(01/05/31改訂)
出願人は、法が要求する明細書様式に技術思想である発明の目的、構成、効果(課題と解決手段)を配分して記載することとなります。しかも、「発明の実施の形態」も記載しなければなりません。
その際、実施の形態と技術思想である発明との関係を理解しておかないと、折角開示した発明の権利範囲が限定されてしまうおそれがあります。
そこで、明細書における「実施の形態」と発明との関係を理解し、技術的思想である発明を明細書の各項に振り分けて記載するという実務的作業が必要となります。
発明(目的、構成、効果)と「実施の形態」との関係をみますと、実施の形態は、技術的思想である発明を具現化した技術そのもので、思想としての発明ではありません。そして、実施の形態は、次の図のように、発明が成立していることを示す具体的証拠としての意義を有するものです。
構 成(解決手段)
↑ ↑
目 的 & 効 果(課題)
↑ ↑
実 施 の 形 態
(発明を確かならしめる証拠)
この点、発明者は自身が発明した製品、設計図、実験結果、試験結果そのものが発明であると誤解しやすいものです。しかし、それら自体は直ちに発明ではなく、発明の具体的一形態の技術なのです。出願に当たってはこの具体的技術から、思想としての発明を見いだす作業をしなければなりません。
そして、思想としての発明を抽出した後、前記形式の明細書の各項目に発明に関する各データを分配して記載するのです。
さらに、最も注意してほしいのは、特許権というのは利用可能に発明を開示した代償としての権利であるということです。何がどのように開示されたのかという点を考慮せずに単に願望的に広範囲にわたる抽象的思想がそのまま保護されるものではないといってよいでしょう。