|
||
ボストン・グローブ 1999年7月18日 第5セットにおけるピートの離れわざは、チャンピオンならではのものであった 文:Bob Rayan |
||
|
||
第5セットはダブルス(2対2)ではなかった。それは17対8だった。第5セット、歴史的チャンピオンが、まさに歴史的チャンピオンのすべき事をしたのだった。ピート・サンプラスはただ支配した。 彼はエンドからエンドへと動く(ボビー)*オアだった。「ボールをよこして、どけ」と言う(ラリー)*バードだった。そして野手に「俺が三振を取る間、座っていろ」と言う*ペドロ(マルティネス)であった。 訳注 ボビー・オア:史上屈指の名選手とも言われる、NHLのカナダ人ホッケー選手。 ラリー・バード:NBAのバスケットボール選手。1998年に殿堂入り。 ペドロ・マルティネス:メジャーリーグ屈指の右腕投手。 |
||
第5セット、サンプラスはエースを放ち、オーストラリア・チームにロケット・リターンを返し、そして*バリシニコフ風に跳び回った。第5セット、サンプラスは豪華なビデオに若干の音声を与えさえした。 訳注:ミハイル・バリシニコフ。ラトビア出身のバレエ・ダンサー。 第5セット、サンプラスは第1ゲームでは痛烈なサービス・ウィナーを、第5ゲームでは3本のエースを放ち、そして熱狂的な状態のサービング・フォー・ザ・マッチでは、ほとんど我を忘れていた。「マッチゲームで、僕は舞い上がっていたよ」とサンプラスは言った。 |
![]() |
|
彼は一度もボストンに来た事がなかった。再びここでプレーする理由も、ないかもしれない。我々はこれまで、あらゆるチームスポーツのスーパースターを目撃してきた。しかしかつて一度も「地球で最高のテニスプレーヤー」とされる者を、ちらとでも間近で個人的に見た事はなかった。 そこで、昨日の午後「ロングウッド・クリケット・クラブ」で5,000人以上の観客に加わる恩恵に浴せなかった人のため、我々が何を見たかを要約しよう。それは「オー」「マイ」「ゴッド」だった。……我々が見たものは、*カーヌスティにおける(ベン)*ホーガンであった。 訳注 カーヌスティ:スコットランドにある、最も難しい全英オープン開催コースと言われるゴルフコース。 ベン・ホーガン:史上最高とも言われるゴルファー。彼の名を冠したゴルフクラブも有名。 彼は二度とここでプレーしないかもしれない。しかしそれでも構わない。我々ボストンの人間には、いつだってあの第5セットがあるのだ。 |
||