(演習)診療受付票発行に関する発明

2003年8月25日作成

 秀和特許事務所
 弁理士 遠山 勉

設問
 Aさんは、病院の受付担当である。Aさんが勤務する病院では、受付で初診時に診療カードを発行し、再診時以降はこの診察カードを窓口へ提出するシステムである。
しかし、診療カードを提出しただけでは、患者は、自分が何番目なのか、あとどれくらい待ったらよいのか分からない。そこで、受付番号を記入した受付票を発行することを考えたが、この受付票を発行するための係が少なくとも一人は必要となり、省力化に反するという問題が生じる。そこで、受付票発行の自動化のため、下記のような構成の発明をした。

但し、先行技術調査をしたところ、受付票の発行を自動化する技術として特公昭58-26593号公報に記載された再診自動受付器の発明があった。(特公昭58-26593号公報のダウンロードはこちら)

下記の情報をもとに特許明細書を作成せよ。

1図 本発明診療受付器の斜視図

1・・診療受付器

2・・CRT表示装置(CPU表示装置2は、前記診察科選択キー33・・・・・・、診察内容選択キー44・・・・・・、等を受付患者が操作するための案内表示を行うものであり、CPU21が、ROM22内に格納されたプログラムの実行手順にしたがって、このCPT表示装置2が逐次案内麦示を行なうよう制御する。)

33・・診療科選択キー

44・・診療内容キー(診察内容を選択する)

5・・確認キー(受付患者の入力操作が終了したことを入力する)

6・・取消しキー(入力を取消)

7・・カード挿入口

8・・受付票排出口



2図 同じく診療受付器の背面を示す正面図


9・・受付態様選択部(縦8列横2列の16個の診療科区分1010・・・・・・に分割されている)

11・・ランプ(受付中である旨を表示)

12・・名称欄(各診療科の名称を記入したカードを挿し込む)

13・・受付時間切換キー(受付の開始、中止または予め設定された時間によって自動的に受付の開始及び中止が行われる自動受付の3つの様態を選択的に切り換える。キー13を上方に倒すと受付け中止、下方へ倒すと受付け開始、どちらにも倒されていないときは予め設定した時聞に開始・終了が自動的に行なわれる。)

14・・現時刻設定ダイヤルキー(現在の時刻を設定)

15・・開始設定ダイヤルキー(自動受付の開始時間を設定)

16・・終了設定ダイヤルキー(自動受付の終了時間を設定)

15,16は二対配置。一方の一対は、例えば午前中の開始・終了時間を、他方は午後の開始・終了時間を設定する。1516は、いずれも4桁の数値を入力する回転式のものであり、各4個のロータ1717・・・・・・・を回転させてその数値を合わせることにより、時・分が入力される。

3図 本発明診療受付審の内部構造を示すブロック図

21・・(中央処理装置)、

22・・ROM(実行作業の手順を示すプログラムが格納されている)、

23・・RAM(ランダムアクセスメモリー)

24・・患者情報記憶部(受付患者の各種情報を記憶する)

25・・現受付番号記憶部(診察科毎の現在の受付番号を記憶する)

25・・受付時間記憶部(前記自動受付の開始・及び終了設定ダイヤルキー1516によって設定入力された受付時間を記憶する)

27・・キャラクタージエネレーター(CRT表示装口12に所定の文字パターンを表示するために用いられる)

28・・選択キー(診療受付器1の正面側に設けられた、診療科達択キー33・・・・・・、診療内容選択キー44・・・・・・及び確認若しくは取消キー56を総称して示している)

29・・設定キー(同じく診寮受付器1の背面に設けられた、現時刻設定ダイヤルキー14及び受付開始・終了時間設定ダイヤルキー1516を総称して示す)

これら選択キー28及び設定キー29の出力は、CPU21へ入力される。

 

30・・磁気カードリーダー(患者の投入した磁気カードの記録情報を読み込み、これをCPU21側に出力する)

31・・インターフェイス

32・・受付票プリンタ(受付票プリンタ32は、CPU21によって設定された受付番号その他の必要項目を、受付票ヘプリントして排出する)

33・・一覧票プリンタ(一覧表プリンタ33は、受付開始からそれまでの受付患者のリストをプリントする。これは、病院側の内部リストとして用いられる。)

34・・タイマー(現時刻を刻む。CPU21は、タイマー34からの入力情報によって現時刻を判別し、また現時刻設定ダイヤルキー14によって現時刻を修正する)

35・・通信I/Oポート(管理コンピユータ41と交信)

 

 

11図 受付票の正面図

 

11図は、プリンタ32によってプリントされた受付票36を示している。用紙には、「受付票」の文字、「患者番号」の文字とその記入欄、氏名及び生年月日、性別の記入欄、「診療科目名」、「診療内容」及び「受付番号」の文字とその記入欄、病院名が予め印刷されており、前記プリンタ32は各記入欄へ必要事項を印字して排出する。

 

 

 

4図 管理コンピュータの内部構造を示すブロック図

 

41・・管理コンピュータ

42・・CPU(各入・出力機器の制御及び漬算を行なう)

43・・ROM(管理コンピュータ41の行なう実行手順のプログラムが格納されている)

44・・RAM(これまでに受付けた全患者の患者情報が記憶されている全患者情報記憶部45と、ある一定期間即ち当日の受付開始からそれまでの受付患者の情報が記憶されている受付患者情報記憶部46と、当日の各診療科毎の現在の受付番号が記憶されている各科現受付番号記憶部47とが割付られている)

48・・受付器用通信インターフェイス(1または複数の診療受付器11と交信)

49・・インターフェイス

50・・一覧表リストプリンタ(各診療受付器11が受付けた全患者を総合しプリントアウトする)(入カキー52を操作することによって、逐次制御される)

51・・科別リストプリンタ(各診療受付器11・・・・・・によって受付けた受付患者のリストを各診療科毎にプリントアウトする)(入カキー52を操作することによって、逐次制御される)

53・・コントローラ用通信I/Oポート

54・・モニターコントローラ54(各診療科に設置されるモニター5656・・・・・・への出力制御を行う)

5656・・モニタ(各診療科における現在の受付番号を表示:各診療科では、これによってその科の現在の受付番号即ち受付人数を知ることができ、かつ患者数があと何人残っているか等を知ることができる。)

 

12図 モニターの表示画面を示す正面図

 

モニター56の表示画面には、1個の診療科名表示欄60と、縦9個横5個の計45名分の受付番号表示欄61とが設けられている。受付番号表示欄61・・・・・・には、各診療科の全受付番号が表示され、一画面で表示できないときは、複数画面で表示する。そして、各モニター56は、一診療科を数分として各診療科の受付番号を順次繰返し表示する。従って、1つのモニターを見れば他の科の受付番号を知ることができる。更に、後述するホストCPU59から会計終了の報告があれば、該当の受付番号表示を消去する。また、各モニター56毎に備えられた入カキーによって、診療の終った患者の受付番号を消去できるようにすることもできる。

 

57・・ホストCPU用インターフェイス

58・・ホストCPU用通信I/Oポート(管理コンピユータ41とホストコンピュータのCPU59が接続されて、該ホストCPU59と交信・・・ホストCPU59側において、各患者の診察料の支払が終わると、その終了を管理コンピユータ41CP42側へ送信し、該管理コンピュータのCP42では、これに基づいて漬算を行い、各診療料の残り患者数を計算する)。

 

 次に、第5図及び第6図のフロチャートに従って、受付処理の手順を説明する。第5図が、診寮受付器1側の作業手順を、第6図が、管理コンピュータ側41の作業手順を示している。

 

5図 診療受付器による実行手順を示すフロチヤート

 

 

6図 管理コンピュータ側の実行手順を示すフロチャート

 

 

診療受付器1におけるRAM23の受付時間記憶部26には、前記受付時間開始設定ダイヤルキー15及び終了設定ダイヤルキー16によって入力された受付時間が記憶されている。

CP21は、このRAM23によって記憶された時間と、タイマー34により入力される現時刻とを比較する(ステップS101)。

現時刻が受付時間になっていれば、CRT表示装置2に、第1図の如く「ただ今受付中」「カードをお入れ下さい」の文字を表示する(S102)。

未だ受付時間になっていない場合には、CPU21は、受付時間切換キー13が、受付開始側に入力されているかどうかを判断し(S103)、その場合には、同様にCRT表示装置2に上記の表示を行なう。この場合の受付けは、受付時間切換キー13が開始となっている診療科のみ行なわれる。また、この受付時間切換キー13が、各診療科全てについて受付中止側に倒されている場合には、受付時間中であっても、CPU21は上記の表示を中止する。

 

上記受付表示の表示中に、力一ド挿入口7よりカードが挿入されると(S105)、磁気カードリーダー30がこの力一ドの記曇情報を読み込み、CPU21へ出力する(S106)。

該力―ド30には、患者のコード番号、氏名、生年月日、性別が記録されており、CPU21は、これらの情報をRAM23の患者情報記憶部24ヘストアする。同時に、CPU21は、ROM22に記憶された手順にしたがつて、CRT表示装置2へ、診療科選択キー3の操作の案内表示を行なうよう制御出力する。

その表示内容は、第5図のとおりであり、まず、各診療科選択キー33・・・・・・に対応して、表示画面の両側に各診療科名を表示する。そして、これら表示された診療科名に対応する選択キー33・・・・・・を押すことによってその診療科の情報がCPU21側へ入力される。画面の中央部には、診療科目表示欄41、診療内容表示欄42、及び受付番号表示欄43が設けられ、更にその上方部に、「診療科目を選択してください(終了は「確認」)」の文字が表示される(S107)。

また、これら各欄414243の下方には、診療内容の表示が、各診療内容選択キー44・・・・・・にあわせて表示されており、この例では、診療内容は、診祭、投薬、検査、注射、の4種に分けて表示されている。この場合においても、各診療内容に対応する選択キー44・・・・・・を押すことによって、それに対応した診療内容の情報が、CPU21へ入力される。なお、途中で受付時間切換キー13が中止側へ倒されると(S104)、受付時間中であってもその診療科の受付けは行なわれない。

 カードを投入し終えた受付患者は、上記の案内表示を見て、表示された各診療科に対応する選択キー33・・・・・・を押し、診療科を選択する(S108)。CPU21はその押された選択キー3の診療科を読み込み(S109)画面中央の診療科表示欄に、その押されたキーに対応する診療科名が表示される。

 このようにして、診療科選択キー33・・・・・・の一つが押されると、CPU21は、第6図の如く、CRT表示装置Cの上方部の案内表示を、「診療内容を選択して下さい」の文字に変更するよう制御する(S110)。これにしたがって、患者は、4個の診療内容の表示に従い、その対応する診療内容選択キー44・・・・・・を選択して押し、診察内容を入力する(S111)。

そして、押されたキー4の診療内容を読み込み(S112)、診療内客表示欄42に、その診療内容が表示される。これが終わると、再び、画面の上部に前記と同じ「診療科目を選択して下さい」の文字を表示し、患者は、一度に複数種の診療科を選択でき、必要な診療科及び診療内容の入力を終えると、下方の確認キー5を押す。

 確認キー5が押されると(S113)、CPU21は、管理コンピュータのCPU42側へその情報を送信する(S114)。管理コンピユータ41CPU42では、この受信した患者情報を、RAM44の全患者情報記億部45に記憶されている患者情報と照合して、カードが有効であるかどうかをチェックし(S121)、カードが有効である場合には、各診療受付器11・・・・・・からの情報を調整しながら、各科現受付番号記憶部47内に記憶されている該当診療科の現在の受付番号を基に、演算を行って新しい受付番号を設定する。そして、この新しい受付番号が、再び受付器用通信インターフェイス48を介して、該当する診療受付器1は、受付票プリンタ32を出力制御し、該受付票プリンタ32が受付票36をプリントして排出する(S116)。

この時、新しい受付番号が、CRT表示装置2の受付番号表示欄43へ表示される。又、磁気カードリーダー30は、カードを返却するよう排出する。そして、患者は受付票36カードを受け取って受付を完了する。

なお、この時、診療受付器1の診療科目表示欄43は、第9図の如く、画面の右側に移動して表示されるとともに、その左側に、患者氏名、患者番号、生年月日、性別及び受付日時が表示される。更に、「受付は終了しました。カードと受付票をお取り下さい。」の文字が表示される。

 管理コンピュータ41CPU42は、診療受付器1から受け取った力一ドの記録情報、即ち、患者のコード番号、氏名、生年月日、性別、及び該患者の受付診療科、受付内容、及び、受付番号、更には、受付の日時を受付患者情報記憶部46内ヘストアする。又、新に設定された診療科の受付書号が、各科現受付書号記憶部47における受付書号と書き換えられる。

 上記の管理コンピュータが接続されていない場合、即ち、診療受付器11個のみで使用される場合には、上記受付番号の設定は、診療受付器1CPU21が、そのRAM23の各科現受付番号記憶部25に記憶されている受付書号に基づいて設定する。即ち、診療受付器1CPU21は、管理コンピュータ41が接続されていない場合には、該管理コンピュータ41CPU42と同様の制御や演算を行なう。

 更に受付番号が設定されると、管理コンピュータ41CP42は、これをコントローラ用通信IOポート53側に出力し、(S123)、モニターコントローラ54が、その該当する診療科のモニター5656・・・・・・を制御して、その表示されている受付番号を新に設定された受付番号に変更して表示する。

 最後に、管理コンピュータのCPU42側は、科別リストプリンタ51が診療科毎の患者の一覧票をプリントアウトする(S124)。また、各診療科毎の受付患者名リストをプリントするよう入カキー52によって命令されると、科別リストプリンターを制御して、該当診療科の患者リストをプリントアウトする(S113S113)。

 管理コンピュータ側において、ホストCPU59側から、初診の受付、即ち、新な患者カードが発行されると、その情報をホストCPU用通信IOポート58側より受け取り(S125)、この初診患者についても、前記と同様にして受付番号を設定し、ホストCPU59側へ送信する(S126)。同時に、前記モニターコントローラ54側にも新な受付番号の情報が出力される。

 同様に、ホストCPU59側から、診療を終えた患者の会計が終了したという情報がる

と、前述したように、該当の受付番号表示を消去するとともに、各診療科の受付患者数をカウントダウンして、未診療患者の人数を減算する(S128)。したがって、診療を終わって会計を終えていない患者は、その該当受付番号がいつまでも残っていることになるから、これによって、診療費用を支払わないで掃宅した患者を把握することができる。また、この場合、会計終了患者のリスト或いは未終了患者のリストをリストプリンタ5051で表示させることにより、より的確に把握することも可能となる。

 以上のように、この発明によれば、再診患者の持参したカードに基づいて受付番号を自動的に設定して発行するのみならず、ホストコンピュータ側で入力された初診患者の情報に基づいて、これら再診患者のみならず初診患者についても受付番号を設定することができ、従来の受付審のように初診患者のみ手作秦で受け付ける必要がなく、初診患者の診療が不当に早く行なわれたり或いは遅く行なわれたりする不都合も解消される。また、各受付器によって受け付けられた情報を管理装置側で受けて、この管理装置で診療科毎の受付番号を設定するかち、受付器が1台であっても或いは複数台であっても、常に各診療科毎に受付番号が設定されることになり、病院の規模に応じて1個乃至複数個の受付器を任意に選択して、経費節減を行なうことができるという劾果がある。更に、この発明では、会計処理を行なうホストコンピュータ側から患者の会許処理を終えた旨の情報が送信されるため、仮に診察を受けて費用を支払わないで帰宅する患者があった場合でも、この管理装

置側で容易に把握することができ、かかる不良患者の跳梁を排除できるという効果がある。

 

7図 診療受付器の正面の一部拡大図

 

8図 CRT表示装置に表示される表示内容を示す正面図

 

第9図 CRT表示装置に表示される表示内容を示す正面図

 

10図 CRT表示装置に表示される表示内容を示す正面図