。

それで――でも、確かに昨年とは、夜と昼のように違うね。

シーズンを終える前に何試合かプレーする必要を感じて、あなたはここに来ました。自宅に留まって休暇を取ろうという誘惑はありましたか?

ピート・サンプラス:そりゃ、もちろん。そういう誘惑はあったよ。だが精神的に、僕はすでに先を、来年のオーストラリアの事を考えている。今年は(全豪で)プレーしなかったが、もし僕がここでプレーしないとなると、全豪はスラム大会だし厳しい状況になる。僕には自分の背中がどんな様子か知る必要があったんだ。

それに、プレーが恋しいよ。世界のベスト・プレーヤーたちと試合するのが楽しみなんだ。僕はすでに準備が整い始めている。自分はUSオープンの後に休暇を取ったと考えている。あれが僕のシーズンオフだったんだ。今はここでいいプレーをすべき時だ。そして家に帰るとすぐトレーニングに取り組み、オーストラリアに備えるべき時だ。

あなたは夏に、ゲームに関して優先事項がどのように変わってきたか話していました。来年のスケジュールは固まりましたか? それはジンバブエ行きを含みますか? オリンピックを含みますか?

ピート・サンプラス:
オリンピックは含まないよ。だがデビスカップには参加する事になるだろう。今週を過ごしてみて、そしてジンバブエについて決めるつもりだ。その旅行をするかも知れない可能性はあるね。

だから、うん、優先事項は恐らく変わってきた。僕はデビスカップに参加したいし、もちろんスラム大会でプレーしたい。そしてメジャー大会で上手くやるチャンスを自分に与えるだけの大会数をこなしたい。新しいランキング・システム、自分がとても長い間ナンバー1であった事、それゆえに、1位の座が以前のように優先事項となるかどうかは、何とも言い難いね。

でも僕は今でも競争心が強いし、それをできるよ。ウインブルドンに優勝し、他にも、そして2つくらいスーパー9大会で優勝したら、1位を狙えるよ。でもそれに関しては、もうあまり拘らない。

レース方式では、1位であるという事の心理的な意味は全く違います。1年のある時期、あなたがある事を期待しない……。(聞き取り不能)

ピート・サンプラス:
何て言ったの?

レースは異なります。例えば、全豪で優勝する人は誰であれ、1月にレースで恐らくナンバー1になるでしょう。

ピート・サンプラス:
いや、いや――うん、1位になるだろう。

ですが、それは何も意味しないのですね?

ピート・サンプラス:
何も意味しない。意味があるのは12月だ。そして僕は――。

他のシステムでは、あなたは毎週毎週1位でした。

ピート・サンプラス:
うん、まぁ。

すると、プレッシャーは増加しないでしょう。

ピート・サンプラス:しないね。まあ、でも、それに頼る事はできないよ。最後の3カ月に良いプレーができるという保証はないからね。

僕のスケジュールと目標からいうと、すべての大会、すべてのスーパー9大会でプレーするかどうかは不確かだ。それらの大会はカウントされる。それをプレーしないとなると、僕は「オーケー、僕はそれを受け入れ、そしてポイントを得るために、願わくばメジャー大会で順調にやるつもりだ」となる。

このシステムは良いよ。シンプルだ。毎週異なったナンバー1が生まれるといった紛らわしさがない。そういう混乱はゲームにとって良いとは思わないんだ。皆がゼロから始めてその年をプレーし、そして最も多くポイントを稼いだ者が1位となる。

(聞き取り不能)

ピート・サンプラス:全豪でプレーするつもりだよ。その後は、分からない。(笑)ウインブルドン、フレンチとオープン。僕が確実にプレーする大会は4つある。もしここでプレーしなかったら、多分アデレードかどこかでプレーする事を考えていた。だが僕はここでプレーしているし、背中が大丈夫なら、アデレードには出ない。メルボルンでエキシビションに出て、それから全豪でプレーする。でもきっと、僕はジンバブエに行くだろう。

その後は、パームスプリングス、リプトン、そしてクレーで幾らかプレーするつもりだ。僕は見積もりを立てているところだ。たくさんの大会には出ない。16〜17大会くらいだろうね。だから……それが上手くいくといいね。

あなたは目標について触れました。今、破られるべき2つの記録があります。同じく、4大大会すべてに優勝する6番目の男になるという目標があります。

ピート・サンプラス:
確かに。その2つは、今のところ何よりも重要な目標だ。来年はできるだけの事をするつもりだ。――もしオーストラリアで起これば、それも良し。もしそうでなければ、フレンチでチャンスがある。だからそれは――挑戦だ。挑戦は、間違いなくキャリアの現時点で僕には必要だ。

もっとデビスカップでプレーする事、そしてアンドレ、トッド、ジムとのいわゆる王朝の一部である事。アメリカでは今後しばらく、そういうチームは見られないかも知れない。だから、確かに今年は岐路だった。僕のキャリアにとって、そして自分が何に参加したいのか知るために、この先3〜4年を考えるという意味でね。

あなたはアンドレと同じグループでない方が良かったですか?

ピート・サンプラス:明日最初に彼と試合するのは望まないだろうね。スケジュールがどうなっているのか知らないんだ。この大会にいる誰もが、僕のグループの誰もが、素晴らしい年を過ごしてきた。でも確かに、彼は今のところ誰よりもいいプレーをしているし、優勝候補として少しばかり抜け出しているだろうね。

だが、僕としては、とりあえず怪我をしないで試合を乗り切りたいよ。そして、もしここで勝てたら、今週良い結果を出せたら、それはボーナスだ。でも僕はいい感じでボールを打っているよ。ただ熱い競技の場に臨み、そして自分ができるテニスをするという事だ。

同じ質問の繰り返しならすみません。Bercy(パリ・インドア)以降、何が起こったのですか?

ピート・サンプラス:
僕はすぐ家に帰り、もう1回 MRI を受けた。背中は悪化していなかった。僕の背中は走り回ったりするのに、まだ充分には準備ができていなかった。そして脊柱の周りにある筋肉が椎間板を過剰に守ろうとして、筋肉のケイレンを起こしたんだ。

1週間ほど休みを取り、そしてゆっくりと――ヒッティングを再開した。いい感じだよ。つまり、痛みを感じずに、自由にヒッティングや練習をしている。そして――だが検査を受けて悪化していないと知ると、精神的に心強いよ。

Bercy の前、危険を冒していると思いましたか、それとも、問題ないと考えていましたか?

ピート・サンプラス:
問題ないと思っていたよ。背中の違和感はまったく感じていなかった。Bercy で練習していても、大丈夫だった。

さっきも言ったけど、プレーする時は、少し無理をするんだ。厳しい試合だったが、僕は3カ月間、そういう試合をしていなかった。そして、あのサーフェスはいつも、僕の背中になにがしかの問題を与えてきた。柔らかいけれど、とても突っかかりやすいんだ。第2セットから試合の終わりにかけて、左側全体が硬くなった。でも幸いに、それは筋肉の問題だった。椎間板とは関係なかった。それは良いサインだよ。

ニューヨークの時のような痛みではなかったのですか?

ピート・サンプラス:
うん、違った。

この経験の後、ここに来て、そして背中がどうなるか、はっきりとは分からないというのは、どのくらい緊張を要しますか?

ピート・サンプラス:
まあ、それが、僕がここにいる理由だ。背中がどんな具合か見る事がね。唯一の理由ではないが。僕はプレーしたい、プレーが恋しいんだ。だが、これは本当のテストだと考えている。来年に向けて、自分が世界でベストの選手たちと対戦できるのか、いいプレーができるのか、そして背中が良い状態にあるのを確認できるかを知るためのね。

年の終わりに、これまで1位の座はあなたのものでした。アンドレが1位を確定した――もしくは、他の選手が負けて彼が1位になる事を確定した日は、どんな感じでしたか?

ピート・サンプラス:
まあ、オープンの後、1位の連続記録は終わったという事実を、僕はいわば受け入れたんだ。そういう事だよ。そうしなければならなかった。

だが色々な意味で、オープンでプレーしない事は失望だった。もちろん記録の事もあったし、オープンに参加できないという事、そして1位に関する事もある。それほど優先事項という訳ではないが、1位にはならないのだという事が、胸にしみ込んできた時にはね。秋に全くプレーしないという事は、「なるようになれ」というようなものだったよ。

自分でコントロールできるものではなかったから、残念だった。自分の背中だった。だが、それは運動競技の一部だ。浮き沈みがあるのは、スポーツの一部だ。でも、僕は来年に向けて準備ができている。僕が脅威となるのは間違いないよ。

あなたは昨年ここで、6年……。(聞き取り不能)あなたは無意識に、7年連続のために、あるいは世紀の終わりのために、懸命にやっていたのでしょうか?

ピート・サンプラス:昨年はそれをすべき年だった。僕はそんな風に考えていたよ。今年、再び試みるつもりだった。ウインブルドンで優勝し、良い夏を過ごし、自分が良い位置につけている、1位を狙えると感じていた。ニューヨークで1つまずい動きをしたら、それは終わりだった。

だから――そんな風だった。つまり、失望だ。だが、前に進み、来年を楽しみにするんだ。

もし日曜日(の決勝)があなた対アンドレだったら、今世紀のテニスへの贈り物的な終わりでしょうか?

ピート・サンプラス:
そうだね。

あなたはそれを受け入れるでしょうね。

ピート・サンプラス:
ああ、もちろん。誰が相手でもだよ。彼とだと、いつも少しばかり余計に特別なんだ。

今日あなたが現れた時、最も賑やかな喝采を受けました。確かです。テニス界にはアメリカ人のスーパースターが必要だと思いますか?

ピート・サンプラス:
もちろん。アメリカでという事?

ただ一般的に。

ピート・サンプラス:
もちろんだよ。

もし今年のあなたとアンドレの活躍を度外視したとしても、アメリカ人のスーパースターがアメリカでは大衆へのエキサイティングなアピールになると思いますか?

ピート・サンプラス:この大会で?

一般的に。

ピート・サンプラス:ああ、うん。テニスは必要として――。

アメリカ人のスーパースターを?

ピート・サンプラス:
もちろん。

ツアーはどのように手助けできると思いますか? どのようにその創造を援助するでしょうか?

ピート・サンプラス:
まあ、それをするのはツアーではなくて、選手たちだよ。

新しい世代がそこまで来ていると思いますか? そこには他のアメリカ人のスーパースターがいますか? それは周期的なものだと思いますか?

ピート・サンプラス:
うん、そうだね。残念な事に、アメリカでは我々の後は、少しばかり人材難だ。ギメルストブとギャンビルを軽視する訳ではないし、彼らは良い選手だが、彼らがゲームの頂点に立つかどうかは、何とも言えない。アメリカのメディアと大衆にとっては、1位か、そうではないか、という事なんだ。

こういう時代は――3〜4年のうちに終わる。するとアメリカでは、アメリカ人選手に関してあまり期待が持てない。テニスでアメリカ人選手が順調にやっていないと、人気は下がるだろう。僕はそう見ている。

ラフターのように、アメリカでも支持されるスーパースターがいると思いませんか?

ピート・サンプラス:それが人気を支えるか、僕には分からない。確かに助けにはなる。彼は人気者だし、ナイスガイだ。だが、アメリカ人が必要だ。このスポーツを新しい高みへ押し上げるためには、地元のヒーローがね。

過去、例えば10年で、ツアーはどのように前進してきたと思いますか? 10年前を振り返ってみてください。

ピート・サンプラス:どのように前進してきたか?

はい。

ピート・サンプラス:
まあ、皆がより多くの金を稼いでいるよ。(笑)今は確かにずっと世界的になっている。インドや上海でも大会が開催されている。僕の出身である合衆国で、もっと人気が高くなってほしいな。ドイツでプレーするのも好きだが、合衆国へマスターズあるいは ATP 最終戦が戻ってくる事、それが見たいんだ。

それが僕の個人的な気持ちだ。でもツアーは良い仕事をしてきた。テニスは世界的にはとても人気が高いよ。僕はあなたに良い回答を与えていないね。

かまいませんよ。

ピート・サンプラス:決め手ではないね。

あなたは良くなってきたと思いますか?

ピート・サンプラス:うん、つまり――あなたはどう思うの? 合衆国では良くなってきた?

私は答えを出そうとしています。

ピート・サンプラス:
あなたは答えを出そうとしている。うん、僕は良くなってきたと思うよ。

もしあなたとアンドレがライバル関係になかったら、変わっていたでしょうか?

ピート・サンプラス:
そうだね。もしアンドレと僕がもっと一貫したライバル関係にあったなら、このゲームは合衆国でとても人気が高かっただろう。95年オープンの後だったと思うが、彼がしばらく消え去ってしまったのは、テニスにとって痛手だった。合衆国でゲームを売るものはライバル関係だからね。

あなたはその間もずっと続けていました――。

ピート・サンプラス:もしライバル関係が続いていれば、それが何よりだっただろう。アメリカ人のライバル関係がスポーツを売るんだ。彼と僕との異なった個性、ゲーム、全て、大いなる対照だった。テニスファンではなかった人々も試合を追った。それが、合衆国におけるテニスでは必要なんだ。もし世界の1位と2位で、そしてメジャー大会の決勝戦で対戦していたら、過去3年ほどにわたり、このゲームは大したものだっただろう。

今でもテニスは順調にやっているよ。だが本当の売り物はスポーツだ。試合が売り物なんだ。――個性は助けにはなる。だが、我々が今年したように、ウインブルドン決勝戦で2人のアメリカ人が対戦すると、アメリカでは皆がその試合を見たよ。つまりそれが本当の――ツアーの問題ではない、ATP の問題ではない、それは試合であり、誰が世界最大の大会で決勝戦を戦うかなんだ。

来年に行われる改善に関しては、ツアーが充分にやってきたと思いますか?

ピート・サンプラス:
ランキング・システムを単純化するのは良い事だと思う。それがどんな風に作用しているか、もっと皆に分かりやすくなるだろう。今のやり方だと、少し紛らわしい。スーパー9大会を9つのグランドスラムのようにして、9つの同じフィールドにし、ベストの選手たちが同じ大会でプレーするようにする試みは、正しい方向へのステップだ。

だが、このスポーツを売るもの、それはメジャー大会だ。いつも僕はそれを繰り返し言ってきた、そして今後もそうするよ。大衆が知っているのはウインブルドンだ。そして、ツアーは確かに大会をそのレベルにする努力をしている。だがスラム大会は常に、他よりもっと際立つんだ。

テニスは――グランドスラム大会を除くと――ケーブルテレビ向きのスポーツだと思いますか? スーバー9大会でさえも。

ピート・サンプラス:
変わろうとしているんじゃないかな。来年は変わるといいね。スーパー9大会が CBS や NBC で放映されるように。それがテニスに必要な事だ。主要なネットワークで放映される事。今は四大大会のうち3つだけだ。フレンチ、ウインブルドンとオープン。

他の大会も CBS で放映されれば、みんな「おや、全国放送だという事は、重要な大会に違いない」と言うだろう。ツアーがそれに取り組んでいるのを知っているよ。シンシナティとパームスプリングスとリプトンは、全てフォックスと CBS で放送されている。良い事だ。

あなたはシーズンを短縮する事を提案してきました。現在の状況で、どのように短縮するのでしょうか。つまり――。

ピート・サンプラス:
まあ、今はできないね。つまり、ツアー最終戦が1年のこの時期にあり、それから12月にはデビスカップ決勝戦がある。シーズンオフはわずかだ。短縮は、僕がそうしたいと――年齢を重ねてきて、今、そう言えるようになった。若い選手たちは毎週プレーしたがる。だが誰もが2週間ほど休むのは、ゲームにとって確かに良い事だろう。

ただ、それが可能だとは思わないのですね?

ピート・サンプラス:
思わない。僕が現役の間にはね。

シーズンオフの話が出たところで、全豪の前にどんな大会に出ますか?

ピート・サンプラス:
今のところは、全豪の前にエキシビション大会でプレーする事になりそうだね。

12月には、休暇を取りますか、それとも懸命に練習するつもりですか?

ピート・サンプラス:
少し休みを取って、それから12月中旬には準備を始めるつもりだ。

この大会をプレーする事で、何を得なければならないのですか? つまり、5位から3位へ上がる事? ちょっと疑問に思っていたのです。

ピート・サンプラス:プレーへの懐かしさ、そしてプレーを楽しむ事、それを得られるだろう。先ほども言ったように、背中がどんな具合か知る事もある。15,000人の観客の前でプレーするのは快感だ。特にここで、この雰囲気の中でね。だからランキングの事は考えていない。賞金の事も考えていない。プレーを楽しむ事を考えているんだ。僕はプレーが恋しい。4カ月間プレーしなかった。だから世界でベストの選手たちと対戦するのを楽しみにしているよ。

ツアーへ戻る事に義務感を感じますか?

ピート・サンプラス:
いいや、義務感ではないよ。僕がやりたい事をするつもりだと、ツアーは承知している。もしここでプレーするのに背中が不充分だったら、僕はここにいない。義務だとは考えていない。僕はプレーしたいから、ここにいたいのだと考えているよ。

デビスカップ決勝戦に近づいています……。(聞き取り不能)

ピート・サンプラス:
何の考えもないよ。何も知らないんだ。――あなたの国の選手が出るんだね。クレー?

そうです。

ピート・サンプラス:
分からない。良い決勝になるだろうね。

レイトン(ヒューイット)の状況への対処はどう思いますか?

ピート・サンプラス:
かなり上手いよ。ボストンでは、彼はとても上手く自分をコントロールしていたよ。彼はタフな子供で、間違いなく大きな場が好きだ。そしてきっと、特にフランスでプレーすると、観客とかなりの事があるだろう。僕はそれをくぐり抜けた。彼は、忘れがたい経験をするだろうね。

2年前、あなたはアンドレ・アガシがこれほど強くなって戻って来ると予想しましたか?

ピート・サンプラス:
2年前、彼はプレーしていなかった。――もしくは、あまりいいプレーをしていなかった。だが、彼がテニス界でも才能豊かな男だと、僕たちはみんな承知していたと思う。そして――。

あれほど悪かった後という意味です。彼が再びこんなに強くなって戻って来ると予想しましたか?

ピート・サンプラス:
まあ、驚いてはいるよ。でもそれほどではない。僕は世界最高の選手たちと対戦してきて、そして彼の能力を知っている。要は彼がゲームに身を入れるかどうかだ。

明らかに、彼はこの年それをしてきた。問題は、彼がそれを何年も何年も維持できるかという事だ。そして、それは確かにテニス界にとって良い事だ。個人的に僕にとってもね。彼と試合をするのは楽しみだから。間違いなく――彼がいいプレーをしている時は、倒すのがとても大変な男だよ。

あなたは大会が楽しみですか?

ピート・サンプラス:
楽しみだよ。僕はここにいて、準備ができているよ。

明日、あるいは水曜日、プレーに耐えられますか?

ピート・サンプラス:
いつでもオーケーさ。

アンドレ・アガシとの対戦が楽しみですか? あなたにとって、違った意味がありますか?

ピート・サンプラス:
まあ、ユニークだね。僕たちには他の誰よりも対戦してきたという歴史があり、彼は今、誰よりもいいプレーをしていて、恐らく優勝候補として少し抜きんでている。

だが僕は――彼と対戦する時までに、良い状態になり、いいプレーをしているといいな。でも僕は楽しみにしている。過去に、彼が僕のベストを引き出してくれたのは間違いないよ。

あなたは世界選手権で4回優勝しました。今回、5回目の優勝を望んでいますか?

ピート・サンプラス:
それが、僕がここにいる理由だよ。今週、自分のフォームがどうなっていくかは何とも言えない。たくさん試合をこなしていないし、背中がどう持ちこたえるかも分からない。でもそれを通り抜けたら、僕がここで優勝できない理由はないよ。

ニコラス・キーファーは、どうでしょう。彼はドイツにいて、優勝を望んでいます。ここは彼のホームです。観客は?

ピート・サンプラス:まあ、彼は失うものは何もない、確かに。一方で、彼は上手くやる事を期待されている。人々から、メディアから。若い選手が初めてここに臨み、それに対処するのは容易ではない。だが彼はとても上手く対処している。彼は若いが成熟しており、頭もいい。何年もこの大会に出るだろう。

サンプラス対キーファーの好試合が準決勝で見られるでしょうか?

ピート・サンプラス:
まあ、たくさんの素晴らしい試合があるだろう。もし事が――あなた方の望んだように運べば。でも計画してできる事ではない。2人の男が準決勝で対戦するまでには、たくさんの優れた選手が待ち構えている。自分のグループを、タフな試合を勝ち抜けたらいいなと願っているよ。

USオープンの後、怪我やら何やらの絶えなかった年を早めに切り上げるという懸念はありましたか?

ピート・サンプラス:
今年の残りに何があるか、そして何をプレーしたいのか、答えを見つけ出そうと、オープンの後じっくり考えていた。もし背中が大丈夫なら、何かプレーできるようにと望んでいた。そして、ここでプレーできる今、明らかに満足を感じているよ。

何があなたを突き動かし、モチベーションを起こさせたのでしょうか? というのは、あなたはナンバー1で、あなたは全てを成してきたからです。

ピート・サンプラス:
来年を、自分の背中が今週どのように持ちこたえるか知るのを、楽しみにしているよ。もちろん、プレーするのを恋しく思う。だが、すでに精神的に、来年への準備を始めているんだ。

この言葉は使いたくないのですが、来年への準備運動のようなものですか?

ピート・サンプラス:
必ずしも準備運動ではないよ。ここでプレーしないと、ほぼ4カ月間、全くプレーせずにスラム大会に臨む事になる。それは望ましくなかった。だから、背中がここでプレーするのに充分回復しているように感じたし、試してみる事にしたんだ。身体的に自分がどの辺りにあるか知るためにも。テニスの事で言えば、何試合か経験する事も大事だ。

4カ月と言いましたが、それはあなたにとって、かなりの期間です。そして以前から、あなたはあれこれ言うよりもプレーする事を好む人です。それは今でもほぼ同じですか?

ピート・サンプラス:
うん、ほぼ同じだ。来年の事を考えると、4カ月間休むつもりはない。だがある意味では、ロスで他の事をしたり、家族と一緒に過ごすのは楽しかった。良かったよ。

その月日の間には――辛い時期もあった。だが僕はプレーに戻ってきたし、それが嬉しいよ。

あなたはロスに戻り、そこで多くの時間を過ごしました。再び家族の元へ戻ったようなものですね。人生、またゲームについて、今までと違う考えが浮かんだりしましたか?

ピート・サンプラス:そうだね。何かあるとすれば、これだけ長く休んだので、ここまでだけでなく、今後3〜4年のキャリアについて深く考え、自分が関わりたいものを知る時間が持てた。そして自分の目標、もっとデビスカップでプレーする事などについて考えたよ。

言うならば、普通の生活を送る事ができた。もう何年も、本当の意味では経験していなかったものだ。それは良かった。3週間以上も同じ家にいるのは良かったよ。

実際に、そんな風に暮らしたのはいつ以来ですか?

ピート・サンプラス:
僕が10代の時、16歳の時以来だ。

あなたが言った事、そして――皆の話からすると、あなたはオーストラリアに行くつもりのようですね?

ピート・サンプラス:
僕は100パーセント、行くよ。

インターネットについて伺いたいのですが。インターネットについてどう思いますか?

ピート・サンプラス:
僕はやらない。

あなたはしない。でもあなた自身のサイトがありますよ。

ピート・サンプラス:
うん。

ATP.Com にあります。

ピート・サンプラス:
そうなの? 僕はコンピュータを持ってないんだ。

コンピュータを持っていないのですか?

ピート・サンプラス:
持ってないよ。アンチ・コンピュータなんだ。僕はコンピュータよりも、本を読む方がいいな。本を読んだり、博物館や美術館に行ったりして、街の歴史や文化を知る方がいい。

本や博物館は……。(聞き取り不能)

ピート・サンプラス:
うん、でもインターネットは、テレビを見るようなものだ。それは――感覚を麻痺させるものだ。

チャットルームに入った事はないのですか?

ピート・サンプラス:
一度もないよ。

チャットをしてみたいですか?

ピート・サンプラス:
誰ともしたくない。僕は独りでいたいのさ。そう書いておいて。