2000年度課題参考回答クレーム
弁理士 遠山 勉 (2001/5/14)
2 前記クリップ本体は、挟持部、連結部がそれぞれ板状をなし、被挟持物を挟持していないときに、各挟持部の他端同士が、互いに当接して、断面3角形状をなすことを特徴とする請求項1記載のクリップ。
3 前記各レバーの他端が、前記各挟持部の他端に回動自在に係止されていることを特徴とする請求項1または2記載のクリップ。
Wクリップの参考クレーム 例2
板バネの両端同士が互いに対向するように、当該板バネを屈曲し、対向する板バネの両端部分を挟持部とするとき、当該各挟持部に接続して、前記両端部分から離れる方向へと延出し、挟持部との接続部を作用点とし、板バネから離れた外方端を力点とし、力点と作用点との間の板バネとの当接部分を支点とした一対のレバーを設けたことを特徴とするクリップ。
Wクリップの参考クレーム 例3
弾性力によって被挟持物を挟持する一対の挟持部を有するクリップ本体と、このクリップ本体の挟持部を開閉操作するレバーとを有するクリップにおいて、
前記クリップ本体は、板バネからなり、互いに対向する前記一対の挟持部と、各挟持部の一端同士を連結する連結部とを有し、
前記レバーは、各挟持部に対応して一対設けられ、各挟持部に一端が接続され、他端が連結部を越えて外方へと延出し、一端を作用点、他端を力点とし、連結部近傍のクリップ本体部分との当接部を支点としてなることを特徴とするクリップ。
(2)ゼンマイ式懐中電灯の評価と解答例
本問は、例示したゼンマイ式の発電器部分に電灯部分を組み合わせて発明を完成させなければならないという点で、やや面倒ですが、発電器部分の情報は、実際の明細書からの引用であり、その表現方法は見習えるという点では、やりやすい問題です。
出題者の希望としては、発電器部分を「乾電池」型にすれば、既存の懐中電灯に「乾電池」の代わりに使用することができる、という点にまで気づいてくれれば、・・・・発明の分析として最高点であるといえます。
但し、一般論としてはそこまで要求はできないと思いますが。
この場合、クレームとしては、「発電器部分と電灯部分とを備えたゼンマイ式懐中電灯」に加え、「電池型発電器」のクレームも作成するとよいでしょう。また、従属項として、蓄電池を備えた「発電器部分と電灯部分とを備えたゼンマイ式懐中電灯」あるいは「電池型発電器」を作成しておきたいものです。
また、実施例としては、交流式のダイナモが例示されていますが、直流発電機を利用してもよいことをお忘れなく。
全体評:機能的にすぎる表現が多く見あたり、客観的記載を指示した解答が多くありました。
では、以下に示す例が機能的でなく、客観的かというとそうでもなく、このような例題では、「バネによる付勢力を蓄積する・・・」という機能記載を避けられない点があります。
その意味で、この例は、客観的記載の訓練としてはいまいちだったと反省しています。
解答例
請求項1
バネによる付勢力を蓄積するゼンマイ装置と、
ゼンマイ装置により回転される回転子及びこの回転子周りに配置された固定子を有し、この固定子に対する回転子の回転によって電流を起こす発電機と、
発電機により生じた電流によって点灯される発光素子と、
を備えたゼンマイ式懐中電灯。
【コメント】 発電機はあまりにも周知なので上記表現にしましたが・・もう少し基本構成を限定してもよいと思います。
発光素子は大げさか? 電球でも実質上問題ないかと思いますが・・・
請求項2
発電機の回転子とゼンマイ装置との間に、ゼンマイ側から回転子側へと順次大径となる複数の歯車を備えた歯車装置からなる回転力増大手段を備えた請求項1記載の・・・
請求項3
発電機は、交流発電機であり、さらに、発電された交流電流を直流電流に変換する清流装置を備えた請求項1または2記載の・・・
請求項4
発電機は、直流発電機である請求項1または2記載の・・・
請求項5
発電機で発電された電力を蓄える蓄電池を備えた請求項1から4いずれかに記載の・・・・
請求項6
一端に+極、他端に−極を有する電池型をしたケーシング内に、
バネによる付勢力を蓄積するゼンマイ装置、
ゼンマイ装置により回転される回転子と、この回転子周りに配置された固定子を有し、この回転子の回転によって電流を起こす発電機、
とを備え、
発電機による+電流をケーシングの+極に接続し、−電流を−極に接続した乾電池型発電装置。
【コメント】本件に関連して事前に公報を調査したところ、実開平9−199181が存在しました。この公報は、ゼンマイ式の電池です。この公報ではゼンマイのことをエネルギ蓄積手段といっております。また、他の表現も上記した例より広い表現を使用しています。(上記表現でも実質上限定にならないと思ってますが)参考にして下さい。
なお、この公報を先行技術調査された解答者もおりました。お見事・・・です。
(3)パソコンの日本語表示システム
本例の解答例等は、解答者に個別に添付します。