1992年9月13日
1992USオープン決勝 / フラッシング・メドウ ニューヨーク
ステファン・エドバーグ/ピート・サンプラス 3-6, 6-4, 7-6 (7-5), 6-2

ピート・サンプラス記者会見



---ピート、タイブレークでのダブルフォールトは影響しましたか? ターニング・ポイントでしたか?

ピート 僕は試合を通じてたくさんのダブルフォールトを犯した。6-5のサービング・フォー・3rd・セットの時にも、ブレークポイントでダブルフォールトしたし、ゲームの最初のポイントでもした。サービスの調子が悪くて気落ちしたよ。初めはとても良かったんだけれど、試合が進むにつれて、サービスにプレッシャーをかけ、いいサービスを打とうとしすぎた。1st サービスの確率がとても低かった。

---エドバーグが素速く動くと考えて、うまく自分を保てなかったのですか?

ピート 試合が進むにつれて、特に第4セットではガス欠状態になってしまった。この夏たくさんプレーした影響だろう。もしかしたら肉体的なものよりも、精神的なものかもしれない。ただとても疲れてしまった。昨夜はいろいろあって、あまり眠れなかった。(訳注:ピートは前日の準決勝が夜までかかり、胃腸の具合も悪くなった)でも弁解している訳じゃない。彼は重要なポイントをものにした。

でも僕にチャンスがなかったとは思わないよ。第3セット6-5のサービスゲームを落としたのに、少し気落ちした。彼はいいショットを打った。僕たちは2人ともちょっと硬くなっていて、テニスのレベルはあまり高くなかったと思うが、彼の方が良かったという事だ。

---あなた達は、2週間後にはクレーで試合する訳ですが、違う結果になりそうですか?

ピート
 僕はシングルスには出ないで、多分マッケンローとダブルスに出る。だからその仕事はジムとアンドレに任せるよ。

---1年を振り返ると、あなたはグランドスラムでいい成績を挙げたけれど、優勝まではいかなかった。傷ついていますか?

ピート 今年は、いい所まで行ったが、充分ではなかった年という風に位置づけられる。ウインブルドンではいい所まで行ったし、ここでステファンと対戦するというのも、大きなチャンスだった。前に2回勝っていたし。出だしはとても良かった。でも今年は、優勝の近くまでは行ったが、充分ではなかった年だった。

---脚のどこが悪いのですか?

ピート 向こうずね。特に第3セットと第2セットでは、とてもズキズキした。ハードコートでたくさんプレーしたからだろう。でも弁解ではないよ。

---昨夜は何時頃ここを出たのですか? 何時頃寝たのですか? それと、昨夜はどの程度具合が悪かったのですか?

ピート クーリエに勝って、10時頃レフェリーの事務所へ行き、点滴を受けた。脱水症状で、下痢もしていた。ウイルス性の胃痛を起こしていた。12時頃ここを出てホテルの部屋に戻り、マッサージをしてもらって、寝たのは明け方3時か3時半くらいだった。今朝は8時に起きた。

だから昨夜は最高の夜という訳にはいかなかった。試合の後、気分が優れなかった。胃ケイレンと脱水症状を起こしていたんだ。もしかしたら、水分の取り方が充分じゃなかったんだろう。でも、今日は僕にもチャンスがあった。弁解はしない。ただ充分じゃなかった。

---今日プレイするかどうか、疑わしかったという事はあったのですか?

ピート 昨夜寝る時には胃ケイレンを起こしていて、今朝もまだちょっと続いていた。薬を飲んで胃を落ち着かせようとして、それは効いたようだった。適切な食事を取り…ご飯とパスタだけど…でも、不安はあった。でも午後になったら具合がよくなったよ。

---それは今日どの程度影響があったと思いますか?

ピート 大して影響はなかった。

---第3・4セットも?

ピート 第4セットでは、少し疲れを見せたかもしれない。ちょっとガス欠状態になってしまった。あの時点では、身体が少し硬くなってきていた。でも2セット半……3セットの間は、調子よく感じていたよ。第3セットを落とした後、多分、何より精神的に気落ちしたんだろう。多分頭の中で、身体が言うことを聞かないと思ってしまって、その結果、実際に身体が動かなくなってしまった。

---ピート、あなたは初めはとても強かった。とても素速く見えました。そして中間で、第2セットが終わった辺りで、精神的にか肉体的にか、何かが起こったように見えました。それともエドバーグが、もっとよくなったのですか?

ピート 彼のプレイは少しよくなったと思う。僕のサービスの調子はよくなくて、気落ちした。奇妙な感じだった。第3セットでは僕にはチャンスがあり、最初のゲームで0-40にしてブレークポイントも握ったけれど、コンバートできなかった。チェンジオーバーの時、チャンスを滑り落としてしまったような感じが少しした。そして自分のサービスゲームで、ちょっと雑なプレイをしてしまった。でもこの試合は、僕が勝つ事もできた試合だった。もし僕が適切なポイントを獲れていればね。でも結果が示す通り、充分ではなかった。

---この結果により、ステファンが1位、ジムが2位、あなたが3位になります。これは現状を正確に反映していると思いますか?

ピート 現状では、ステファンは1位に値するよ。ジムはとても堅実な1年を過ごした。オーストラリアとフレンチで優勝したし。ポイント差は知らない。今日プレイする時には、ランキングの事は考えなかったし、どんな状況かも知らなかった。

彼はタイトルを防衛し、ジムは昨年決勝に進出したから、今年少しポイントを失った。彼は1位に値するよ。世界で最も大きな…あるいは、二つの最も大きな大会の一つで優勝したんだからね。彼に賞賛を贈るよ。

---グランドスラム大会で起こった事を考えると、厳しい年と言えますか? それとも良い年、素晴らしい年?

ピート 良い年だったけれど、満足はしていない。ウインブルドンでもいい所まで行ったけれど、今日と同じく、優勝までは行かなかった。今年はいわば、タイトルを取り逃がした年というところかな。でも良い年だった。今までうまく行かなかったサーフェス---クレーと芝で上達したし。でも今日は、グランドスラム大会で優勝する最大のチャンスだった。

---今まで、サービスにもっと苦しんだ日もありましたか?

ピート もちろんあったと思うけれど……。

---こういう大きな舞台でという事です。

ピート どういう意味? 決勝でという事?

---あなたがとてもいい選手になってからという事です。

ピート 今までにも、サービスの調子が悪い日もあった。でも今日は、そうなるべき日ではなかった。多分、狙いすぎたのだろう。ラインを狙って数インチ外した。そしてステイバックしなければならなくて、彼は必要な時にチップ・アンド・チャージをかけてきた。

以前にもサービスの調子が悪い日もあったけれど、僕はストロークにも自信を持っていて、それで何試合か勝てると思っている。でもステファンのような人と対戦する時には、いいサービスを打たなければならない。

---あなたは長い間負けていませんでしたが、その事について、第4セットで考えたりしましたか?

ピート
 いや。僕の頭は少し下がり、エネルギーはそう高くなかった。彼はそれに気がついたのだろう。彼はもっといいプレイをするようになった。第4セットではとてもいいプレイをした。0-4になった時には、僕のチャンスはとても少なくなったと分かったよ。

---ボレーの調子についてはどんな風に感じていましたか?

ピート あまりよくなかったよ。今日はいいプレイをしていると思わなかった。リターンはまあまあだったが、サービスはよくなかった。ボレーも。僕としては、動きの鈍い不活発な日だった。

---彼はタイトルを防衛したと言いましたが、選手の立場から見て、彼の成し遂げた事についてコメントできますか? 5セットの試合に3回勝利し、5日続けて試合をして優勝した事に驚きますか?

ピート 彼は優勝に値する。クライチェクに負けそうになり、チャンとは5時間戦った。そして今日、彼はとてもフレッシュに見えた。彼は劣勢から挽回して、勝利してきた。チャンピオンの証だ。

---サービスで狙いすぎたと言いましたが、それは対戦相手ゆえですか? それとも決勝という舞台だったからですか?

ピート おそらく決勝という機会だったからだろう。少し硬くなったのだろう、特に第3セットの6-5のところでは、続けてダブルフォールトしてしまった。基本的に、サービスが僕を気落ちさせた。僕は普段は、ステファンに対してはいいサービスを打つのだが、今日は決勝という機会だったからだろう。いつもより緊張し、それがサービスに影響した。

---グランドスラム大会で優勝する事がどんなに厳しいものか、2年前よりも強く認識していますか?

ピート 前にも言ったけれど、もし今年優勝できたなら、それは1990年の時よりも、僕にとって意味があると考えているよ。1990年の時は、すべてがとても速く……多分速すぎるくらいに起こった。アガシを下した後、僕は単に1つの大会で優勝したような気分だった。この大会の重要性や歴史について、はっきり理解していなかった。今日決勝に臨むにあたって、僕はその重要性を分かっていたよ。重大な試合だ。世界で最も大きな大会の1つだ。そして……僕は今日、優勝には少し及ばなかった。

---2年前より硬くなりましたか?

ピート ああ。2年前の僕は、失うものは何もなかったし、アンドレは僕より、その機会の意味を分かっていたんだろう、フレンチの決勝で負けるという経験もしていたし。それで彼は少し硬くなっていた。僕も今日少しばかり硬くなっていた。今日はとても辛い日だよ。

---日程がまずいと思いますか? 男子準決勝の1つは、土曜の夜9時にまだ試合中で、日曜日に再びプレーしなければなりませんが。

ピート かなり失望している。この大会は、そういう事をやる唯一のグランドスラム大会だ。フレンチもウインブルドンもオーストラリアンも、金曜と日曜に試合をやる。これなら選手は1日休めるからね。昨日は9時半に試合を終えたが、普通なら、それまでにマッサージを受け、眠りに就くよ。遅いし、翌日も試合をしなくてはならない。

アメリカテニス協会かどこかが、そういう決定をしたんだろうけど、何故そうするのか理解できない。正当ではないと思う。ステファンは5時間に及ぶタフな試合をしたが、午後4時か5時には終えた。僕は夜の9時過ぎに試合を終えた。でも、それで僕が有利だったとか不利だったとかとは感じていないよ。

---ありがとうございました。