薪ストーブ日記
2001年10月
ペンションを始めることを決める。かねてより憧れていた薪ストーブの設置を計画。薪ストーブメーカーからさまざまなカタログを取り寄せる。
最大燃焼時間、最大出力、燃焼効率、廃棄物量などのデータからバーモントキャスティング社のデファイアントに決定。
2001年11月
山形市の「ぜいたく屋」さんを訪問。カタログやデータだけで機種を決めたことが間違いだと分かる。デファイアントはあらゆるデータで他の機種に優っていたが、データーはあくまでもデータに過ぎないと、長年使っていたお年寄りにいわれた。その人は薪ストーブを30年以上も使っているという。
デファイアントで一番魅力を感じたのは、触媒(コンバスター)に煙を通し、完全燃焼させて燃焼効率をあげるということだったが、この触媒は故障が多く、寿命が2年くらいで、交換に5万円はかかるという。また、ダンパー(空気流通調節弁)の調節が難しく、焚きすぎるとすぐに壊れるという。
いろいろ検討し、メンテナンスが楽で性能がいいというヨツールのF500に決定する。
最初にデファイアントに決定したのは、バーモントキャスティング社の日本の代理店ファイアーサイドの営業努力だろう。すばやい顧客対応、すばらしいカタログ、情報、宣伝文句、説明文。これに心を動かされた。
今ではバーモントキャスティング社もコンバスターをやめて、ヨツールのように二次燃焼方式を採用しているらしい。
機種選びは、その地域の気候、設置場所、使用目的などを考えながら経験者に相談するのが一番だ。カタログやデータなどで決めない方がいいと思った。
2001年12月
米沢に引っ越す前に薪ストーブを設置しようと考えていたが、あまりにもあわただしいので、ワンシーズン延ばすことにした。
米沢はさすがに寒く、引っ越してすぐにブルーヒーターを買いに行く。このストーブはすぐに暖まるが、灯油の消費量がものすごく、一日10リットル以上は使ってしまう。灯油の消費量はひと月500リットルにもなった。
2002年8月
夏も終わりかけた頃、ぜいたく屋さんに薪ストーブ設置を依頼する。ストーブ本体と煙突設置はぜいたく屋さんに、煙道工事は米沢の工務店が施工することになった。
炉床と炉壁は予算を節約するために自分ですることにした。
2002年9月
炉床と炉壁を作り始める。
段ボールで設置予定の薪ストーブ、ヨツールF500の実物模型を作り、炉床の広さを決める。
レンガとレンガタイルを運び込み、炉壁と炉床の大きさを決めるために実際に並べてみる。
レンガとレンガタイルはホームセンターの売れ残りを偶然見つけた。
価格はレンガ1個50円。レンガタイルは1枚60円。
レンガ 330個(実際は327個使用)×50円 =16,500円
レンガタイル 40枚(実際は37.5枚使用)×60円 = 2,400円
合計18,900円
大工さんから不燃材の廃材をもらい丸鋸で切る。不燃材は二段に重ねる。丸鋸で切る時、おびただしい粉塵が出た。丸鋸の扱いに慣れていないので、まっすぐに切断できなかったが、でこぼこの切り口はモルタルでうまくかくすことができた。
ペンションは高台にあるので400個近いレンガを運び込むのには苦労した。また、売れ残りレンガなので汚れていたりカビがはえていたりしていたが、ブラシできれいに洗った。かなりの作業量だったが、あまり苦にならなかった。
不燃材とレンガは専用の接着剤で取り付けた。モルタルでは乾燥した時にはがれるそうだ。
モルタルを練ってレンガを積む。レンガの目地はセメントを多く使うそうだが、ごつごつした感じを出すために、セメントと砂を1対1の比率で練った。
2002年9月26日
レンガ壁と床の完成!
9月上旬から始めたが、試行錯誤しながら積み上げていったので約3週間かかり、完成したのは9月末になっていた。
2002年10月9日
煙道工事に取りかかる!
吹き抜けの1階ダイニングの屋根を抜き、煙道工事が始まる。
煙突は自然の上昇気流を利用して煙を屋外に出すので、室内と室外の気圧の差や煙突の高さがさまざまに影響してくる。上昇気流が発生するのはストーブ本体から最低でも4m必要だという。また、煙突は棟よりも高くなければならず、近くに木などがあると煙が逆流することもあるらしい。このような時には逆流防止装置(バキュームスタック)を取り付けるが、煙の流れが悪くなるというデメリットもある。
2002年10月12日
煙道工事終了!
煙突内部が暖まると上昇気流で排煙されるが、外気温が低いと煙突内の空気も冷え排煙されなくなる。また、煙が液化してタールになり煙突に付着して煙突がつまったり、煙道火災の原因にもなる。だから煙突はなるべく外気の影響を受けない断熱効果のある二重煙突がいいそうだ。
この煙突はストーブから8mの高さで、屋根出しでまっすぐに立ち上がっており、二重煙突でしかも壁で囲われているので外気の影響を受けない。煙突の優等生!
2002年10月18日
ストーブと煙突の設置工事
断熱効果の高い二重煙突。
煙突内部が1,000度以上になっても外面は100度程度にしかならないため煙道火災を起こすことはないし、外気の影響を受けることもないので上昇気流を妨げることはない。
ただ、価格は高く、1mで3万8千円もする。
二重煙突を煙道に吊り上げて入れ、金具で固定する。
煙道内部。
ストーブ本体の設置。
ヨツール(ノルウェーのメーカー)F500
価格:45万円
重量は200kgと重く、分解して5人がかりで運び入れた。
初めての火入れ。
着火剤を使ったので火をつけるのに苦労はしなかった。
急いで火をつける必要があれば着火剤は便利だが、あまり使わない方がいいと本には書いてある。新聞紙をぎゅっとひねり、その上に乾燥した細い薪を並べ太い薪を組んで燃やすのが正当なやり方だという。
ただ、ぜいたく屋さんによるとこの本は間違いだらけだそうだ。
薪が燃える炎を見ているだけで心温まる。いつまで見ていても飽きない。灯油ストーブと違い、身体がいつまでもぽかぽかしている。遠赤外線などという無粋なことはいいたくない。自然の恵みを身体に直接取り入れているからいつまでも暖かいのだろう。
薪ストーブに関するさまざまな本を読んだが一番参考になったのが「薪ストーブ大全」(地球丸)だった。ぜいたく屋さんが間違いだらけで知らない人が書いたという本だ。翻訳ものですばらしい本もあるが、日本の実情に合っていないところもあるので翻訳ものよりは日本人が書いた本を参考にする方がいいと思う。
薪ストーブを入れるというといろいろな人がアドバイスしてくれたが、間違っていたり、実情に合っていないことが多かった。薪ストーブはそれほど奥が深いということか。
設置工事費はストーブ本体と煙突工事で大幅に値引きしてもらって92万5千50円(消費税込)だった。煙道工事は追加工事があったのでいくらかまだ請求書はきていないが、45万円程度だろう。総工費はだいたい140万円前後。
これからは薪を集めるのが大変だ!
この冬からは薪ストーブでコーヒーを沸かし、ムルドワイン(砂糖と香料を入れ温めたワイン)を作る予定です。コーヒーやムルドワインを飲みながら、薪の燃える炎をながめ、暖まって行って下さい。みなさまのお越しを心からお待ちしています。
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