1999年12月14日
ATPツアー20世紀最優秀プレーヤー
文:Gianni Ciaccia

1位:ピート・サンプラス


多分、サンプラスについて最も感銘を受けるのは、キャリア半ばにして、すでに伝説的人物となっている事であろう。1988年にプロ転向して以来、最高記録であるグランドスラム12回優勝(ロイ・エマーソンとタイ)、ATPツアー世界選手権5回優勝を含む、61のタイトルを獲得してきた。

彼の驚異的なグランドスラムのキャリアは、1990年、19歳になったばかりでUSオープンに優勝した時に始まった。1992年に再び決勝に進出し、1993・1995・1996年に優勝している。オーストラリアン・オープンのタイトルは1994・1997年の2回獲得し、1995年に準優勝している。

比類なきピートは、ただ最高である

しかしサンプラスが真に卓越しているのは、ウインブルドンの芝のコートである。1993・94・95・97・98そして1999年と、7年間に6回優勝している。これは20世紀の最高記録で、ビヨン・ボルグの5年連続優勝を凌駕している。

サンプラスはさらに、他の記録も破っており、276週の最長1位在位記録と、1993〜1998年の、6年連続年末1位の記録も保持している。

彼は1991年からデビスカップ代表になり、4回の決勝進出のうち、2回の優勝に貢献してきた。最近になって代表復帰も再確認された。

サンプラスは、究極のオールコート・プレーヤーと見なされている。殆ど欠点のないクラシックなゲームの持ち主で、パワフルな1stサービスと強く安定した2ndサービスを中心に、彼のゲームは組み立てられている。情け容赦ない攻撃性でしばしばネットに詰め、卓越したボレーにより相手を狼狽させる。片手バックハンドでスライスとトップスピンを打ち分け(プロ転向前に両手打ちから変更)、しばしば強烈なフォアハンドのお膳立てにも使われる。

これらすべては、傑出した運動能力、美しいタッチ、絶妙のタイミングと結びついており、最も資質に恵まれた選手の1人である。「ピストル・ピート」と呼ばれる男には、世界じゅうに大勢のファンがいる。彼の物静かで気取らないコート上の物腰は、成長時にアイドルとしてきたロッド・レーバーの影響が大きい。

サンプラスはワシントンDCに生まれ、7歳でテニスを始めた。両親は彼をサポートし、励ましてはきたが、神経質になってしまうからと、21年の間、殆ど彼の試合を見る事ができなかった。

オフコートでは、オーランドとロサンジェルスを行き来し、ゴルフや、お気に入りのNBAチームである、ロサンジェルス・レイカーズの試合を楽しんでいる。彼はまた、ダラス・カウボーイのファンでもある。歴史上の多くの偉大な選手同様、サンプラスは何人かの好敵手に打ち勝ってきた。特にボリス・ベッカーとの間には、思い出に残る試合がある。しかし最近のアンドレ・アガシの復活により、おそらく90年代最高のライバル関係が、再び始まった。

しかしアガシでさえ、絶好調時のサンプラスには、誰もかなわないと認めるだろう。彼は比類なき存在である。すでに驚異的なキャリアを彼が終えるまでに、あとどれくらいの記録を塗り替えるのであろうか。