特許明細書例   (ビールやジュース等用のプルタブ缶)
弁理士 遠山 勉
【書類名】  特許請求の範囲
メインクレーム
 【請求項1】(第1案)
(1)底板の周囲に筒形胴部を立設し、その筒形胴部の上部開口を天板で塞いでなる容器本体と、
(2)前記天板に所定の区域を開口片として画成するとともに、その区域の内外を連結する連結部を残すよう形成された切溝線と、
(3)開口片の内側と外側とに跨って配置され、開口片の内側に対応して開口片を押し下げる押し下げ部を有するとともに、開口片の外側に対応して自身を引き上げる引き上げ部を有し、かつ、押し下げ部と引き上げ部との間の中間部を前記天板に固着する固着部を有するプルタブ(開口具)と、
 を備えた、流体用容器。
 
 なお、天板、底板のない容器は事実上販売されないので、上記のように容器本体を特定するのは事実上の限定でない限定として許容することとしたが、万が一のことを考え、以下のように、してもよい。
(1)流体物を収容する容器本体と、
(2)前記容器本体の所定の区域を開口片として画成するとともに、その区域の内外を連結する連結部を残すよう形成された切溝線と、
(3)開口片の内側と外側とに跨って配置され、開口片の内側に対応して開口片を押し下げる押し下げ部を有するとともに、開口片の外側に対応して自身を引き上げる引き上げ部を有し、かつ、押し下げ部と引き上げ部との間の中間部を前記容器本体に固着する固着部を有するプルタブ(開口具)と、
 を備えた、流体用容器。
 
 プルタブを開口具とするか否か。
 プルタブは容器業界で当業者間に知られた開口具であり、本発明において、特に実質上の限定を加えるものではないと判断し、そのまま使用しましたが、動的分析に従って、開口具とした方が無難とも思えます。
 
 【請求項1】(第2案)
 底板の周囲に筒形胴部を立設し、その筒形胴部の上部開口を天板で塞いで容器本体を形成し、
 前記天板に所定の区域を切溝線で開口片として画成するとともに、切溝線には前記所定の区域の内外を連結する連結部を残し、 前記開口片の内側と外側とに跨ってプルタブ(開口具)を配置し、
 プルタブは、開口片の内側に対応して開口片を押し下げる押し下げ部を設けるとともに、開口片の外側に対応して自身を引き上げる引き上げ部を設け、かつ、押し下げ部と引き上げ部との間の中間部を固着部により前記天板に固着してなる、流体用容器。
 
 【請求項1】(第3案)
 容器本体に設けた開口片をプルタブ(開口具)の引き上げにより開封する流体用容器において、
 前記容器本体は、底板の周囲に筒形胴部を立設し、その筒形胴部の上部開口を天板で塞いでなり、
 前記開口片は、天板に所定の区域を切溝線で囲むことで画成されるとともに、この切溝線には前記所定の区域の内外を連結する連結部を残してあり、
 前記プルタブは、前記開口片の内側と外側とに跨って配置されるとともに、開口片の内側に対応して開口片を押し下げる押し下げ部と、開口片の外側に対応して自身を引き上げる引き上げ部とを有し、かつ、押し下げ部と引き上げ部との間の中間部を前記天板に固着する固着部を有する、
 ことを特徴とする流体用容器。
 
 【請求項1】(第4案)
(1)底板の周囲に筒形胴部を立設し、その筒形胴部の上部開口を天板で塞いでなる容器本体と、
(2)前記天板に所定の区域を開口片として画成するとともに、その区域の内外を連結する連結部を残すよう形成された切溝線と、
(3)開口片の内側と外側とに跨って配置され、開口片の内側に対応して開口片を押し下げる押し下げ部を有するとともに、開口片の外側に対応して自身を引き上げる引き上げ部を有し、かつ、押し下げ部と引き上げ部との間の中間部を前記天板に固着する固着部を有するプルタブ(開口具)と、
 を備え、プルタブの固着部を支点、引き上げ部を力点、押し下げ部を作用点として、引き上げ部の引き上げにより押し下げ部にて開口片を押圧し、切溝線を破断して、開口片を開いて容器内に押し込むことを特徴とする流体用容器。
 
 
サブクレーム
 【請求項2】
 前記切溝線は、破断開始点となる始端と開口片の中心と間の距離を、その終端と開口片の中心との間の距離より短くして、全体としてほぼ螺旋状としたことを特徴とする請求項1記載の流体用容器。
 【請求項3】
 前記切溝線は、少なくとも2重に形成されたことを特徴とする請求項1記載の流体用容器。
 【請求項4】
 前記連結部は、プルタブの固着部寄りに設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の流体用容器。
 【請求項5】
 前記天板には、所定区域を段差部で囲んで画成された平板部が形成され、この平板部に前記開口片とプルタブとを配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の流体用容器。
 【請求項6】
 前記平板部を画成する段差部は一方がほぼ矩形をなすとともに他方がほぼ円形をなす前方後円墳型段差部であることを特徴とする請求項5記載の流体用容器。
 【請求項7】前記プルタブの引き上げ部側とそれに対応する天板部側とのいずれかに、プルタブ引き上げ部を天板から離れる方向に引き上げるよう介在するリフト部(クリアランス形成部でもよい)を設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の流体用容器。
 【請求項8】前記リフト部は天板部に設けた突起であることを特徴とする請求項7記載の流体用容器。
 【請求項9】前記固着部は天板にプルタブを軸支するリベットであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の流体用容器。
 【請求項10】前記プルタブまわりに凹凸係合する凹凸係合部を天板に設けたことを特徴とする請求項9に記載の流体用容器。
 【請求項11】前記プルタブは、固着部周りの引き上げ部側にスリットを有することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の流体用容器。
 【請求項12】前記切溝線内の開口片に開口片補強用突起を設けたことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の流体用容器。
 
【書類名】   明細書
【発明の名称】 流体用容器
 
 名称としては、(1)単に容器、(2)流体用容器、(3)容器の開封装置等が考えられる。
 侵害時の損害賠償額算定の際に、細かな部品として扱われないように、ここでは(1)(2)にするのがよい。
 ただし、車のハンドルの発明にも拘わらず、「車」という名称にするのはどうかと思います。特徴部分の比重がある程度大きくないと、その名称は使わないほうがよいでしょう。
 
【発明の詳細な説明】
 【技術分野】
 本発明は、流体用容器に係り、特に、清涼飲料水やビールなどを収容する流体用容器の開口機構に関する。
 
 【背景技術】
 従来より、清涼飲料水やビールなどを収容する流体用容器が提供され、自動販売機等により販売されている。従来の容器としては、図に示したように、底板の周囲に筒形胴部を立設し、その筒形胴部の上部開口を天板で塞いで容器本体を形成し、前記天板に所定の区域を全体として紡錘型をなす切溝線で開口片として画成するとともに、開口片の一端にリベットを介して連結されたプルタブを設けたプルタブ容器が知られている(特許文献1)。
 プルタブはリング状部を有し、このリング状部を引っ張り上げることで、開口片の一端部から切溝線を破断し、ついには開口片を天板から離脱せしめて、開口部を形成する。
 【特許文献1】
   特開平1−55555号公報
 【発明が解決しようとする課題】
 このような従来のプルタブ容器では、プルタブと開口片が容器本体から離脱してしまうので、それらが開口後に容器本体と別に捨てられ、ゴミ箱の周囲等に飛散してしまうという問題があった。
 本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、プルタブや開口片が離脱しない流体用容器の提供を課題とする。
 
 【コメント】本発明の課題として、「従来のプルタブ容器では、プルタブを上方に引張り上げる力のみで、開口片を開口させるので、開口に大きな力を要し、力の弱い女性や子供あるいは老人ににとって開口が困難となる場合があった。」ということもいえるかと思います。
 この課題は、本発明の「てこ作用」による開口手段に対応する課題であり、上記課題と併せて主張してもよい課題ですが、今回は記載しませんでした。
 課題を沢山書くと、進歩性が高くなるような気がして、つい沢山書きたくなるりますが、発明たる技術思想は課題とその解決手段との組合わせによって成立つものであり、沢山の課題があると、それらの課題とそれらに対応する技術手段との組合わせで発明が成立すると判断されるので、一つの課題が掲げられた場合とでは、発明の中核・中心点が移動してしまうという事態が生じてしまします。そこで、一つの課題のみで特許性が出るのであれば、その課題のみで明細書を記載することとします。但し、掲げた課題では特許性がないとされることもありうるので、第2の課題を示唆する記載は、明細書のどこかに記載しておき(本明細書では実施形態の最後)、拒絶理由に対する意見書を提出する際に、その第2の課題もあったのだということを意見書中で述べられるようにしておくと良いでしょう。
 
 【課題を解決するための手段】
 本発明は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
 すなわち、本発明は、切溝線の破断により開口した開口片が容器本体から離脱しないよう、切溝線の破断時においても開口片と容器本体とを連結保持する連結部を設けたことをその要旨とする。
 
 【コメント】ここでは、発明の原理的構成を記載し、その技術思想の中核を明確にしておく。本発明は要はどういう技術思想なのかということを「かいつまんで」説明する。
 
 本発明は、底板の周囲に筒形胴部を立設し、その筒形胴部の上部開口を天板で塞いでなる容器本体と、前記天板に所定の区域を開口片として画成するとともに、その区域の内外を連結する連結部を残すよう形成された切溝線と、開口片の内側と外側とに跨って配置され、開口片の内側に対応して開口片を押し下げる押し下げ部を有するとともに、開口片の外側に対応して自身を引き上げる引き上げ部を有し、かつ、押し下げ部と引き上げ部との間の中間部を前記天板に固着する固着部を有するプルタブと、を備えている。
 そして、プルタブの固着部を支点、引き上げ部を力点、押し下げ部を作用点として、引き上げ部の引き上げにより押し下げ部にて開口片を押圧すると、切溝線が破断されるので開口片が開き容器内に押し込まれる。その際、プルタブは固着部で天板に固着され、また、連結部が開口した開口片と天板とを連結保持されたままに維持されるので、プルタブや開口片が容器本体から離脱することがない。
 
 ここで、容器本体は、アルミニウムや鉄板などにより形成されるが、底板や筒形胴部を合成樹脂にて成型してもよい。ただし、天板については、切溝線を設ける関係上実質的には金属板が望ましい。
 切溝線は、天板の肉厚を線状に削り、破断可能なように弱めた線であり、開口片への押圧力を受けて、肉薄部分に剪断力が加わって、その肉薄部が剪断されるようにしたものである。通称として弱め線ともいう。
 この切溝線は、破断開始点となる始端と開口片の中心と間の距離を、その終端と開口片の中心との間の距離より短くして、全体としてほぼ螺旋状とすると、開口片の押し下げ時、剪断力が最初に破断開始点となる始端に集中し、破断容易にする。
 そして、切溝線を少なくとも2重に形成するとよい。2重にした場合、開口片を押圧すると、内側の切溝線で天板が曲がるとともに、外側の切溝線部分を大きく曲げてその部分を剪断しやすくする。この作用は切溝線を3重以上としても同様である。
 また、前記連結部は、プルタブの固着部寄りに設けることが望ましい。破断して開口した開口片を天板に連結保持するためには、プルタブの固着部寄りで保持する方が、プルタブでの押圧上好ましいからである。ただし、開口片を連結保持できればよいのであるから、その限りにおいて、設置位置を限定する理由はない。
 
 次に、前記天板には、所定区域を段差部で囲んで画成された平板部が形成され、この平板部に前記開口片とプルタブとを配置することができる。段差部は、その段差により天板を補強し、プルタブによる開口片の押圧時に、天板の撓みを防止して、押圧力を好的に切溝線効率よく伝達する。
 前記平板部を画成する段差部は一方がほぼ矩形をなすとともに他方がほぼ円形をなす前方後円墳型段差部として形成することができる。この形は、プルタブと切溝線とを囲む形であり、外観デザイン上も好ましい。
 さらに、前記プルタブの引き上げ部側とそれに対応する天板部側とのいずれかに、プルタブ引き上げ部を天板から離れる方向に引き上げるよう介在するリフト部(クリアランス形成部でもよい)を設けると、プルタブ引き上げ部がリフト部によって持ち上げられるので、指で摘みやすく、爪を痛めたりせず容易にプルタブ引き上げ部を引き上げることができる。
 より具体的には、前記リフト部は天板部に設けた突起にて形金属板で形成した場合、プルタブを波状に下方に突起状に折り曲げてリフト部を形成してもよい。
 
 プルタブは、金属板等ある程度の剛性を有する素材で形成するのが好ましい。プルタブは支点となる固着部、力点となる引き上げ部、作用点となる押し下げ部を有する。引き上げ部は、リング状に形成し、指で摘みやすくするとよい。
 前記固着部は天板にプルタブを軸支するリベットを用いることができるが、これに限る理由はない。
 そして、前記プルタブまわりに凹凸係合する係合部を天板に設けると、リベット周りでプルタブが回転するのを防止することができる。
 さらに、前記プルタブは、固着部周りの引き上げ部側にスリットを設けると、引き上げ部の立ち上げが容易となる。とりわけスリットを固着部周りを半周するC字状とするのが好ましい。
 次に、前記切溝線内の開口片は、平板状でもよいが、開口片補強用の突起を設けると、撓まずに応力を切溝線に集中させることができる。
 なお、以上述べた各構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、互いに組合わせることが可能である。
 【コメント】列挙した構成の組合わせをすべて記載することは不可能であるし、組合わせを予定していない場合もあるので、このような文章を最後に記載しておき、発明の範囲を担保し、後の補正や解釈の根拠としておきます。例えば、従属請求項で引用し忘れ、後に補正でその組合わせを追加したい場合などに補正の根拠とすることができます。
 
 【発明の効果】
 本発明では、プルタブのてこ作用にて、開口片を押圧すると、切溝線が破断されるので開口片が開き容器内に押し込まれ、その際、プルタブは固着部で天板に固着され、また、連結部が開口した開口片と天板とを連結保持されたままに維持されるので、プルタブや開口片が容器本体から離脱することがない。
 よって、容器の開封時にプルタブ・開口片が飛散することがなく、環境にやさしい容器とすることができる。
 
 【発明を実施するための最良の形態】
 以下、本発明の最良の実施形態を添付した図1から図3に基いて説明する。
★コメント:明細書・図面中の部品に符号は付しておりません(通常はつけますので、ご自身で付けてみてください。)
 本例は、コーヒー、日本茶、中国茶、紅茶、スポーツドリンク、ビールなどの飲料を収容する缶容器に、本発明を適用したもので、
缶容器は、底板の周囲に筒状胴部を立設するとともにその上部開口を天板で塞いでなる容器本体を有する。
 容器本体は、アルミニウムの薄板で形成され、容器内へとドーム状に凹んだ底板を有し、その底板周囲に円筒形胴部を一体に立設している。その円筒形胴部の上部開口は、アルミニウムの天板で塞ぎ、その周囲を水密にカシメて接合している。
 前記天板には、一方がほぼ矩形をなすとともに他方がほぼ円形をなす前方後円墳型段差部を有し、この段差部の内側所定区域は、その外側天板部より一段下がった平板部として画成されている。
 段差部が前方後円墳型であるため、平板部もまた矩形部分と円形部分とに分かれる。
 そして、この円形部分の平板部に、円形状の段差部の内側に沿って切溝線が円形をなすように設けられている。この切溝線内は平板部の所定の区域を開口片として画成する。
 切溝線は、天板の肉厚を線状に削り、破断可能なように弱めた線であり、破断開始点となる始端と開口片の中心と間の距離を、その終端と開口片の中心との間の距離より短くして、全体としてほぼ螺旋状となっている。また、切溝線は、2重に形成されており、さらに、平板部の内外すなわち開口片内側と外側を連結する連結部を残すよう形成されておいる。
 この連結部は、平板部の矩形部分と円形部分との境界部分で段差部の一方に偏って配置されている。この部分はプルタブの固着部寄りとなる部分である。
 開口片は、U字状の突条とその中に配置された突起を有している。これらは開口片を撓まないように補強する。
 また、平板部の矩形部分と円形部分との境界部分中央には、プルタブ固着用のリベットが設けられ、さらにそのリベット近傍の平板部の矩形部分に3つの突起が設置されている。
 さらに、前記リベットを固着部として、このリベットにより中央部が平板部に固着されたプルタブが設けられている。
 プルタブは、開口片の内側と外側とに跨って配置され、平板部の円形部分内に位置し、開口片の内側の前記突起に当接して開口片を押し下げる押し下げ部と、平板部の矩形部分内に位置して、開口片の外側にあってプルタブ自身を引き上げる引き上げ部とをを有する。このため、押し下げ部と引き上げ部との間の中間部が前記天板である平板部にリベットで固着され、この部分を支点、引き上げ部を力点、押し下げ部を作用点として、引き上げ部の引き上げにより押し下げ部にて開口片の突起を押圧すると、切溝線に破断のための剪断力が加わるようになっている。
 プルタブは、金属板で形成され、支点となるリベット周りで、引き上げ部側にC字状のスリットを有する。これにより引上げ部を引上げるとき、プルタブの固着部周りとは別に引上げ部を容易に引上げることができる。引き上げ部は、リング状に形成されており、このため、指で摘みやすくなっている。
 ところで、前記平板部に設けた3つの突起の内、両端の2つの突起は、プルタブをリベットで固着した際に、引上げ部とC字状スリットとの間の部分に当接して引上げ部を下方から押上げる。これは、本発明でいう、プルタブ引き上げ部を天板から離れる方向に引き上げるよう介在するリフト部である。また、平板部に設けた3つの突起の内の中央の突起はプルタブまわりに凹凸係合する凹凸係合部であり、C字状スリットの中央に、凹凸係合部としての突起に凹凸係合する係合溝が設けられている。この係合溝と中央の突起との係合により、リベット周りでプルタブが回転するのを防止する。
 さらに、平板部の矩形部分内で、プルタブの引上げ部外側に沿って、平板部の幅方向に延びる凹部が設けられている。これにより、指をプルタブ引上げ部の下側に差込みやすくしている。
 
 なお、図4に示したように、前記リフト部は天板部に設けた突起にて形金属板で形成した場合、プルタブを波状に下方に突起状に折り曲げてリフト部を形成してもよい。
 
 次に、本例の作用について説明する。
 まず、プルタブの引上げ部の下側に指を差込み、引上げ部を指で立ち上げ、上方へと引上げる。
 すると、リベット部分を支点として、プルタブが上下方向に回動し、押下げ部が開口片の突起を押す。
 押された開口片はその押圧力を切溝線に伝達する。切り溝線は螺旋状に形成されているため、開口片に最も近い始端部分に剪断力が集中し、その部分の切溝線を破断する。破断に際しては、2重の切り溝線の内、内側は谷側に折れ込むだけで破断せず、外側の切溝線のみが破断する。その後、螺旋に従って切溝線が順次終端へと向って破断する。終端に至るとその部分は連結部であり、この時点で、開口片は容器内に押し込まれ、プルタブは固着部で天板に固着され、また、連結部が開口した開口片と天板とを連結保持されたままに維持される。よって、プルタブや開口片が容器本体から離脱することがない。
 そして、プルタブの引上げにより「てこ作用」で開口片が押圧されて切溝線が破断されるので、従来のプルタブ容器で、プルタブを上方に引張り上げる力のみで切溝線を破断していた場合と異なり、小さな力で開口でき、力の弱い女性や子供あるいは老人ににとっても開口作業が容易となった。
【産業上の利用分野】(省略) 
 
【図面の簡単な説明】
 【図1】本発明の一実施形態を示す分解斜視図
 【図2】本発明の一実施形態を示す斜視図
 【図3】本発明の一実施形態を示す天板部の平面図
 【図4】プルタブの変形例を示す図
 【図5】従来例を示す平面図
 【符号の説明】
★コメント:図面中に符号は付しておりません(通常はつけますので、ご自身で付けてみてください。)

































【書類名】    要約書

【要約】
 【課題】本発明は、プルタブや開口片が離脱しない流体用容器の提供を課題とする。
 【解決手段】本発明は、切溝線の破断により開口した開口片が容器本体から離脱しないよう、切溝線の破断時においても開口片と容器本体とを連結保持する連結部を設けたもので、開口片の開口にはプルタブのてこ作用を用いた。
 【選択図】図2


著作者 弁理士 遠山 勉:秀和特許事務所
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